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ピークオイル問題と米軍再編
http://www.asyura2.com/09/idletalk38/msg/547.html
投稿者 Morning Field 日時 2010 年 5 月 26 日 11:57:04: cmbeLabuI2v/M
 

米軍に「ピークオイル」のシナリオに基づく再編計画がある、という興味をひくニュースがあった。

(引用はじめ、毎日新聞、2010年5月5日より)
米統合軍が3月に出した2010年環境報告は驚くべき率直さで「ピークオイル」の到来を語っている。・・・2年以内に石油の需要が供給能力を上回り・・・2015年には最大で日量1000万バレルの深刻な石油不足がおきるおそれがある。・・・マティス司令官は・・・米軍はこのピークオイル・シナリオに基づいて、再編されていくことになるとしている。
(引用終わり)

「ピークオイル」とは、ある時期を堺に(埋蔵量の限界と採掘コストの上昇によって)生産量が減少していく現象を言うが、この文章では需給関係のバランスが崩れることを述べているようだ(必ずしも生産量が減少するわけではない?)。いずれにしても、この「ピークオイル」の問題を論ずることは、石油の需給関係に大きく影響し、石油価格の上昇圧力と代替エネルギー開発圧力を生み出す。石油社会と密接に関係している米軍にとっては、必要なプロパガンダであるとも言えるだろう。

その米軍再編の中身は以下のようなものであるという。

(引用はじめ、毎日新聞、2010年5月5日より)
・・・米陸軍は今後3年で4000台の電気自動車を装備する。・・・そして、2016年までに航空機燃料の半分をバイオ混合燃料にするそうである。・・・食糧生産と競合しないカメリナというアブラナ科の植物からとる油が主力となるとみられる。・・・米海軍は原子力船、バイオ燃料によるハイブリッドモーター船、バイオ燃料だけで飛ぶ航空機による「石油ゼロ」の攻撃グループを2016年までに編成するという。

(スパイク通信員の軍事評論、2010.4.2より)
・・・米軍の航空機と車両は従来のJP-8燃料と動物性脂肪や植物から作られたガソリンとの混合燃料を使います。・・・空軍は年間に約24億ガロンの燃料を使います。空軍は2012年までにすべての航空機が代替燃料を使うように認め、本土の航空隊の半分が2016年までに実際に代替燃料で飛ぶようにする計画です。
(引用終わり)

2016年までに石油を電気(自動車)とバイオ燃料(航空機)に代替していき、「石油ゼロ攻撃隊」も作ろうという再編計画である。「石油ゼロ攻撃隊」の存在は、石油供給が断たれても攻撃能力を失わないという石油産油国(・経済圏)への脅し(?)にもなるだろう。

そうなると、その代替エネルギーである「電気」と「バイオ燃料」をどのように生産・調達するのかが気になるところである。石油よりも安定的に生産・調達できなければ意味が無いからだ。これについては、昨年末の段階においては、以下のような状況にあることが確認できている。

(引用はじめ、BBC News, 5 October 2009より)
The PyTEC system heats mixed waste, releasing a gas that can be burned to produce five times more energy than is required to drive the system. Qinetiq say that the system, already in use on British navy ship HMS Ocean, has been "containerised" for US army use... The systems will be deployed to one of 55 "forward operating bases" in Iraq and Afghanistan...
(意訳:PyTECシステムは、ゴミを熱してガスを発生させ、投入エネルギーの5倍のエネルギー(電力)を産出させることが出来る。この装置は既に英国海軍で採用されており、今度は米軍に出荷されてイラク・アフガンの前線基地に採用される予定だ。)

(新日石総研「米国のバイオ燃料事情」、2009.12.25より)
米軍が使用する燃料は国防エネルギー支援センターが一手に調達しています。同センターが10月に、59万ガロンの再生可能ジェット燃料の購入を契約しました。Sustainable Oils(原料はカメリナの油)、Solazyme(原料は藻の油)、およびUOP(原料はCargillが供給する動物脂肪)の3社が納入しますが、内訳は不明です。いずれもUOPの水素化精製技術を使用します。
(引用終わり)

現在は、本格的運用のスタート・ラインにあるという認識が正しいだろう。今後、これらの技術の改良や導入が拡がり、上述の米軍再編計画の実現に貢献させられていくであろうと思われる。

さて、今回この話題を挙げたのには理由がある。それは、ある「事業」とその事業を取り巻く「環境」の関係性に目を向けない者は、後で大きなしっぺ返しを喰う、という見方の重要性を述べたいと思ったからである。

言い換えるならば、何らかの事業の変革を行おうとする者は、環境の変革も同時に進めていかなければならない。この、Strategic Enterprise Transformation(戦略事業変革)という概念と、この概念と表裏の関係にあるStrategic Environment Transformation(戦略環境変革)という概念について、考察を加えてみたいと思う。

ある難しい事業を成功裏に進めるために、まずは「取り巻く環境を変えていく」という考え方は、実はごく一般的なものである。

例えば、最近、話題になっている問題を挙げるならば、「普天間基地問題と韓国哨戒戦撃沈問題」、「消費税増税問題とギリシャ危機問題」、「地球温暖化対策法案とメキシコ湾石油流出事故」、「新戦略兵器削減(START)条約と米露原子力協定」などがある。それぞれの関係は深く、2つのことが合わせて論じられることが多くなっている。

ところが実践上の問題となると、あまりしっかりとは意識されていないというのが現実ではないだろうか。例えば、日本企業を批判するのに使われている「ガラパゴス化」というキーワードは、外の「環境」から隔離されることで独特の進化プロセスを踏み、気がついたときには外の「環境」と交わるのが難しくなっているという現象を指すという。見方を変えれば、日本は非常に優れたStrategic Enterprise Transformation(戦略事業変革)を継続的に行ってきたものの、本来これと表裏の関係にあるStrategic Environment Transformation(戦略環境変革)が軽視されてきた、ということが(ある一面においては)言えるのではないだろうか。

一方、前段で「ピークオイル問題」と「米軍再編」の関係を挙げたが、米軍の場合は日本とは逆であり、どちらかというとStrategic Environment Transformation(戦略環境変革)が重視され、Strategic Enterprise Transformation(戦略事業変革)が軽視されてきたという感がある。

セブンシスターズの衰退、中東利権の喪失、ドル基軸体制の崩壊、資源ナショナリズムの台頭、中国経済の膨張、国際的環境規制の強化、オバマ大統領のグリーン・ニューディール政策の推進、・・・といった環境の変化を見ていると、米軍はいま存在の危機にあるという見方が可能なように思う。つまり、米軍そのものの力だけでは意志の貫徹が不可能であることが次々に実証されつつあるということでもあり、したがって、複雑な環境変化を(ここでは)「ピークオイル」で総括し、これに対応して行くための再編を進めて行こうということ(メッセージ)ではないだろうか。

しかしながら、現実はもっと複雑であり、こうした単純な捉え方は正しくないという意見も多いだろう。これは、あくまでも一つのファジーな見方の例であり、この他にも様々な捉え方があっても良いものだと思う。ここでは、むしろ現実を正確・精確に分析するという意図よりも、ある改革を志そうとしている人・組織に対して、Strategic Environment Transformation(戦略環境変革)とStrategic Enterprise Transformation(戦略事業変革)という二つの柱でもって思考し、実践を進めて行くべきことを提案したかった。

日本における組織や組織人がそれぞれ改革を志し、再び復興を成し遂げようとすることを望んでやまない。  

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