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副作用の少ないがん治療薬をウイルスで創る いま注目のバイオ創薬ベンチャー社長に聞く(東洋経済)
http://www.asyura2.com/09/iryo03/msg/817.html
投稿者 赤かぶ 日時 2014 年 2 月 15 日 10:22:00: igsppGRN/E9PQ
 

副作用の少ないがん治療薬をウイルスで創る いま注目のバイオ創薬ベンチャー社長に聞く
http://toyokeizai.net/articles/-/30769
2014年02月15日 小長 洋子 :東洋経済 記者



がんと重症感染症治療のためのウイルス薬を研究開発するオンコリスバイオファーマ。昨年12月に上場後注目を集めている。同社がターゲットとするのは、患者数が少ないため大手製薬会社が取り組みにくいが需要は確実にある、いわゆるオーファンドラッグ(希少疾病用医薬品)。それも、肝臓がんや食道がんといった医療現場のニーズの高い領域を狙っている。


現時点での主要なパイプラインは、HIV感染症治療薬と腫瘍を溶解するウイルス治療薬。臨床開発に特化するため、前臨床・臨床試験の開発企画に集中し、研究・探索のための研究所などの設備は持たない。創薬には探索から前臨床、3段階の臨床試験、承認申請、販売と、5つの段階があるが、バイオ創薬ベンチャーの多くは、早い段階で大手製薬会社に開発技術を導出(ライセンスアウト)し、開発協力金(マイルストーン収入)やロイヤリティ収入を得る。その資金を研究開発に注入することで開発を加速させる。


オンコリスでも主要パイプラインのほかに、がんや炎症性疾患の体外検査薬の研究も進めている。浦田泰生社長に事業の現状と展望を聞いた。


■ウイルスを使って新薬開発


――オンコリスバイオファーマとは、変わった社名ですね。


「オンコリス」は、オンコロジー(腫瘍)とリシス(溶かす)を組み合わせた医学用語です。日本人には「リシス」は発音しにくいため、縮めて名付けました。


創薬というと化合物を想像されることが多い。確かに大手製薬メーカーをはじめとして新薬のほとんどは化合物です。一方で、古くは豚の膵臓からインスリンを作り、タンパクの遺伝子操作によって抗体をつくるなど、「生もの」を薬にすることは行われてきました。これがバイオ医薬品です。米国ではバイオ創薬ベンチャーは1980年代からありましたが、日本でもこの10年、米国より20年遅れでバイオベンチャーが増えています。


――オンコリスの特徴はウイルスを使う、という点ですね。


「がん細胞だけで増えるウイルスの開発」と「ウイルスの増殖を止めることの開発」をコンセプトに事業展開を行っているベンチャー企業は、日本ではオンコリスだけです。


――なぜがん治療にウイルスを使おうと思われたのですか。


かつてのがん治療は抗がん剤が主流でしたが、がん細胞に働きかけるだけでなく正常細胞にも同じように働くため、「がん」で苦しんでいるのか「抗がん剤」で苦しんでいるのか、わからないような状況でした。1990年代のことです。


何かいい方法がないかといろいろ探っているうちに遺伝子治療と出合ったのです。遺伝子が正常に働かないときに、正常な遺伝子を入れてやる。がんも遺伝子異常だから、正常化する遺伝子を入れると治るのです。問題はどうやって正常な遺伝子を入れるか。そこで出合ったのが、ウイルスを使う方法です。


藤原教授との縁


――どのような出合いだったのですか。



ウイルスによるがん細胞溶解のメカニズム


テキサス大学で研究されていた藤原俊義教授が帰国し、日本初のがん遺伝子治療薬を目指して岡山大学で研究を続けていると聞きました。


それはアデノウイルスという扁桃腺炎を引き起こすウイルス。この直径70ナノメートルほどのウイルスに含まれている遺伝子を改変して、がん細胞に感染させると、アデノウイルスががん細胞の中でだけ増殖し、最後にはがん細胞を溶解してしまう。がん細胞にだけ特異的に効き、正常細胞では働かない。風邪と同様、せいぜい少し熱が出る程度で、ほとんど副作用がない。


また、これまでの抗がん剤の有効率は10〜20%と低いが、強い副作用は100%出るという状況でした。それ以前にもヘルペスウイルスやREOウイルスなどのウイルス治療を研究しているグループがあり、共同開発を模索しましたが、当時勤務していたJTががん治療薬研究からの撤退を決めたため、共同開発に持ち込むことができなかった経緯があります。


JTの方針変更はあったが、自分としてはどうしても新しい副作用の少ないがん治療薬を作りたい。そこで岡山大学の藤原先生からの強い要請があり、一緒にやることになったのです。研究グループの先生方とともに資金を出し合い、製薬会社で医薬品の開発企画経験のある私が経営を引き受けることになりました。


■経営について全責任を負う


――大学発ベンチャーは難しいと言います。


私たちは1つの約束をしました。経営者である私は先生方のサイエンスを全面的に信頼する。先生方には、私の経営を信頼していただく。大学ベンチャーでうまくいかない例をいくつか見聞きして、科学者が経営にコミットするとうまくいかないことが多いことを知っていたからです。


科学者の方針で経営のプライオリティ(優先順位)を変えてしまっては、一貫した経営方針が保てない。幸いにも先生方が約束を守ってくださり、経営に関しては私が全責任を負っています。


――オンコリスの主要なパイプラインにはHIV治療薬OBP-601もありますが、ウイルス薬ではないですね。


HIV治療薬は化合物です。ウイルスを用いた抗がん剤開発だけにこだわる方法もありますが、私たちはそうはしませんでした。それは、私たちの腫瘍溶解抗がん剤テロメライシンの事業化までに長い時間がかかるからです。



うらた・やすお●1955年生まれ。京都薬科大学大学院修士課程修了後、83年小野薬品工業入社。94年日本たばこ産業医薬総合研究所入社。研究開発企画部長、医薬事業部調査役を経て2004年3月オンコリスバイオファーマを設立し現職


最初のファイナンスで調達した資金はおそらく数年で尽きる。もっと早く資金回収ができるパイプラインが必要です。投資してくれたベンチャーキャピタルからも、複数のパイプラインを持つようにと言われました。そこで、注目したのがHIV感染症治療薬です。これもいわばウイルス関連プロジェクトです。


前職時代に米国のベンチャーが開発したHIVのプロジェクトに参画したことがあり、土地勘がありました。がん治療薬は効果がわかるまでに半年〜1年以上と長い時間がかかるが、HIV治療薬では7〜10日でその効果がわかる。一時的に優先してもやるべきだと判断しました。


ちょうど鹿児島大学の馬場昌範教授とイェール大学の共同研究の報に接し、すぐに鹿児島に飛んだのです。その後、イェール大学とのライセンス契約を進め、苦労の末に契約に漕ぎ着けました。


――抗エイズ薬はすでに20種類以上もあると言われていますが、なぜHIV薬を選んだのですか。


HIV患者は長期的に見ても増え続けています。薬は長く飲まねばならず、飲んでいるうちに耐性ウイルスが出てきます。OBP-601はこれまでに報告されてきたすべての耐性ウイルスに効き、1日1回投与が可能、副作用も軽減できるなど患者にとってのメリットも大きい。


■がん細胞を発光させる


――検査薬でも、ウイルスを使ったテロメスキャンを開発されています。


がん細胞増殖のキーファクターであるテロメラーゼを検出する検査薬です。下村脩教授が2008年にノーベル賞を受賞したオワンクラゲの蛍光物質GFPと、がん細胞でのみスイッチを入れるためにテロメラーゼ遺伝子のプロモーター部分をアデノウイルス遺伝子に組み込んで投与すると、正常細胞では変化しませんが、がん細胞を特異的に発光させるのです。



発光するがん細胞


がんは手術で切除したあとも転移の可能性があります。取り残された目に見えない微小ながん組織から血液中にがん細胞が遊離するので、患部を切除しても数年経つと思いもよらないところに転移して現れます。しかし、従来の血液マーカーでは、がんが残っているかどうかは30%程度しか見つけられません。


テロメスキャンを使うことで、試験管1本の血液、細胞にして約10億個のなかから1個単位のがん細胞を選りわけ、悪性度を見極めることができます。がん細胞が5個以上あれば、遺伝子検査によって効果のある治療薬を特定することも可能です。


――次世代型も開発途上ですね。


困ったことに、第1世代のテロメスキャンでは、ごく一部ですが正常細胞で擬陽性の反応が出ることがあるのです。それをなくすために、大阪大学の水口裕之教授が開発した、より特異的にがん細胞だけを認識できるOBP-1101(テロメスキャンF35)へウイルスを変更しました。


これによって、擬陽性反応をほぼ抑制できるようになりました。肺がんや乳がんなどの予後を中心としてがん検出はこちらに集中し、第1世代はリューマチなど炎症性の疾患に方向転換しています。


――それにしても検出作業が大変そうです。


現在は顕微鏡で見ていくという人手に頼る方法で、1件あたり2〜3時間を要します。今後は光学系の技術を持つメーカーと完全に自動化した検出装置を開発していきたいと考えています。


 

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