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水素は今後どう使われる?  エネルギーを貯蔵・輸送 電気を補い、再エネ促進
http://www.asyura2.com/09/eg02/msg/1543.html
投稿者 あっしら 日時 2015 年 4 月 12 日 17:10:20: Mo7ApAlflbQ6s
 


[エコノ探偵団]水素は今後どう使われる? 
エネルギーを貯蔵・輸送 電気を補い、再エネ促進

 「最近、『水素社会』という言葉を聞きますが、水素は今後どう使われるようになるのですか」。近所の主婦が事務所に来て尋ねた。「燃料電池車(FCV)が普及したら水素社会なのかな?」。探偵の松田章司が首をかしげた。

 章司は事務所を飛び出し、まず水素の従来の用途を調べた。石油精製で原油に含まれる硫黄分の除去、プラスチックなど樹脂生成の添加剤、アンモニア合成の原料のほか、ステンレス鋼、半導体、光ファイバーなど様々な製品の製造工程で使用されていた。マーガリンや口紅の製造にも使われているのには驚いた。大半は工業用で、エネルギー用はロケット燃料くらいだ。


排出は水だけに

 ところが家庭用燃料電池が発売された2009年ごろから、水素のエネルギーとしての側面が脚光を浴びる。水素と酸素が反応して電気をつくり、排出するのは水だけの燃料電池は、二酸化炭素(CO2)も出さず、FCVは「究極のエコカー」といわれている。「クリーンなエネルギーだから、水素への関心が高まっているのかな」

 章司は大和総研主任研究員の大沢秀一さん(49)に聞いてみた。「地球温暖化対策のほか、石油など化石燃料は産地が偏っているため、エネルギー安全保障の観点からも水素が注目されています」。元素として水や有機物を構成し、地球上に無尽蔵にある水素は、化石燃料の改質や水の電気分解など様々な方法による製造が可能で、将来も安定して確保できるからだ。

 次に横浜国立大学を訪ね、特任教授の太田健一郎さん(69)に水素のエネルギーとしての特徴を聞いた。「水素は電気と同様、2次エネルギーです」。化石燃料や太陽光、風力など自然界から直接得られる1次エネルギーに対し、それを加工して使いやすくしたのが2次エネルギー。最も重要な2次エネは電気だが、貯蔵や長距離輸送が困難という欠点がある。「水素は気体、液体、固体(金属への吸蔵)の各形態で貯蔵・輸送が可能なうえ、電気と相互変換できるため、電気の欠点を補完できます」と太田さん。

 「電気とどう組み合わせるのかな」。章司は九州大学教授の秋葉悦男さん(63)に問い合わせた。「再生可能エネルギーから得られるのは電気で、そのままの貯蔵は困難ですが、水素に変換すれば可能です。需要地での分散型電源にも水素が適しています」。再エネの固定価格買い取り制度は、変動の大きな太陽光発電が急増し、送電網の受け入れ容量を超すとして買い取りが制限されることになった。しかし、余剰電力を効率的に水素に変換できれば、送電網への負担を心配せずに再エネを拡大できる。

 すでにドイツでは風力発電の余剰電力で水を電気分解して水素をつくり、様々に活用するプロジェクトが実施されている。高効率の太陽電池開発を手掛ける東京大学教授の中野義昭さん(55)は「再エネは大量に利用できる地域や時間帯が限られていますが、赤道直下で水素に『蓄エネ』し、日本で使うといった時間・空間シフトが可能になれば、大規模な導入につながります」と説明する。

 「水素の利用は再エネ促進にもなるのか。でも、道は長そうだな」。章司は国が昨年作成した「水素・燃料電池戦略ロードマップ」に目を通した。原油随伴ガスや褐炭(低品位の石炭)など海外の未利用エネルギーからの水素を30年ごろに本格導入し始め、再エネ由来など製造時にCO2を排出しない水素の供給システムを40年ごろに確立するという目標を掲げている。

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)を訪ね、主任研究員の大平英二さん(46)に聞いた。「水素の長距離輸送には技術的課題の解決と、制度面の整備が必要です」。水素は貯蔵・輸送ができるといっても簡単ではない。常温では気体で、体積あたりの密度が低いため、国内では高圧化や液化して輸送している。大量に輸入するには技術革新やコスト低減が欠かせない。


発電の利用想定

 FCVが順調に普及した程度では必要な水素量は限られるため、当分は国内の工場で製造する化石燃料由来の水素で賄える見通しだ。ロードマップが30年ごろに海外からの水素の本格導入を掲げるのも、その頃に電力分野で水素を燃やす水素発電が本格化し、国内でつくる水素だけでは不足すると想定しているからだ。「水素を本格的なエネルギーとして利用するには、水素発電など新たな需要の創出と、水素を安定的に供給するサプライチェーンの構築が必要です」と大平さん。

 「当面は水素の利用を増やし、次に供給源を海外に広げる。その後、CO2フリーの水素への移行を目指すというわけか。壮大な計画だな」

 章司は再び太田さんに連絡を取った。すると「エネルギーは社会の基盤で、そう簡単に変わりません。かつて液化天然ガス(LNG)も導入までに15年かかりました。水素の普及は化石燃料の価格動向やCO2の削減目標にも影響されます。将来、CO2フリーの水素が広く利用されるようになれば、究極の水素社会といえます」と指摘した。

 「FCVの発売は水素社会に向けてのスタートにすぎませんでした」。章司の報告を聞いた所長は一言。「究極の水素社会の実現にワシが立ち会えるかどうか微妙だな」


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脱炭素化の終着点に

 「海底二万里」などで知られる仏作家ジュール・ヴェルヌの1874年の著作「神秘の島」では、登場人物が「水素と酸素からなる水がいつか燃料になるだろう」と述べ、水から取り出す水素が未来のエネルギー源になると予言している。

 資源に乏しい日本は、以前からこの夢の実現に向けて取り組んできた。石油危機後、石油代替エネルギーの確保を目指した「サンシャイン計画」では水素関連技術の研究開発も実施。原油価格が下落した1980年代に研究は縮小したが、93年には「WE―NET構想」がスタートした。

 同構想は世界各地の再エネを利用できるようにするため、現地で水素に変換して日本に大量輸送し、ガスタービンで発電するまでの中核的要素技術の開発を目指した。プロジェクトは2002年に終了したが、「日本が目指す姿は今も当時と同じで、構想に現実が追いついてきた」(NEDOの大平主任研究員)。

 各種の燃料中の炭素と水素の原子数の比率は、薪が10対1、石炭1〜2対1、石油1対2、天然ガス1対4とされる。つまり歴史的に新しい燃料ほど炭素比率が低下し、CO2排出量が減ってクリーンになっている。脱炭素化の終着点が炭素を含まない水素エネルギーだ。水素社会への移行は必然にも見えるが、移行にはコストがかかり、解決すべき課題は多い。

(経済解説部 谷川健三)

[日経新聞4月7日朝刊P.26]

 

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コメント
 
01. 2015年4月15日 00:49:31 : DCB6Hi4RSI
焦点:「水素社会」に及び腰の中小企業、赤字覚悟の決断下せず
2015年 04月 14日 23:24 JST
http://jp.reuters.com/news/pictures/articleslideshow?articleId=JPKBN0N51I920150414&channelName=topNews#a=1
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[東京 14日 ロイター] - アベノミクス成長戦略が重要施策と位置付ける水素インフラ関連事業への参入をめぐり、中小企業には戸惑いの声が目立つ。

水素社会の実現に向けて、政府は規制緩和を進め、高額な水素スタンド設置費に補助金も出すなどして積極参入を促しているが、経営体力のない中小企業には「いつ採算が取れるのか」との不安が根強い。「水素社会」への参加企業のすそ野を今後どう広げるか。政府がさらに手厚い支援策を求められる可能性もありそうだ。

<社内で意見まとまらず>

「社内で意見がまとまらなかった」――。政府は2月末から1カ月間、燃料電池車の普及に必要な水素スタンド設置への補助金募集を行ったが、応募を見送ったある中堅ガス事業者はその理由をこう打ち明けた。補助金を受けてスタンドを設置しても、何年も続く赤字のリスクは確実だ。「どこまで覚悟できるか、飛び込む決心がつかなかった」。

水素スタンドは設置費用が1カ所5億円前後と高い。政府は少しでも参入企業の負担を減らすため、2013年度から総額200億円以上の補助金をつぎ込んで設置を促進しており、20年代半ばには補助金なしでも水素スタンド経営が自立できるというロードマップを描いている。

だが、実際に走っている燃料電池車の数はまだ少なく、スタンド事業の採算がいつ取れるのかは不透明だ。これまでに設置したのは、JX日鋼日石エネルギー(JXHLY.PK: 株価, 企業情報, レポート)や岩谷産業(8088.T: 株価, ニュース, レポート)など大手事業者がほとんどだ。

政府は政策目標として15年度末に100カ所のスタンド設置をめざしているが、補助金交付が決まり設置が確定したのは、4月に決まった32カ所を含めて計76カ所。このままのペースでは、全国に約3万5000カ所あるガソリンスタンド並みの普及は、早期にはとても望めない。

岩谷産業の上田恭久・水素ガス部長は、同社自らが掲げる15年までに20カ所設置という目標に対しては「遅れていない」とする一方、JXなど一部の大手は「頑張っているが、残りはなかなか進んでいないという印象だ」と話す。

<地方自治体も支援策>

政府は今年度の水素スタンド関連事業の補助金として約96億円を予算計上し、さらにその対象を設置費だけでなく、スタンド運営に伴う人件費や水道光熱費などにも拡大した。今回の設置費に対する公募ではトヨタ自動車(7203.T: 株価, ニュース, レポート)から燃料電池車「ミライ」が昨年12月に発売されたことも背景に、大手だけでなく、地方の中小事業者への交付も決まった。

水素社会の普及加速に向けて、地方自治体なども動き始めている。神奈川県横浜市で723万6000円のミライを購入すれば、国・県・市の補助金で400万円以下になる。東京都も20年までに都内35カ所をめざして水素スタンドの設置・運営費などの支援を決めた。

トヨタ、ホンダ、日産自動車(7201.T: 株価, ニュース, レポート)の3社は水素インフラの普及促進で合意し、今年中ごろまでに具体的な支援策をまとめる予定。JXや岩谷も採算を度外視し、水素価格を1キロ当たりJXが1000円、岩谷は1100円とした。政府が20年の目標として設定した価格に相当し、目標を約5年前倒しで達成する戦略的な価格にした。

「ミライの発売当初からみると、行政やインフラ業界の方にはより前向きに、より積極的に、より具体的に行動していただいている」。トヨタの豊田章男社長は2月のミライのラインオフ式で、水素スタンドの普及スピードの印象をこう述べ、東京五輪が開催される20年に向けて「さらにスピードアップしていくのではないかと期待できる行動がみられる」と関係先に感謝の意を示した。

<「国を信じて飛び込む」>

しかし、過去に補助金を受け、政府の支援策を歓迎しているガス大手企業でさえも「いつ採算が取れるのか見えない状況に変わりはない。国を信じて飛び込むしかない」(幹部)というのが本音だ。

人気のミライでもしばらくは1日3台しか作れず、納車は3年後の2018年以降になる。今年はホンダも燃料電池車を投入する計画だが、水素スタンド設置については「1日に1台、客が来るかどうか。何年も開店休業状態だ」(中堅ガス事業者)、「水素社会が出来上がってからでは遅いが、もう少し考えたい」(別の中堅企業幹部)との反応が返ってくる。

補助金申請を検討する中小企業からは国にさらに手厚い支援を求める声も出たが、経産省は「もうめいっぱい。これ以上は厳しい」(担当者)と話しており、水素スタンド普及に向けてすべての関連企業が大きく動き出せる情勢にはまだなっていないようだ。


(白木真紀 編集:北松克朗)

http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0N51I920150414?feedType=RSS&feedName=topNews&utm_source=feedburner&utm_medium=feed&utm_campaign=Feed%3A+reuters%2FJPTopNews+%28News+%2F+JP+%2F+Top+News%29&sp=true


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