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慢心が生んだ事故、「患者は教材ではない」  日経メディカル
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投稿者 ダイナモ 日時 2013 年 7 月 05 日 19:56:33: mY9T/8MdR98ug
 

 その夜、研修医の友野は自宅に帰ってから一睡もできなかった。都留先生が助けてくれたからよかったものの、あのままだったら患者は死んでいた。自分の慢心からくるミスで危うく患者を死なすところだった。改めて、「怖い」と思った。自分には医者を続けることができるだろうか―。

 友野は2年目の研修医だ。地方の国立大学を卒業し、首都圏の公立病院の研修医になった。もともと卒業した地方大学に残るつもりはなく、かといって虎の門病院や聖路加国際病院など都心の人気研修病院に応募するには気後れして、結局は東京に近い中規模の公立病院を選んで研修医生活をスタートさせた。

 この公立病院は都内のある私立大学の関連病院で、病院長以下各科の部長までほとんどがその私立医大の出身者で占められていた。この病院で「何回生ですか?」と聞かれると、「その私立大学の何年の卒業生か?」という意味だった。悪気のないよそ者扱いを感じることはあったが、おっとりとした雰囲気の中で1年余りを過ごすうちに、友野はこの公立病院に居心地の良さを感じるようになっていた。

「田舎の診療所がこんな点滴をして…」
 2年目になって間もなく、循環器内科へのローテーションが始まった。循環器内科の責任者はその春、大学から派遣されたばかりの都留医師で、卒後12年目のカテーテル治療を得意とする熱心な先生であった。他大学出身者にも分け隔てなく指導してくれるので、友野は循環器の勉強に夢中になった。自ら志願して毎日の院内の心電図を全て読んでレポートを作成し、都留医師のチェックを受けた。自宅では不整脈治療のテキストを読んで治療法を手帳にまとめた。

 ある日、これが役に立った。1週間前に心筋梗塞で入院してきた患者が突然、心室細動に陥ったのだ。日曜日の朝で病棟には友野しかいなかった。血相を変えた若い看護師に呼ばれた友野は、1人で看護師に指示して気道を確保し、心臓マッサージを行い、カウンターショックを施行した。心臓マッサージを行いながら、「落ち着け」と自分に言い聞かせて、丸暗記したばかりの不整脈薬を次々に指示した。間もなく心臓外科の当直医が応援に入ってくれて、患者の容態は落ち着きを取り戻した。「いい処置だったな」。自宅から駆け付けてきた都留医師に言われて、友野は将来循環器内科に進もうかと思い始めた。

 循環器内科での研修が3カ月目の終わりを迎える頃には、都留医師のカテーテル治療の助手にも入り、スワンガンツカテーテルも自分で入れられるようになった。心筋梗塞を診ることに自信がついてきたある日、山村の診療所から患者が送られてきた。友野は自ら担当医を志願し、ひとりで初療に当たった。付き添ってきた診療所の医師と患者の家族から丁寧に挨拶され、友野は自尊心をくすぐられる思いがした。患者の意識はしっかりしており、バイタルも落ち着いている。心電図で下壁梗塞の所見があったが不整脈はなく、心不全徴候もみられなかった。

 山村の診療所で入れてきた点滴が患者の右の正中静脈に入っていたが、点滴は細い針で挿入され固定の絆創膏は汚れており今にも抜けそうな状態であった。点滴の中身もわからなかった。友野は「田舎の診療所がこんな点滴をして…」と思い、点滴針を抜去して改めて前腕に点滴ルートを確保し、しっかり固定した上で細胞外液の点滴を開始した。

突如として起きた患者の容態悪化!
 ところが、患者をCCU(冠疾患集中治療室)に収容し、家族を別室に呼んで話を始めて間もなくのこと、患者が急変した。突然、血圧が下がり、意識がなくなったのだ。脈は触れない。呼吸も浅い。心電図のモニターを見ても何が起こっているのか分からない。CCUの外では家族が心配そうに見ている。騒ぎを聞きつけて都留医師が駆け付けてきた。

 都留は友野の説明を聞くと、CCUのカーテンを閉め、もう1人の循環器の医師と手早く気管内送管をして中心静脈を確保し、昇圧薬を指示するとともに、シリンジでポンピングを開始した。急速な輸液である。血圧はなかなか上がってこない。

 都留は処置をしながら、「Hypovolemic shockに陥っている。君は自分が何をしたかわかっているか?患者の病態がはっきりしないうちに勝手に点滴を変えたのだ。点滴に何が入っているかを確認しないでだ。恐らく診療所の点滴には昇圧薬が入っていたのだろう。それを急に中止したからショックになった」とまくしたてた。

 友野は2人の先輩医師が懸命に治療する傍らで、足が震えて止まらなかった。手伝おうにも体が固まってしまった。口が渇いて言葉も発せられない。自分のミスでこの患者が死ぬかもしれない。自分は心筋梗塞を一通り診ることができると思っていた。田舎の診療所の診療をばかにしていた。自分の慢心が引き起こした事態だ。

 30分後、次第に血圧が測定できるようになってきた時、都留は言った。「君にこの患者の担当をさせることはできない」―。

 何も知らない研修医1年目よりも、色々なことが自分でできるようになる2年目の頃の方が事故を起こす危険性が高い。特に大病院に勤務していると、病院の規模がそのまま自分の実力であるような錯覚に陥ることがある。「謙虚であること」「慎重であること」。患者はあなたの教材ではない。


http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/special/career/shigoto/201307/531393.html  

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コメント
 
01. 2013年7月06日 00:32:00 : yy7D5jhcis
田舎の診療所から回送されてきたときに当然病状や投薬の内容についての情報(カルテなど)が提供されてるはずじゃないのかね。信じられん。この程度なのかね

02. ひとりごと 2013年7月14日 00:26:01 : DpO3d0NCxSW52 : TuGy8KDOzw
「患者はあなたの教材ではない」と言いたいだけの創作のような気がします。


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