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被用者年金制度の一元化法を構成する「恩給期間を追加費用対象期間とする項目」の違憲性について
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投稿者 松岡竹童 日時 2013 年 10 月 10 日 09:45:12: 6feYd/iNgrqtw
 

被用者年金制度の一元化法を構成する「恩給期間を追加費用対象期間とする項目」の違憲性について

敬老の日に、米寿の祝い金の代わりに被用者年金制度一元化法に係る共済年金10パーセント減額通知を受け取り苦笑した。減額は恩給期間のある退職者に限られ、且つ恩給期間の長い高齢者程より高率の減額を課している点に不条理を感じる。年金は高齢者の唯一の糧であり、高齢者の既得権剥奪を先行させるような改革は敬老の日を形骸化するものである。第180回通常国会解散間際のどさくさに紛れて、当時の民主党議員の中でも反対者が多かった被用者年金制度一元化法を平成24年8月10日に成立させた愚鈍な野田佳彦君の面影が頭を過ぎった。

平成24年8月22日に「被用者年金制度の一元化等を図るための厚生年金保険法等の一部を改正する法律(平成24年法律第63号)」(以下一元化法という。)が公布された。一元化法の主要項目は下記6項目から成り、(1)から(5)の施行日は平成27年10月1日であり、(6)の施行日は平成25年8月1日である。
(1)厚生年金に公務員及び私学教職員も加入することとし、2階部分の年金は厚生年金に統一する。
(2)共済年金と厚生年金の制度的な差異については、基本的に厚生年金に揃えて解消する。
(3)共済年金の1・2回部分の保険料を引き上げ、厚生年金の保険料率(上限18.3%)に統一する。
(4)厚生年金事業の実施に当たっては、効率的な事務処理を行なう観点から、共済組合や私学事業団を活用する。また、制度全体の給付と 負担の状況を国の会計にとりまとめて計上する。
(5)共済年金にある公的年金としての3階部分(職域部分)は廃止する。公的年金としての3階部分(職域部分)廃止後の新たな年金については、別に法律で定める。
(6)追加費用削減のため、恩給期間に係る給付について本人負担の差に着目して27%引下げる。ただし、一定の配慮措置(減額率の上限は恩給期間も含めた共済年金全体の10%とする。)を講じる。

問題とされるのは上記項目の(6)である。共済制度発足に当たっては、恩給期間に係る給付についても共済年金として支給することとされた。この決定に対しての追加費用削減の考え方は、恩給期間の本人負担は2%であり、共済制度発足当初の本人負担4.4%より低いことから、事業主(国・地方公共団体)負担を合わせた負担に見合って27%減額することで、事業主の追加費用を削減しようとするものである。つまり、恩給期間を追加費用対象期間とするものである。然しながら、追加費用は共済年金発足前に関する雇用主責任による恩給の支払い代行に過ぎず、年金原資に公費を投入することによる官民格差ではない。また、共済年金支給水準の妥当性の問題とは別筋のものである。立法裁量権を逸脱したものである。

地方公務員の場合は現在の地方公務員共済年金制度(地共済法昭和37年12月施行)創設時に、国家公務員の場合は(国共済法昭和34年10月施行)創設時に、恩給期間を共済期間と見做したことについては社会的なコンセンサスが出来ており、当時の公務員に全く責任がないことは自明の理である。50年以上も経過した後になって、法の不備を当時の公務員に転嫁して、追加費用削減という名目で一方的に共済年金の減額を実施することは条理に悖る措置であり且つ憲法29条で保障する財産権の侵害にあたるものである。更に、恩給期間の長い高齢者にとっては死活問題となる暴挙であり法律不遡及の原則に反するものである。

恩給期間に於ける公務員の給料は民間会社の給料に比べて格段に低かったことは周知の事実であり、公務員は老後に安定して受給できる恩給を心の支えとして低い給料で我慢してきたのである。 当時の社会的な背景を全く考慮することなく、平均寿命を超えた老人は早く死ねと言わんばかりの年金高率削減の法令は、戦後の復興に貢献してきた後期高齢者の心に壊滅的なダメージを与えるものであり、福祉国家を志向する法治国家の法令とは言い難い。因みに、恩給期間のある後期高齢者の共済年金は、一元化法に基づく高率減額に更に加えて、後述の特例水準の年金額を本来水準の年金額に戻すため、差分である2.5%の減額が段階的に実施されることになる。

ここに、法律不遡及の原則とは、「新たに制定されたり、改正された法律が、その施行以前の関係にさかのぼって適用されないという原則」であり、そうでなければ、既得権を害したり、過去にされた予測を裏切ったりして、法的安定性が害されることになるからである。特に刑罰については、「事後法の禁止」として、日本国憲法39条で厳格に遡及効が禁止されている。その他の領域では絶対的なものではなく、立法政策上遡及効が避けられているが、既得権を害しない場合とか、既得権を害しても新法を遡及して適用するのが妥当であると考えられる場合には、この原則が破られることがある。戦後の家族法の改正は、妥当性が容認されるあとの例である。

なお今般、国民年金等の一部を改正する法律等の一部を改正する法律(平成24年法律第99号)の施行により、本来水準より2.5%高い特例水準の年金額を、世代間公平の観点から、本来水準の年金額に戻すことになった。具体的には、平成25年10月から平成27年4月にかけて、差分である2.5%の減額が段階的に行なわれ、平成25年10月に1.0%、平成26年4月に1.0%、平成27年4月に0.5パーセントそれぞれ減額されるスケジュールとなる。これも妥当性が容認されるあとの例であると思料される。然しながら、上記項目(6)の、恩給期間を追加費用対象期間として年金の高率減額をする条項には、既得権を害してまでも新法を遡及して適用する妥当性は皆無である。よって、2.5%の減額は受忍できるが、恩給期間の長い高齢者に対する終生に亘る10%の共済年金減額は絶対に受忍できない。

高額所得者の資産を社会還元させることは、資本主義経済の健全な発展に必要不可欠であることは論を俟たないが、敬老精神の欠片も持ち合わせていない法匪連が作成した、被用者年金一元化法の主要項目の一つである「公務員の恩給期間を追加費用対象期間とする項目」に係る規定は、資産を含め実質的な経済力を考慮することなく恩給期間だけを基準に高所得者とみなし高率の年金減額を終生に亘り実行するものであり、権利を侵害されても反発力の少ない後期高齢者を犠牲者に選び且つ標的とした卑劣極まる悪法である。高齢者蔑視の思想は「明日はわが身」として若年者の年金離れを加速させ年金制度の崩壊を招く結果となる。

よって、恩給期間を追加費用対象期間として共済年金を減額することは、下記3項目記載の理由により立法裁量権を冒涜するものである。
1.追加費用は恩給制度にもとづく費用であり、恩給期間を共済期間と看做す事については、当時の時代背景下において社会的なコンセンサスが出来ていたものであり、50年も経過した後に一元化を理由に減額することは法律不遡及の原則に反する。
2.受給権を本人の承諾無しに減額することは財産権(憲法29条)の侵害である。
3.恩給の減額でありながら、軍人恩給が除外されておるのは、法の下の平等(憲法14条)に反する。

具体的には、一元化法により、追加費用対象期間(恩給期間)に係る共済年金について平成25年8月分(10月定期支給期分)から年金の減額が開始される。減額率は概算で、70歳で1%・75歳で5%・80歳で8%・88歳以上で10%の減額となる。老い先の短い、体力・気力の衰えた後期高齢者を標的にして、年金の大幅な減額を実施するなど人間のやることではない。恩給期間を追加費用対象期間とするが如き不条理な立法をした法匪連に「速やかに敬老の日を廃止して、恩給期間に係る追加費用削減のための後期高齢者安楽死促進法を立法・公布・施行すべし。」と提言したら、我が意を得たりと喜ぶことであろう。

高齢者を日本経済の癌細胞と考える小泉純一郎・竹中平蔵両君の思想を源流に持つ被用者年金一元化法は、国会の良識により廃案化されていたにも拘わらず、愚鈍な野田佳彦君の鼬の最後っ屁によって、国会解散間際のどさくさに民自公の三党合意により蘇った。年金だけを頼りに生活設計を立てていた高齢者にとっては、正に現代の楢山節考である。長生きして悪かったと高齢者に言わせるようでは日本の未来はない。

そこで今後の対応策であるが、一元化法は上述のとおり、法律不遡及の原則に違背して憲法29条で定められた財産権を侵害する規定を含んでおり、当該規定は憲法98条によりその効力を有しない。よって恩給期間を追加費用対象期間とすることで減額された共済年金については、憲法17条の規定に基づき、国家賠償法による救済を提訴の予定である。

なお、共済年金を所管する行政官庁は、国家公務員の共済年金は財務省、地方公務員の共済年金は総務省、私立学校教職員の共済年金は文部科学省である。

http://www12.bb-west.ne.jp/matuoka/
 

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