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政府が目指す高額療養費の見直し案は 未来の日本社会にフィットしているか
http://www.asyura2.com/09/iryo03/msg/752.html
投稿者 SRI 日時 2013 年 10 月 23 日 09:13:51: rUXLhToetCnYE
 

【第99回】 2013年10月23日 出口治明 [ライフネット生命保険(株)代表取締役会長兼CEO]
政府が目指す高額療養費の見直し案は
未来の日本社会にフィットしているか
 政府は、10月7日に開かれた社会保障審議会医療保険部会に、高額療養費の見直し案を提示して、2015年1月実施を目指したいという意向を示した。例えばアメリカでは、虫垂炎の手術を受けただけで100万円以上の請求書が送られてきた等という話をよく聞くが、わが国では高額療養費制度により、たとえ医療費が1000万円かかろうとも、個人の負担限度額は3割の300万円ではなく、1ヵ月で最大15万円程度に抑えられている。

 市民が安心して治療を受けられるという意味で、高額療養費制度が、わが国の医療保険制度の根幹を成すと言われる所以である。ちなみに2010年度で、約2兆円の高額療養費が支払われている。ところで政府は、高額療養費についてどのような改正を目指そうとしているのだろうか。

政府は3つの案を提示

 高額療養費については、8月6日に公表された社会保障制度改革国民会議報告書で、次のような方向が示されている。

・医療給付の重点化・効率化(療養の範囲の適正化等)
(前略)高額療養費の所得区分について、よりきめ細やかな対応が可能となるよう細分化し、負担能力に応じた負担となるよう限度額を見直すことが必要である。上記のとおり、70〜74 歳の医療費の自己負担に係る特例措置が見直されるのであれば、自己負担の上限についても、それに合わせた見直しが必要になるが、そのタイミングについては検討が必要になる。

 これを受けて政府は、8月21日の閣議で次のような決定を行った。

・保険給付の対象となる療養の範囲の適正化等について次に掲げる措置
 低所得者の負担に配慮しつつ行う、70歳から74歳までの者の一部負担金の取扱い及びこれと併せて検討する負担能力に応じた負担との観点からの高額療養費の見直し

 今回の政府案は、これらを受けたものでその概要は次のページの図版の通りである。


出所:厚生労働省保険局「高額療養費の見直しについて」、10月7日
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 新聞報道によると、この中では、案3が有力とされるが、理解に苦しむところである。案3は約850億円の給付増(=負担増)となる。まさか消費増税を受けて、サイフの紐が緩んだ訳ではなかろうが、現下の厳しい財政状況を勘案すれば、いかなる制度であれ、見直す場合はすべからくスクラップ&ビルド方式、即ち1つの制度全体として、給付増(≒負担増)はゼロないしはマイナスを大原則とするのが正しい道筋ではあるまいか。

 そう考えれば、案2(給付増が約70億円で、3案の中では給付増が一番少ない)が一番妥当なように思えてならない。所得の低い人に配慮するのであれば、その分は原則として所得の高い人に埋め合わせてもらう必要があると考えるがどうか。

 なお、今回は直接の検討の対象とはされていないようだが、高額療養費については(正確には医療保険制度全体に係る問題だが)、2つ大きな問題が残されていると考える。

 1つは、4つの組合形態間の格差の問題である、例えば、案2を例にとると次のようになる。


出所:厚生労働省保険局「高額療養費の見直しについて」、10月7日
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 この問題は、長期的に考えれば、20世紀の遺物である職能別の組合から、いずれは県単位の地域別組合へと移行していく中で、解決していくべき課題ではないだろうか。

 もう1つは、高額療養費制度が、年令フリーとはなっていないことだ。現行制度は、窓口負担に合わせて70才未満、70才〜74才、75才以上と3区分されている。このような高齢者優遇措置は、人口の増加と高度成長の2つを暗黙の前提とした20世紀後半のわが国社会の実情によくフィットしていた優れた仕組であった。

 しかし、国民会議報告書が示唆したように21世紀型の社会保障の理念は、「世代間の公平を図る観点から、年令フリーでまず困っている人を対象に」であるべきではないか。そうであれば、いずれは、高額療養費の制度設計も、年令フリー(3区分の廃止)で再構築されて然るべきであろう。仮に高齢者の優遇が残るのであれば、その場合は未成年者も合わせて優遇すべきであると考えるがどうか。例えば窓口負担であれば、75才以上10才未満は1割、70才〜74才、10〜19才は2割、20才〜70才未満は3割等、と。

70〜74才の患者負担特例措置の
見直しに5年もかけるのか

 高額療養費の見直しと合わせて閣議決定がなされたもう1つの問題は、70才〜74才の患者負担特例措置の見直しである。70〜74才の患者負担は、現在、2割負担と決定されている中で、2008年度以降、毎年度約2000億円の予算措置により1割負担に凍結している。法律を予算措置で歪める等、原理原則から考えれば、法治国家としては由々しき問題である。これについては、国民会議報告書は次のような案を示している。


出所:厚生労働省保険局「高額療養費の見直しについて」、10月7日
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 経過措置としては一見妥当なようにも見えるが、5年も経たなければ、法律本来の姿に戻らないとは、あまりにも悠長すぎるのではないか。消費増税とのタイミング等政策的配慮は確かにある程度は必要かもしれないが、直ちに法定の形に持っていく方が、むしろ、市民にわが国の社会保障と税の一体改革の必要性、緊急性を強くアピールできるのではないか。

 なおこの案が実現すれば、約990億円の保険料負担が減少するという。高額療養費見直し案3は、850億円の負担増だから、政府は、合わせてバランスを取っているつもりかもしれないが、この2つは全く別の制度であって、そもそも合算して考える筋合いのものではないのではないだろうか。

 およそ何事であれ、痛みの伴う改革は強い政権でないと実行不可能である。衆参のねじれが解消した現在、わが国においては、少なくとも向う3年間は強い政権が存続する。この3年間に思い切った痛みの伴う構造改革を行わなければ、いったいいつ、構造改革を行うというのか。医療保険部会の真摯な議論を期待したいものである。

(文中、意見に係る部分は、筆者の個人的見解である)
http://diamond.jp/articles/-/43372  

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コメント
 
01. 2013年11月06日 10:22:20 : e9xeV93vFQ

JBpress>日本再生>明日の医療 [明日の医療]

いつまでこの状態が続くのか、
増税分の価格転嫁が許されない医療費

2013年11月06日(Wed) 多田 智裕
 10月1日 安倍晋三首相は2014年4月より消費税を5%から8%に引き上げることを表明しました。それを受けて、様々な業界で3%増税分を価格に転嫁する動きが次々に明らかになってきました。

 日本郵便は現在50円のはがき代金を52円に、80円の封書代金を82円に値上げすることを表明しています。また、銀行の振込手数料は105円が108円へと3円値上げ、タバコも1箱につき20円、ディズニーランドの入園料も200円値上げされるようです。

 その一方、あまり意識されることはありませんが、医療費には消費税がかかりません。非課税なのです。

 このことについて、「医療費は消費税がかからないので、来年4月から3%消費税が増えようが、これから先、さらに10%になろうが、医療費は増税の影響を受けません」と説明しているメディアも見受けられます。しかし、それは認識があまりにも表面的すぎます。

 なぜならば、利用者が窓口で支払う医療費に消費税は発生しませんが、医療機関が薬や医療機器などを仕入れたりする代金、消耗品購入や外注費用には、全て消費税が課税されているからです。

 この医療費の消費税非課税問題により、医療機関が被っている損害は、私の診療所で年間250万円程度、病院ともなれば5000万円から数億円と言われています。

 ましてや消費税が8%になれば負担額は1.6倍に、10%になれば2倍になってしまいます。この医療機関の損税問題はずっと指摘され続けてきました。政府は一体いつまで放置し続けるつもりなのでしょうか。

消費税増税の負担が医療機関を直撃

 そもそも消費税は、商品・製品の販売やサービスの提供などの取引に対して広く公平に課税される税で、「消費者が負担し、事業者が納付」(国税庁の定義)するものです。

 ですから、消費税そのものを企業が負担することはありません。企業は販売価格に消費税を上乗せした金額を消費者に請求し、その消費税を国に納付しているだけなのです。

 ところが医療においては、受診者が窓口で支払った2000円に消費税は含まれていないのに、医療機関は仕入れ等に発生した消費税を納めなければなりません。消費税非課税であるがため、消費税を“利用者ではなく医療機関が負担して納付”するという状態になっています。

 もちろん、消費税がかからないものは、家賃や学費(授業料)などのように他にもあります、でもこれらは、消費税増税の際に各自が自由に値段を決める(上げる)ことができます。

 しかし、医療費は全国一律の統制価格で値段が決まっているため、医療機関が消費税分の値上げをすることが許されません。つまり、3%消費税が増えると、医療そのものの価格(保険点数)を国が3%上昇させない限り、医療機関の負担する消費税が増えてしまうことになるのです。

「診療報酬に上乗せ」ですでに補填済み?

 医療費の非課税問題は、消費税分だけ医療費の価格を上げれば解決します。そのため厚生労働省はこれまで「この損税分は診療報酬に上乗せ済み」と説明しています。

 確かに1989年の消費税3%導入時に診療報酬は0.76%上昇しました。また、97年に消費税が3%から5%に上昇した際に、診療報酬は0.77%上昇しています。

 しかし問題は、消費税が5%上乗せされたのに対して、診療報酬が合計で1.53%しか値上げされていないことにあります。日本医師会の試算では医療機関の実質消費税負担は2.2%であり、少なくとも0.67%分は損税が解消されていません。これで「消費税分は既に補填済み」とされるのは大いに無理があります。

 5%の増税の補填として「1.53%の報酬上昇で消費税増税分は解決済み」という理屈を一般に当てはめると一体どうなるのでしょうか。

 この理屈で行くと、今回の3%消費税増税分の価格値上げは0.7%程度でよいということになります。今回の消費税増税に対して3%の価格上乗せを表明している企業は便乗値上げであり、本来アップしてしなくてもよい2.3%分を便乗値上げしているということになってしまいます。

医療費の“消費税ゼロ税率”実現を

 医療が国民の生命や健康維持に直接関わるものである以上、医療費を消費税非課税にすること自体は政策的配慮として決して間違っているものではありません。

 しかし、そのために医療機関に年間数百万から数千万円の損税を発生させているのです。この状況を見て見ぬふりをして放置するのは大きな問題と言わざるをえません。

 診療報酬を自由に設定することができない医療機関は、現状で平均利益率が4〜5%程度と厳しい経営を余儀なくされています。

 消費税がさらに3%増税される際に、また0.7%程度中途半端に診療報酬を上げて、「補填したので解決済み」ということにされる。この、とても抜本的とは言えない対策を、消費税増税の度にこれからもずっと続けるつもりなのでしょうか。

 私も含めて医療界は、医療費の“消費税ゼロ税率”を求めています。「医療費が消費税非課税である以上、医療機関が支払う消費税も還付可能にしてほしい」という要望です。

 この主張に対して「医療を特別扱いすると税制の根幹を揺るがしかねない」と指摘する声も聞かれます。しかし、「税制の不公平を直してほしい」という至極真っ当な要求だと思います。

 トヨタ自動車、ソニーなどの日本を代表する輸出企業は、輸出品に転嫁できない消費税を戻し税として還付されています。それなのに、医療機関はなぜ消費税の還付請求ができないのか、なぜ根本的な解決策を回避するのか、合理的な説明はおそらく不可能でしょう。

[12削除理由]:無関係な長文多数


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