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存在の耐えられない軽さ _ 参考資料 _ 舊約聖書 傳道之書
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投稿者 中川隆 日時 2011 年 10 月 10 日 01:31:13: 3bF/xW6Ehzs4I
 

(回答先: 天上の歌声 _ メリー・ホプキン 投稿者 中川隆 日時 2011 年 5 月 05 日 21:54:45)

舊約聖書 傳道之書


第1章


1:1ダビデの子 ヱルサレムの王 傳道者の言

1:2傳道者言く 空の空 空の空なる哉 都て空なり

1:3日の下に人の勞して爲ところの諸の動作はその身に何の益かあらん

1:4世は去り世は來る 地は永久に長存なり

1:5日は出で日は入り またその出し處に喘ぎゆくなり

1:6風は南に行き又轉りて北にむかひ 旋轉に旋りて行き 風復その旋轉る處にかへる。

1:7河はみな海に流れ入る 海は盈ること無し 河はその出きたれる處に復還りゆくなり

1:8萬の物は勞苦す 人これを言つくすことあたはず 目は見に飽ことなく耳は聞に充ること無し

1:9曩に有し者はまた後にあるべし 曩に成し事はまた後に成べし 日の下には新しき者あらざるなり

1:10見よ是は新しき者なりと指て言べき物あるや 其は我等の前にありし世々に旣に久しくありたる者なり

1:11己前のものの事はこれを記憶ることなし 以後のものの事もまた後に出る者これをおぼゆることあらじ

1:12われ傳道者はヱルサレムにありてイスラエルの王たりき

1:13我心を盡し智慧をもちひて天が下に行はるる諸の事を尋ねかつ考覈たり此苦しき事件は神が世の人にさづけて之に身を勞せしめたまふ者なり

1:14我日の下に作ところの諸の行爲を見たり 嗚呼皆空にして風を捕ふるがごとし

1:15曲れる者は直からしむるあたはず缺たる者は數をあはするあたはず

1:16我心の中に語りて言ふ 嗚呼我は大なる者となれり 我より先にヱルサレムにをりしすべての者よりも我は多くの智慧を得たり 我心は智慧と知識を多く得たり

1:17我心を盡して智慧を知んとし狂妄と愚癡を知んとしたりしが 是も亦風を捕ふるがごとくなるを暁れり

1:18夫智慧多ければ憤激多し 知識を増す者は憂患を増す

第2章


2:1我わが心に言けらく 來れ我試みに汝をよろこばせんとす 汝逸樂をきはめよと 嗚呼是もまた空なりき

2:2我笑を論ふ是は狂なり 快樂を論ふ是何の爲ところあらんやと

2:3我心に智慧を懐きて居つつ酒をもて肉身を肥さんと試みたり 又世の人は天が下において生涯如何なる事をなさば善らんかを知んために我は愚なる事を行ふことをせり

2:4我は大なる事業をなせり 我はわが爲に家を建て葡萄園を設け

2:5園をつくり囿をつくり 又菓のなる諸の樹を其處に植ゑ

2:6また水の塘池をつくりて樹木の生茂れる林に其より水を灌がしめたり

2:7我は僕婢を買得たり また家の子あり 我はまた凡て我より前にヱルサレムにをりし者よりも衆多の牛羊を有り

2:8我は金銀を積み 王等と國々の財寶を積あげたり また歌詠之男女を得 世の人の樂なる妻妾を多くえたり

2:9斯我は大なる者となり 我より前にヱルサレムにをりし諸の人よりも大になりぬ 吾智慧もまたわが身を離れざりき

2:10凡そわが目の好む者は我これを禁ぜす 凡そわが心の悦ぶ者は我これを禁ぜざりき 即ち我はわが諸の勞苦によりて快樂を得たり 是は我が諸の勞苦によりて得たるところの分なり

2:11我わが手にて爲たる諸の事業および我が勞して事を爲たる勞苦を顧みるに 皆空にして風を捕ふるが如くなりき 日の下には益となる者あらざるなり

2:12我また身を轉らして智慧と狂妄と愚癡とを觀たり 抑王に嗣ぐところの人は如何なる事を爲うるや その旣になせしところの事に過ざるべし

2:13光明のK暗にまさるがごとく智慧は愚癡に勝るなり 我これを暁れり

2:14智者の目はその頭にあり愚者はK暗に歩む 然ど我しる其みな遇ふところの事は同一なり

2:15我心に謂けらく 愚者の遇ふところの事に我もまた遇ふべければ 我なんぞ智慧のまさる所あらんや 我また心に謂り是も亦空なるのみと

2:16夫智者も愚者と均しく永く世に記念らるることなし 來らん世にいたれば皆早く旣に忘らるるなり 嗚呼智者の愚者とおなじく死るは是如何なる事ぞや

2:17是に於て我世にながらふることを厭へり 凡そ日の下に爲ところの事は我に惡く見ればなり 即ち皆空にして風を捕ふるがごとし

2:18我は日の下にわが勞して諸の動作をなしたるを恨む其は我の後を嗣ぐ人にこれを遺さざるを得ざればなり

2:19其人の智愚は誰かこれを知らん然るにその人は日の下に我が勞して爲し智慧をこめて爲たる諸の工作を管理るにいたらん是また空なり

2:20我身をめぐらし日の下にわが勞して爲たる諸の動作のために望を失へり

2:21今茲に人あり 智慧と知識と才能をもて勞して事をなさんに終には之がために勞せざる人に一切を遺してその所有となさしめざるを得ざるなり 是また空にして大に惡し

2:22夫人はその日の下に勞して爲ところの諸の動作とその心勞によりて何の得ところ有るや

2:23その世にある日には常に憂患あり その勞苦は苦し その心は夜の間も安んずることあらず 是また空なり

2:24人の食飮をなしその勞苦によりて心を樂しましむるは幸福なる事にあらず 是もまた神の手より出るなり 我これを見る

2:25誰かその食ふところその歓樂を極むるところに於て我にまさる者あらん

2:26神はその心に適ふ人には智慧と知識と喜樂を賜ふ 然れども罪を犯す人には勞苦を賜ひて斂めかつ積ことを爲さしむ 是は其を神の心に適ふ人に與へたまはんためなり 是もまた空にして風を捕ふるがごとし


第3章


3:1天が下の萬の事には期あり 萬の事務には時あり

3:2生るるに時あり死るに時あり 植るに時あり植たる者を抜に時あり

3:3殺すに時あり醫すに時あり 毀つに時あり建るに時あり

3:4泣に時あり笑ふに時あり 悲むに時あり躍るに時あり

3:5石を擲つに時あり石を斂むるに時あり 懐くに時あり懐くことをせざるに時あり

3:6得に時あり失ふに時あり 保つに時あり棄るに時あり

3:7裂に時あり縫に時あり 默すに時あり語るに時あり

3:8愛しむに時あり惡むに時あり 戰ふに時あり和ぐに時あり

3:9働く者はその勞して爲ところよりして何の益を得んや

3:10我神が世の人にさづけて身をこれに勞せしめたまふところの事件を視たり

3:11神の爲したまふところは皆その時に適ひて美麗しかり 神はまた人の心に永遠をおもふの思念を賦けたまへり 然ば人は神のなしたまふ作爲を始より終まで知明むることを得ざるなり

3:12我知る人の中にはその世にある時に快樂をなし善をおこなふより外に善事はあらず

3:13また人はみな食飮をなしその勞苦によりて逸樂を得べきなり 是すなはち神の賜物たり

3:14我知る凡て神のなしたまふ事は限なく存せん 是は加ふべき所なく是は減すべきところ無し 神の之をなしたまふは人をしてその前に畏れしめんがためなり

3:15昔ありたる者は今もあり 後にあらん者は旣にありし者なり 神はその遂やられし者を索めたまふ

3:16我また日の下を見るに審判をおこなふ所に邪曲なる事あり 公義を行ふところに邪曲なる事あり

3:17我すなはち心に謂けらく神は義者と惡者とを鞫きたまはん 彼處において萬の事と萬の所爲に時あるなり

3:18我また心に謂けらく是事あるは是世の人のためなり 即ち神は斯世の人を撿して之にその獣のごとくなることを自ら暁らしめ給ふなり

3:19世の人に臨むところの事はまた獣にも臨む この二者に臨むところの事は同一にして是も死ば彼も死るなり 皆同一の呼吸に依れり 人は獣にまさる所なし皆空なり

3:20皆一の所に往く 皆塵より出で皆塵にかへるなり

3:21誰か人の魂の上に昇り獣の魂の地にくだることを知ん

3:22然ば人はその動作によりて逸樂をなすに如はなし 是その分なればなり 我これを見る その身の後の事は誰かこれを携へゆきて見さしむる者あらんや

第4章


4:1茲に我身を轉して日の下に行はるる諸の虐遇を視たり 嗚呼虐げらる者の涙ながる 之を慰むる者あらざるなり また虐ぐる者の手には權力あり 彼等はこれを慰むる者あらざるなり

4:2我は猶生る生者よりも旣に死たる死者をもて幸なりとす

4:3またこの二者よりも幸なるは未だ世にあらずして日の下におこなはるる惡事を見ざる者なり

4:4我また諸の勞苦と諸の工事の精巧とを觀るに 是は人のたがひに嫉みあひて成せる者たるなり 是も空にして風を捕ふるが如し

4:5愚なる者は手を束ねてその身の肉を食ふ

4:6片手に物を盈て平穩にあるは 兩手に物を盈て勞苦て風を捕ふるに愈れり

4:7我また身をめぐらし日の下に空なる事のあるを見たり

4:8茲に人あり只獨にして伴侶もなく子もなく兄弟もなし 然るにその勞苦は都て窮なくの目は富に飽ことなし 彼また言ず嗚呼我は誰がために勞するや何とて我は心を樂ませざるやと 是もまた空にして勞力の苦き者なり

4:9二人は一人に愈る其はその勞苦のために善報を得ればなり

4:10即ちその跌倒る時には一箇の人その伴侶を扶けおこすべし 然ど孤身にして跌倒る者は憐なるかな之を扶けおこす者なきなり

4:11又二人ともに寝れば温暖なり一人ならば爭で温暖ならんや

4:12人もしその一人を攻撃ば二人してこれに當るべし 三根の繩は容易く斷ざるなり

4:13貧くして賢き童子は 老て愚にして諌を納れざる王に愈る

4:14彼は牢獄より出て王となれり 然どその國に生れし時は貧かりき

4:15我日の下にあゆむところの群生が彼王に続てこれに代りて立ところの童子とともにあるを觀たり

4:16民はすべて際限なし その前にありし者みな然り 後にきたる者また彼を悦ばず 是も空にして風を捕ふるがごとし

第5章


5:1汝ヱホバの室にいたる時にはその足を愼め 進みよりて聽聞は愚なる者の犠牲にまさる 彼等はその惡をおこなひをることを知ざるなり

5:2汝神の前にありては軽々し口を開くなかれ 心を攝めて妄に言をいだすなかれ 其は神は天にいまし汝は地にをればなり 然ば汝の言詞を少からしめよ

5:3夫夢は事の繁多によりて生じ 愚なる者の聲は言の衆多によりて識るなり

5:4汝神に誓願をかけなば之を還すことを怠るなかれ 神は愚なる者を悦びたまはざるなり 汝はそのかけし誓願を還すべし

5:5誓願をかけてこれを還さざるよりは寧ろ誓願をかけざるは汝に善し

5:6汝の口をもて汝の身に罪を犯さしむるなかれ 亦使者の前に其は過誤なりといふべからず 恐くは神汝の言を怒り汝の手の所爲を滅したまはん

5:7夫夢多ければ空なる事多し 言詞の多きもまた然り 汝ヱホバを畏め

5:8汝國の中に貧き者を虐遇る事および公道と公義を枉ることあるを見るもその事あるを怪むなかれ 其はその位高き人よりも高き者ありてその人を伺へばなり又其等よりも高き者あるなり

5:9國の利益は全く是にあり 即ち王者が農事に勤むるにあるなり

5:10銀を好む者は銀に飽こと無し 豊富ならんことを好む者は得るところ有らず 是また空なり

5:11貨財増せばこれを食む者も増すなり その所有主は唯目にこれを看るのみ その外に何の益かあらん

5:12勞する者はその食ふところは多きも少きも快く睡るなり 然れども富者はその貨財の多きがために睡ることを得せず

5:13我また日の下に患の大なる者あるを見たり すなはち財寶のこれを蓄ふる者の身に害をおよぼすことある是なり

5:14その財寶はまた災難によりて失落ことあり 然ばその人子を擧ることあらんもその手には何物もあることなし

5:15人は母の胎より出て來りしごとくにまた裸體にして皈りゆくべし その勞苦によりて得たる者を毫厘も手にとりて携へゆくことを得ざるなり

5:16人は全くその來りしごとくにまた去ゆかざるを得ず 是また患の大なる者なり 抑風を追て勞する者何の益をうること有んや

5:17人は生命の涯K暗の中に食ふことを爲す また憂愁多かり 疾病身にあり 憤怒あり

5:18視よ我は斯觀たり 人の身にとりて善かつ美なる者は 神にたまはるその生命の極食飮をなし 且その日の下に勞して働ける勞苦によりて得るところの福禄を身に享るの事なり是その分なればなり

5:19何人によらず神がこれに富と財を與へてそれに食ことを得せしめ またその分を取りその勞苦によりて快樂を得ることをせさせたまふあれば その事は神の賜物たるなり

5:20かかる人はその年齢の日を憶ゆること深からず 其は神これが心の喜ぶところにしたがひて應ることを爲したまへばなり


第6章


6:1我觀るに日の下に一件の患あり是は人の間に恒なる者なり

6:2すなはち神富と財と貴を人にあたへて その心に慕ふ者を一件もこれに缺ることなからしめたまひながらも 神またその人に之を食ふことを得せしめたまはずして 他人のこれを食ふことあり 是空なり惡き疾なり

6:3假令人百人の子を擧けまた長壽してその年齢の日多からんも 若その心景福に滿足せざるか又は葬らるることを得ざるあれば 我言ふ流產の子はその人にまさるたり

6:4夫流產の子はその來ること空しくしてK暗の中に去ゆきその名はK暗の中にかくるるなり

6:5又是は日を見ることなく物を知ることなければ彼よりも安泰なり

6:6人の壽命千年に倍するとも福祉を蒙れるにはあらず 皆一所に往くにあらずや

6:7人の勞苦は皆その口のためなり その心はなほも飽ざるところ有り

6:8賢者なんぞ愚者に勝るところあらんや また世人の前に歩行ことを知ところの貧者も何の勝るところ有んや

6:9目に觀る事物は心のさまよひ歩くに愈るなり 是また空にして風を捕ふるがごとし

6:10嘗て在し者は久しき前にすでにその名を命られたり 即ち是は人なりと知る 然ば是はかの自己よりも力強き者と爭ふことを得ざるなり

6:11衆多の言論ありて虚浮き事を増す然ど人に何の益あらんや

6:12人はその虚空き生命の日を影のごとくに送るなり 誰かこの世において如何なる事か人のために善き者なるやを知ん 誰かその身の後に日の下にあらんところの事を人に告うる者あらんや

第7章


7:1名は美膏に愈り 死る日は生るる日に愈る

7:2哀傷の家に入は宴樂の家に入に愈る 其は一切の人の終かくのごとくなればなり 生る者またこれをその心にとむるあらん

7:3悲哀は嬉笑に愈る 其は面に憂色を帶るなれば心も善にむかへばなり

7:4賢き者の心は哀傷の家にあり 愚なる者の心は喜樂の家にあり

7:5賢き者の勸責を聽は愚なる者の歌詠を聽に愈るなり

7:6愚なる者の笑は釜の下に焚る荊棘の聲のごとし是また空なり

7:7賢き人も虐待る事によりて狂するに至るあり賄賂は人の心を壞なふ

7:8事の終はその始よりも善し 容忍心ある者は傲慢心ある者に勝る

7:9汝氣を急くして怒るなかれ 怒は愚なる者の胸にやどるなり

7:10昔の今にまさるは何故ぞやと汝言なかれ 汝の斯る問をなすは是智慧よりいづる者にあらざるなり

7:11智慧の上に財產をかぬれば善し 然れば日を見る者等に利益おほかるべし

7:12智慧も身の護庇となり銀子も身の護庇となる 然ど智惠はまたこれを有る者に生命を保しむ 是知識の殊勝たるところなり

7:13汝神の作爲を考ふべし 神の曲たまひし者は誰かこれを直くすることを得ん

7:14幸福ある日には樂め 禍患ある日には考へよ 神はこの二者をあひ交錯て降したまふ 是は人をしてその後の事を知ることなからしめんためなり

7:15我この空の世にありて各樣の事を見たり 義人の義をおこなひて亡ぶるあり 惡人の惡をおこなひて長壽あり

7:16汝義に過るなかれまた賢に過るなかれ 汝なんぞ身を滅すべけんや

7:17汝惡に過るなかれまた愚なる勿れ 汝なんぞ時いたらざるに死べけんや

7:18汝此を執は善しまた彼にも手を放すなかれ 神を畏む者はこの一切の者の中より逃れ出るなり

7:19智慧の智者を幇くることは邑の豪雄者十人にまさるなり

7:20正義して善をおこなひ罪を犯すことなき人は世にあることなし

7:21人の言出す言詞には凡て心をとむる勿れ 恐くは汝の僕の汝を詛ふを聞こともあらん

7:22汝も屡人を詛ふことあるは汝の心に知ところなり

7:23我智慧をもてこの一切の事を試み我は智者とならんと謂たりしが遠くおよばざるなり

7:24事物の理は遠くして甚だ深し 誰かこれを究むることを得ん

7:25我は身をめぐらし心をもちひて物を知り事を探り 智慧と道理を索めんとし 又惡の愚たると愚癡の狂妄たるを知んとせり

7:26我了れり 婦人のその心羅と網のごとくその手縲絏のごとくなる者は是死よりも苦き者なり 神の悦びたまふ者は之を避ることを得ん罪人は之に執らるべし

7:27傳道者言ふ 視よ我その數を知んとして一々に算へてつひに此事を了る

7:28我なほ尋ねて得ざる者は是なり 我千人の中には一箇の男子を得たれども その數の中には一箇の女子をも得ざるなり

7:29我了れるところは唯是のみ 即ち神は人を正直者に造りたまひしに人衆多の計略を案出せしなり

第8章


8:1誰か智者に如ん誰か事物の理を解ことを得ん 人の智慧はその人の面に光輝あらしむ 又その粗暴面も變改べし

8:2我言ふ王の命を守るべし旣に神をさして誓ひしことあれば然るべきなり

8:3早まりて王の前を去ることなかれ 惡き事につのること勿れ 其は彼は凡てその好むところを爲ばなり

8:4王の言語には權力あり 然ば誰か之に汝何をなすやといふことを得ん

8:5命令を守る者は禍患を受るに至らず 智者の心は時期と判斷を知なり

8:6萬の事務には時あり判斷あり是をもて人大なる禍患をうくるに至るあり

8:7人は後にあらんところの事を知ず また誰か如何なる事のあらんかを之に告る者あらん

8:8霊魂を掌管て霊魂を留めうる人あらず 人はその死る日には權力あること旡し 此戰爭には釋放たるる者あらず 又罪惡はこれを行ふ者を救ふことを得せざるなり

8:9我この一切の事を見また日の下におこなはるる諸の事に心を用ひたり時としては此人彼人を治めてこれに害を蒙らしむることあり

8:10我見しに惡人の葬られて安息にいるあり また善をおこなふ者の聖所を離れてその邑に忘らるるに至るあり是また空なり

8:11惡き事の報速にきたらざるが故に世人心を専にして惡をおこなふ

8:12罪を犯す者百次惡をなして猶長命あれども 我知る神を畏みてその前に畏怖をいだく者には幸福あるべし

8:13但し惡人には幸福あらず またその生命も長からずして影のごとし 其は神の前に畏怖をいだくことなければなり

8:14我日の下に空なる事のおこなはるるを見たり 即ち義人にして惡人の遭べき所に遭ふ者あり 惡人にして義人の遭べきところに遭ふ者あり 我謂り是もまた空なり

8:15是に於て我喜樂を讃む 其は食飮して樂むよりも好き事は日の下にあらざればなり 人の勞して得る物の中是こそはその日の下にて神にたまはる生命の日の間その身に離れざる者なれ

8:16茲に我心をつくして智慧を知らんとし世に爲ところの事を究めんとしたり 人は夜も晝もその目をとぢて眠ることをせざるなり

8:17我神の諸の作爲を見しが人は日の下におこなはるるところの事を究むるあたはざるなり 人これを究めんと勞するもこれを究むることを得ず 且又智者ありてこれを知ると思ふもこれを究むることあたはざるなり

第9章


9:1我はこの一切の事に心を用ひてこの一切の事を明めんとせり 即ち義き者と賢き者およびかれらの爲ところは神の手にあるなるを明めんとせり 愛むや惡むやは人これを知ることなし一切の事はその前にあるなり

9:2諸の人に臨む所は皆同じ 義き者にも惡き者にも善者にも 淨者にも穢れたる者にも 犠牲を献ぐる者にも犠牲を献げぬ者にもその臨むところの事は同一なり 善人も罪人に異ならず 誓をなす者も誓をなすことを畏るる者に異ならず

9:3諸の人に臨むところの事の同一なるは是日の下におこなはるる事の中の惡き者たり 抑人の心には惡き事充をり その生る間は心に狂妄を懐くあり 後には死者の中に往くなり

9:4凡活る者の中に列る者は望あり 其は生る犬は死る獅子に愈ればなり

9:5生者はその死んことを知る 然ど死る者は何事をも知ずまた應報をうくることも重てあらず その記憶らるる事も遂に忘れらるるに至る

9:6またその愛も惡も嫉も旣に消うせて彼等は日の下におこなはるる事に最早何時までも關係ことあらざるなり

9:7汝往て喜悦をもて汝のパンを食ひ樂き心をも汝の酒を飮め 其は神久しく汝の行爲を嘉納たまへばなり

9:8汝の衣服を常に白からしめよ 汝の頭に膏を絶しむるなかれ

9:9日の下に汝が賜はるこの汝の空なる生命の日の間汝その愛する妻とともに喜びて度生せ 汝の空なる生命の日の間しかせよ 是は汝が世にありて受る分汝が日の下に働ける勞苦によりて得る者なり

9:10凡て汝の手に堪ることは力をつくしてこれを爲せ 其は汝の往んところの陰府には工作も計謀も知識も智慧もあることなければなり

9:11我また身をめぐらして日の下を觀るに 迅速者走ることに勝にあらず強者戰爭に勝にあらず 智慧者食物を獲にあらず 明哲人財貨を得にあらず 知識人恩顧を得にあらず 凡て人に臨むところの事は時ある者偶然なる者なり

9:12人はまたその時を知ず 魚の禍の網にかかり鳥の鳥羅にかかるが如くに世の人もまた禍患の時の計らざるに臨むに及びてその禍患にかかるなり

9:13我日の下に是事を觀て智慧となし大なる事となせり

9:14すなはち茲に一箇の小き邑ありて その中の人は鮮かりしが大なる王これに攻きたりてこれを圍みこれに向ひて大なる雲梯を建たり

9:15時に邑の中に一人の智慧ある貧しき人ありてその智慧をもて邑を救へり 然るに誰ありてその貧しき人を記念もの無りし

9:16是において我言り智慧は勇力に愈る者なりと 但しかの貧しき人の智慧は藐視られその言詞は聽れざりしなり

9:17靜に聽る智者の言は愚者の君長たる者の號呼に愈る9:18智慧は軍の器に勝れり一人の惡人は許多の善事を壞ふなり

第10章


10:1死し蝿は和香者の膏を臭くしこれを腐らす 少許の愚癡は智慧と尊榮よりも重し

10:2智者の心はその右に愚者の心はその左に行くなり

10:3愚者は出て途を行にあたりてその心たらず自己の愚なることを一切の人に告ぐ

10:4君長たる者汝にむかひて腹たつとも汝の本處を離るる勿れ温順は大なる愆を生ぜしめざるなり

10:5我日の下に一の患事あるを見たり是は君長たる者よりいづる過誤に似たり

10:6すなはち愚なる者高き位に置かれ貴き者卑き處に坐る

10:7我また僕たる者が馬に乗り王侯たる者が僕のごとく地の上に歩むを觀たり

10:8坑を掘る者はみづから之におちいり石垣を毀つ者は蛇に咬れん

10:9石を打くだく者はそれがために傷を受け木を割る者はそれがために危難に遭ん

10:10鐵の鈍くなれるあらんにその刃を磨ざれば力を多く之にもちひざるを得ず 智慧は功を成に益あるなり

10:11蛇もし呪術を聽ずして咬ば呪術師は用なし

10:12智者の口の言語は恩徳あり 愚者の唇はその身を呑ほろぼす

10:13愚者の口の言は始は愚なり またその言は終は狂妄にして惡し

10:14愚者は言詞を衆くす 人は後に有ん事を知ず 誰かその身の後にあらんところの事を述るを得ん

10:15愚者の勞苦はその身を疲らす彼は邑にいることをも知ざるなり

10:16その王は童子にしてその侯伯は朝に食をなす國よ 汝は禍なるかな

10:17その王は貴族の子またその侯伯は酔樂むためならず力を補ふために適宜き時に食をなす國よ 汝は福なるかな

10:18懶惰ところよりして屋背は落ち 手を垂をるところよりして家屋は漏る

10:19食事をもて笑ひ喜ぶの物となし酒をもて快樂を取れり 銀子は何事にも應ずるなり

10:20汝心の中にても王たる者を詛ふなかれ また寝室にても富者を詛なかれ 天空の鳥その聲を傳へ羽翼ある者その事を布べければなり


第11章


11:1汝の糧食を水の上に投げよ 多くの日の後に汝ふたたび之を得ん

11:2汝一箇の分を七また八にわかて 其は汝如何なる災害の地にあらんかを知ざればなり

11:3雲もし雨の充るあれば地に注ぐ また樹もし南か北に倒るるあればその樹は倒れたる處にあるべし

11:4風を伺ふ者は種播ことを得ず 雲を望む者は刈ことを得ず

11:5汝は風の道の如何なるを知ず また孕める婦の胎にて骨の如何に生長つを知ず 斯汝は萬事を爲たまふ神の作爲を知ことなし

11:6汝朝に種を播け 夕にも手を歇るなかれ 其はその實る者は此なるか彼なるか又は二者ともに美なるや汝これを知ざればなり

11:7夫光明は快き者なり 目に日を見るは樂し

11:8人多くの年生ながらへてその中凡て幸福なるもなほ幽暗の日を憶ふべきなり 其はその數も多かるべければなり 凡て來らんところの事は皆空なり

11:9少者よ汝の少き時に快樂をなせ 汝の少き日に汝の心を悦ばしめ汝の心の道に歩み汝の目に見るところを爲せよ 但しその諸の行爲のために神汝を鞫きたまはんと知べし

11:10然ば汝の心より憂を去り 汝の身より惡き者を除け 少き時と壯なる時はともに空なればなり

第12章


12:1汝の少き日に汝の造主を記えよ 即ち惡き日の來り年のよりて我は早何も樂むところ無しと言にいたらざる先

12:2また日や光明や月や星の暗くならざる先 雨の後に雲の返らざる中に汝然せよ

12:3その日いたる時は家を守る者は慄ひ 力ある人は屈み 磨碎者は寡きによりて息み 窓より窺ふ者は目昏むなり

12:4磨こなす聲低くなれば衢の門は閉づ その人は鳥の聲に起あがり 歌の女子はみな身を卑くす

12:5かかる人々は高き者を恐る畏しき者多く途にあり 巴旦杏は花咲くまた蝗もその身に重くその嗜欲は廢る 人永遠の家にいたらんとすれば哭婦衢にゆきかふ

12:6然る時には銀の紐は解け金の盞は碎け吊瓶は泉の側に壞れ轆轤は井の傍に破ん

12:7而して塵は本の如くに土に皈り 霊魂はこれを賦けし神にかへるべし

12:8傳道者云ふ空の空なるかな皆空なり

12:9また傳道者は智慧あるが故に恒に知識を民にヘへたり 彼は心をもちひて尋ね究め許多の箴言を作れり

12:10傳道者は務めて佳美き言詞を求めたり その書しるしたる者は正直して眞實の言語なり

12:11智者の言語は刺鞭のごとく 會衆の師の釘たる釘のごとくにして 一人の牧者より出し者なり

12:12わが子よ是等より訓誡をうけよ 多く書をつくれば竟なし 多く學べば體疲る

12:13事の全體の皈する所を聽べし 云く 神を畏れその誡命を守れ 是は諸の人の本分たり

12:14神は一切の行爲ならびに一切の隠れたる事を善惡ともに審判たまふなり

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            ,、-'''`'´ ̄ `フー- 、
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『ツァラトゥストラ』

重さの霊


いっさいの重いものが軽くなり、いっさいの肉体が舞踏者に、いっさいの精神が鳥になることが、私のアルファであり,オメガなのだ。

見よ、上もなく、下もない。おまえを投げよ、まわりへ、かなたへ、うしろへ。

おまえ、軽快なものよ。歌え、もはや語るな。


――ことばはすべて重い者たちのためにつくられたものではないか。

軽やかな者にとっては、ことばはすべて虚言者なのではないか。

歌え、もはや語るな。――

わたしの弁舌は――民衆のそれである。

わたしは絹毛の兎に聞いてもらうには、あまりに乱暴に率直に語る。

そしてわたしのことばはすべてのインキ魚(いか)とペン狐にとっては、いっそう耳慣れぬものとして響く。


わたしの手は――落書き好きの阿呆の手である。すべての机と壁、また阿呆の装飾癖とぬたくり書きの癖をそそる余白をもっているものは、災難である。


わたしの足は――駿馬の足である。この足でわたしは広野をまっしぐらに、また縦に横に十文字に走る。そしていつも疾駆の喜びに夢中になる。

わたしの胃は――鷲の胃であろうか、子羊の肉を最も好むから。いずれにせよ、それは空飛ぶ一羽の鳥の胃である。
.
とるに足りない物をわずかの量だけ摂ることで身を養い、いつも飛ぼう、飛び去ろうという気短な身構え、これがわたしの性癖だ。それは鳥の性癖をもっているとは言えないだろうか。

そしてとくに、わたしが重さの霊の敵であること、これこそ鳥の性癖である。まことにそれは不倶戴天の敵、宿敵、根本の敵である。おお、わたしのこの敵意はすでに八方にむかって翼をふるったのだ。

それについてわたしは一篇の歌曲をうたうことができるくらいだ――そしていまそれを歌おうと思う。もっともわたしは森閑とした家にただひとりいて、それを自分自身の耳に歌って聞かせるほかはないのだが。

もちろん、ある種の歌い手たちは、会場が満員になってはじめて、その喉はやわらかになり、その手は能弁になり、その目は表情をまし、その心はいきいきとしてくる。――わたしはそういう歌い手ではない。

将来いつの日か人間に飛ぶことを教える者は、いっさいの境界石を移したことになる。かれにとっては境界石そのものが、いっせいに空に舞い上がったも同然である、大地にかれは新しい名を与えるだろう――「軽きもの」と。.

駝鳥は、最も速い馬より速く走る。しかしその駝鳥も、重い大地に頭を重々しく突き入れる。まだ飛ぶことのできない人間もそうである。

かれは、大地と生を重いものと考える。重さの霊がそう望むのだ。だが、重さの霊に抗して軽くなり鳥になろうと望む者は、おのれみずからを愛さなければならない――それがわたしの教えである。

もちろん病患の者たちの愛で愛するのではない。病患の者たちにおいては、自愛も悪臭をはなつ。

人はおのれみずからを愛することを学ばなければならない、すこやかな全き愛をもって。――

そうわたしは教える。おのれがおのれ自身であることに堪え、よその場所をさまよい歩くことがないためにである。

こういう、よその場所をさまよい歩くことが、「隣人愛」と自称しているのである。このことばで、今までに最もはなはだしい嘘がつかれ、偽善が行われてきた、ことに世界を重苦しくしてきた者たちによって。

そしてまことに、おのれを愛することを学びおぼえよという命令は、きょうあすに達成できるようなことではない。むしろそれは、あらゆる技術のうちで、最も微妙な、最もこつよ忍耐を必要とする、最終的な技術である。

という意味はこうである。真に自己自身の所有に属しているものは、その所有者である自己自身にたいして、深くかくされている。地下に埋まっている宝のあり場所のうち自分自身の宝のあり場所は発掘されることがもっともおそい。

――それは重さの霊がそうさせるのである。


ほとんど揺籃のなかにいるときから、われわれは数々の重いことばと重い価値とを持ち物として授けられる。「善」と「悪」――これがその持ち物の名である。この持ち物をたずさえているのを見とどけて、人々はわれわれにこの世に生きることを許すのである。

また人々が幼子たちを引き寄せて愛護するのは、幼子たちがおのれみずからを愛するようになることを早い時期から防ぐためなのだ。こういうことも重さの霊のせいである。

そしてわれわれは――人々から持たされたものを、忠実に運んで歩く。こわばった肩にのせ、険しい山々を越えて。

われわれが汗をかくと、人々はわれわれに言う、

「そうだ、生は担うのに重いものだ」と。

だが、重いのは、人間がみずからを担うのが重いだけの話である。そうなるのは、人間があまりに多くの他者の物をおのれの肩にのせて運ぶからである。そのとき人間は、駱駝のようにひざまずいて、したたかに荷を積まれるままになっている。

ことに、畏敬の念のあつい、重荷に堪える、強力な人間がそうである。かれはあまりに多くの他者の重いことばと重い価値の数々を身に負う。――そのとき生はかれには砂漠のように思われるのだ。

だが、まことに、人間が真に自分のものとしてもっているものにも、担うのに重いものが少なくない。人間の内面にあるものの多くは、牡蠣の身に似ている。つまり嘔気をもよおさせ、ぬらぬらしていて、しっかりとつかむことがむずかしいのだ――。

ところが、しばしばこういうことも起こる。貝殻がみずぼらしくて、悲しげで、あまりにも貝殻そのものであるために、人間のもつさまざまの特質が見すごされるのである。こうして多くの隠された善意と力がついに察知されることがなく、このうえもない美味が、その味わい手を見いださない。

女たち、この、最も外見の美しいものたちは、その消息を知っている。もう少し太りたいとか、もう少し痩せたいとかが、彼女たちの苦心である。

――おお、どんなに多くの運命の転変が、このようにわずかなことにかかわっていることか。

人間は、その真相を見つけだすことがむずかしい。ことに自分が自分を見つけだすことが、最もむずかしい。

しばしば精神が魂について嘘をつく。これも重さの霊のなすわざである。


しかし、次のような言を発する者は、自分自身を見つけだした者である、

「これはわたしの善であり、悪である」と。

これによって、かれは、もぐらと侏儒の口をつぐませたのだ。もぐらどもはこう言うのである。

「万人にとっての善、万人にとっての悪」と。


まことにわたしは、すべてのことをよしと言い、さらにはこの世界を最善のものと言う者たちをも好まない、この種の人間をわたしは、総体満足家と呼ぶ。

あらゆるものの美味がわかる総体満足、それは最善の味覚ではない。わたしは、強情で、気むずかしい舌と胃をたっとぶ。それらの舌と胃は、「わたし」と「然り」と「否」ということばを言うことを習得しているのである。

それに反してあらゆるものを噛み、あらゆるものを消化すること――これはまさしく豚の流儀だ。

いつも「イ・アー(然り)」としか言わないのは、驢馬と、驢馬的精神をもつものだけである。――

深い黄と熱い赤。わたしの趣味はそれを欲する。――わたしの趣味は、すべての色に血を混ぜるのだ。だが、おのれの家を白く上塗りする者たちは、白い上塗りの魂をさらけだしているのである。


ある者たちはミイラに惚れこみ、また別のある者たちは幽霊に惚れこむ。両者ともにいっさいの肉と血に敵意をもっている、――かれらはわたしの趣味に反する。わたしは血を愛する者だ。

みんなして痰やつばを吐き散らすところに、わたしは滞在しようとは思わない。わたしの趣味から言えば――それよりはむしろ盗賊や偽誓者のあいだで暮らすほうがましだ。そういうところには口に金をふくんでいる者は一人としていないのだから。

だが、それよりもわたしに厭わしいのは、ひとのよだれをなめるおべっか使いだ。そしてわたしが見いだした最も厭わしい人間獣に、わたしは寄生虫という名をつけた。

この生き物はひとを愛しようとはしないが、愛してもらって生きようとしているのである。

悪い動物となるか、悪い動物使いとなるか、この二つのうちの一つを選ぶことしか知らない者たちを、わたしはあわれな者と呼ぶ。こういう者たちのいる場所には、わたしは小屋を建てようとはしないだろう。

また、いつも待っているほかに能のない者たちをも、わたしはあわれな者と呼ぶ、――これらの者もわたしの趣味に反する。収税吏、小商人、王や国々の番人、店の番人などはこれである。

まことに、わたしも待つことを学びおぼえた。しかも徹底的に学びおぼえた。しかし、わたしが学びおぼえたのは、ただわたし自身を待つことである。しかも、何にもまさってわたしの学びおぼえたことは、立つこと、歩くこと、走ること、よじのぼること、踊ることである。

すなわち、わたしの教えはこうだ。飛ぶことを学んで、それをいつか実現したいと思う者は、まず、立つこと、歩くこと、走ること、よじのぼること、踊ることを学ばなければならない。


――最初から飛ぶばかりでは、空高く飛ぶ力は獲得されない。縄梯子で、わたしはいくるかの窓によじのぼることを学んだ。敏捷に足をうごかして高いマストによじのぼった。認識の高いマストの上に取りついていることは、わたしには些細ではない幸福と思われた。――


――高いマストの上で小さい炎のようにゆらめくことは、わたしには些細でない幸福と思われた。なるほど小さい光ではあるが、座礁した船の水夫たち、難船者たちには一つの大きい慰めとなるのである。――


わたしはさまざまな道を経、さまざまなやりかたをして、わたしの真理に到達したのだ。この高みにいて、わたしの目は、目のとどくかぎりの遠方へと遊ぶが、ここまで至りついたのは、かぎられたただ一本の梯子をよじのぼって来たのではない。

そしてわたしがひとに道を尋ねたときは、いつも心が楽しまなかった。――それを聞くことはわたしの趣味に反した。むしろわたしは道そのものに問いかけ、道そのものを歩いてためしてみたのだ。

わたしの歩き方は、問いかけてためしてみるということに尽きていたのだ。――そしてまことに、人はこのような問いかけに答えることをも学びおぼえなければならぬ。それは、――「わたしの趣味」と答えることである。


――よい趣味でも、悪い趣味でもない。ただわたしの趣味なのだ。この趣味をわたしはもはや恥じもしなければ、かくしもしない。


「さて、これが――わたしの道だ――君らの道はどこにある?」

「道はどこだ」とわたしに尋ねた者たちにわたしはそう答えた。

つまり万人の道というものは――存在しないのだ。

http://togetter.com/li/49200

われわれは結局、自分自身を体験するだけなのだ。

偶然がわたしを見舞うという時期は、もう過ぎた。

いまからわたしが出会うのは、何もかもすでにわたし自身のものであったものばかりだ!

 ただ戻ってくるだけだ。ついにわが家に戻ってくるだけだ。──わたし自身の「おのれ」が。

まことに勇気にまさる殺し屋はいない。──すすんで攻める勇気だ。

すすんで攻めるとき、われわれは喨々と鳴りひびく音楽を聞くのだ。


 人間は最も勇気に満ちた動物だ。それによって、人間はすべての動物を征服した。鳴りひびく楽の音によって、かれはさらにあらゆる苦痛をも征服した。しかも人間の苦痛にまさる深い苦痛はない。

 勇気はまた、深淵をのぞきこんだときのめまいをも打ち殺す。それにしても人間はいたるところで深淵に臨んでいるのではなかろうか! 

目をあけて見ること自体が、──深淵を見ることではないのか?


 勇気にまさる殺し屋はいない。勇気はまた同情をも打ち殺す。苦悩への同情こそ底の知れない深淵なのだ。深く仁政のなかをのぞけばのぞくほど、人間はそれだけ深く苦悩のなかを見るのだ。

 勇気にまさる殺し屋はいない。すすんで攻める勇気、それは死をも打ち殺す。なぜなら勇気はこう言うからだ。


「これが生きるということであったのか? よし! もう一度!」

 かかることばには、喨々とひびく音楽がある。耳のある者は聞くがよい。──


「この門を通る道を見るがいい! 小びとよ」

とわたしは言いつづけた。


「それは二つの面をもっている。二つの道がここで出会っている。

どちらの道も、まだそのはてまで歩いた者はいない。
 
この長い道をたどれば、永遠に果てしがない。

またあちらの長い道を出て行けば、──そこにも別の永遠がある。


 かれらはたがいに矛盾する、──この二つの道は。かれらはたがいに反撥しあう。

──そしてこの門のところこそ、かれらがまさにぶつかっている場所なのだ。

門の名は上に掲げられている。──『瞬間』と。

 ところで、誰かがこの道のひとつを選んで進んでいくとする、

──どこまでもどこまでもいくとする。

どうだろう、小びとよ、

これらの二つの道は、永遠に喰いちがい、矛盾したきりであろうか?」──

「直線をなすものは、すべていつわりなのだ」

と、小馬鹿にしたように小びとつぶやいた。

「すべての真理は曲線なのだ。時間そのものもひとつの円形だ。」


「重力の魔よ!」

と、わたしは怒って言った。

「そう安直に言うな! さもないと、おまえをその坐った場所におきざりにするぞ、足萎えめ!

──おまえをこの高みまで担いできたのは、このわたしだ!」

 さらに、わたしは言いつづけた。

「見るがいい、この『瞬間』を! 


この瞬間の門から、ひとつの長い永遠の道がうしろの方へはるばるとつづいている。

われわれの背後にはひとつの永遠がある。


 およそ走りうるすべてのものは、すでに一度この道を走ったことがあるのではなかろうか? 

およそ起こりうるすべてのことは、すでに一度起こり、行われ、この道を走ったことがあるのではなかろうか?

 すでにすべてのことがあったとすれば、小びとよ、おまえはこの『瞬間』そのものをどう思うか? 

この門もまたすでに──あったのではなかろうか?


そして一切の事物は固く連結されているので、そのためこの瞬間はこれからくるはずのすべてのものをひきつれているのではなかろうか? 

したがって、──自分自身をも?

 まことに、およそ走りうるすべてのものは、この向こうへ延びている長い道を──やはりもう一度走らなければならないのだ!──


 そして、ここに月光をあびてのろのろと這っている蜘蛛、この月光そのもの、そして門のほとりで永遠の問題についてささやきかわしているわたしとおまえ、──われわれはみな、すでにいつか存在したことがあるのではなかろうか?

 ──そしてまためぐり戻ってきて、あの向こうへ延びているもう一つの道、あの長い恐ろしい道を走らなければならないのではなかろうか、

──われわれは永遠にわたってめぐり戻ってこなければならないのではないかろうか?

──」

http://kuzukiria.blog114.fc2.com/blog-entry-63.html

まことに、われわれが生きることを愛するのは、生きることに慣れているからではない。愛することに慣れているからだ。

愛というもののなかには、常にいくぶんの狂気があるが、狂気のなかには常にまたいくぶんの理性があるものだ。

だから、わたしにも(わたしは生きることをたいせつに思っているのだから)、蝶やシャボン玉や、また人間のなかでそれらに似通っている者たちが、幸福について最もよく知っているものであるように思えてくるのだ。

これらの軽やかな、おろかしい、愛らしい、動きやすい小さな生き物たちが、ひらひら舞っているのを見ると、涙に誘われ、歌に誘われるのだ。

わたしが神を信ずるなら、踊ることを知っている神だけを信ずるだろう。

わたしがわたしの悪魔を見たとき、その悪魔は、まじめで、深遠で、おごそかだった。それは重さの霊であった。この霊に支配されて、いっさいの事物は落ちる。


これを殺すのは、怒りによってではなく、笑いによってだ。

さあ、この重さの霊を殺そうではないか。


わたしは歩くことを学びおぼえた。それ以来、わたしは自分の足が軽やかに歩いてゆくのにまかせている。

わたしは飛ぶことを学びおぼえた。それ以来、わたしはひとに押されてから動き出すことを好まない。


いまわたしは軽い。いまわたしは飛ぶ。

いまわたしはわたし自身をわたしの下に見る。

いまわたしを通じて一人の神が舞い踊っている。

http://blog.goo.ne.jp/moguratanen


「わたしがわたしの悪魔を見たとき,その悪魔は,まじめで,深淵で,おごそかだった。

それは重さの霊であった。

この霊に支配されて,いっさいの事物は落ちる。

これを殺すのは,思りによってではなく,笑いによってだ。

さあ,この重さの霊を殺そうではないか

「わたしは,悪魔に対しては,神の代弁者だ。その悪魔とは,重さの霊なのだ。

かろやかな者たちょ,どうしてわたしが神々しい舞踏に敵意をもとう。

美しいくるぶしをもった乙女の足に敵意をもとう。


「上へ。ーわたしの足を下へ,深淵へと引き下げる霊,

私の悪魔であり,宿敵である重さの霊に抗して上へ。

なかば保儒,なかばもぐら,自分も足萎えで,そして他者の足を萎えさせるこの霊が,わたしの耳に鉛を,わたしの脳髄に鉛のしずくの思想をしたたらせながら,わたしにとりついているにもかかわらず,わたしは上へ進んだ。

「真に自己自身の所有に属しているものは,その所有者である自己自身にたいして,深くかくされている 地下に埋まっている宝のあり場所のうち自分自身の宝のあり場所は発堀されることがもっともおそい。

それは重さの霊がそうさせるのである。

http://eprints.lib.hokudai.ac.jp/dspace/bitstream/2115/5197/1/KJ00000113328.pdf

 

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