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疲労や「死の意識」で脳が「保守化」:研究結果  WIRED VISION  昼食前の仮釈放は絶望的
http://www.asyura2.com/09/nature4/msg/614.html
投稿者 ダイナモ 日時 2011 年 4 月 23 日 21:06:48: mY9T/8MdR98ug
 

http://wiredvision.jp/news/201104/2011042119.html


Jonah Lehrer


米国の裁判官。画像はWikimedia


われわれは倫理的・道徳的判断をどのように行なうのだろうか。われわれの判断が事実のみに基づき、合理的に判断しているのならすばらしいのだが、どうもそうではないようだ。

以下、最近のPNASに掲載された論文を紹介するEd Yong氏の文章を見てみよう。



上のグラフは、イスラエルのネゲブにあるベングリオン大学のShai Danziger氏が、同国の刑務所で10カ月間に行なわれた仮釈放審査委員会の審問、計1112回分の結果を基に作成したものだ。

グラフの縦軸は、判事が仮釈放を認めた審問の割合。横軸は、審問が1日の間でどの順番に行なわれたかを表わす。グラフの点線は、判事が朝の軽食や昼食のために休憩を取った時間を示している。

グラフを見ると、受刑者が仮釈放を認められる確率は、1日の初めの時点では約65%とかなり高く、その後、数時間のうちに急降下してゼロになる。判事が休憩を取って戻ると、確率は急上昇してまた65%に達し、そこから再び下降線をたどる。受刑者の運命は、審問が1日のどの時点で開かれるかに左右される可能性があるのだ。


Danziger氏によると、このような傾向は、人間のある弱点が引き起こしているのだという。既存研究で十分に証明されているその弱点とは、脳は疲れてくると、現状を変えない選択をする確率が大きく高まる、というものだ(現状を変えるという選択は、脳に余分な労力を使わせる)。そして判事にとって、現状を変えない選択肢とは、仮釈放を認めないことだ。仮釈放を認める理由を検討することには、余分な労力が必要だからだ。

裁判結果に人間的なバイアスや欠点が影響することを明らかにした研究は他にもある。米スキッドモア大学の心理学者Sheldon Solomon氏は1989年、アリゾナ州トゥーソンの地裁判事22名を対象に、興味深い実験(PDFファイル)を行なった。

実験では、判事たちに自分の性格に関するアンケートに回答させ、その中に、死への意識を喚起させる質問を紛れ込ませた。被験者のうち半数が受けたその質問は、「自分の死を想像したときに呼び起こされる感情」について考えさせる内容のものだった。

アンケート終了後、判事たちは、ある女性が売春の罪で起訴されたという架空の裁判事例について、保釈金の額を決定するよう求められた。実験の対照群、すなわち自分の死について考えさせられなかった判事たちは、保釈金を50ドル前後に設定した。これは、アリゾナ州の法的ガイドラインに沿った金額だ。一方、事前のアンケートで自身の死について考えさせられた判事たちは、保釈金をはるかに高く、平均455ドルに設定した。

Solomon氏によれば、つかの間、死について思いを馳せたことが、判事たちを保守的にし、「文化的価値観を破る」ような人間に対する彼らの処罰感情を強めたのだという。

このように死が意識されることを「死の顕現化」[死を思い浮かべること。原語はmortality salienceやawareness of death]といい、その影響は、複数の異なる分野で明らかになっている。一般に、人は死について考えさせられると、倫理的判断が極端化する傾向を示す。自分と同じ世界観を持っている者をより肯定的に支持し、そうでない者をより否定的に扱う傾向が出てくるのだ(Solomon氏のその後の研究では、2001年の米同時多発テロについて考えさせられた人は、共和党に投票する確率が大幅に高まるという結果が出ている)。

[恐怖管理理論(Terror Management Theory、リンクはPDF)は、人が普段、死の恐怖をどのように意識下へ抑えて、その状態を保っているのかについての理論であり、文化的世界観(Cultural Worldview)と自尊心(Self-esteem)という2つの次元によって、人は死の恐怖から身を守っているとしている(Greenberg, Solomon & Pyszczynski, 1997)。人に、自らもいずれ死ぬ運命にあるということについて気づかせること(死の運命強調)は、自身の文化的世界観や自尊心を強化するための行動、すなわち、「自分の文化的世界観に批判的な者への攻撃」や「逸脱者への批判や不安」等につながるとされている]

こうした結果は驚くことではない。裁判官も人間であり、彼らの判断は、人間に共通する感情や欠点によって影響されているのだ。それでも、裁判官たちにこうした傾向を自覚してもらい、少しずつでも減らしていってもらうことは重要だろう。

われわれは倫理的判断を行なうとき、事実のみを客観的に追おうとする科学者のようであるわけではない。われわれの判断は、すべての証拠を集めて客観的に行なわれるわけではなく、実は「自動的な反応」であるものを合理的に見せるレトリックを作り出すような裁判官に似ている。このレトリックは表面だけのものであり、巧妙な自己欺瞞なのだ。このことを自覚する必要がある。


{この翻訳は抄訳です}

[「保守派」は「リベラル派」と比べて驚愕反射を起こしやすく、生理学的に「脅威」に反応しやすいという研究結果(日本語版記事)がある。さらに、過去記事「民主党員と共和党員の脳の違いをスキャン技術で探る」では、さまざまな画像に対する脳における反応が、支持する政党によって違うことについて紹介している]


[日本語版:ガリレオ-高橋朋子/合原弘子]
 

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