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リヒテルの悲劇    西岡昌紀
http://www.asyura2.com/09/reki02/msg/633.html
投稿者 西岡昌紀 日時 2012 年 5 月 08 日 21:53:13: of0poCGGoydL.
 

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http://mixi.jp/view_diary.pl?id=427633323&owner_id=6445842
http://blog.livedoor.jp/nishiokamasanori/archives/5485996.html

スヴャトスラフ・リヒテル(Svjatoslav Richter:1915−
1997)と言ふピアニストを皆さんは御存知でしょうか。

(参考サイト)
http://www10.plala.or.jp/frederic3/pianist/richter.html


リヒテルは、20世紀最大のピアニストの一人です。
リヒテルは、ウクライナに生まれた旧ソ連の天才ピア
ニストで、その録音は、今も世界の人々に愛され続けて
居ます。


そのリヒテルが初めて日本を訪れたのは1970年の事で
す。以来、リヒテルは何度も日本を訪れましたが、最初の
4回は、音楽マネージャーである私の父が、彼を日本に
招聘し、 彼の世話をして居ました。


(参考サイト)
http://www.ne.jp/asahi/ponpoko/tanuki/sakura_28_Dec_2001.htm


そうした関係で、私の家族は、リヒテルと懇意だったので
すが、そんなリヒテルとの交流の中で、或る時、こんな事が
有りました。

リヒテルが、三度目か四度目に日本を訪れた時の事です。
或る夜、私の母が、リヒテルに会って家に帰って来た時、
こんな事を口にしたのです。

「リヒテルさんが、『私はドイツ人だ』って言ってたわ
 よ。」

母は、ちょっと不思議そうな口調で私にそう言ひました。
母が言ったのはそれだけで、その日、リヒテルが、私の
両親にそれ以上、自分の生い立ちについて何を語ったか
私は知りませんが、その時の母の話し振りからすると、
彼は、私の両親に、それ以上自分の生い立ちについて何も
語らなかったものと思はれます。

考えてみれば、彼の苗字(Richter)は、ドイツ人の苗字
です。そして、トルストイやドストエフスキーの小説を
読めば良く分かる通り、昔から、ロシアやウクライナに
は、ドイツ人が沢山住んで居ましたから、ソ連にドイツ
人が居る事は不思議でも何でもありません。ですが、
家に帰って来た母が何気無く口にしたその言葉に、私は、
何か、複雑な事情が隠されて居る気がした事を今も良く
覚えて居ます。


 それから15年以上が経ち、もしかするとリヒテル氏が
他界した(1997年)後だったかも知れません。私は、
近くのCD店で一つのビデオを見つけました。それは、
『エニグマ』と言ふ題名の、リヒテルについてのビデオ
でした。そのビデオには、リヒテル自身が登場し、昔の
映像や録音を背景に、リヒテル自身が、自分の生い立ちや
思ひ出を語る内容だったのですが、その中で、リヒテルが
語る、彼の父親の話に、私は衝撃を受けました。
 リヒテルの父はドイツ人のピアニストで、若い頃は
ウィーンに住んで居たそうです。その父から、リヒテルは
大きな感化を受けたと自分で語って居るのですが、私が
衝撃を受けたのは、その父の死についての話でした。−−
リヒテルの父は、第二次大戦中、ドイツへの協力者として
ソ連当局によって捕らえられ、処刑されて居たと言ふので
す。−−この話に、私は、衝撃を受けました。「私はドイツ
人だ。」と言ふ、リヒテルの短い言葉には、彼のこんな
悲劇が秘められて居たのです。

 しかし、人生とは奇異な物です。ドイツへの協力者と
見なされた父を持つリヒテルは、そうした境遇にも関わら
ず、父の死後、ソ連を代表するピアニストと成ります。
プロコフィエフなどは、彼のピアノ・ソナタ7番を
まだ20代だったリヒテルに初演させて居ますが、これも、
彼の父が処刑された直後の事だったのです。

 リヒテルのこうした悲劇と栄光を思ふと、ヨーロッパの
歴史は、私たち日本人が、ハリウッドの三流映画によって
刷り込まれて来た様な単純な物ではなかった事を痛感せず
に居られません。


2007年5月8日(火)

ヨーロッパの大戦が終結した日に

               西岡昌紀

http://mixi.jp/view_community.pl?id=1862933


 

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