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無意識のうちに敗戦をひきづる日本と幻想の消滅(世に倦む日日)
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投稿者 あ+ 日時 2009 年 1 月 22 日 17:41:19: 8WlTWJKy3iQ86
 

日米関係言説における植民地奴隷根性と司馬遼太郎の米国論

今日(1/22)の朝日新聞を広げると、1、2、3、6、8、9、11面がオバマ新大統領関連の記事と特集で埋められ、社説は無論のこと、就任演説の全文が解説付きで掲載されていた。大きな世界のニュースだから、マスコミが大きく報道するのは当然だが、問題なのはその姿勢と論調で、あまりに一面的に積極的に評価し過ぎている。それは朝日だけでなく他の新聞やテレビも同じで、歓迎と礼賛一色で塗り潰されていて、まるで自国の元首の即位式を臣民に報道しているようで気分が悪くなる。ジャーナリズムの緊張感が全くない。朝日の社説は次のように言っている。「イスラム世界に対し『私たちは、新た道を模索する』と述べ、これまでとはアプローチを変え、共通の利益と相互の尊敬に基づく関係を築きたいという意欲を示した」「ブッシュ時代には欠けていた他者への共感と謙虚さを感じさせた。国際協調主義への明確な転換である」。この朝日の評価は、私が昨日の記事で書いた演説への感想とは180度違う。私が感じたことは全く逆だった。

朝日の社説は、「イスラム世界もこの絶好の機会を真剣にとらえて、対話に踏み出してほしい」とまで言っている。あまりに卑屈な礼賛と拝跪の態度に言葉も出なくなる。ここには、朝日の保守と蒙昧の体質がよく示されているが、その礼賛と拝跪はオバマという政治家に対してのものではなくて、米国という絶対者に対してのものであることがよく分かる。日本の支配層が何か公式に発言するときは、米国への無条件の支持と服従が態度の前提になるのだ。朝日の社説を見ていると、米国に反発するイスラム世界の方が自己中心的で非常識だと言わんばかりで、読みながら憤懣が湧き上がってくる。侵略したのはどちらなのか。国連憲章を公然と踏み躙って、根拠のない「大量破壊兵器の存在」を理由に掲げ、イラクに侵略戦争の軍隊を送ったのは誰なのか。何の罪もないファルージャの市民に「テロリスト」の烙印を押して包囲し、無抵抗の民衆を大量殺戮したのは誰なのか。この朝日の社説はイラク戦争の真実を見失った言論としか思えない。

私はオバマ演説の中のイスラム世界に対する敵意と傲慢な態度に驚いたが、朝日によれば、感じ方は全く逆で、それは友好と協調のメッセージであり、ブッシュ外交からの転換を示すものだと言う。朝日だけでなく、昨夜のマスコミ報道の全般がそういう論調に覆われていて、この国の対米姿勢の奴隷根性と言うか、植民地根性が剥き出しになった議論で染まっている。報道ステーションに出演していた寺島実郎もそうだった。リチウムイオン電池の電気自動車開発に際して、米国の自動車産業が進める国際標準仕様に日本は協力してやれと言っていた。日米半導体協議のときの話と同じではないか。売国の弁とはこういうものだ。この15年ほど、日本のマスコミに登場して日米関係の話をする論者の口癖で、俺は米国に何年住んでいたとか、米国に友人が何人いるという自慢話と法螺話がある。昔は、30年前の頃は、そんな話を表で得意になって言う人間は多くなかった。そんな人間は1950年代以前の人間で、オキュパイド・ジャパンを彷彿させる時代の遺物だったのである。

日本がすっかり植民地の国になり、競うように米国のご機嫌取りと様子窺いをするようになった。日米関係の議論というのは、基本的に米国様の様子窺いの薀蓄の競い合いになり、米国様に日本が献上する貢物のリストとコストの見積り競争のようになった観がある。政府の対米姿勢を批判する者ですら、こうした植民地官吏的な精神性から自由でない場合が多い。すでに日本経済の貿易相手国の第1位は中国となり、実体経済では米国よりも中国を相手に商売をして稼いでいる人間が多くなり、中国を中心とするアジア諸国への輸出と輸入で日本人は生きていて、その比重は今後ますます大きくなると言うのに、日本人の対外関係と言えば米国様であり、外交問題と言えば米国様との関係の間合いである。米国が日本を見捨てて中国と直接に結びつくのではないかという「恐れ」を言ったりしている。くだらない。何故そこまで植民地奴隷の言説を吐き散らかして、米国様に帰依しなくてはなならないのだ。その米国は、金融も経済も凋落が決定的で、間もなく超大国の軍事力も失うのが見えていると言うのに。

昨日の記事で問題にした米国の独善性と自己中心性と、世界の主導的立場としての(現実離れした)過剰な自己意識についての続きだが、その自意識は90年代以降のハリウッド映画に露骨に表出していて、異文化や他宗教を軽蔑し、自己の他世界への無知を開き直り、富と暴力を持っていれば何でも許されるのだという猛々しい傲慢な思想性が滲んだものが多い。そういう映画作品ほど米国や日本の大衆に好まれて売上記録を作ったりしていた。「ラスト・サムライ」や「キル・ビル」のように、日本の歴史や文化が不当に歪曲され蹂躙されている作品ほど、マスコミが扇動して日本の観客に宣伝し、円を日本人の財布から巻き上げてハリウッドに積み上げていた。増長するオリエンタリズムと屈折する逆オリエンタリズム。そこでの支配と被支配、収奪と被収奪。70年代の頃を振り返って、私はその当時の米国映画が好きだが、今とは全く違って知的で自己省察的な思想があった。「ソルジャー・ブルー」とか「サークル・ゲーム」とか「俺たちに明日はない」とか「スケアクロウ」とか。当時のような内省的な作品が主流になる米国に戻るだろうか。

オバマ新大統領の就任演説があるというので、それを聞くための準備体操のつもりで、久しぶりに司馬遼太郎の『アメリカ素描』を読み直した。すると、やはり冒頭に面白い記述が見つかり、頁を捲り直してよかった。「『もしこの地球上にアメリカという人工国家がなければ、私たち他の一角にすむ者も息ぐるしいのではないでしょうか』。かれは、経済や政治の問題をいっているのではない。いまもむかしも、地球上のほとんどの国のひとびとは、文化で自家中毒するほどに重い重圧のなかで生きている。(中略)いまはアメリカで市民権をとることが容易でないにせよ、そのように、文明のみであなたOKですという気楽な空間がこの世にあると感じるだけで、決してそこへ移住はせぬにせよ、いつでもそこへゆけるという安心感が人類のどこかにあるのではないか」(1986年 読売新聞社刊 P.42)。この本は司馬遼太郎の米国論だが、もう一つの主題は「文化と文明」論である。司馬遼太郎が与えた「文化と文明」の定義を、米国論に仮託し適用して検証する試みがされている。要するに米国とは文明であり、近代そのものだと言っている。近代とは人類が米国(という文明)を持つ時代だ。

21 世紀は、人類が米国(という文明)を失う時代であり、司馬遼太郎が上で挙げた「いつでもそこへゆける」という安心感を失う時代だ。そこへ行っても失業と貧困しかなく、職もなく、富もなく、夢や希望はないとすれば、誰も米国に移住などしなくなるだろう。海外移民を精力的に受け入れるということは、低価格の労働力を大量輸入するということであり、社会の格差を拡大するということである。その政策は中産階級による安定した社会を作るという政策と原理的に矛盾する。安定した中産階級が社会を構成する資本主義国は、決して移民労働力で産業を支えたりはしないし、それを成長と繁栄の条件にはしない。そして世界は、徐々にではあるが、これまで若者が米国に行くしか夢のなかった国々が、自国で夢を持てるように社会改造を始めている。優秀な若年の人材を米国に提供していた中国とインドが変わり始めている。ウェーバーの「鉄の檻」を援用して言えば、ポスト近代は米国という安心の大地を人類が喪失した時代に違いない。私はそのように思う。誰もが生まれた国をよくしなくてはいけない。自分がよりよく生きるためには、責任を持って自分の足下をよくしなくてはいけない。そういう時代になるだろう。

オバマ新大統領のアフガン増派政策は根本的に間違っていて、米軍の軍事力でアフガンに平和と安定が戻るなどあり得ない。増派は戦乱を長引かせ泥沼化させるだけで、アフガン人と米兵の戦争犠牲者を増やすだけだ。この作戦と政策をオバマが指揮する以上、米国民はアフガン戦争を支持し続け、撤退支持の世論が盛り上がることはないだろう。オバマは、超党派の国民的支持を得るため、保守の共和党からも支持されるために巧妙に人事と政策を操っているが、アフガン作戦に関して言えば、一度増派路線に踏み切った以上、簡単に撤収を決断することは難しく、戦果のないままの方針転換は政権支持率急落の原因になる。国民の融合とか亀裂の修復を言って、無理に政権の性格を挙国一致型にしたために、大事な政策の判断でオバマは誤りを犯しているように私には見える。「変革」を公約したのなら、すぐに本当に「変革」に着手しなくてはならず、万難を排して「変革」の諸政策を実行に移さなくてはならない。「変革」の公約や期待と「超党派」の権力の実質は原理的に矛盾するはずで、きっと政策決定過程において綻びが出るだろう。オバマがその矛盾を弁証法的に統一できるカリスマの持ち主かどうかが問われる。

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