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大津波に奪われた“穏やかな余生”は取り戻せるか 牡鹿半島で“陸の孤島”となった「特養」の壮絶な闘い
http://www.asyura2.com/09/jisin16/msg/838.html
投稿者 sci 日時 2011 年 4 月 05 日 09:46:45: 6WQSToHgoAVCQ
 

http://diamond.jp/articles/-/11742
【第266回】 2011年4月5日
著者・コラム紹介バックナンバー
加藤順子 [ライター、フォトグラファー、気象予報士] 
【東日本大震災・現地レポート】
大津波に奪われた“穏やかな余生”は取り戻せるか 牡鹿半島で“陸の孤島”となった「特養」の壮絶な闘い 

 ゴゴッ、ゴゴゴッという地鳴りに身構える…。

 宮城県石巻市の牡鹿半島の取材中に何度となく体験した余震は、他で経験したのとは違う不気味なものだった。

 仙台湾の北端にある牡鹿半島は、3月11日に起きた東北地方太平洋沖地震の震源に向かって突き出たところにある。不気味な地鳴りは、他の地域に比べて震源域に近いせいだろうかと思ってしまう。
入居者にあわせ、津波を逃れた避難者も
定員の倍120人が暮らす「特養」

「地震の当日は、どーんと突くような衝撃だった。ここは岩盤が固いから揺れが少ないと言われるが、半端な揺れではなかった。そこからは地獄。歩けなかった。今も大きな余震が続くが、これくらいの地震の地鳴りにはもう慣れてしまった」
おしか清心苑の鈴木静江施設長。入居者から職員までの状態に目配りを続ける。自身が住んでいた鮎川の住居も津波で破壊された
Photo by Yoriko Kato

 そう語るのは、特別養護老人ホーム「おしか清心苑」の鈴木静江施設長だ。鮎川地区の高台から三陸の海を臨む同ホームには、震災前には入居者がほぼ定員の60人ほどいた。全て、寝たきりや認知症で重度の介護を要する平均で85歳の高齢者たちだ。

 そのホームで今、地元の鮎川浜のグループホームから避難してきた高齢者16人と職員6人、その家族、そして、家を失ってしまった清心苑の職員たちが加わり、定員の倍の120人ほどが暮らしている。

 牡鹿半島は津波でほぼすべての集落が壊滅状態となったため、周囲の特養ホームは、施設ごと流されてしまったところも多い。

「とにかく電気とガソリンが欲しい。暗いとお年寄りが不安がります。身体を拭いてあげたいが、寒いのでそれもできない。職員が家の様子を見に行くこともできない」(鈴木施設長)
次のページ>> ライフラインの全てが寸断された“陸の孤島”

「無事」さえも伝えられない不安な日々
ライフラインの全てが寸断された“陸の孤島”

 被災から2週間。石巻の市街地には物資がやっと入り、電気や水道が少しずつ復旧し始めていたが、同ホームが外界とつながっていたのはガタついた県道と、前日につながり始めたドコモの携帯電話の電波のみ。自衛隊が運んできた支援物資でやっとしのいでいた。

 同ホームへたどり着くまで私が見た半島の様子は、港湾施設から住宅までのすべてを失った集落が延々と続く光景だった。遺体捜索をする警察と、わずかなメディアクルー、そして知人を探しに来た人以外にはすれ違わなかった。電柱は、ほとんどが津波になぎ倒され、電話・電気・水道・ガスのどれひとつとしてまだ復旧のめどすらたっていないと思われた。

「大きな地震が来たら、きっと陸の孤島になると思っていたら、本当に孤立してしまった。ライフラインの全てが寸断された。被災直後、入居者も職員も無事であると外部に伝えたかったが、連絡する手段がなくなった」

 と鈴木施設長はいう。同ホームでは、地震や津波を想定して、日頃から備蓄の確認や防災訓練を欠かさなかった。特に、NTTの災害用伝言ダイヤル「171」に現状を知らせるシミュレーションは月に1回のペースで行っていた。ところがその「171」が本番ではつながらなかった。

「何度かけても『被災地以外の人は使えません』とアナウンスが流れたんです。そのうちに、バツンと回線ごと切れた」

 とにかく入居者全員の無事を知らせ、SOSを求めたい。固定電話も携帯電話もつながらないため、メディアが飛ばすヘリコプターが来るたびに、メッセージを捉えてもらえるよう、ボードに大きくSOSを書いて振ったが、通じなかった。

 ラジオからは「清心苑の●●さんが無事かどうか連絡ください」というメッセージが聞こえてくる。でも、それに答える手段が何一つなかった。ラジオでは隣の女川町と雄勝町が全滅だと言っていた。自分たちも存在を把握されていないのではないかと不安な日が続いた。
次のページ>> お年寄りの食料備蓄が不足 職員が食べやすく加工をするも…

お年寄りの食料備蓄が不足
職員が食べやすく加工をするも…

 被災から1週間ほど経ったころ、ようやく道路が通じ、近くのガソリンスタンドまで、まず灯油を買いに走った。「暑さ寒さも彼岸まで、というけれど、今年は寒い。3月下旬になってもまだ雪が降っているなんて信じられない」。取材したその日も、雪あられが降る寒さが続いていた。

 足りないのは燃料だけではなかった。お年寄りの食料の備蓄そのものが不足していた。自衛隊に運んでもらったガスボンベで米を炊き、おかゆを作るが、バランスのよい食事ができない。物資に多いカップラーメンはお年寄りが食べられないため、実質的には備蓄は米と缶詰だけ。しかし、普段から食べる力が弱っている高齢者に、慣れない食べ物を口にしてもらうだけでもひと苦労なのだ。
調理時の加熱で少しでも暖をとるため、みんなが集まる共有スペースに厨房からガスボンベと調理用具を移動させていた
Photo by Yoriko Kato

「そもそも、こまかくしてミキサーで細かくしてあげないといけないのですが、電気がないからミキサーが使えない。相当な人数分を手でみじん切りにしています。また、水分をあげてもむせるのでとろみをつけるなど手間をかける必要があります」

 それでもお年寄りたちは、食べたくない、と受けつけてくれない。普段なら、食欲の湧かないときには大福やそうめんなど、好きな食べ物で栄養を補給することもできるが、今はそれもかなわない。

 鈴木施設長は「被災から1週間くらいはそれまで食べてきたものの蓄積が身体に残っているが、それ以上経ってしまうと、自分から食べたり飲んだりしないとしっかり栄養が摂れない」と心配する。
「災害弱者」のお年寄りを守るため
静かで落ち着いた空間を作る職員たち

「私はね、ご入居の皆さんには言ってるんです。こういう不自由な状況は長く続かないからね、今が一番ひどいからだんだんよくなるよ、って。でもね、お年寄りの方は分かってる。ひと月くらいは続くだろうって」(鈴木施設長)

 牡鹿半島の高齢者は、1960年のチリ地震津波や1978年の宮城県沖地震の体験者だ。認知症で入居している人でも、「怖い出来事」として記憶している。
次のページ>> 1日2回、おかゆをすすりながら介護に働く職員たち

 今回の被災後、職員が情報を得るために流していたラジオから、地震や津波の状況が耳に届いてしまって、「自分の家が流された」「家族が行方不明なのでは」と混同し、不安がる入居者もいる。チリ地震津波など、以前にあった恐ろしいこと(地震、津波)で、それがまた大きな規模で繰り返されている、という反応を示しているという。

「津波っておっかないんだどー。ざぶん、てくるけど、引いてくときには全部持って行く」

「津波くるとさらわれる」

 鈴木施設長にそう語る入居者もいるそうだ。

「ここにいるお年寄りたちは、避難所には行けません。危険が身に迫っていても、察知することも、自分の身も守ることもできないからこの施設に入っています。人生の最終地点として、余生を過ごすためにここにいるのに、災害とは酷なものだなって思います」(鈴木施設長)

 こういった自分の力では避難できない「災害弱者」が被災するとき、その傍らには支える人も同時に存在する。
被災した日から付けられた×印。夢中で奮闘していると曜日も経過日数もわからなくなってくる
Photo by Yoriko Kato

「職員も家族を失ったり、家が流されたりしたのに、ガソリンがないので車で様子を見に行くこともできない。ずっと泊まり込みで仕事をしてストレスがかかってきています」

 電気の復旧していない同ホームでは、被災後2週間経ったその時でもラジオだけが最新情報を得る手段だった。寒くて薄暗い高台の孤立施設で、周辺の詳しい状況を把握することも、施設の復旧のめども知らされることもないまま、夜明けから深夜まで勤務する暮らし。1日2回、おかゆをすすりながら高齢者の介護に働くホームの職員は、そんな状況にあっても静かで落ち着いた空間を必死に守っていた。

 最低限の清潔な状態を保つために、入居者の身体を拭く清拭にも、体位を変えるためのエアマットの電気が必要となる。「今は十分に体位交換ができないので、お年寄りたちの皮膚の状態がよくない」と鈴木所長は訴える。

 災害時要援護者が暮らす施設へのライフラインのいち早い復旧と、暮らしを支える職員の足となるガソリンの支援。孤立した被災者の不安や苦しみがこれ以上長引かないよう、1日1日と軽減されるように願っている。

(ライター 加藤順子)  

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コメント
 
01. 2011年4月05日 16:00:38: XRxQHM8DUA
穏やかな余生? まだそんなタワゴトをいってるのか?
もともと飽食の人生だったんだ。いい加減にしろ。
強欲爺婆ども。

02. 2011年4月11日 18:58:52: 4jl9aN0MYU
そういうことを言うな。

一度でも実際に、そういう施設に足を運んだことがあるのか?

申し訳ないが、単純に腹が立つ。 by 現役介護職員


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