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国民主役の地方創生 保母武彦さんに聞く:都市集中やめ裾野を広く
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投稿者 あっしら 日時 2015 年 1 月 29 日 04:01:35: Mo7ApAlflbQ6s
 

国民主役の地方創生 保母武彦さんに聞く
都市集中やめ裾野を広く

 人口移動の潮目は変わり、若者が農村回帰

 政府の地方創生は東京圏への人口集中を是正、魅力ある地域を再生し、地方圏への人口分散を進める内容だ。しかし、過去と同様、公共事業の大盤振る舞い、無秩序な補助金ばらまきが繰り返される恐れもある。国民主役の地方創生とは何か。島根大学名誉教授の保母武彦さん(73)に、松江市の自宅で話を聞いた。

 「地方創生の出発点は、日本創成会議が発表した人口減少予測の調査結果だ。2040年までに全国でほぼ半数の896市区町村が消滅する可能性があるという警告だった。この発表が国民に衝撃を与え、危機感を高めたことは評価できる。だが、前提となった人口推計に問題がある。10年時点までの都市、地方の人口移動の様相はその後、大きく変わった」

 過疎地と言われた各地の町村で、Iターン、Uターンによる人口流入が増えているという。

 「その底流には人生観の変化がある。明治以来、立身出世が是とされてきた。立身出世とは親を乗り越え、地域を乗り越えることだった。室生犀星が『ふるさとは遠きにありて思ふもの そして悲しくうたふもの』と詠み、故郷は夢破れても決して帰るところではなかった。高度成長期には、農村の若者たちが就職のため、大挙して大都市に向かった」

 「今や人口移動の潮目は変わった。若い女性と青年たちが農村に移住し始めている。東京の住みづらさから逃れ、人間らしい生き方を求めての移住だ。情報化が居住地域の選択肢を広げた。東京に住まずに、自然豊かな地方で子育てしたいと考える人が増えて当然だろう」

 「政府の地方創生は『地方中枢拠点都市』『地方中心市』『基幹集落』を設けて、創生事業を支援する。効率的に成果を上げるために、政府が支援地域を“選択”して財政と政策を“集中”する。これでは中山間地域などが選択の対象から外され、『農村たたみ』となる。国の食料自給率の視点がないのも問題。気になるのは、この方向が若い女性や青年たちの農村回帰の方向と一致しないことだ」

 「故宇沢弘文東大名誉教授はすべての人々の人間的尊厳、魂の自立、市民的権利の最大限の享受のためには、3種類の『社会的共通資本』が必要と説いた。大気、森林、河川、水、土壌などの自然資本、道路、交通機関、上下水道、電力・ガスなどの社会的インフラ、教育、医療、司法、金融制度などの制度資本だ。地方中枢拠点都市などの整備には、巨額の社会的インフラ投資が必要。3種類の社会的共通資本の均衡ある整備が重要になる」

 裾野の広い「富士山型」の国づくりを

 これまでの国づくりは経済効率を優先して、東京圏に一極集中する「高煙突型」だった。これからは富士山の裾野のように、美しく豊かで安定感のある地方を振興する「富士山型」の国づくりを推進すべきだと説く。

 「政府の地方創生ビジョンは『高煙突型』の弊害から、地方中枢拠点都市という『中煙突型』を広げるもの。だが、それも農村たたみだ。地域の伝統文化や歴史、地域の多様性を生かし、すべての住民が生きがい、働きがいを体感できる、肥沃な裾野を育てる『富士山型』の地域発展を考える必要がある」

 「裾野で大切なのは、集落・共同体。島根県雲南市に住む有機農業の草分け、佐藤忠吉氏(94)は、『集落にいる限り、最後の一人になっても誰かが面倒を見てくれる。自給と相互扶助、それが日本の社会の一つの安定ではないか』と振り返り、『今のように国の税収も少なくなり、お上が面倒を見てくれなくなると、もう一度、共同体の力を強めていくしかない』と語っている。カギは住民自身の行動にある。地域相互扶助機能の再建を地域創生の課題とすべきだ」

 地方創生の先進例は多い。

 「島根県では隠岐の島の海士(あま)町が全国的に有名だ。かつての青年団の仲間などが中心になって地域づくりに知恵を絞り、20〜30歳代などのIターン、Uターンで定住人口の増加に成功した。この10年間でIターンが482人、Uターンが314人。2340人の町人口の34%を占めるまでになった。都会出身の若者が地域資源を都市感覚で掘り起こし、活用している。海士町は神戸牛や松阪牛となる素(もと)牛の生産地だったが、肥育を開始し、肉牛を『隠岐牛』として直接、東京市場に高値で出荷するようになった。町内にある県立高校の『魅力化プロジェクト』を推進し、地域学習を通じて島の次世代が育っている。東京、大阪圏などからの『島留学生』も多い。定住人口が増えると、新しい情報がもたらされ、さらなる地域振興につながる好循環が生まれてくる」
 「兵庫県の旧・村岡町(現・香美町)はいち早く『子育て・子育ち』を町の総合計画の柱にして、子どもを中心に据えたまちづくりを始めた。おそらく全国で初めてだ。保育園から高校までの保護者会を結び、ふるさと教育を活性化した。高齢者と子どもの交流を学校教育に組み入れ、高齢者も元気になった。地方創生のヒントは全国各地にある」

(生活情報部 木戸純生)

 ほぼ・たけひこ 島根大学名誉教授。1942年岐阜県明智町(現・恵那市)生まれ。67年名古屋大学経済学部卒、79年大阪市立大学大学院経営学研究科博士課程習得。島根大学教授、副学長を経て、2006年退職。専門は財政学、地方財政論。著書は「公共事業をどう変えるか」「日本の農山村をどう再生するか」など多数。地域調査で全国を飛び回る。

[日経新聞1月24日夕刊P.5]

 

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コメント
 
01. 2015年1月31日 19:53:42 : 7a8TXN0KMU
何を寝ぼけたこと言ってるの。
都市化、過疎化の流れは必然、止めるのは無理。
自給自足覚悟なら田舎に行くのもよし、ただし、買うのは止めなさいよ、安く借りなさい。売るとき、都会に戻るときのことをよく考えましょう。

02. 2015年2月11日 11:20:48 : Xz4MCg18wA
共同体ってけっこう怖い

03. 2015年2月14日 21:49:34 : jKLb3Nexgk
人口密度が下がれば、公共交通機関は維持できない、サービス業はやっていけない、医療介護等インフラの整備も難しくなるなどいいことはない。
人口全体が減少するのだからむしろある程度集住する方向性が必要。

もちろん農業など第1次産業は広い土地が必要なので仕方ないが。


4. JohnMung 2015年6月04日 05:19:31 : SfgJT2I6DyMEc : SCHhzACDfw

発想の転換ができるかどうかが鍵ということですね❗


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