【喪失　大震災から１カ月】（上）首都圏パニックは何だったのか　疑心暗鬼が「危機」起こす
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110409/dst11040919360059-n1.htm
2011.4.9 19:34　：産経新聞

　揺れが収まるのとほぼ同時に爆発音があった。千葉県市原市の金融機関に勤める桑折雅彦さん（２７）は職場の外へ出ると、数キロ先にあるコスモ石油の巨大な液化石油ガスタンクが炎上し、爆風が全身を覆った。空へと燃え上がる黒煙…。あの瞬間、「何か大変なことが起きた」と悟った。

　数日後、妻（２７）と千葉市の自宅からスーパーへ走った。レジには行列ができていた。２リットル入り飲料水６箱（２４本）、カセットコンロ用ボンベ１５本、菓子パン１０個、カップ麺５、６個を３０分並んで買った。

　「棚から持ち去られていく様子を見ていると、保存できるものは何でも買っておかなければという気になった。モノを少しでも手元に置いておきたかった」

　東日本大震災後、被災地から数百キロ離れた首都圏で起きた食料品や日用品の買いだめ。ガソリンスタンドでも行列ができた。

　消費者庁によると、関東圏向けのガソリンと軽油はすでに、３月２１日から平年並みの出荷量へ戻っている。飲料水は放射性物質（放射能）の影響で依然として平時の８倍の需要があり品不足が続くものの、食料品は納豆やヨーグルトなど加工工場の被災や計画停電のため減産が続く食品を除き平常に戻りつつある。

　桑折さん宅の冷蔵庫わきには、ペットボトルや保存食が山積みになっていた。

　「妻と『正直、むだに買いすぎたかもしれない』と話すことはある。あれは一体何だったのだろうと思うこともある。われを失っていたのかもしれません」

■供給増も追いつかず

　首都圏の大手スーパーが震災５日後の３月１６日、食料品と日用品３０品目について需要と供給の状況を調べた。飲料水の需要は平時の３１倍に上り、パスタは２７倍、カップ麺は１４倍、米は１０倍。日用品ではボンベが３０倍、乾電池が１６倍だった。

　一方で、供給も飲料水が２・５倍、パスタが３・６倍、カップ麺が２・７倍、米が２倍など大半が平時を上回った。もし、あのとき消費者が冷静に行動していれば、品不足が起きることはなかったといえる。

　新潟青陵大学の碓井真史教授（５１）＝社会心理学＝は「互いの疑心暗鬼から買いだめといった行動を取ってしまう。スーパーへ行くと品薄になるのではないかと感じ、さらに報道などの情報で裏づけられると、行動が行動を呼んでしまう。特に首都圏は人口が多いため、一部が動くと連鎖が起きやすい」とし、こう続けた。

　「そもそも、モノが作れなくなったわけではなく、わが国は生産力も備蓄もある。本当の危機ではないのに危機を起こしている」

　同じ大手スーパーが今月４日に再び調査したところ、買いだめが一巡したため、米とカップめんの需要は震災前の３割減、２割減に落ち込んでいた。トイレットペーパーとティッシュペーパーも１割減だった。

■ベランダへ戻る洗濯物

　洗濯物がベランダの物干しざおに翻っていた。東京都中野区の高台にある一戸建てで暮らす主婦（３６）は震災後、放射能から自衛するため洗濯物を屋内で干し、外出時は帽子とマスクを身につけていたが、３週間でやめた。

　主婦は「あのときは新聞やテレビ、ブログ、ツイッター、ママ友の話…とさまざまな情報があふれ、何を信じていいのか分からなくなっていた」と振り返る。

　東海道新幹線は当時、放射能を恐れ西へ自主避難する母子で「疎開列車」と化したが、小学校や幼稚園の新学期をきっかけに多くが首都圏へ戻りつつある。

　むろん東京電力福島第１原発の事故はいまなお危機的な状況が続いている。妻（２９）と生後８カ月の長男が滋賀県の妻の実家へ避難する都内の会社員、内野太郎さん（３２）は「目に見えない不安がある。子供のことを考えると危険は避けたい」と話す。

　東京女子大学の広瀬弘忠元教授（６８）＝災害・リスク心理学＝は「買いだめにせよ放射能からの避難にせよ、政府が『冷静な行動を』と呼びかけたことが意図とは逆に集団心理をあおった。こうした際に倫理的な呼びかけは逆効果なだけで、政府は買いだめや避難をしなくても大丈夫であることを裏づけるきちんとしたデータを示し、論理的に人々を安心させることが重要だった」と指摘する。

　　　　　◇

　戦後６５年間で最大の国難をもたらした東日本大震災。１カ月という時間を経て、われわれは今、どんな場所に立っているのだろうか。発生から１週間に続き、考えてみたい。

　●体験や意見をお聞かせください

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コメント
01. 2011年4月10日 03:17:13: ETU4MaSquE 少々は買え。備蓄だ。生き残るためだ。正気になれ。 勿論、人にも分けてあげないとだめだ。皆で生き残る。
02. 2011年4月10日 04:18:23: WfLRElI86w 産経はまだパニックがおさまっていないこともわからないのか。 意見など聞く耳も持たないのに何を書いてる。
03. 2011年4月10日 05:20:58: XLlzUg85P2 回復のためには 今、首都圏・関東圏の観光地や都内の飲食店には閑古鳥がないており、このままいけば壊滅する事態になるかも知れません。 ＜日経報道＞ １）『このままでは鬼怒川温泉が無くなってしまう』 震災直後から宿泊客が激減し売り上げは例年の９割減という例が珍しくない。 ２）『草津温泉（群馬県草津町）も震災後の客数は９割減』 ３）『神奈川県箱根町でも「例年３月は170万〜180万人の観光客が訪れるが今年は３分の１」。 ４）ＪＲ東京駅丸の内南口前にあるはとバス（東京・大田）のバス発着場は閑散としており乗客は９割減。 外国人客向けに通常１９あるコースを１つに絞ったが、定員約４０人に３〜４人しか集まらない。 今、外人が来ないのは仕方ないにしましても、東京都民１０００万人が委縮し不安を抱き、消費・レジャーどころではなくなっているのが原因です。 この都民の委縮の原因に放射能問題、停電等もありますが、もっと大きな原因があります。 東京の「シンボル」が消えているのです。 東京タワーです。 都民なら夜、東京タワーが見えればどこか安心していたのも事実です。 今日はどの色に変わるのか？今日は曇って見えないけど明日は見えるかな？と。 地震・放射能は防げませんが、東京を元気づけるために【東京タワー】のライトアップを早急に実施するべきだと言えます。 唯一明るい『灯』となり、次第に東京都民が明るさを取り戻すきっかけになるかも知れません。 勿論、次回、福島原発が水蒸気爆発をおこし膨大な汚染物質を東京にばら撒き、東京が死の街になるかも知れませんが、それでも東京の、そして東京都民の心も拠り所として【東京タワーの灯り】があれば、 どれだけ心が助かるでしょうか？ 東京タワーのライトアップを早急に実施するべきだと言えます。 http://blog.livedoor.jp/nevada_report-investment/archives/3671988.html
04. 2011年4月10日 07:57:33: IFDaxKAZbQ 夏の旅行は、西の方へと「能無し総理」が言ったらしいですね。 群馬の知事さんが抗議したらしいですが、「電力の事で、放射能の事ではない」と政府が釈明しても、もう遅いでしょう。 一度口から出ると、言霊の国ですから一人で言葉がどんどん勝手に歩いて行って、「違う」と叫んでも後の祭りです。本当にあの男は（菅総理）国民に対して物を言うのに考えもなしに言ってしまって、国民に大迷惑を掛けるようです。 国民に自粛しないようにと言っても、国民の大多数の国民の心も震災と原発の被害を受けた方達を思うと、春になって桜が咲こうが、華やげるものではありません。 私も観光地に暮らしていますが、観光客の人数は落ち込むばかりです。外国からの観光客で何とか頑張っていましたが、今は来ていないので大変です。 いっそあの、余計な言葉を発する総理が変わってくれれば、復興も順調にいくのではないでしょうか。
05. 2011年4月10日 17:31:28: 46w3JZnMQY 親米利権政治家、マスコミや東電、御用学者、二流芸能人、そして、テレビに洗脳されている人たちに言いたい。パニックを起こしているように見える人たちは、生きるために当たり前の行動をしているだけだ。あなたたちが現実を見ないでいる間に、最悪の事態が訪れるだろう。東京が滅亡し、日本経済は崩壊、罪のない多くの住人たちが放射能を浴びて被ばく死するということだ。今の、政府やマスコミや東電の、後手後手に回った対応では、間違いなく訪れる未来だ。昔の広島や長崎のように、放射能で、血を吐いて倒れる人たちや、水を求めて行き倒れる人たち、脱毛や吐き気や倦怠感など体調不良を訴える人たちなど、いつもとは違う地獄絵図が、街のあちこちで見られることになるだろう。あなた自身が、それにまきこまれていいのか。あなたが本当に生き残りたいのなら、愛する家族を守りたいのなら、危機感をしっかり持ち、安全な地域へ避難することだ。
06. jesusisinus 2011年4月11日 05:33:08: veLsqfdw2ggms : oAV5LSClNA 今回は、少なくとも、自分が見ている範囲では、年初の福袋やオイルショック時のトイレットペーパーみたいなパニックはない… しかし、政府の発表とメディアの煽りを見ると不安になる… 震災直後は、水もあったし、米もあった… ウチの女房は、備えがないため、余震を恐れて水を買ったが、それだけ… 余震や停電を鑑みて、自分は普段は食わないカップラーメンを１０個くらい買ってきたから、「誰が食うんだ…」と半分ムカつきつつ、夜食にカップラーメンを食ったら、次の日に怒られた！「非常食だ！」と… 翌々日くらいには、年配の人が１０ｋｇの米を買っていく… ウチは５ｋｇでも十分持つのだが… ウチの女房は、最初の頃、卵を１０パック買っていく人を見たという… 玉子焼きにして冷凍するのならまだ良いが、玉子のままぢゃもたない… しばらくすると、野菜が全然余っていて、売れていない…。 ブロッコリーはアメリカ産と表示…。 家内は言う…「信用は出来ない…」。確かに偽装表示はあったからなｗ 震災前までは高値であった野菜も今は安くなっている… まるで、売り惜しみをしていた野菜が一挙に市場に出てきたいみたいだ… 飲食業で働いていた身としては、震災前の値段にもかなり疑問を感じている… 玉ねぎの高沸は、海外だっただろ！ しかし…セリは国内の業者に限定されているはずだ… 確かに市場の原理ではあるし、農作物が売れれば、農協や市場も儲かるからなｗ しかし…売れなくなれば「生活が…」かよ… 農家も、北関東では、風評被害を被ったところも、ボランティアの支援で助かっているところもあるだろ… 農家も、もう一回、国民に出来ることを考えろや！

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