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(回答先: メキシコ湾の油田施設【地図画像】 投稿者 ピノキ 日時 2010 年 5 月 14 日 04:58:29)
http://topics.jp.msn.com/life/environment/article.aspx?articleid=500638
2011年1月31日 18:08 (ナショナルジオグラフィック)
イギリスの大手石油会社BPの石油掘削基地で起きた爆発事故により、メキシコ湾には大量の原油が流出した。その原油を分解するため投入された大量の化学分散剤が、何カ月にもわたって深海に残留していることが新たな研究で判明した。
アメリカ当局は約300万リットルの分散剤を水深約1200〜1500メートルの海底にあるディープウォーター・ホライズンの油井に直接注入するという前例のない措置を取った。分散剤のほとんどは2010年5月と6月に投入され、7月には油井が封鎖された。
分散剤の効果は未知数だったが、新たな分析結果から投入した場所とほとんど同じ場所に数カ月間残留していると判明した。油井から噴出した原油とガスのプルーム（流出物）に捕らわれているという。
「分散剤は水深900メートル以上の深海層に残留している」と、この研究を率いたカリフォルニア大学サンタバーバラ校（UCSB）で微生物地球化学を研究するデイビッド・バレンタイン氏は話す。「油井が封鎖されてから3カ月にわたって分散剤を観察してきたが、深海に投入された分散剤はすべてプルーム内に残留している。しかも、それだけではない。分散剤の生分解が予想されたほど早くは進んでいなかった」。
「調査後の正確な状況は不明だが、希釈によって分散剤の濃度は低下している」とも同氏は付け加えている。
今回の調査で、チームは分散剤の主成分の1つジオクチルソジウムスルホサクシネート（DOSS）を手掛かりに、原油や天然ガス、分散剤が混ざった深海のプルームがメキシコ湾を南西に移動していく様子を追跡した。
4月から7月にかけて投入されたDOSSは重さ約290トンにも及ぶ。この成分の割合は分散剤全体量のわずか10％にすぎないため、気が遠くなるような恐ろしい数字だという。
さらに、海面に散布された分散剤約530万リットルはこれらの数字に含まれていない。なお、初期の実験から、海面の分散剤が深海の分散剤と混ざることはないと示されている。9月になっても、油井から約320キロも離れた地点で高濃度のDOSSが検出された。
当然ながら、分散剤の海中濃度は油井付近で最も高かった。そこから遠ざかるにつれて、時間とともにメキシコ湾の海水と自然に混ざり徐々に薄まっているという。
テキサス工科大学の生態毒性学者ロナルド・ケンドール氏によれば、分散剤の成分は公開されず、大量に使用されるまで科学者ですらわからなかったそうだ。「分散剤に関してどれほど無知だったか、環境への影響を予測する上でどれほど知識が限られていたかが今後続々とわかってくるだろう」と同氏は指摘する。「生態系への影響もまったくの未知数といえる。大規模な実験を先に行い、次々と判明する結果を待っているようなものだ」。
新しいデータが得られれば、サンゴやマグロなどの海洋生物がどの程度まで分散剤に被曝したかを把握できる。予備研究では既に深海サンゴが深刻な影響を受けたと明らかになっている。
ケンドール氏は深海生物への影響を懸念する。独特の進化を遂げてきたため、多くの場合環境の急激な変化に対して影響を受けやすい。「深海生物は、高水圧、低酸素、太陽光の届かない環境で独自の能力を発達させて生き残ってきた。苛酷な環境ではあるが、変化はおそらく乏しい。そこに化学分散剤が突然押し寄せたら、どうなるだろうか。まったく予測がつかないが、深刻な事態を心配している」。
もちろん、原油自体も環境に影響を及ぼすため、分散させなければ事態は悪化するだろう。そのため、化学分散剤の大量使用は、「bad（悪い）」と「worse（さらに悪い）」のどちらかを見通しが立たないまま選ぶしかない厳しい決断だったとバレンタイン氏は述べている。「この決断がベストだったかどうかはこれから審判が下されるだろう」。
研究の詳細は、「Environmental Science ＆ Technology」誌オンライン版に1月26日付けで掲載されている。
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