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地熱と原子力、どちらが自然環境に悪いのか 世界一の技術力を誇りながら国内では生かしきれない日本
http://www.asyura2.com/09/eg02/msg/328.html
投稿者 sci 日時 2011 年 6 月 23 日 03:00:13: 6WQSToHgoAVCQ
 

(回答先: ポテンシャルが非常に高い日本の地熱発電 投稿者 sci 日時 2011 年 6 月 23 日 00:35:40)

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/12610?page=6
地熱と原子力、どちらが自然環境に悪いのか 世界一の技術力を誇りながら国内では生かしきれない日本
2011.06.23(Thu)  竹野 敏貴
映画の中の世界
地球の反対側、南米アンデス山脈南端にあるプジェウエ火山が50年ぶりに大噴火、その火山灰が地球を一周し今また南米へと到達した。空の交通への影響は南米大陸内にとどまらず、ニュージーランドやオーストラリアにまで及んでいる。
50年ぶりに大噴火したプジェウエ火山

プジェウエ山から立ち上る噴煙の中でひらめく稲妻(2011年6月5日撮影)〔AFPBB News〕
 当選を決めたばかりのオジャンタ・ウマラ次期ペルー大統領の南米諸国訪問も、陸路で行うことを余儀なくされたという。
 風が東へと吹きつけるため、火山の位置するチリよりも、国境を越えた隣国アルゼンチンの方がずっと被害が大きく、高原地帯は火山灰にまみれている。
 その中心(サン・カルロス・デ・)バリローチェは、アルゼンチン最大のリゾート都市。気候のみならず19世紀に多く移住してきたスイス人たちが築いた町並もあり「南米のスイス」とも呼ばれる地だ。
 パタゴニア地方のほぼ北端に位置することから、氷河や動物ウォッチングで人気の国立公園へと向かう人ばかりか、スキーやトレッキング、キャンプなどを楽しもうとやって来る人々のゲートシティともなっている。
 原発事故後の計画停電や節電で、電気に依存している社会の現実をつくづく感じる昨今だが、このあたりの国立公園では立派なホテルに泊まっても、夜になると真っ暗となることも多い。
環境保全の観点から電気の供給を止めるアルゼンチン
荒涼としたパタゴニアを突き抜ける一本道
 昼でも電気の供給時刻が限定されていたりして、電気というものの有難さを実感することになる。
 アフリカやアジアの田舎では、明らかなる電力不足、インフラ不備から、真っ暗となることは別に珍しくもない。
 しかし、石油も天然ガスも自給、原発さえも持っているアルゼンチンでは、電力供給の問題というよりは、自然保護という観点、いらない所では使わないということなのだろう。
 アルゼンチンは南米で群を抜いて欧州系人口の多い国だ。しかし、バリローチェあたりでは先住民の姿もよく見かける。
 19世紀初めにスペインから独立したアルゼンチンは、独立後も支配層に抵抗し続けた先住民たちも多く、1860年には、マプチェ族を中心とした3万人あまりの先住民国家「アラウカニア・パタゴニア王国」が独立を宣言している。
フランス人を王様に戴いて独立国を宣言
何もなさそうなパタゴニア
 現在のアルゼンチンのパタゴニア地方とチリのマプチェ族が多く住む地域とが合体し、フランス人オルリ・アントワーヌ・ドゥ・トゥナンを王に据え、立憲君主国家を形成していたのである。
 とは言うものの、当然のごとく国際社会からは全くの無視状態で、20年ほどで王は追放の憂き目に遭い、国家は影も形もなくなってしまった。
 このあまり語られることのない歴史を映画化しようとする監督の奮闘ぶりを描いた『王様の映画』(1986)を見ていると、パタゴニアは今も変わらぬ乾燥しきった何もない地で、そこでの生活は厳しいものであることが感じ取れる。
 しかし、そんな荒涼たる風景の中には点在する石油掘削機の姿も見られる。実は、アルゼンチンのパタゴニア地方は石油を豊富に埋蔵する地域だ。決して何もないところではないのである。
 その一方で、チリ側のパタゴニア地方はと言えば、入り組んだフィヨルドが南北に長く続き、世界有数の多雨地帯であるため森林資源には恵まれているものの、石油資源に乏しい。
チリは環境の観点から水力から原子力へ?
 化石燃料を輸入に頼り切るチリはエネルギー確保に四苦八苦しており、地震大国であるにもかかわらず今年3月には米国との原子力協定にサインしているほどなのである。
 そんな中、5つの水力発電所建設計画が先日承認されたのだが、広大な土地が水没することになるなど、環境破壊が進むことを懸念する声が国内外から沸き起こっている。
 しかし、チリ政府にとってみれば「経済的に苦しい国のインフラ整備に対して、裕福な国が口をはさむのはおかしい」と反発。
 経済発展と相反する自然保護という世界中どこにでもある問題ではあるのだが、そこには、森林伐採が進む昨今、草木とともにあった先住民の生活崩壊が進む、白人vs先住民なる問題も内在している。
パタゴニアはとにかく風が強いので、体感温度が低くなり寒さが身にしみる。
風が強すぎて風力発電が逆に難しい
パタゴニアの光は弱い
 それゆえ、風力発電にはもってこいとも思われ、実際に行われてもいるのだが、あまりに風が強すぎてうまくいかないケースも少なくないというのだから、エネルギー創生とは一筋縄ではいかぬものだ。
 環境にやさしいとは言っても、あの巨大な風車に巻き込まれてしまう鳥は数知れず、圧迫感のある物体はどうにも自然景観と一体化しない。
 米国カリフォルニア、サンフランシスコ近郊のアルタモントパスで、おびただしい数の風力タービンが回り続ける姿に初めて遭遇した時、SF映画に出てくる未知の生物の如き違和感を覚えたものである。
 その自然の苛酷さもあって、「地の果て」と表現されることも多いパタゴニア地方だが、ジュール・ヴェルヌ原作の『世界の果ての大冒険』(1971/日本劇場未公開)の舞台ともなったアメリカ最南端ホーン岬沖を通り抜ける海路は、世界で最も荒れる海と言われる難所である。
 そして、その先にあるのは南極だけ。ということで、この南端にあるフエゴ島は、気軽に南極へ行けるクルーズ船の出発地点となっており、日本からもリタイア後の人々を中心としたツアー客が数多く訪れる。
誰でも自由に上陸できるわけではない、南極
パタゴニアのマゼランペンギン
 20世紀初め、英国のロバート・スコットとノルウェーのロアール・アムンゼンが人類初の南極点到達を激しく競う様は『南極のスコット』(1948)でも描かれた。
 その後多くの国が領有を主張するようになったため、1959年の南極条約により領土権は凍結されることとなった。
 しかし、だからと言って誰もが上陸できるわけではなく、環境保護などを目的とし1998年に発効した「南極条約議定書」に基づき、事前に、日本人なら環境省へ届け出を済ませておく必要がある。
 その議定書は鉱物資源採取も禁じているのだが、日本の50次観測隊が、「マグネシオヘグボマイト2N4S」なる新鉱物を南極大陸の岩石から発見、というニュースに接すれば、今後、商業的な鉱物資源獲得を狙う輩は増えてくるだろうなと思えてくる。
議定書自体に期限があるうえ、地球温暖化で氷が溶け出すとなれば資源採掘も現実となる、との読みもあろう。
地球温暖化を妨げる働きがあるオゾンホール
ニュージーランドのフィヨルド ミルフォードサウンド
 南極の環境保護、という話になると、その上にできたオゾンホールも度々問題として取り上げられる。
 ホール形成で増加した紫外線が皮膚癌発症率を高めることが指摘され、1980年代から主なる原因とされたフロンガス使用制限が進んでいった。
 紫外線が南極の氷の溶解を助長するという指摘もあったが、実はオゾンホールの存在が逆に温暖化を減速していたとの研究が昨年、英国リーズ大学から発表された。
 オゾンホールの下に発生した風が雲を作りだし、それが太陽光線を反射するというのである。逆にオゾン層が回復する方が温暖化に悪影響を与えるというのだから困ったものだ。
 そのオゾンホールの存在を最も恐れたのが、南極に近いオーストラリアとニュージーランドの人々。
ニュージーランドは映画産業の中心地に
 特にニュージーランドは、先進国ながら世界でも有数の豊富な自然を保持していることを自他ともに認める国。そこに環境破壊の災禍が降りかかるとは、何と皮肉なこと、と言われたものである。
 その豊かな自然はニュージーランドの至るところでロケされた映画『ロード・オブ・ザ・リング』(2001)シリーズで存分に堪能できるが、その成功が引き金となって、今やニュージーランドは映画産業花盛り。
 先日、ハリウッドをもじった「Wellywood」なる巨大看板をウェリントン国際空港近くにつけたことが物議を醸す事態となっているが、それほどまでに映画産業が重要なものになっている。
 この映画のロケ地で、英国領だった1894年に既に国立公園指定されていたというトンガリロ国立公園も人気の観光地の1つ。
 近くの基点都市タウポで一日観光を申し込めば気軽にトレッキングも楽しめるのだが、そのコースに必ずと言っていいほど含まれているのがワイラケイ地熱発電所見学。国内電力需要の5パーセントを供給する世界で2番目に早く操業を始めた歴史ある発電所だ。
世界の地熱発電を担う日本の技術
ニュージーランド ロトレアの温泉
 この国も火山の多い地震大国であることは今年2月のカンタベリー地震で思い知らされたばかりだが、その副産物たる地熱で発電需要の1割以上を賄っているのである。
 そしてその設備の多くは日本企業製、実は世界の地熱発電設備は日本がリードし続けているのである。
 世界初の地熱発電所は1904年、欧州の火山地震大国イタリアのトスカーナ地方シエナ近くに造られた。
 日本でも、九州、東北などやはり火山の多い地域に18カ所設けられている。しかし、適地が国立公園内に多くあるためさらなる開発は進まないという。
 とは言いながら、やはり理由の多くを占めるのが発電コスト。例によって原子力は安いという話である。
事業仕分けで日本の地熱発電開発にブレーキ
 こうして21世紀に入ってから新たなる設置が止まっていたのだが、2008年頃になり一度は再開へと向かい始めた。そこで起きたのが政権交代だった。
 民主党による事業仕分けにより廃止とされたスーパー堤防同様、「地熱開発促進調査事業」と「地熱発電開発事業」が「抜本的改善」措置となったのである。
 もっとも、良いことばかりではないのも事実。周辺の温泉が枯渇し、森林も枯れてしまったといった事例が海外では報告されているのだ。日本人にとって欠かせない温泉資源への影響ともなれば無視することもできず、頭が痛い。
 今年で、雲仙普賢岳噴火による大災害から20年の歳月が流れた。時間が経つにつれ火山災害への恐怖感が国民の間で薄れてきている感は否めない。
 しかし、東日本大震災と原発事故で報道量が激減しているものの、新燃岳噴火による被害は現在進行形で、大雨による土石流災害に備えた避難勧告が先週出されたばかりだ。
経済的な問題から火山の研究が下火に
雲仙普賢岳
 ところが、今、噴火予知などに従事する火山学者が現地に常駐することが少なくなっているという。適任者がいないというのではなく、経済的な問題からであるというのだから、やりきれない話だ。
 そんな火山学者たちの世界を垣間見ることができるのが『ダンテズ・ピーク』(1997)。
 1980年、米国ワシントン州にある風光明媚なセントへレンズ山が、123年の眠りから覚め大噴火、米国経済に甚大なる被害をもたらした事実を下 敷きとした純然たる娯楽映画だが、こうした火山学者の平時からの不断の努力あってこそ、災害から人を守ることができることを痛感する映画でもある。
 昨年欧州での物流に大きな影響をもたらしたアイスランドの火山が再び噴火した。今回は前回ほどの被害は出さずに終息に向かいそうなので一安心だが、続いて東アフリカ、エリトリアのナブロ山が噴火し、北アフリカから中近東あたりの航空便に影響が出ている。
 このナブロ山については、これまで全く噴火の記録がなかったというのだから予防のしようもないかもしれないが、災害が起きてから「想定外だった」と言い訳したのでは、犠牲者たちが浮かばれない。
 火山国、地震国であるという現実から我々日本人は逃げることはできないのだから、人知を尽くした研究者たちの不断の努力にもっと目を向けることが、今一番求められることではないだろうか。
(本文おわり、次ページ以降は本文で紹介した映画についての紹介。映画の番号は第1回からの通し番号)
(391)王様の映画 (392)世界の果ての大冒険 (393) 南極のスコット
(394)ロード・オブ・ザ・リング (395)ダンテズ・ピーク
 

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