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急増中! 病医院をストレス発散の場にする患者家族  日経メディカル
http://www.asyura2.com/09/iryo03/msg/653.html
投稿者 ダイナモ 日時 2013 年 3 月 19 日 17:10:01: mY9T/8MdR98ug
 

 トラブル相談に乗っていてしばしば思うのは、医療機関は患者トラブルが非常に起きやすい場所であるということだ。その理由を挙げていったらきりがないのだが、1つ挙げろと言われたら、患者から見て「文句を言いやすい存在」であることではないだろうか。

 医療機関側は、ドクターも看護師も事務員も心優しい人が多い。文句を言われても「患者さんはそもそも体調が悪いので仕方がない」と我慢しているケースがよくある。業務が忙しすぎて、患者一人ひとりに目が行き届かず、文句を言われても仕方がない状況なので我慢しているというケースももちろんある。一方では、医療をサービス業と捉え、「お客様」扱いを受けて当然という態度の患者も増えている。いずれにしても、患者にとっては「文句を言いやすい」環境なのである。

 それゆえ、患者(ときに患者家族)の不満の矛先は医療機関に向けられやすい。このことを頭に入れた上で、これから紹介する最近起きたトラブルの事例を読んでいただきたい。


【ケーススタディー】

母親の死因に不信を抱いた娘

「先日、うちの診療所の近隣にある特別養護老人ホームで、なじみの患者がショートステイの利用中に亡くなったんです。そうしたら遺族から猛烈なクレームが来て…、とにかく怒っていて…。これまで家族の方とはあまりお付き合いもないのに…、どうしたらいいんでしょうか」

 電話の主は、B診療所の院長夫人で事務長のBさんだった。声の調子から察すると明らかに動揺しており、うまく話ができない状況だった。そこで、まずこう話しかけた。

「それは大変でしたね。お話を伺いましょうか。その前に、1回深呼吸をしてみましょう。すぅーと息をゆっくり吐いて。どうです、少し落ち着きましたか」

 今、相談者は「不安の塊」になっているはずだ。困ったことに「不安」や「恐怖」は、それを抱えている人の思考や能力を大幅に制限してしまう。「不安」や「恐怖」から逃れることが最優先事項となり、非常に短絡的な思考になってしまいがちだ。なので、こういった相談者の場合は、最初に「不安の塊」を少し溶かしてあげる必要がある。

 さて、Bさんから聞いたトラブルの経緯はこうである。

 患者は86歳の女性X子。B診療所の長年の患者であるが、直近では治療すべき大きな疾患はなかった。脚の骨折を境に数年前から寝たきり状態で、要介護2の認定を受けていた。X子の夫Yがずっと介護しており、体調が悪くなったときにB診療所にかかっていた。

 ところが、最近になって、X子の介護をしていたYが体調を崩し、検査のため入院せざるを得なくなった。恐らく無理がたたったのだろう。YがX子の面倒を見られなくなったため、介護施設か高齢者住宅を探すことになった。ただ、すぐに見つからなかったので、当面は、B診療所の近隣にある特養のショートステイで預かることになった。そして預かって3日後、X子は急に体調を崩し、そのまま亡くなってしまったという。

 Bさんはすぐに、かかりつけ医の院長と連絡を取り、X子を病院に搬送。その後、連絡を受けたX子の娘夫婦も駆けつけた。娘夫婦の希望で、死因を調べるための解剖は行われなかった。

「母が狭心症だなんて、聞いてない!」
 トラブルはこの後に起きた。病院から死亡診断書を受け取ったX子の娘夫婦は帰宅後に、死亡原因の欄に書き込まれた「狭心症」の記述を見て驚き、夫のほうがB診療所に次のような電話をかけてきた。

「義母が狭心症だなんて聞いていない。どういうことなのか! 狭心症が悪化して亡くなったんじゃないのか! そのことを隠そうとしていたんだろ。責任は取ってもらうからな!」

 院長夫人のBさんによると、患者X子の死因は、実際にはよく分からなかったそうだ。高齢者にありがちな誤嚥による窒息もなく、本当のところは解剖してみないと分からないという。ではなぜ病院の医師が死亡診断書に「狭心症」と書いたのだろうか。

 話は8年前に遡る。X子が胸やみぞおち辺りの鈍い痛みと息苦しさを訴え、B診療所を受診して検査したとき、院長がカルテに「狭心症の疑い」と記述したという。その後、鈍い痛みは取れ、数値も大幅に改善。本来であれば「中止」「治癒」などとカルテに書き込まなければならないが、どうやら病名の転帰を忘れたまま、今に至ったそうだ。

 そのことをきちんと説明すれば、トラブルは解決しそうに思えるのだが、Bさんが説明してもX子の娘夫婦は「おかしい」「隠していたんだろう」「誠意を見せろ」などと強硬な姿勢を崩さないという。

 事務長のBさんから話を聞いて、私は嫌な予感がした。それを確かめるために、次の質問を投げかけた。

私「娘夫婦と面識はあったんですか」
Bさん「X子さんが亡くなってから、病院で初めてお目にかかりました」
私「X子さんのショートステイの手続きやその後の行き先を探していたのはどなたですか?」
Bさん「夫のYさんです。娘夫婦の話は一切出ませんでしたし、相談している気配もありませんでした」

 やはり嫌な予感は的中してしまった。実はこのトラブルは、医療機関と患者家族の関係で起きたことのように見えるが、本質的には患者家族の中の人間関係に起因している可能性がある、と私は踏んだ。この手のパターンは解決がなかなか厄介である。


http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/series/naniwa/201303/529438.html  

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コメント
 
01. 2013年3月19日 20:26:08 : xEBOc6ttRg

特別寄稿/ゲストブロガー
「依存と分断」のシステムを超えて(上) --- 武内 和久
アゴラ編集部

近い将来、気づいたら日本の医療システムは主要国の中で最も機能の低いものとなる。そして財政・サービスともにハードランディングを余儀なくされる。私はこのような危機感を持っている。

理由は、日本の医療を「システム」として見た時、個別課題に目を奪われる余り、システム全体の機能を強化し、発揮させるメカニズムが弱いからだ。医療システムに関わるステークホルダーが、専ら個別利益・個別解の達成に焦点を当てている間に、システム全体としての機能が脆弱となっている。住民はより便利で手厚い医療を、医療機関は報酬点数を、保険者は負担金の減を、行政は事件や摩擦の防止を、といった個別解に専ら精力を注いでいる。その結果、リソースは減耗し、システム全体にストレスが高まりつつある。

確かに、日本の医療は、世界最高水準の長寿と健康、フリーアクセス、国民皆保険を達成した点で、世界で最も成熟したシステムの1つに数えられる。だが、人口構造の変化、財政の逼迫、患者ニーズの多様化・高度化等の構造的な変化に対し、システム全体で的確に対応する発想とリーダーシップがなければ、世界の流れに取り残されかねない。

本稿では、ややマクロな視点から、「依存と分断」のシステムという視角を提示しつつ、日本の医療がシスムとして目指すべき方向性について、問題提起したい。なお、本稿は個人としての立場で執筆した。

日本の医療のシステムとしての課題を捉える起点として、3つの「罠」という形で指摘したい。

1. 課題設定の罠
1つ目は、「課題設定の罠」だ。種々の問題に直面した時、課題設定が、現行の枠組みを前提として、反射的に処理するという視点に流される傾向が強い。つまり、巨視的、構造的な観点からの課題設定が乏しく、いきおい対応策がミクロな発想に閉じ込められてしまう。

例えば、医師不足が指摘されれば医師の増員、配置誘導で対応しようとし、限られた医師のスペックの強化や他職種との役割分担、さらには受療のあり方といった視点からの課題の再構成は行われにくい。保険財政が逼迫すれば「公平」という命題によって負担分担の仕組みを導入する、局所的な負担増の導入で財源を掻き集めるといった対応で、例えば保険者の権限や競争をどうするか、医療費を過剰に利用する層への対応をどう考えるかといった視点の広がりは十分でない。

そもそも、近年の医療改革の議論の主是を「持続可能性」と設定した途端、「いかに支出を抑制し、収入を増やすか」という視点に発想が閉じ込められがちとなり、システム全体でどう対峙するかという発想がしづらくなる。

2. 思考制約の罠
2つ目は、「思考制約の罠」だ。戦後70年をかけて日本は、極めて公平性(悉皆性)と安定性の高い医療システムを確立した。この成功体験こそが課題への打ち手の幅を制約している。医療を取り巻く環境は、資源制約の高まり、ニーズの変化(慢性疾患への構造変化等)などの面で大きく変わっているにもかかわらず、依然として「既にある」ツールへの依存度が高く、革新的なアプローチへの意欲が不十分だ。法令、診療報酬、医療計画といった手段を精緻巧妙に駆使しても超えられない課題にどう対応するかが問われている。

例えば、治療実績の情報公開、医療機関の経営形態の改変、地域間競争の促進といった「不連続な」発想や手段を組み入れる環境づくりが必要となっていることを明記すべきだろう。

3. 合意形成の罠
3つ目は、「合意形成の罠」だ。医療に関する合意形成は、他の業界から見ると、複雑で非論理的という印象が一般的だ。客観的根拠や情報に基づく議論よりも、交渉による

「痛み分け」(局所的なwin–winの創出)により決着することも少なくない。つまり、対立する利害関係者の意見を足して2で割る摺り合わせの手法、いわゆるバランス感覚で乗り切ってきたとも言える。

だが、この手法は、システムとしての方向性についてのスタンスを取らないで済むことにより、利害関係者による個別解重視の傾向を助長している。リソース制約が強まる中、これまでの協調主義的な意思決定だけでは不十分になりつつある。

手堅く関係者の合意を取り付けることのみを重視し、ドラスティックなアイデアを描き切れないために、徐々にシステムが不全に陥りつつあるという認識が必要だ。

4. 医療システムに主体的に関与する「プレイヤー」
私は、これからの日本の医療は「システム」としての機能を強化するという視点が不可欠と考える。

医療システムに関与する患者(住民)、医療提供者、行政(国・自治体)、保険者、アカデミア(教育)、企業、メディアといった主体がそれぞれの役割と機能を発揮させ、進むべきベクトルを合わせ、互いに牽制するダイナミズムが必要だ。特に、医療に投じられる資源制約(パイ)を考えると、この視点は極めて重要となる。その意味で、改めて、彼らを

「利害関係者」でななく、医療システムに主体的に関与する「プレイヤー」と位置付けたい。現状では、日本に存在する医療資源(ヒト・モノ・ハコ・カネ・情報)とプレイヤーの機能が十分に開発され、活用されていないという問題意識が出発点にある。


「依存と分断」から「自律と連動」のシステムへ
1. 依存と分断
日本の医療がシステムとして十分に機能しきれていないのは、現状「依存と分断」のシステムとなっているからだ。「依存」とは、規制により新たな形態や主体の登場を抑止して予定調和を図りつつ、診療報酬、補助金による医療費という資源(パイ)の按分に依拠している構造のことだ。「分断」とは、各プレイヤーが与えられた環境と役割の枠内で、バラバラに利益(優位性)を極大化しようとする構造のことだ。そこでは、他のプレイヤーと連携、牽制する発想や、枠を自ら改変していく力学が乏しい。その結果、現場の献身的な努力がプレイヤーとしての質の向上やシステムとしての機能発揮に結びつかないという状況が生じている。

例えば、医療機関が保険者と協働して患者の受診行動をどう変えるか、企業と連携して新たな予防システムをどう作るか、といった発想はあまり見ない。端的に言えば、現在の日本の医療にはシステム内に「圧力」がないのだ。互いのサイロ(枠)に閉じこもり、いかに多くの利益(優位性)を図るかが最大の眼目で、他のプレイヤーとのゼロサムゲームが展開される。そして、自らの意思決定責任の説明に際しては、他のプレイヤーに帰責する傾向が見られる。端的な例を挙げれば、すべての問題や不利な状況は、診療報酬や規制によるものと解釈する過剰なまでの「制度依存」のメンタリティが見られる。

2. 過関与と無関与
この「依存と分断」のシステムが続いている原因は2つの背反的要素のためだ。

1つは「過関与」。日本の医療システムの発展過程の中心だった急性期医療、中でも感染症対策、衛生水準確保の発想に基づき、「公平」を主是とした医療資源の均てん化の発想の影響がシステムを今なお支配している。例えば、医療提供体制を見ても、構造設備の最低基準設定、硬直したサービス提供、そして基本的に外形的なサービス投入量に依拠した均一価格の診療報酬といった仕組みに主体性発揮の余地は制限されている。保険者を見ても、活動の自由度は諸外国に比べて薄く、割り当てられた被保険者を管理するのみで競争の余地はほとんどない。

もう1つは「無関与」。例えば医療内容や品質、医師の標ぼう科目、勤務場所、医療機関の経営については放任されてきた。例えば、医療機関の役割の選択も自由で、大病院にも多数の軽症外来、診療所でも最新医療機器を備えることがある。その費用償還も、基本的には投入した工数に応じて行われる。他方、患者も、フリーアクセスの下、どこでどれだけ受診するかは自由だ。無論、プロフェッショナルとしての医師個人の知見と技量が発揮される余地も大きいのだが、それは個人の偶発的な力量や見識に依存するものであり、システムとして埋め込まれているものではない。

3. 「依存と分断」から「自律と連動」へ
こうした「依存と分断」のシステムの結果、現象としては、医療機関や医師は、全国規模での規制の動向、診療報酬の改定率、といった点に神経を尖らせがちだ。患者は自由気ままに受診し、医師の負担も増す。こうした既存の枠組みを超えた創意工夫や質的な向上を体系的に図るインセンティブが発揮しづらいシステムとなっている。

さらに言えば、逼迫する医療資源というパイを巡り、ゼロサムゲームの構造の中で、パイの奪い合い、負担の押し付け合いに精力を注ぐ体制となっている。例えば、診療報酬が病院と診療所のどちらに手厚いか、保険者間のどこに拠出金が課されるか、公費と保険料の分担をどうするか、といった論点が主題となりがちだ。

私は、ここで提起した日本の医療システムの本質を「依存と分断」から、「自律と連動」のシステムに改変していくことが必要と考える。システム内の相互の緊張感とバランスを取るというダイナミズム(力学)が作用するシステムだ。これにより、新しい医療のパラダイムを指向することが可能となる。

換言すれば、まず「内圧」すなわち内発的な動機付け(意欲)が働く仕組みが必要だ。それぞれのプレイヤーが自ら工夫して、潜在的な機能を発揮できる環境をつくる必要がある。例えば、医療機関のサービス内容向上や品質評価への取組を促進する仕組み、保険者機能の向上や差別化、被保険者の選択を可能とする仕組みなどがまず考えられる。新たな変化や課題に対し、各プレイヤーが主体的に新たな形態や行動原理を産み出すことを邪魔しないことが肝要だ。

次に「外圧」すなわち外発的な牽制が必要だ。システム全体として非効率や不適当なものを牽制・淘汰するダイナミズムを産み出す必要がある。そのためには、例えば、徹底した医療成果の情報公開、共有、活用を図る発想や、民間企業の医療・保険サービスへの参加といった方法も効果的な端緒となり得る。

「依存と分断」のシステムを超えて(下) --- 武内 和久
アゴラ編集部

システム強化のための3つの論点

これからの日本の医療を考える際の課題の中心は「システムとして最大限その機能を発揮させているか」になるべきだ。右肩上がりのリソース投入が不可能となる中、重要なことは、本来医療がシステムとして持っていた能力を最大発揮し、何を実現すべきかを明確にして、解決に当たることだ。これを3つの論点から考えることを提案したい。

1. 患者・住民ニーズを最重要視
第1は「健康を望む患者・住民のニーズに改めてフォーカスする」ことだ。そもそもの医療の究極の目的に向けて、改めて、プレイヤーの活動のベクトルを一致させることが必須だ。患者・住民の本来的なニーズとは、端的に言えば、「病気にならない、病気を進めない」「疾病や臓器ではなく、人としてケアされる」ことが中核にある。これに向けて全ての資源とプレイヤーの活動を方向付けるべきだろう。

言わば、これまでの「医療(sick–care)」という概念から、予防や疾病管理、介護ケアも含めた「ヘルスケア」の概念へ転換していくことだ。そして、この方向付けの要諦となるのは、プライマリ・ケアの確立であると私は考えている。
日本では、前述した「無関与」の現れとして、医療機関や医師の役割分担は不明確、医療内容や患者のフリーアクセスの名の下で受療行動も完全に放任されている。特に、一次的・日常的な医療を担うプライマリ・ケアの概念と役割は未発達で、先進国の中でも極めて特異な状況だ。

諸外国では、プライマリ・ケアは「家庭医(GPやfamily physicianと呼ばれる)」として明確に位置付けられることが多い。それらの家庭医は、臓器別・診療科別ではなく、患者を「人」として総合的に診療する能力を専門的に養成され、住民の日常的な医療ニーズの8〜9割に対応する。例えば、既往歴、遺伝的状況のほか、患者の生活状況等も考慮して診察が行われる。慢性疾患の管理(例えば血圧の管理や食事制限など)についても適切なアドバイスを与え、より細分化した専門領域の医療(手術や入院を伴うもの)が必要な場合は、大規模・高次の医療機能を持つ医療機関に紹介をするという流れで、患者を個人としてトータルにケアする仕組みだ。

日本では、プライマリ・ケアの概念さえ確立されておらず、それを担う医師の能力も定義されず、そうしたケアを求める患者・住民のニーズに応えられていない。また、プライマリ・ケアは、入院中心・急性期中心のモデルから、在宅医療や介護との連携といった方向へ医療モデルが変容し、看護師はじめ多くの医療従事者と協働して患者を支える方向に向かうためにも不可欠だ。「ケア」というとおり、医療単独、あるいは医師単独で患者を治し、支える時代は終わった。

2. プレイヤーの潜在能力を最大限発揮
第2は「プレイヤーの潜在能力を最大限発揮する」ことだ。プレイヤー間相互の協働と牽制の関係を作り、各プレイヤーがより費用対効果と患者の満足度の高いヘルスケアを提供できるシステムとなるよう、その機能を発揮させることだ。
医療従事者が不断に能力を高め、サービスの質を高めること、患者や地域住民が医師を支え、大切にすること、保険者が患者の不適切な受療行動をモニターし、財政にも医療機関にも過度の負担がかからないようにすること、行政が予防や検診活動を奨励し、地域の医療機関の役割分担について議論をリードすることなど、プレイヤーそれぞれが自分の立ち位置から努力し、機能を発揮することが大切だ。

このダイナミズムを産み出す大きなテコは、情報の力だろう。医療機関のサービス体制や医療サービスの結果(アウトカム)に関する情報を提供していくことは主要国では確立されつつあるが、日本では未だ発展途上だ。医療情報がセンシティブであること、リスク調整や公平な指標設定の難しさに阻害されることなく、この点を患者・住民のニーズへの対応の中心的課題として早急に組むべきだ。

こうした視点から見ると、日本の医療は、診療報酬を通じた供給側の誘導、利用者負担を通じた需要側の誘導に依拠し過ぎであった。特に診療報酬は、一定の方向性への流れを強めるための「弾み」であるべきだが、供給サイドは、点数を一斉に追いかけ、結果として現場に新たな歪みが生じる。そしてそれを是正するように、再び診療報酬の改定が行われ、また違う方向に一斉に追いかけ始める、という点数と現場のイタチごっこが繰り広げられ、「自律」の芽が育つ土壌が乏しい。

また、日本ではプレイヤーとしての機能発揮の余地が未発達なのは保険者だ。保険者は、1. 国民皆保険という1つのシステムの下で、1、800余りという数に細分化されていること、2. 制度的な自由度が少ないこと(例えば医療機関の選択契約などは不可能、保険者間の競争環境も乏しい)、3. 保険者としての機能を担うべき人材の能力開発ができていないこと(スタッフは医療面での知識や経験に乏しいこと等)から、ほとんど機能を発揮できていない。保険者の機能は、医療システム全体のチェックアンドバランスを図るうえで不可欠であり、日本の現状は異常な状況だ。同時に、プレイヤーとしての医師もまた、自ら専門性を高め、高い水準で専門医を認定する仕組み、そのための教育体制を強化していくべきだ。この点での努力は、医療サービスそのものの付加価値に直結する。

今の日本の医療はこうしたプレイヤー各々の努力と相互のチェックが十分とは言えず、現場と財政に負担が偏りすぎている。結果的に負担を負う市民の理解を得るためにも、直ちにできることを各プレイヤーが同時多発的に開始しなければ、日本の医療に時間を稼ぐ余裕はない。

3. 地域における医療ガバナンスの強化
第3は、「地域における医療のガバナンスを強化する」ことだ。医療をシステムとして機能させるには、バーチャルな文脈ではなく、現実のシステムの「単位」としては、地域で医療をシステムとしてマネジメントすることが必要だ。

今の日本では、市町村が国保を運営し、県が医療計画、病床規制を担うというように責任は分割されている。住民の関与も散発的であり、そこに協会けんぽの支部や後期高齢者保険を運営する広域連合が存在するなど、責任の所在も不明確だ。そこに地元の医師会や大学医学部が関わっており、地域医療のマネジメントは極めて弱い。今後、今は市町村が担う介護サービスとの連携も含め、地域中心への医療サービスにシフトしていく中では、地域単位で医療の在り方を規定し、ガバナンスを図るという視点が重要だ。地域での医療ガバナンスの中核を誰が担うのか、という点には様々な考え方があるが、都道府県がその中心に座ることが適当だろう。国保の都道府県単位での財政運営、高齢者医療の広域連合による運営といった動きを踏まえ、財政面・サービス面での責任と権限を都道府県において一元的に担い、医療政策のイニシアチブを都道府県単位で行っていく方向が望ましいと私は考える。

その際必要となるのは、都道府県で医療政策を担う人材の育成、情報基盤の整備、それを支える権限の委譲、そして他の地域とのベンチマーク指標の設定、言わば医療の「見える化」だろう。ともすれば、これまで都道府県は、医療政策について、全国一律の基準と方向性に受動的に対応し、その構想能力や、執行に当たっての説明能力を発揮してこなかった。これらは、今後の地域における医療のガバナンスの主体という観点から、急ピッチで高めていく必要がある。言うまでもなく、その際には、地域での医療従事者や、大学、患者・市民がパートナーとして協働する必要がある。

同時多発で動き出せ

日本の医療をシステムとして起動させ、プレイヤーの能力を最大限発揮するには、施策、診療報酬などの誘導策を待つまでもなく、医療機関、医療従事者、保険者、患者・市民が能動的に動き出すことが重要だ。その中で他のプレイヤーを巻き込み、変革を促すというダイナミズムが求められる。例えば、今後10年間の取組の工程表を策定し、定量的に達成度を測る目標を設定することが重要だ。日本の医療に残された時間は多くないと筆者は考える。もはや、制度や政府が日本の医療システムを一手にデザインする時代ではない。また、システムの不十分さを現場の奮闘でカバーする時代でもない。貪欲に「不連続」な発想、他業界で培われた思考形態、他の先進国での懸命な取組にアンテナを高くしなければ、あっという間に日本の医療は進化を忘れた存在となるだろう。

今こそ、これまでの「誰が得して、誰が損するか」という表現に集約されるような「依存と分断」のシステムを超え、各プレイヤーが自分の持ち場から、同時多発的に、日本の医療システムを起動させ、動かすには何ができるか考え、動き始めるべきだ。

武内 和久(たけうち かずひさ)
マッキンゼー&カンパニー
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西海 明典 · トップコメント投稿者 · 栃木県大田原市
既にへき地医療が崩壊している中で、医師の存在を前提とするおっしゃるようなシステムが成り立つことは不可能に近いと思います。医師の偏在化を解消することの方が重要課題とであると思います。
返信 · · 2012年9月24日 3:21

岡田 唯男 · 勤務先: 鉄蕉会 亀田ファミリークリニック館山
日本プライマリ・ケア連合学会 プライマリ・ケアとは?(一般の方向け)http://www.primary-care.or.jp/public/index.html
返信 · · 2012年9月25日 14:21

岡田 唯男 · 勤務先: 鉄蕉会 亀田ファミリークリニック館山
家庭医療専門医 〜あなたにとって何でも相談できる身近な医師を〜http://www.primary-care.or.jp/public/primarycare_iryo.pdf
返信 · · 2012年9月25日 14:18

岡田 唯男 · 勤務先: 鉄蕉会 亀田ファミリークリニック館山
3. 地域における医療ガバナンスの強化> Integrated Healthcare Networkにおける家庭医療クリニックの貢献とこれからの課題 その後 http://pcij.wordpress.com/2009/09/30/
返信 · · 2012年9月25日 14:20
http://agora-web.jp/archives/1489117.html


02. 2013年3月19日 20:28:24 : xEBOc6ttRg
医師の7割、モンスター患者に“遭遇” 「組員連れてくる」と脅迫、優先診察を要求…
2013.2.23 20:25 [病気・医療]
 医療従事者や医療機関に理不尽な要求をする「モンスターペイシェント(患者)」に対応したことがある医師が67.1%に上ることが、医療情報サービスサイトを運営する「ケアネット」(東京都千代田区)の調査で分かった。「暴力団を連れてくる」などと脅迫したり、医療従事者に暴力を振るったりする事例もあり、警察OBを雇う医療機関も増えている。

 モンスターペイシェントに対応したのは、診療所やクリニックでは57.4%にとどまったが、一般病院では70.7%。要求内容は「スタッフの対応が気にくわないとクレームをつける」60.5%▽「待ち時間へのクレームや自分を優先した診察を求める」47.1%▽「不要な投薬を要求する」37.6%−など。

 医師からは「モンスターペイシェントの対応に疲れ鬱病になった」(40代の内科医)▽「生活保護の患者が薬をなくしたと取りに来る。自費で、と言うと『殺す気か』と怒鳴り散らす」(30代の内科医)−などの声が寄せられ、「精神科は、モンスターか障害かの区別が難しい」「どの程度から警察に通報すべきか分からない」などの戸惑いも聞かれた。

 医師が患者とのやりとりに苦労しているとの声を受け、初めて調査を実施。今月、1000人の医師を対象にインターネットで回答を得た。

 

 

 


 

「過労死する」と悲鳴 モンスター患者に不満も
2012.11.18 17:56 [健康]
 「このままでは過労死する」。全国医師ユニオンなどが実施したアンケートには、医師の悲痛な声が寄せられた。一方で、軽症なのに時間外に来院する「コンビニ受診」や、理不尽な要求をする「モンスター患者」への不満もあった。

 アンケートには「ストレスで寿命が縮まっています。自殺してもおかしくない状況」(岩手、30代男性)、「このままでは過労死する」(香川、20代男性)、「友人の研修医が過労で鬱病に」(東京、20代男性)といった回答も。「当直明けは必ず休める体制を」などと改善を求める声が相次いだ。

 また、「深夜のコンビニ受診、暴言など患者側の態度を見ていると、何のために自分の健康を犠牲にしてまで勤務するのかとむなしさを覚える」「コンビニ受診やモンスター患者が多く、ストレスが大いに増大している」との回答もあった。

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03. 2013年3月20日 00:48:32 : wRTpxnTKvw
コメント1の武内氏の様な意見が日本の医療を崩壊させる。
本題でも、患者家族は説明が無かったと言いまくっている。
本来、医療の内容を患者に説明して理解させることなど不可能であるという前提にたたないと現実的な施策は取れない。
>行政は事件や摩擦の防止を
これは大嘘である。
月初めになると、保険証の確認をするが、これはすこぶる評判が悪く、文句タラタラの患者が沢山いて受付を威嚇する。
レセプトオンライン化になり、保険証の確認くらい簡単になると思いきや、昨年案内でチェック機能をつけたと言ってきたと思ったら、これまたビックリ。チェックして不備なレセプトは審査をせずに返礼しますという失礼な内容。バカバカしくてやってられない。オンラインですぐさま調べて返事を返せばいいものを、1ヶ月後に紙にして返しますとさ。
何ヶ月も立ってから保険証の内容を患者に聞き直して訂正して再請求せにゃならん。患者が引っ越してたら請求もできん。聞かれた患者も迷惑そのもの。行政はゼニゲバ。再請求されないと、医療費の節約くらいにしか思っとらん。患者と医療機関を分断することばかり考えている。


04. 2013年3月21日 23:25:26 : 5FidTbXBPE

伊藤元重「瀬戸際経済を乗り切る日本経営論」
崩壊の危機に直面する日本の医療、重点分野への集約化が求められる

2013年03月21日 

医療崩壊
 医療関係者から「医療崩壊」を懸念する声が次々に出されている。

 救急医療の現場では医療スタッフが少なく、緊急の患者が搬送されてきても対応する人材もベッドも不足している状況である。救急搬送を受け入れてくれる病院がなかなか見つからず苦慮している様子が、よくテレビの番組でも出てくる。

 医療現場の医師の苦労も大変なようだ。『神のカルテ』という小説が大ヒットしているが、その中では慢性的な過剰労働と睡眠不足で苦しむ主人公の姿が印象的である。小説での誇張ではなく、現実の姿に近いものだろうと想像される。

 周りの医療関係者の話を聞いても、厳しい現場である病院の生活に耐えられず、比較的な時間的にも肉体的にも余裕がある開業医になる人も増えているという。

 医療現場の話を聞くと、本当に日本の医療は大丈夫だろうかと心配になってくる。「医療崩壊」という言い方がけっして誇張ではないように思える。今後高齢化がさらに進めば、医療費は膨張する一方である。ただでさえ赤字垂れ流しで続けてきた医療は、今後ますます厳しくなってしまう。

Next:医療費は効率的に使われているか?


 もっとも、違った声もいろいろなところから聞こえてくる。最近、流通関係者から何度か次のような話を聞いた。

 ドラッグストアから出てきた薬剤師に、声をかけて近くの喫茶店に連れて行く人がいる。喫茶店に座ると、すっと封筒が差し出される。中には何十枚もの1万円札が入っているという。薬剤師に移籍を促すための支度金のようだ。

 何人かから同じような話を聞いたので、まんざら誇張でもないようだ。薬剤師の取り合いになっている。実際、ドラッグストアの成長ぶりは、小売業界でも注目される存在のようだ。調剤だけがドラッグストアの成長要因ではないだろうが、調剤が成長ビジネスであることは間違いない。

 ドラッグストアが成長することは結構なことだが、その薬剤費の多くが私たちの医療保険で賄われていることを忘れてはいけない。一部の自己負担費を除いては保険がカバーしているので、私たちは薬剤費の社会的負担を忘れがちだ。しかし、処方された医薬品の利用が増えるほど、医療費の財政負担や社会保険料負担が重くなる。

 医薬品のコストを下げる方法として、ジェネリック医薬品を積極的に活用することが考えられる。パテント(特許)の切れた医薬品と同じ薬効の薬を安く生産販売するのがジェネリック医薬品である。パテント料がかからない分だけ、価格を大幅に下げることができる。

 残念ながら、日本ではジェネリック医薬品の利用率が低いようである。コストの安いジェネリック医薬品でもブランド医薬品(先発医薬品)でも保険でその費用の多くがカバーされるので、医師も患者も積極的にジェネリック医薬品を利用する誘因を持たないのだ。

Next:医療費を見直してメリハリのある医療へ

 冒頭の医療崩壊の話と、その後のジェネリック医薬品の話から分かることは、日本の医療システムは本当に必要なところに十分な資源が回らない一方で、無駄に資源が使われている部分が多くあるということだ。

 今の医療システムのすべてを守ろうとしても、財政的にそれが不可能なことは明らかだ。「医療費を見直す」ということは、「医療費を削減すること」と誤解されるようだが、そうではない。本当に守るべきところを守るためにも、可能な部分については医療費を徹底的に抑制する必要がある。

 さきほど例にあげたジェネリック医薬品のケースであるが、フランスではジェネリック医薬品の利用を促すため、ジェネリック医薬品で代替できるにも関わらず高い価格の医薬品を利用しようとする患者には、ジェネリック医薬品の価格を超えた料金については保険でカバーしないという。

 ジェネリック医薬品ではなく、パテント切れではあっても先発医薬品(新薬)を使いたい人は、それを使う自由はある。しかし、料金の差額は自己負担である。保険でカバーしてほしいと考える人は、ジェネリック医薬品が利用可能であればそれを使うしかない。

 この制度が日本ですぐに導入可能かどうかは分らないが、こうした形で医療費の公費負担を徹底して削除して、その分を本当に必要な分野に集中投入する。これが日本の医療を守るためには絶対に必要である。

Next:「ワンコイン負担」がなかなか実現しない

 メリハリを効かした医療ということで言えば、少し前にマスコミでもずいぶんと取り上げられた「ワンコイン負担」の話も重要だ。この話は高額医療の充実とセットで議論されたものだ。

 運悪く高額の医療費が必要な病気にかかった人を守るのが高額医療制度の目的である。低所得者にとっては、高額医療を負担することがとくに難しい。そうした人たちを守るためにも、高額医療の公費負担を充実させる必要がある。

 問題はその財源をどこに求めるかだ。何でも消費税や保険料に求めることは難しい。そこで、病院や診療所に一度通うごとに一律にワンコイン、つまり100円を徴収する「受診時定額負担」という制度が提案された。これまでの医療費に加えて100円ずつ徴収するのだ。

 患者にとってはそれだけ経済的負担にはなる。ただ、コーヒー1杯を飲んでも300円以上とられるご時世で、ワンコインはそれほどの負担ではない。これでかなりの金額が徴収できるので、それで高額医療を補助する制度の財源にしようと提案された。

 これはまさに医療制度にメリハリをつけようというものである。高額医療から国民を守るためには公的関与が必要だ。しかし、ワンコインであれば、たいていの人はそれを負担する能力を持っている。毎回ワンコインを払うという負担を我慢することで、国民全員で高額医療制度を守ろうというものだ。もちろん、低所得者にはワンコインを求めないというような制度の運用は可能である。

 残念ながら、この制度は実現していない。ワンコインを求めることは、国民の負担を増やすことである。病院でワンコインを払わなくてもよいという、「既得権益」を壊すことは簡単なことではなかった。

 万が一高額医療が必要な病気になっても守ってもらえないということと、ワンコインを払うという負担が加わるということ。国民にとってどちらの方が重要なのだろうか。高齢者医療負担もワンコインも嫌だ、というわけにはいかないだろう。医療のメリハリを真剣に考えなくてはいけない。

Next:日本の医療をめぐる「トリレンマ」

 日本の医療の長所は、国民皆保険と「フリーアクセス」である、と言われる。国民皆保険についてはここでは触れない。フリーアクセスについて取り上げたい。

 フリーアクセスというのは、国民はいつでも医療機関を自由に選択できるということだ。誰でも、どこでも、いつでもかかれるというのは、素晴らしいことのように思える。だから、フリーアクセスを守らなければいけない、と多くの医療関係者は言う。

 しかし、医療には重要な「トリレンマ」がある。「医療費を下げて、医療の質をあげ、そして医療へのアクセスをよくする」ということは不可能であるというのだ。医療費を増やさず、医療の質を維持しようとすれば、医療へのアクセスを抑えざるをえない。

 海外ではそれが当たり前の選択として行われている。それが「ゲートキーパー」という制度である。国民はかかりつけ医というのをもっており、その医者の紹介状がなければ専門病院にはかかれないという制度だ(もちろん救急は別)。

 かかりつけ医の役割は重要である。一つは自分が担当する住民の相談に日々のってあげることで、予防や健康増進や回復などの支援をすること。そしてもう一つは深刻な病状と判断したときには、すみやかに地域でベストの専門医に回すことだ。軽い病気で来たときには、薬の処方などで対応する。

Next:日本の医療を守るための議論を真剣に行う必要がある

 こうしたかかりつけ医のネットワークが充実していることが、人々の病気予防や健康維持にとって好ましいことは言うまでもないだろう。そしてフリーアクセスとの関連で言えば、それによって専門病院に来る人の数がしぼられ、本当に専門的治療が必要な人に病院の資源を集中することができる。

 東京大学病院の中に入ってみると、膨大な数の外来患者で溢れている。これだけの患者がいれば、東大病院でしか提供されないような高度医療を必要とする人に本当に対応できているのか心配になる。

 誰でも東大病院のような有名病院にかかりたいという気持ちはあるだろう。しかしそうしたフリーアクセスを認めていたら、東大病院のように高度な医療を行う病院がいくつあっても足りないことになる。

 かかりつけ医の制度を充実してフリーアクセスを制限しようという議論は何度も出て来ている。残念ながら、その議論はフリーアクセスという魅力的な言葉を壊すだけのパワーはないようだ。しかし、日本の医療を守るためには、そうした議論をもっと真剣に行う必要がある。

 重要性の高い分野もそうでない分野も、医療サービスが低下することは、あるいは個人負担が増えることは嫌だ、というのが国民の本音なのかもしれない。しかし、それでは本当に守るべき部分さえも壊れてしまう。

伊藤元重(いとう・もとしげ)
東京大学大学院経済学研究科教授
総合研究開発機構(NIRA)理事長
現在、「財務省の政策評価の在り方に関する懇談会」メンバー、財務省の「関税・外国為替等審議会」会長、公正取引委員会の「独占禁止懇話会」会長を務める。著書に『入門経済学』(日本評論社)、『ゼミナール国際経済入門』『ビジネス・エコノミクス』(以上、日本経済新聞社)、『ゼミナール現代経済入門』(日本経済新聞出版社)など多数。
http://www.nikkeibp.co.jp/article/column/20130318/344157


05. 2013年3月22日 10:58:13 : OGHU65ldXg
みんながよく知っていて、フリーアクセスで無い診療科がある。
歯科などがその代表である。癌検診などをして受診率が10%以下などと言うのはまずあり得ない。
しかし、国民の歯周病罹患率が90%近い中、歯科の検診に訪れるのは10%以下のところがほとんどである。
メリハリを付けるなら、薬をもらいに行くだけの内科などは、ワンコイン500円を導入し、歯科などの負担率を1割にするなどの事が必要であろう。製薬会社重視の医療制度が問題なのである。
昔から医者は薬を売る人と言われていて、結果、製薬会社から厚遇を受けている。


06. 2013年4月07日 00:32:32 : ueYaXPXYNU
不安を煽ってきたのは、医療関係者。
勝手に標準血圧など作ってちょっと違えば、すぐ降圧剤。
ただの風邪をインフルエンザといって高い薬を投与。
じっとしていない子どもに精神薬。

くすり漬け、検査漬けにして不安を煽るだけ煽っといてストレス発散するな
と言われても・・・

インフォームドコンセントは、洗脳のための道具と思うほどくどくど。
仕方がないでしょ、こうなるのは、わかっていた。

>昔から医者は薬を売る人と言われていて、結果、製薬会社から厚遇を受けている<

学会とか言うけど、お膳立ては製薬会社でしょ。
ごちそうしたり、ゴルフ大会や各種スポーツ大会のお膳立ても昔から
よく聞くね。
患者がくすり漬け検査漬けされるはずだよね。
どっかの国で医者がストライキしたら、死者が減った、と言う話もあったね。


7. 2017年9月06日 17:38:53 : LY52bYZiZQ : i3tnm@WgHAM[-4456]
2017年9月5日(火)
「医師の働き方改善早く」 過労死遺族らが訴え


http://www.jcp.or.jp/akahata/aik17/2017-09-05/2017090505_01_1.jpg
(写真)医師の働き方改善を求める声明を発表する医師ユニオンなど代表=4日、厚労省

 全国医師ユニオンや過労死弁護団全国連絡会議、東京過労死を考える家族の会は4日、過労死が相次ぐ医師の速やかな働き方改善を求める共同声明を発表し、厚生労働省で記者会見しました。

 声明は、安倍政権の「働き方改革」が、過労死ラインの残業を容認し、医師への規制を5年後に先送りしていることをあげ、医師の命と健康を脅かし、医療事故の原因となると指摘。人の命に直接かかわる医師は過度の緊張を強いられ、健康障害に陥りやすく、医師の健康障害は医療の質の低下や安全を脅かし、患者にも悪影響を及ぼすとしています。

 労働条件改善のため、労働基準法の徹底▽使用者の労働時間管理の適正化▽研修医の労働を労働時間に算入しない実態を改め、処遇の改善▽過労死ラインを超える長時間労働の改善▽健康管理の実施―を求めています。

 過労死弁護団の川人博幹事長は、医師の労災認定の調査分析をもとに改善策を講じる必要性を強調。医師に診療を課す「応召義務」が過重労働を助長している側面があるとして見直しを訴えました。

 小児科医の夫を過労死で亡くした、東京過労死を考える家族の会の中原のり子代表は、医師の多くが精神を病んで自死している実態を指摘し、将来に展望を持てる働き方の改革を強調。全国医師ユニオンの植山直人代表は、長時間労働の背景にある医師不足を指摘、医師の増員を訴えました。

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik17/2017-09-05/2017090505_01_1.html


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