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そしてアップル黄金時代はまだ続く 「iDecade」――他社の追随を許さなかった10年 (BusinessWeek)
http://www.asyura2.com/09/it11/msg/428.html
投稿者 ダイナモ 日時 2010 年 1 月 07 日 20:00:53: mY9T/8MdR98ug
 

http://business.nikkeibp.co.jp/article/world/20100106/212003/

Arik Hesseldahl (BusinessWeek.com記者)
米国時間2009年12月31日更新 「Apple's iDecade」

 21世紀に入ってからの米国の10年間を振り返ると、いい出来事はあまりなかった気がする。

 思えば、滑り出しは希望に満ち、新たな千年期への期待にあふれていた。米国経済は活況を呈し、1999年の国内総生産(GDP)の伸びは6.1%、ダウ平均は1年間で2300ポイント上昇。失業率は4%にとどまり、米国は平和で、脅威の影は薄かった。

 しかし、状況は無残に一変した。米国はテロ攻撃を受け、2つの戦争に乗り出した。IT(情報技術)バブルは終焉を迎えた。その後、ごく短い回復期もあったものの、金融システムが崩壊寸前に陥り、大恐慌以来の深刻な経済危機に見舞われた。希望に満ちて幕を開けた2000年代の最初の10年は、色々な意味で悲惨だった。

 だが、例外もある。その筆頭が米電子機器大手アップル(AAPL)だ。同社の従業員、株主、ユーザーは、この10年間にたくさん楽しい思いをしたのではないだろうか。かつて、カナダの作家ダグラス・クープランドは、ロックバンドのR.E.M.を、「80年代に輝きを失わなかった数少ない存在の1つ」と評していた。この10年間のアップルについても同じことが言える。

暗い見通しが一変

 1999年末の時点で、アップルは弱小企業に転落する運命にあるように見えた。最盛期の1995年に110億ドル(約1兆210億円)あった売上高は、1999年には60億ドル(約5570億円)まで減少。米国パソコン市場でのシェアも、1991年の9.6%から、1999年には4%弱に落ち込んだ(関連資料)。2000年9月末には、同年7〜9月期の業績に関して同社が非常に厳しい見通しを示したのをきっかけに、株価が1日で半値以上も急落したこともあった。

 だがその頃、1996年に同社に復帰した創業者スティーブ・ジョブズ氏が、再び影響力を発揮し始めていた。同氏の復帰後に登場した製品には、1998年発売のパソコン「iMac(アイマック)」などがある。

 iMacは大反響を呼んだが、アップルが次に手がけた一大プロジェクトは、さらに大きな反響をもたらすものだった。2001年初頭に同社は、“ジュークボックスソフト”と銘打って、デジタル音楽の管理・再生ソフトウエア「iTunes(アイチューンズ)」をリリース。さらに同年10月には、携帯音楽プレーヤー「iPod(アイポッド)」の初代機を発売した。

iPodが世界を変えた

 「iPodが世界を変えた」と言うと大げさに聞こえるかもしれない。だが考えてみてほしい。1949年に米国の一般家庭が所有していたテレビの数は計200万台で、1959年にはこれが計4200万台になった。一方iPodは、2001年末時点では出荷台数はわずか12万8000台だったのが、 2009年末には累計で2億5000万台近くに達したのだ。これは一種の社会変革と言えよう。21世紀初頭という時代の象徴として、iPodほどふさわしい存在はほかにない。

 2003年にはiTunesに音楽販売ストアの機能が加わり、2005年には動画の販売も始まった。2008年には、音楽販売でアップルが米小売大手ウォルマート・ストアーズ(WMT)を抜き、世界全体の首位に立った。iTunesで販売された楽曲数は世界中で80億曲を超える。

 100年の歴史を誇る音楽業界は、iPodによる変化の波に飲み込まれた。1999年時点では、消費者向け音楽販売の市場規模は計390億ドル(約3兆6200億円)で、大半はCDだった。現在、市場規模は176億ドル(約1兆6300億円)で、CDは確実に衰退の道を歩んでいる。

 社会生活のみならず、政治の舞台でもiPodは欠かせない存在になった。選挙の候補者は、愛読書に加えて、iPodに入っている愛聴曲を尋ねられるようになった。

 バラク・オバマ米大統領は、エリザベス英女王にiPodを贈呈して周囲を驚かせた。外交の作法をわきまえない行為だとして批判の声も上がったが、以前の記事でも書いたように、申し分のない贈り物だったと私は思う(BusinessWeek.comの記事を参照:2009年4月1日「An iPod For The Queen? A Perfect Gift, Mr. President」)。

iPhoneがもたらした大変革

 iPodで音楽業界を一変させたアップルは、その数年後には、スマートフォン(多機能携帯電話)「iPhone(アイフォーン)」を発売し、通信業界を震撼させた。2007年発売のiPhoneは当初、iTunesの音楽や動画の再生用携帯電話だと思われていたが、しばらくすると、目を見張るほど便利なアプリケーション10万本が動作することが最大の魅力となった。

 確かに、iPhoneでは音楽も聴けるが、天気予報を確認したり、レストランを予約したり、新聞記事を読んだり、目的地まで道案内してもらったり、人気の音楽ゲーム「Tap Tap Revenge(タップ・タップ・リベンジ)」を地下鉄の車内で楽しんだりといった使い方もできる。iPhoneとその姉妹機「iPod touch(アイポッド・タッチ)」でダウンロードされたアプリケーションは累計で25億本に及ぶ。

 iPhoneの登場を機に、スマートフォンに対する消費者の期待は大きく様変わりした。こうした期待にいち早く応えようと、フィンランドのノキア(NOK)、米モトローラ(MOT)、カナダのリサーチ・イン・モーション(RIM、RIMM)をはじめとする数々の携帯端末企業が、タッチ式画面の搭載機などを投入。アプリを販売する独自のオンラインストアを開設した企業も多い。

 今や、スマートフォンは新時代のパーソナルコンピューターとなった。そして現在のスマートフォン業界は、1983年頃のパソコン業界と似た状況にある。パソコン市場で米マイクロソフト(MSFT)が築き上げたのと同等の地位をモバイル機器の世界で確立しようと、数々の企業がしのぎを削っているのだ。

 iPod、iPhone、iTunesの相乗効果がもたらす影響は、あらゆる形態のあらゆるメディアに及んでいる。ラジオ、テレビ、動画、出版といった業界から、携帯ゲーム業界(BusinessWeek.comの記事を参照:2009年5月17日「Will the iPhone Grab the Lead in Games?」)に至るまで、名の知れた企業の数々が、アップルの進出を少なからぬ脅威としてとらえている。望むと望まざるとにかかわらず、変化に飲み込まれるのは避けられないからだ。

 iPodを学習の補助機器として学生に配布する大学や、iPhoneを患者の治療に役立てる医師も出てきた(BusinessWeek.comの記事を参照:2009年3月23日「Paging Dr. iPhone: Tapping a Physician's Digital Reference」)。様々な「i」製品を、いたるところで目にするようになった。

Macも復活

 一方、アップルのパソコン「Mac(マック)」シリーズも息を吹き返してきている。初代機の発売から25周年となった2009年、米国パソコン市場でのMacのシェアは9〜10%程度で、過去20年間では最も高い水準にある。出荷台数は、1999年度の350万台から、2009年度(2009年9 月期)は1040万台と、約3倍に伸びた。

 だがそのアップルも、すべてが順風満帆だったわけではない。2000年に発売したパソコン「Power Mac G4 Cube(パワーマックG4キューブ)」はさっぱり売れなかったし、セットトップボックス「Apple TV(アップルTV)」も人気商品になっていない。ストックオプションの不正付与問題では、ジョブズ氏が同社の経営から身を引かざるを得なくなるのでは、との懸念が一時期持ち上がった。

 ほかにも、2004年に判明した同氏のすい臓ガンと、2009年に受けた肝臓の移植手術をめぐって、アップルでの長期的な職務の可能性について不安説が取りざたされた。しかし、2009年前半に半年間の療養を経て復帰した後、9月に初めて公の場に姿を見せたジョブズ氏は、痩せてはいたが、相変わらず精力的だった。

 同社の株主からも、この10年間についての不満はほとんど聞かれない。1997年当時、落ち目にあったアップルについて、あなたならどうするかと聞かれた米デル(DELL)の創業者マイケル・デル氏は、「会社を廃業し、株主に金を返す」と答えていた。仮に、1997年の暮れにデル株を1000ドル分購入していたら、現在は1360ドルになっている。一方、同じ頃にアップル株を1000ドル分購入していたら、現在は4万5000ドルの価値になっている。

 コンピューターの販売台数で見れば、デルの方がアップルより3〜4倍多いが、1台当たりの利益で見れば、アップルの方がずっと多い。2009年 7〜9月期のアップルの粗利益率は36.6%で、デルの倍以上だ。12月31日時点のアップルの時価総額は1900億ドル(約17兆6334億円)で、デルのほぼ7倍だ。

マイクロソフトを置き去りに

 2000年代に入った頃のアップルには、マイクロソフトに敗北した観があった。1997年にマイクロソフトから受けた1億5000万ドル(約 139億円)の出資は重要な頼みの綱となったが、同じく重要だったのは、マイクロソフトが統合ソフト「Office(オフィス)」のMac版の開発を続けると約束したことだ。

 現在でも、マイクロソフトの基本ソフト(OS)「Windows(ウィンドウズ)」は世界中で大きなシェアを持つが、それ以外の面では、今やマイクロソフトはアップルの敵ではない。

 スマートフォン市場を先導したいとの思いで、マイクロソフトは7年間にわたり悪戦苦闘を続けてきたが、市場の制覇にはほど遠い。米調査会社ガートナー(IT)の調べによると、スマートフォン向け基本ソフト市場でのマイクロソフトのシェアは8%弱で、下落傾向にある。一方、アップルのシェアは17%強で、さらに上昇しているという。同市場でアップルは、RIMの「BlackBerry(ブラックベリー)」、ノキアの「Symbian(シンビアン)」に続き、第3 位につけている。

 現時点でアップルを脅かす有望株と言えるのは、スマートフォン向け基本ソフト「Android(アンドロイド)」を推進する米グーグル(GOOG)だ。アンドロイドは1年間で3.5%の市場シェアを獲得。両社の競争は、今後数年間のIT業界の覇権をめぐる決戦の場となりつつある。

 アップルはこの10年間で、ビジネスを大きく転換し、メディアやIT業界全体を巻き込む大変革をもたらし、成長著しいモバイル界でも主導権を握った。こうした点をふまえると、2000年以降の10年間(decade)は、今後、「iDecade(アイディケイド)」として記憶されるのではなかろうか。しかも、アップルの時代はまだまだ続きそうだ。

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