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糞パフォーマンス、初の裁判員裁判2日目。
http://www.asyura2.com/09/senkyo68/msg/815.html
投稿者 SOBA 日時 2009 年 8 月 07 日 16:56:11: LVbi13XrOLj/s
 

(回答先: 糞パフォーマンス、初の裁判員裁判1日目。 投稿者 SOBA 日時 2009 年 8 月 07 日 16:18:30)

【裁判員2日目】審理始まる 目撃者が事件について証言 (1/2ページ)
http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/090804/trl0908041116007-n1.htm
2009.8.4 11:16

 全国初の裁判員裁判となった東京都足立区の隣人女性殺害事件で殺人罪に問われた無職、藤井勝吉被告(72)の2日目の公判が4日午前10時から、東京地裁(秋葉康弘裁判長)で開かれた。午前中には事件の目撃者2人の証人尋問が行われ、休廷を挟んで午後には「被害者参加人」である被害女性の長男(37)の証人尋問や被告人質問などがあり、証拠調べは山場を迎える。

 被害者参加人として出廷する長男は、被告人質問の中で被告に質問する見込み。法廷で繰り広げられる被告と被害者遺族のやりとりは、裁判員が「刑の重さ」を判断する上で、重要な材料となりそうだ。

 まず、事件当日に血を流す被害者の文春子さん=当時(66)=を見かけて110番通報したという近所の男性が証言台に立ち、「文さんが道路に置いた植木鉢やバイクで、藤井さんとトラブルになっていた」などと証言。殺人事件に発展したことについては「そのくらいのことでやるのかと思った」との感想を述べた。

 裁判員は証人や被告に質問ができるが、初日の証人尋問では、裁判員が直接問いかける場面はなかった。

(2/2ページ)
http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/090804/trl0908041116007-n2.htm

 この日の午後には、殺害された文さんの長男が被害者参加人として出廷。証人尋問を受け証言を行う。また、その後には藤井被告の被告人質問も行われる。被害者・加害者それぞれの立場の肉声に、裁判員がどのように耳を傾けるのかが注目される。

        ◇       ◇

 ■証拠調べ 起訴内容について有罪といえるか有罪とはいえないか、あるいは量刑を判断するために、検察、弁護側双方から取り調べを求められた証拠を調べること。証拠には供述調書などの証拠書類のほか、凶器などの物的証拠や証人の証言なども含まれる。「見て、聞いてわかる裁判」が目指される裁判員裁判では、調書などより証人尋問などが重要な証拠となる。

 
【裁判員 聴く(1)】2日目始まる…目撃証人を一斉に凝視する6人(9:58〜10:10) (1/3ページ)
http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/090804/trl0908041101005-n1.htm
2009.8.4 11:01

 《国民が刑事裁判の審理に参加する全国初の裁判員裁判。東京地裁では4日も前日に引き続き1階の104号法廷で、東京都足立区の隣人女性殺害事件で殺人罪に問われた無職、藤井勝吉被告(72)の2日目の審理が開かれた》

 《初日の3日は、藤井被告の罪状認否や検察・弁護側双方の冒頭陳述、目撃者1人の尋問が行われた。検察官が被害者の整体師、文春子さん=当時(66)=の遺体写真を小型モニターで説明する際、一部の裁判員が顔を背ける場面があり、また、裁判員制度反対派の傍聴者が不規則発言をして退廷を命じられるハプニングもあったが、おおむね予定通りに公判は進んだ》

 《4日は午前中に事件の目撃者2人の証人尋問が行われ、休廷を挟んで午後には被害者である文さんの長男(37)の証人尋問や被告人質問などが予定されている。検察、弁護側双方の争点は藤井被告の殺意の濃淡に絞られている。裁判員は証人や被告に直接質問ができるが、初日の証人尋問では裁判員が直接問いかけることはなかった。裁判員が証人や被告に直接質問をする場面が見られるのかが注目される》

 秋葉康弘裁判長「それでは、開廷します」

 《東京地裁の104号法廷は最も広い法廷だが、昨日と同様、傍聴人で満席となった。藤井被告の入廷後、男性1人、女性5人の計6人の裁判員が昨日と同じく裁判官の両脇に3人ずつ座った。そして、裁判長の宣言で午前9時58分、開廷した。裁判員裁判2日目とあって、裁判員の表情からはやや緊張感が薄れたようだ》

(2/3ページ)
http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/090804/trl0908041101005-n2.htm

 裁判長「では、検察官は目撃者の供述調書を読み上げてください」

 《検察官は『はい』と返事して、すくっと立ち上がり、事件を目撃したという近所の男性の供述調書を読み上げ始めた》

 《起訴状によると、事件の概要は、藤井被告は5月1日午前11時50分ごろ、足立区の路上で、隣人の文さんの左胸、左側の背中などを刃体の長さ約9・3センチのサバイバルナイフで数回突き刺すなどし、文さんを出血性ショックによって死亡させた−というものだ》

 検察官「平成21年5月1日午前11時50分ごろ、自宅でテレビを見ていたとき、『ギャー、何するのよ』と女性の声が外から聞こえました。それは絶叫のようでした。玄関から外を見ると、小島(千枝)さん(文春子さんが日本で使っていた名前)が北の方を向いて立っていました」

 「小島さんの胸のあたりから血が流れていて、北の方を指さしていました。それは、私に北の方を教えようとしていたと思いました」

 《検察官は目撃者の臨場感あふれる供述調書をわりと響く声で読み上げる。一方、裁判員は手元の資料をみたり、検察官をじっと見るなどしていた。伏し目がちの藤井被告も時折、検察官を見上げた》

(3/3ページ)
http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/090804/trl0908041101005-n3.htm

 検察官「その指さす方をみたら、藤井(被告)が立っているのが見えました。私と藤井とは10メートルほど離れていましたが、50年来知っているので、それが藤井だと分かりました」

 「藤井はすぐに建物の物陰に入り、姿がみえなくなりました。しかし、周囲には藤井以外に誰もいませんでした」

 「すぐに自宅の電話から警察に通報しました。そのとき、『傷害事件があった』と言いましたが、それは、藤井がけがをさせたからだと思ったからです」

 《近所の男性の供述調書を読み終えた検察官は続いて、法廷両側に設置している大型モニターに現場の地図を表示して、補足説明を加えた》

 《そのあと、目撃者である近所の男性が入廷し、証言台の前で宣誓した。男性を見下ろす形になる裁判員は男性の方を一斉に凝視した。証言席に腰を下ろした男性に対し、女性検察官が尋問を始めた》

 
【裁判員 聴く(2)】「血が30センチの輪になって…」証言にまゆしかめる女性裁判員(10:10〜10:20) (1/4ページ)
http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/090804/trl0908041113006-n1.htm
2009.8.4 11:12

 《女性検察官が立ち上がり、質問を始めた。最初の証人は、初日に証言した近所の女性と同様、事件直後の現場を目撃した近所の男性だ。女性の叫び声を聞き、異変を感じて外に飛び出した近所の男性。そこには、刃物で刺され、苦しそうな表情をした被害者の文春子さんと、藤井勝吉被告が立っていたという。6人の裁判員の視線が、証人に注がれる》

 検察官「外から叫び声が聞こえましたか」

 近所の男性「はい」

 検察官「どんな声でしたか」

 近所の男性「第一声は『ぎゃー』という声で、『何するのよ』というような声も聞こえました」

 検察官「ただごとではないと思ったのですね」

 近所の男性「はい」

 検察官「ケンカと思って飛び出したのですね」

 近所の男性「はい」

 検察官「血はどんな感じで流れていましたか」

 近所の男性「30センチぐらいの輪になっていました」  検察官「小島(千枝)さん(文春子さんが日本で使っていた名前)はあなたの方を見ていましたか」

 近所の男性「相当、苦しそうな顔で(こちらを)見ていました」

(2/4ページ)
http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/090804/trl0908041113006-n2.htm

 《生々しい事件現場の描写に、女性裁判員の1人は思わずまゆをしかめた。女性検察官は、依然として現場の状況を問い続ける》

 検察官「小島さんは指をさし、そこには藤井被告が立っていたのですね」

 近所の男性「はい」

 検察官「では、モニターに映します」

 《大型モニターに、現場周辺の地図が映った。手元の小型モニターを見にくそうに眺める証人の男性に対し、女性検察官は「メガネを外してもいいですよ」と声をかける》

 検察官「(モニターに映った)三角印が小島さんの位置、丸印が藤井被告の位置ですね。おおむねこれで正しいですか」

 近所の男性「藤井被告はもっと道路に出ていたと思いますが」

 《男性によると、玄関から飛び出したとき、自宅前で文さんが倒れており、文さんが指さした先には、藤井被告が立っていたという》

 検察官「あなたは被告や小島さんを見て、110番通報をしましたね」

 近所の男性「はい」

 検察官「玄関の引き戸を閉めてから110番通報をしましたね」

 近所の男性「はい。被告がこっちの方を見ていたので、恐ろしくて閉めました」

(3/4ページ)
http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/090804/trl0908041113006-n3.htm

 《検察官の質問は、証人の男性と藤井被告との関係に移った。男性は、藤井被告とは50年ぐらい前からの近所づきあいという。裁判員は、メモをとったり、証人や検察官の顔を見つめたりしながら、やりとりに聞き入っている》

 検察官「普段は(藤井被告と)どのような関係ですか」

 近所の男性「隣組の関係です」

 検察官「被告に対する心境が変わったことがありますか」

 近所の男性「40年ぐらい前に(藤井被告が)事件を起こしたことがありまして…」

 検察官「どう思いました」

 近所の男性「恐ろしく思いました」

 《そういうと、男性は女性検察官に問われるまま、藤井被告が40年前に起こしたという事件について説明をしていく》

 近所の男性「藤井被告は、近所の人とお酒を飲んで、プロレスごっこをしているときに殺してしまったんです。あと、自転車が邪魔だといってガラスを割ってしまったり、なにか訳の分からないことを大きな声で叫んだりしていました」

 検察官「プロレス技をかけて殺してしまったというのは?」

 近所の男性「うわさで聞きました」

(4/4ページ)
http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/090804/trl0908041113006-n4.htm

 検察官「どんな技ですか」

 近所の男性「逆落としです」

 《興味を感じたのか、一部の女性裁判員が証人の男性を凝視する》

 検察官「あなたの家と藤井被告との間でトラブルはありましたか」

 近所の男性「ありません」

 《検察官は、さらに文さんの人柄についても尋ねていく》

 検察官「小島さんの性格は?」

 近所の男性「気の強い人だと思っていました」

 検察官「近所づきあいはどのような感じでしたか」

 近所の男性「隣組として普通に付き合ってきました」

 検察官「気が強い以外に変わったところは」

 近所の男性「そのほかは、普通に付き合ってくれたので、なんともありませんでした」

 《弁護人は冒頭陳述で、文さんの人物像について、「近所の人ともしょっちゅうケンカしていた」としていた。検察側は、近所の男性の証言で、文さんが通常の近所づきあいをしていたことを強調したいようだ》

 
【裁判員 聴く(3)】「仕返し恐い」の証言に裁判員の反応は…(10:20〜10:30) (1/4ページ)
http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/090804/trl0908041139008-n1.htm
2009.8.4 11:39

 《藤井勝吉被告の近所に住む男性が証言する姿を、6人の裁判員はじっと見つめている。藤井被告は被害者の文春子さんがオートバイをUターンさせてペットボトルを倒していると思いトラブルになっていたとされる。検察官は、男性がそのことを知っていたのかどうかを質問している。裁判員は、そのやり取りをときおり、メモするなどしている》

 検察官「小島さん(文春子さんが日本で使っていた名前)のUターンの話を聞いたことがありますか?」

 近所の男性「あります」

 《検察官も、裁判員に分かりやすいように、落ち着いた様子でゆっくりと質問する。これに対して、尋問を受けている男性は慣れていないせいだろうか、とぎれとぎれに、戸惑いながら答える》

 検察官「事件が起きる前に、小島さんに会いましたか?」

 近所の男性「会いました。朝の9時ぐらいに」

 検察官「何をしているところでしたか?」

 近所の男性「『虫取りをしている』と話をしていました」

 検察官「どこで会いましたか。家の前ですか」

 近所の男性「はい」

 検察官「世間話をしたということですね」

(2/4ページ)
http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/090804/trl0908041139008-n2.htm

 近所の男性「はい」

 検察官「事件について、どう思いますか?」

 近所の男性「驚きました…。朝会ったばかりなのに、かわいそうだと思いました」

 検察官「(文さんが)ペットボトルを倒して、それを直さないから、殺されたということについて、どう思いますか?」

 近所の男性「かわいそうだと思いました」

 検察官「あなたが(事件を警察に)通報なさったんですよね。それについて思うことはありますか」

 近所の男性「(被告からの)仕返しが恐ろしいなと思います」

 《「仕返しが恐い」。証人から出た言葉に、裁判員の1人の表情がやや曇ったように見えた。しかし、大きな変化はない。言葉も発しない。ここで検察官が尋問を終え、続いて弁護人が立ち上がった。弁護人の方に視線を向ける裁判員、変わらず証人の男性を見つめる裁判員、下を向いて何かメモをとる裁判員。反応はさまざまだ》

 弁護人「あなたと藤井さん(被告)はあいさつするようなことはあったんでしょう」

 近所の男性「はい」

 弁護人「藤井さんとの間で、もめごとはなかったですよね」

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http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/090804/trl0908041139008-n3.htm

 近所の男性「はい」

 弁護人「あの場所に住んで、どれぐらいですか」

 近所の男性「50年ぐらいです」

 弁護人「ならば、藤井さんと被害者とのトラブルについては、知っていましたね」

 近所の男性「はい」

 弁護人「どんなことでしたか」

 近所の男性「それは小島さんが、植木を出しているということでした」

 弁護人「バイク(オートバイ)については、ご存知だったですか」

 近所の男性「はい」

 弁護人「小島さんが軽自動車のことで(藤井被告と)もめたことについては知っていましたか」

 近所の男性「はい」

 弁護人「その後、藤井さんが軽自動車を処分したことは、知っていましたか?」

 近所の男性「それは…、後で話を聞きました」

 弁護人「小島さんが食器にたまった水を、外に捨てる(ことがあり、その)音は聞いていましたか?」

 近所の男性「はい」

 弁護人「どう思いましたか?」

 近所の男性「すぐ終わることだから気になりませんでした」

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http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/090804/trl0908041139008-n4.htm

 弁護人「奥さんはどうですか?」

 近所の男性「『ちょっと気になる』と言っていました」

 弁護人「道路にバイクを置くということについて、注意することは、なかったのですか?」

 近所の男性「ないです」

 弁護人「それはなぜですか?」

 近所の男性「うちは出口が裏ですから」

 弁護人「置くことは迷惑だが、特に自分には迷惑ではないから注意しなかった、ということですか?」

 《この質問に男性は言葉に詰まる。数秒間の沈黙。裁判員の視線が、証人に集まる》

 近所の男性「…勝手な考えかもしれませんが、『いいや』と思いました」

 弁護人「事件の当日ですが、藤井さんが尻もちををつくのを見たんですよね」

 近所の男性「はい」

 弁護人「それから左に移動して、建物の陰に入った」

 近所の男性「はい」

 弁護人「(被告が)自分の家に入るところを見ましたか?」

 近所の男性「見ていません」

 弁護人「家から見えなかったのですか?」

 近所の男性「隣の家の陰になって、見えませんでした」

 
【裁判員 聴く(4)】証言の根拠尋ねる弁護人、柔らかな笑顔で話す検察官(10:30〜10:40) (1/4ページ)
http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/090804/trl0908041156009-n1.htm
2009.8.4 11:55

 《弁護人の証人尋問が続く。近所に住んでいる証人の男性は、声が聞き取りづらい。裁判員は証人の表情を注視しながら話に聞き入った》

 弁護人「110番通報に3、4分かかったのですか」

 近所の男性「住所とか、藤井(勝吉)さん(被告)の名前…普段は『かっちゃん』て呼んでいて…下の名前は何かとか聞かれて、時間がかかったと思います」

 弁護人「110番している間に、外から怒鳴る声とか叫び声は聞こえましたか」

 近所の男性「その間は…聞こえませんでした」

 弁護人「耳が不自由だからというのもあるんでしょうかね」

 近所の男性「あ…左耳が…ちょっと聞こえづらいので」

 《裁判員の1人が、聞き取りづらそうに顔をしかめる》

 弁護人「110番した後に、もう1度外を見に行ったときには、藤井さんも小島(千枝)さん(文春子さんが日本で使っていた名前)もいなかったわけですね」

 近所の男性「はい」

 弁護人「その時は玄関から顔を出しただけで、外には出ていないのですね」

 近所の男性「はい。お巡りさんが来て、危ないから入ってと言われました」

 弁護人「110番してから、警察が来るまでの時間は」

 近所の男性「覚えていません」

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http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/090804/trl0908041156009-n2.htm

 弁護人「あなたに確認しないで、警察は藤井さんの家に向かったのですか」

 近所の男性「そういう気がします」

 弁護人「検察官の質問に、小島さんは気が強いところがあると答えていましたが、何を根拠に言っているのですか」

 近所の男性「2回くらい聞いているのですが…チラシを配っている人に、『うちには関係ないからポストに入れるな』と言ったと」

 弁護人「それを直接聞いたのですか」

 近所の男性「メガネ屋さんが『チラシを入れたときにそう言われた』と言っていました」

 弁護人「被害者がそう言うのを、あなたが直接聞いたわけではないのですか」

 近所の男性「聞いていません。事件の後に、メガネ屋さんから聞きました」

 《被害者である文さんの日頃の言動をつまびらかにしようとする証人》

 弁護人「他には?」

 近所の男性「包丁の研ぎ屋さんに(文さんが)頼んだときに、『そんなに削ったら刃がなくなっちゃう』と大きな声で言っていました」

 弁護人「被害者が水たまりに金属の食器をこすりつけると言いましたが、その食器は小島さんの玄関先の水たまりのこと?」

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http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/090804/trl0908041156009-n3.htm

 近所の男性「…違います」

 弁護人「どのあたりの水ですか?」

 近所の男性「…うちの前あたりです。青い電柱の前あたり。オートバイのかげになっているところ、そこです」

 《手元のモニターで位置を示す。6人の裁判員もモニターに見入って、位置関係の把握に努める》

 弁護人「むしろ被害者宅というよりは、あなたの家に近い側溝ですね」

 近所の男性「はい」

 《ここで弁護人の尋問が終わった。検察官が再び、尋問に立った》

 検察官「もう1度確認しますね。被害者は気が強い一方で世間話をしたり気さくなところもありましたか」

 《女性検察官は柔らかな笑顔で、証人に話しかける。話しやすい空気をつくろうとしているのだろうか》

 検察官「あなたの住んでる地域に町内会はありますね。小島さんは入っていますか」

 近所の男性「はい、入ってます」


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http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/090804/trl0908041156009-n4.htm

 弁護人「役員は?」

 近所の男性「7、8年前に1回やっています」

 検察官「被告人は町内会に入っていましたか」

 近所の男性「(町内会の)帳面に名前はありませんでした」

 検察官「なんで入っていなかったか分かりますか」

 近所の男性「ちょっと…分かりません」

 裁判長「ここで打ち合わせをしますのでその場でお待ちくださいね」

 《裁判長の言葉とともに、裁判官と裁判員が退廷した。女性検察官が、笑顔で証人に近づき、流れを説明する》

 
【裁判員 聴く(5)】顔を見回す裁判長、笑み浮かべるも沈黙の裁判員(10:50〜11:05) (1/4ページ)
http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/090804/trl0908041212012-n1.htm
2009.8.4 12:11

 《裁判長と6人の裁判員との打ち合わせが続く。藤井勝吉被告は落ち着かない様子で、じっと下を向いたまま顔をしかめる。1分、2分…。証言台に座った証人の近所の男性も固まったまま動かない》

 《打ち合わせが始まって15分経過した午前10時54分…。男性書記官が突然、声を発し、法廷に再び緊張が走る》

 男性書記官「傍聴人のみなさんは、そのままでお願いします」

 《これまでの裁判では、裁判官が法廷に入る際は傍聴人は席を立ち、礼をするのが通例だった。だが、裁判員に余計な緊張を与えないためか、書記官は座ったままの姿勢を傍聴人に呼びかけた》

 男性書記官「それでは解錠してください」

 《男性書記官は藤井被告の両側に座る刑務官に対して、裁判員が入廷する前に手錠を解くように促す》

 《手錠や腰縄も、被告を犯人視する予断を与えかねないとして、裁判員裁判では、裁判員の入廷前に解くことに決まった。刑務官らは慣れない手順にとまどいながら、裁判員入廷前に藤井被告の手錠を解いた》

 《手錠が解かれたことを確認した男性書記官は、別部屋に待機する裁判官や裁判員に入廷を促す電話をかけるために受話器をあげた》


(2/4ページ)
http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/090804/trl0908041212012-n2.htm

 《それを待っていたかのように、すぐに裁判官らに引き連れられ、6人の裁判員が入廷する》

 《長い打ち合わせの後の証人尋問の再開。『ついに裁判員が質問するのか』。法廷に異様な緊張が走る。その空気を確かめるように、秋葉康弘裁判長が口を開いた》

 裁判長「それでは再開します」

 《秋葉裁判長は両サイドの裁判員の顔を見回し、質問がないかどうかを確認していく。だが、だれも声を発しない。その空気を読み、左隣の馬渡香津子裁判官が質問を始めた》

 裁判官「私の方から質問させて頂きますね」

 《証人の近所の男性は藤井被告と殺害された文春子さんとの間に「トラブルがあったことを知っていた」と証言した。裁判官は、その部分について掘り下げて質問していく》

 裁判官「どうしてトラブルがあったことを知ったんですか?」

 近所の男性「聞こえましたからね」

 裁判官「被告人と小島(千枝)さん(文さんが日本で使っていた名前)との間で言い争う声が直接聞こえたということですか?」

 近所の男性「そうです」

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http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/090804/trl0908041212012-n3.htm

 裁判官「(言い争う声が聞こえたことが)何度もあったのですか?」

 近所の男性「はい」

 《少し耳が遠いのか、近所の男性は裁判官の質問がなかなか聞き取れない。このため、裁判官は男性の真意を確かめるように、分かりやすく質問を進めていく。藤井被告は文さんが家の前に置いていた植木やバイクに不満を持ち、度々トラブルになっていた》

 裁判官「あなたが聞こえたのは、植木とか、バイクのことでの言い争いですか?」

 近所の男性「そうです」

 《裁判官の細かな質問は続く。裁判官が聞き出した近所の男性の証言では、藤井被告が怒鳴る声は聞こえたが、文さんの声は聞こえなかったという》

 《裁判官の質問がひと区切りし、裁判員の発言に注目が集まるが、続いて質問を切り出したのは、秋葉裁判長だった。裁判長は近所の男性が目撃した藤井被告に刺された際の血の痕の簡単な確認を行った》

 《秋葉裁判長が左右に座る裁判員に質問がないのかとうかがうように顔を見回す。裁判員の声を逃すまいと、傍聴席に座る記者らにも緊張が走る》

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http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/090804/trl0908041212012-n4.htm

 《裁判員らは笑みを浮かべるものの、沈黙。その空気を嫌ってか、裁判長が再び質問に入る》

 裁判長「先ほどの証言で、『(藤井被告が)以前にプロレス技をかけた人を死なせた』と言っていましたが、どうして知ったのですか?」

 近所の男性「(プロレス技をかけられた人が)救急車で運ばれるのを見た際、(近所の人から)話を聞きました」

 裁判長「近所では有名な話だったのですね」

 《裁判長の質問はなくなったが、沈黙を破ったのは意外にも検察官だった。検察官は簡単な質問を近所の男性に投げかける》

 《検察官の質問もすぐに終わり、裁判長は11時20分までの休廷を告げた。男性は裁判員と傍聴席に頭を下げ退廷した》

 《裁判員が退廷すると藤井被告は手錠をかけられ、傍聴席を険しい表情で見つめていた》

 
【裁判員 聴く(6)】助け求める被害者に刃物持った被告「くそばばあ」(11:20〜11:30) (1/3ページ)
http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/090804/trl0908041223013-n1.htm
2009.8.4 12:22

 《休廷後の再開予定から1分ほど過ぎ、藤井勝吉被告が左側のドアからゆっくりと入廷した。男性書記官の合図で刑務官が手錠と腰縄をはずす。直後に事件現場の近所に住む女性が右側のドアから入廷し、証人台の後ろに立った。前日の証人とは別の女性だ。細身で紺色のワンピースにベージュの半袖ニット、レギンス姿。茶色の髪を一つにまとめている。続いて裁判官と裁判員が中央のドアから入廷し、それぞれの席に着いた》

 裁判長「それでは開廷します。証人は前に立っていただけますか」

 《証人が名前を名乗り、宣誓を行った。裁判員6人は証人をじっと見つめている。検察官が立ち上がって、証人尋問を始めた》

 検察官「5月1日の昼前、どこで何をしていましたか」

 近所の女性「家でお昼ご飯を食べようとしていました」

 検察官「テレビはついていましたか」

 近所の女性「3分クッキングをやっていました」

 検察官「その後、何が起こりましたか」

 近所の女性「大きな声が聞こえたのでおかしいと思いました。犬があやしいほえ方をしていて、外に出たら被告人がいました」

 検察官「叫び声はしましたか」

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http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/090804/trl0908041223013-n2.htm

 近所の女性「しました」

 検察官「どんな声でしたか」

 近所の女性「『助けてー』っていう声が聞こえました」

 《裁判員の視線を感じるためか、女性の声は緊張で震えていた。検察官は質問の意図が伝わるまで何度も聞き直したりしながら、事件直後に目撃した内容を聞き出していく》

 検察官「家から外に出たのですか」

 近所の女性「玄関の扉を開けました」

 《ここで検察官が裁判長に許可を求め、事件現場の見取り図を大型モニターに映し出した。藤井被告や被害者の自宅などはあらかじめ記入されている。女性は検察官に促され、自分の自宅や藤井被告が立っていた場所、被害者がいた場所に印を付けていった》

 検察官「あなたと被告人との距離は」

 近所の女性「約3メートルでした」

 検察官「小島(千枝)さん(文春子さんが日本で使っていた名前)との距離は」

 近所の女性「5〜6メートル離れていました」

 検察官「被告人は何か持っていましたか」

 近所の女性「刃物を持っていました」

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 検察官「どう思いましたか」

 近所の女性「びっくりしました」

 検察官「小島さんはどうしていましたか」

 近所の女性「『助けてー』と呼んでいました」

 検察官「被告人は」

 近所の女性「怒鳴っていました」

 検察官「なんと言っていましたか」

 近所の女性「『くそばばあ』と」

 検察官「誰に対してですか」

 近所の女性「小島さんに言ったと思います」

 検察官「他に小島さんの様子は」

 近所の女性「洋服の背中が破れていて、血が出ていたのが見えました」

 検察官「どう感じましたか」

 近所の女性「びっくりしました。パニックになりました」

 検察官「どんな状況か分かりましたか」

 近所の女性「被告人が被害者を刺したと分かりました」

 
【裁判員 聴く(7)】叫び声にも似た声で感情出す女性証人…下向く裁判員(11:30〜11:40) (1/4ページ)
http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/090804/trl0908041233014-n1.htm
2009.8.4 12:32

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 《検察官が証人として出廷した近所の女性に質問を続ける。法廷内のモニターには、現場となった藤井勝吉被告と被害者の文春子さん宅の周辺の地図が映し出されている》

 《検察官は、近所の女性に対し、藤井被告が文さんを刺した後の状況について質問を始める》

 検察官「(藤井被告が刺した後)被告人はどうやって家の方に帰ったんですか?」

 近所の女性「左回りして、家の方に帰って行きました」

 検察官「モニターで示していただけますか」

 近所の女性「はい」

 《モニターは、証人台前の画面上でペンを動かすと線を書き込める仕組みになっており、女性は藤井被告の足取りを赤い線で記した》

 検察官「その男は、藤井被告に間違いありませんか?」

 近所の女性「間違いありません」

 検察官「あなたの視力はいくつですか?」

 近所の女性「両目とも1・5です」

 検察官「そのとき、あなたは藤井被告と目は合いましたか?」

 近所の女性「合いました」

(2/4ページ)
http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/090804/trl0908041233014-n2.htm

 検察官「藤井被告は、それから家に帰るまでの間に振り返りましたか?」

 近所の女性「振り返りませんでした」

 検察官「藤井被告におかしなところはありましたか?」

 近所の女性「ありません」

 検察官「酒を飲んだり、ろれつが回らないような様子はありましたか?」

 近所の女性「ありません」

 検察官「その後、あなたはどうしましたか?」

 近所の女性「けがをしてどこかに行ってしまった小島(千枝)さん(文さんが日本で使っていた名前)を追いかけました」

 検察官「どうしてですか?」

 近所の女性「小島さんがどうなったか気になったので」

 検察官「どんな気持ちがしましたか?」

 近所の女性「ドキドキしました」

 《検察官は女性の気持ちをあぶり出そうとする》

 検察官「小島さんを見つけたのはどこですか。モニターに○で記してください」

 近所の女性「はい」

 《女性は、モニター上に小島さんを見つけた場所を書き込んだ。裁判員は、一斉に目の前のモニターに目をやった》

(3/4ページ)
http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/090804/trl0908041233014-n3.htm

 検察官「その辺りでいいんですね」

 近所の女性「はい」

 検察官「小島さんは、どういう状態でしたか?」

 近所の女性「しゃがみ込んで、ハアハアハアハア言っていました」

 検察官「傷は背中だけでしたか?」

 近所の女性「前にも負っていました」

 検察官「血は出いていましたか?」

 近所の女性「出ていたと思います」

 検察官「ほかに覚えていることは?」

 近所の女性「小島さんのくちびるが真っ青で、もうだめだと思いました」

 《苦しい場面を思い出しながら、顔をしかめる女性。裁判員は聞くのがつらいのか、顔を下に向ける人が多い》

 検察官「事件の後、あなたはどんな気持ちでしたか?」

 近所の女性「小島さんのことがずっと気になっていました」

 検察官「体調に変化はありましたか?」

 近所の女性「はい。夜、眠れなくなってしまい、睡眠薬を飲んでいました」

 検察官「どんな場面を思い出すのですか?」

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http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/090804/trl0908041233014-n4.htm

 近所の女性「小島さんの…、小島さんの亡くなりそうな場面です…」

 《思い出すのがつらいのか、下を向いて肩を震わせ、声を詰まらせる女性。検察官は、優しい口調で質問を重ねた》

 検察官「それだけつらい場面だったんですね。今はどんな気持ちですか?」

 近所の女性「はい、事件のとき…、何で…、何でもっと早く外に出て来なかったんだろうと、後悔しています」

 《最後は感極まって、叫び声にも似た声で感情を出し切った女性。法廷内は静まりかえり、裁判員も気まずそうに下を向いていた》

 
【裁判員 聴く(8)】早口でしゃべる証人 身を乗り出す裁判員(11:40〜11:50) (1/5ページ)
http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/090804/trl0908041252016-n1.htm
2009.8.4 12:51

 《証人として事件を振り返り、感極まって肩を震わせながら涙をこぼした近所の女性。大きく呼吸をして落ち着きを取り戻すと、検察官はあらためて質問を再開し、藤井勝吉被告についての印象を尋ねていく》

 検察官「普段見る被告はどのような感じですか」

 近所の女性「お酒飲んで夜でも騒いだりしていました」

 検察官「どんな時に騒いでいるところを見ましたか」

 近所の女性「犬の散歩をしているときなんかに見ました」

 《さらに、被害者の文春子さんの印象についても尋ねる検察官。藤井被告については、問題点をすらすら挙げた近所の女性だが…》

 検察官「小島(千枝)さん(文春子さんが日本で使っていた名前)についてはどうですか」

 近所の女性「ちょっと…なんて言っていいんでしょう…。ちょっと冷たい言い方をする人だなと」

 検察官「と、いうと?」

 近所の女性「カラスのひなの事件があったのですが、そのときに○○(聞き取れず)って感じで話していたので、ちょっと冷たいんだなと」

 検察官「それ以外は?」

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 近所の女性「それ以外はないです」

 検察官「それ以外に迷惑を受けたことは」

 近所の女性「ないです」

 《「カラスのひなの事件」とは、近所で巣から落ちたひなの扱いを巡って、文さんと住民との間のちょっとしたトラブルだという。それまでハキハキと答えていた証人の女性だが、文さんの印象については、言葉を選びながら証言をしていった》

 《検察官がここで質問を終わらせると、今度は弁護人が立ち上がり、質問を始めた。藤井被告と文さんとの間のトラブルなどについて聴きたいようだ》

 弁護人「小島さんがバイクを置いていることは知っていましたか」

 近所の女性「知っています」

 弁護人「それでトラブルがあったことは」

 近所の女性「聞いています」

 弁護人「そうした状況に、藤井さん(被告)が苦情を言っていたことは」

 近所の女性「聞いてます」

 弁護人「迷惑なのは分かりますよね」

 近所の女性「…ちょっと出ていましたから」

 弁護人「だいぶ出てますよね」

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http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/090804/trl0908041252016-n3.htm

 近所の女性「だいぶ出ています」

 《これまで弁護側は、事件の背景として文さんの一家がスクーターやバイクを道路に出していたことがトラブルの要因であると主張してきた。近所の女性も、少なくとも文さん一家のバイクなどがはみ出していたことは認識していたようだ》

 《さらに弁護人は、事件を目撃したときの様子についても聞いていく。騒ぎを聞いた女性が自宅のドアを開けると、そこには刃物を持った藤井被告が立っていたのだという》

 弁護人「ドアを開けると藤井さん(被告)がいたと?」

 近所の女性「はい」

 弁護人「ナイフを持っているところを見たと言っていましたね」

 近所の女性「はい」

 弁護人「あなたは果物ナイフと言っていましたが、実際の刃物とは形状が違いますよね」

 近所の女性「そのときはパッとしか見ませんでしたから」

 弁護人「藤井さん(被告)の顔を見たと言っていましたが、目も合ったのですか」

 近所の女性「目が合いました」

 弁護人「そんな近い距離で?」

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http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/090804/trl0908041252016-n4.htm

 近所の女性「その後は小島さんを見ましたから」

 《証人の女性はハキハキと答えるものの、答えるスピードが速く、弁護人の質問と答えがかぶることもある。ある女性裁判員は、ひじを机に乗せ、若干前かがみになるようにして、2人のやりとりを見守っている》

 《ここで、モニターに女性の自宅前の写真が映し出された。女性によると、自宅の門の前に、藤井被告が刃物を持った状態で立っていた。そこで玄関の門を閉め、向かって左手に倒れていた文さんを塀越しに見たのだという》

 弁護人「小島さんとの距離は」

 近所の女性「5、6メートルかな」

 弁護人「その後、ちょっとしてから小島さんを助けに行こうとしたということですが?」

 近所の女性「(藤井被告が)怒鳴っていて怖かったんです」

 弁護人「その後小島さんの方へ行かれたのですね。藤井さん(被告)が戻ってくるとは思わなかったのですか」

 近所の女性「もう歩いて(移動して)いたので」

 弁護人「藤井さん(被告)に逃げる様子は」

 近所の女性「ないです」

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 《ここで質問者がもう1人の弁護人に変わった。事件発生前後の話を聞きたいようだ》

 弁護人「あなたは11時45分から始まる(テレビ番組の)『キューピー3分間クッキング』を見ていたそうですね。その時は外から声が聞こえましたか」

 近所の女性「聞こえました」

 弁護人「その前には?」

 近所の女性「聞こえたような気がします」

 《女性は、叫び声を聞いて外に飛び出したという。弁護人は、そのときの記憶について、証人の女性に質問を重ねていった》

 
【裁判員 聴く(9)】裁判長の言葉に互いに顔を見合わせ、バラバラにうなずく裁判員(11:50〜12:07) (1/5ページ)
http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/090804/trl0908041318017-n1.htm
2009.8.4 13:17

 《引き続き、弁護人による近所の女性への質問が続く。女性が本当に被害者の文春子さんの叫び声を聞くことが出来たのか確認したいようだ。裁判員は真剣な表情で、女性の顔を見ながら証言に聞き入る》

 弁護人「あなたの家と現場の間には○○(実名)さんの家などがありますね。それでも声が聞こえたのです?」

 近所の女性「聞こえていました」

 弁護人「『キャーッ。助けて。殺されるー』とか言う声も聞こえたのですか?」

 近所の女性「それは聞こえませんでした」

 《弁護側は質問を変え、藤井勝吉被告と文さんとの関係について知っていることを聞き、質問を終えた》

 弁護人「植木やバイクの件で藤井被告が文句を言ってるのを聞いたことがありますか?」

 近所の女性「それはないです」

 弁護人「けっこうです」

 《裁判員は考え込んだ表情であごを手に乗せたり、メモを取り続ける》

 《男性検察官が弁護側の最後の質問について再度、確認する》

 検察官「事件前、藤井被告と被害者のトラブルを知っていましたか」

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 近所の女性「私は直接分からないです」

 検察官「つまり知らなかった」

 近所の女性「はい」

 《11時53分。秋葉康弘裁判長がここで打ち合わせを宣言し、裁判員も退廷する》

 《藤井被告は落ち着かないように動き出し、手で弁護人を呼び話しかける。弁護人は資料を藤井被告に見せ打ち合わせを始める》

 《11時58分に法廷は再開。弁護側がすかさず立ち上がる》

 弁護人「被告が『1点確認したいことがある』と」

 裁判長「どうぞ」

 《弁護側が藤井被告の女性証人への疑問を代わって述べる》

 弁護人「あなたが藤井被告を発見した時の状況ですが…」

 《法廷内のモニターに女性宅からみた道路の風景が映し出される》

 弁護人「この奥が被告と小島(千枝)さん(文さんが日本で使っていた名前)宅」

 近所の女性「はい」

 弁護人「あなたが(事件時に)2人に近づいていった時、藤井被告はどんな服装でしたか?」

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 近所の女性「黒っぽい格好でした」

 弁護人「あなたは警察に対してはしま模様と言っていませんか?」

 近所の女性「言ってません」

 弁護人「言ってないですか。そうですか」

 《弁護人は、女性の記憶が曖昧であることを指摘したいようだ》

 《左右の裁判官が質問を始める。両者とも女性が現場を見た際の状況を聞いた》

 男性裁判官「あなたが被告と被害者に近づいたとき被告の様子はどうでしたか?」

 近所の女性「立ち止まっていました」

 女性裁判官「同じような質問ですが、立ち止まっている藤井被告はナイフを持っていましたか?」

 近所の女性「はい」

 女性裁判官「どんな様子でしたか?」

 近所の女性「気が立っていて大きな声を出していました」

 女性裁判官「『クソばばあ』と立ち止まって言っていたのですか」

 近所の女性「はい」

 女性裁判官「見たとき、動いた様子はなかったですか?」

 女性近所の女性「ないです」

 女性裁判官「小島さんが歩いた様子も見たんですか」

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 近所の女性「はい」

 女性裁判官「普通に歩いていましたか?」

 近所の女性「普通に歩いていました、というか、普通に走ってました」

 女性裁判官「逃げるような感じだったのですか?」

 近所の女性「はい」

 《続いて、秋葉裁判長が直接、証人に対して尋問を始める。犯行時刻は1日午前11時50分ごろとされる。その前後、家の中でテレビを見ていて騒がしい声を聞き、外に出たという証人の記憶を細かく聞いていく》

 裁判長「(犯行)当時、見ていたテレビは何分ぐらいですか?」

 近所の女性「10分ぐらいです」

 裁判長「それを見ているとき、騒がしい声が聞こえたんですよね」

 近所の女性「はい」

 裁判長「(午前11時)45分より前も(テレビを)見ていましたか?」

 近所の女性「見ていました」

 裁判長「騒がしいと思って、どうしてすぐに外に出なかったのですか?」

 近所の女性「(昼食を)食べる準備をしていたので、すぐには…」

 裁判長「(11時45分から55分までの約10分間放映される)『3分クッキング』ですか、それを見ていたときも、騒がしい声が聞こえたのですか?」

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 近所の女性「はい」

 裁判長「その後も騒がしい声がしていたのですか?」

 近所の女性「犬の声が騒がしかったので、すぐに外に出てみようかと思いました」

 《「では、終わりますか」。秋葉裁判長はこう言って、裁判員たちの顔を見回す。裁判員たちは慣れない様子で、お互いの顔を見合わせたり、裁判長の顔を見たりした後、それぞれがバラバラにうなずいてみせる。それを見て、裁判員の了解が得られたと判断した秋葉裁判長は、「では終わります」と休廷を宣言した。その声を聞き裁判員と、裁判長以外の裁判官は退出した》

 裁判長「では、施錠して下さい」

 《裁判員が退出するのを待って、裁判長が、藤井被告に手錠するように指示する。手錠された藤井被告は、法廷を右から左に横切るようにして、法廷の外へ連れ出されていった》

 
【裁判員 聴く(10)】「体中血だらけでも顔だけはきれい」長男の証言にうつむく裁判員(13:00〜13:10) (1/3ページ)
http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/090804/trl0908041412018-n1.htm
2009.8.4 14:10

 《約1時間の休廷をはさんで裁判が再開され、秋葉康弘裁判長に続いて裁判官、裁判員6人が入廷した》

 裁判長「開廷します。午後はまず、供述調書を読み上げます」

 《裁判長は次の予定を説明しながら、紙を取り出して朗読を始めた》

 「殺害された小島千枝さん(文春子さんが日本で使っていた名前)の長男が、母が殺されたときの気持ちについて、次のように述べています」

 「母は私が幼いときから、何事にも一生懸命な人でした。私が中学生のころに父が病気で亡くなると、母は私と弟を女手一つで育ててくれました。母は厳しく、しっかりと私たちを育ててくれました」

 「母は整体師として生計を立てながら、家の仕事にも手を抜かない人でした。学校の勉強より、社会の勉強を大切に考え、一般常識や人に迷惑をかけてはいけないといったことなどを教えてくれました。藤井(勝吉)被告については、20年以上前から家の向かいに住んでいて、いつも酒を飲んでいるといったことぐらいしか分かりません。怒られた記憶もありません」

 《裁判長は長男の調書を読み終えると、「続いて証人尋問に移ります」と説明。検察側の後ろに座っていた男性に合図すると、男性が証言台へ出てきた。文さんの長男だ》

 裁判長「証人尋問を初めます。小島さんの長男の○○(実名)さんですね」

 長男「はい」

 裁判長「それでは検察官、始めてください」

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 《最初に、検察官が長男に質問をする》

 検察官「お母さんが殺されたことを知ったのはいつですか」

 長男「会社にいるとき、昼に知らされました」

 検察官「どのように考えましたか」

 長男「うそだと思いました」

 検察官「その後、どのようにしましたか」

 長男「母に会うために病院に行きました」

 検察官「お母さんが亡くなる前に会うことができましたか」

 長男「できませんでした」

 《裁判員は、うつむきながら淡々と話す長男の姿をじっと見ている》

 検察官「お母さんはどんな状態でしたか」

 長男「…」

 《思い出しながらつらい気分になったのか、長男が黙り込んだ。その後、10秒以上経ってから少しずつ話し出した》

 長男「…うん、血だらけで…。体中血だらけで…」

 検察官「はい」

 長男「体中血だらけで、でも顔だけはきれいで、穏やかで、眠っているように横たわっていました」

 検察官「確認のため、写真を見てください」

 長男「はい」

 《検察官は、1枚の写真をモニターに映し出した。つらい話にうつむき加減だった裁判員も、顔を上げてモニターをのぞき込む。きれいな庭をバックに、文さんとみられる女性が笑いながら立っている写真だ》

 検察官「この写真はどんな場面ですか」

 長男「母のお気に入りの写真です。幸せそうな顔をしています」

(3/3ページ)
http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/090804/trl0908041412018-n3.htm

 検察官「この写真は、遺影に使われたのですね」

 長男「そうです」

 検察官「お葬式には、何人ぐらいの方が来ましたか」

 長男「120〜130人ぐらいの方が来てくれました」

 検察官「お母さんのお友だちは、なんて話していましたか」

 長男「みんな驚いて、『なんで春ちゃんが…』と悲しんでいました」

 検察官「春ちゃんは、お母さんのことですね」

 長男「そうです」

 《生前の文さんが慕われていたことを、検察官は長男の証言から説明しようとしている。裁判員はじっと長男の方を見ている》

 検察官「ほかにも、お母さんの仕事の話をしている人がいませんでしたか」

 長男「特に…」

 検察官「整体師として腕がいいとか…」

 長男「あ、その話をしている人はいました。母のマッサージを受けるため、出張費用を出す人もいると聞いたことがあります」

 《6人の裁判員はメモをとったり、モニターの方を見たりしていたが、遺族の心情も同時に推し量っているようだった》 

 
【裁判員 聴く(11)】「でたらめ信じるんですか」…遺族証言に裁判員の視線は被告へ(13:10〜13:20) (1/4ページ)
http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/090804/trl0908041420019-n1.htm
2009.8.4 14:20

 《被害者の文春子さんの長男への証人尋問が続く。公判中、ずっと無表情でうつむき加減だった藤井勝吉被告は、時折、長男に目をやって顔をしかめ、独り言をつぶやくなど、落ち着きを失っていった。裁判員は、藤井被告への憤りを語る長男の表情を、じっと見入った》

 検察官「被告は酒に酔って何かするんですか、あるいはしないんですか」

 長男「大声挙げて、なんかわめいてることがあります」

 検察官「事件の前夜は、被告は騒いでいましたか」

 長男「夜中に騒いでいました」

 検察官「何時ごろですか?」

 長男「日付は超えていました。窓を開けて確認したわけではありませんが、また騒いでるよ、こんな時間に迷惑だなと思いました」

 検察官「あなたのお母さんは、被告に対してどんな態度でしたか」

 長男「明らかに避けていました。あまり関わらないようにと、自分たち兄弟にも言っていました」

 検察官「お母さんが被告を避けているという根拠は何ですか?」

 長男「母の弟、つまり自分の叔父から、あいつ(藤井被告)のことを避けていたと聞いていました」

 検察官「あなたは、バイクの方向転換を被告の家の庭でしてましたか」

 長男「ないです。あんなボコボコした庭にわざわざ入らなくても、方向転換はできます」

(2/4ページ)
http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/090804/trl0908041420019-n2.htm

 検察官「あなたのお母さんは、スクーターはどこに止めていたのですか」

 長男「自宅の隣に空き地があり、そこに止めていました。地主の方の了解も取っていると言っていました」

 検察官「お母さんは、スクーターの方向転換のために、被告宅の庭に行くのですか」

 長男「必要ないです」

 検察官「どこで方向転換していましたか?」

 長男「少し先のT字路でUターンしていました」

 検察官「あなたの家からみて、どちらの方向ですか?」

 長男「北側です」

 《被告が長男に視線をやり、顔をしかめる。不満そうに肩を揺らし、何かをつぶやいた》

 検察官「あなたのお母さんは、被告側の言うように、被告の置いたペットボトルを倒したりしていたのですか?」

 長男「明らかに母が倒したんじゃないと思います。自分で酔って帰ってきて倒したか、猫が倒したりとかだと思います」

 検察官「自分、とは」

 長男「…言葉は悪いですが…藤井です」

 《長男の口調に怒気がこもった。裁判員のほとんどが顔を上げて長男を見つめていた》

 検察官「被告からバイクの置き方で文句を言われたことはありますか?」

 長男「ないです、全く」

 検察官「弟さんはどうですか?」

 長男「ないです」

(3/4ページ)
http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/090804/trl0908041420019-n3.htm

 検察官「あなたと弟さんは、どのくらいの頻度で被告と顔を合わせていましたか」

 長男「週に1回、あるかないかだと思います。会えば会釈するとか、あいさつするくらいでした」

 検察官「あなたと弟さんは、それだけの頻度であっていたのに、バイクのことで文句を言われたことはないのですか」

 長男「ないです」

 検察官「今考えて、被告のお母さんへの感情はどのようなものだったと思いますか」

 長男「ひがみ、ねたみ…そういうのがあったと思います。うちは、知っての通り、女手ひとつで家を建て替えて、おれらをここまで育ててくれた。一生懸命にやってくれた。かたや藤井は家庭内暴力をやって女房に逃げられて、一家離散のようになった。生活保護を受けて飲んだくれ、仕事もないし、そういうことやってる。『家を建て替えて仕事もして、不公平だ』というねたみ、ひがみがあったと思います」

 検察官「藤井被告の離婚にお母さんが関わったというのは聞いていますか?」

 長男「聞いていません」

 検察官「最近になってから聞いていませんか?」

 長男「おばさんから聞きました。藤井の奥さんが殴られて、母が見てかわいそうに思って、福祉やらなんやらあるよって。助け船じゃないが、口をきいたと聞いています」

 《長男の口から明らかになる藤井被告の身上。藤井被告は不満そうだ》

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http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/090804/trl0908041420019-n4.htm

 検察官「あなたのお母さんが、自分のことを『おれ』と言っていたというのは本当ですか?」

 長男「まったくのでたらめです」

 検察官「被告はお母さんに無視されて、ナイフを持ち出した後に開き直られたから刺した、そう思いますか」

 長男「それこそ、なにいってんの、と思います。そんなでたらめ、みんなは信じるんですか」

 検察官「被告が起訴される前、自宅近くに来たのは知っていますか?」

 長男「日付は分からないですが、多分警察官がいたので現場検証だったと思います。被告はへらへらしながら、『おれがこんなことやったんだ』と自慢するようでした」

 《藤井被告がまた何かつぶやいた。裁判員の1人の視線が、その藤井被告に向いていた》

 
【裁判員 聴く(12)】廷内で展開される被害者側と被告側の“衝突” じっと見守る6人(13:20〜13:30) (1/4ページ)
http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/090804/trl0908041449021-n1.htm
2009.8.4 14:49

 《被害者である文春子さんの長男は証人尋問で、亡くなった母親のことを思いだして涙を流し、藤井勝吉被告に対する激しい怒りの感情を語る。それに対して弁護側は、「文さんにも藤井被告の行動を誘発する原因があったのではないか」という観点に立ち、長男に厳しい質問をぶつける。法廷であらわになる被害者側と被告側の“衝突”。裁判員はその様子を、じっと見守った》

 検察官「お母さんを殺されたことを、どう思いますか」

 長男「悲しいです。そうして、次に出てくるのが悔しいということです。こんなでたらめをみんなが鵜呑(うの)みにして、これじゃあ、うちのお袋が死んでも、死にきれない」

 《「でたらめ」というのは、藤井被告を弁護する主張のことだろう。少なくとも裁判が終わるまで、被告は無罪の推定を受けなければいけない。被告を擁護する主張も認められなければならない。しかし、同時に、被害者や遺族が、被告に対して「許せない」という感情を抱き、法廷で心情を吐露するのも当然のことだ》

 検察官「お母さんのことで、どういうことを思いだしますか」

 長男「台所で食器を洗ったり、料理を作っている姿とか…、せかせかしていたことを…思いだします…」

 《長男の目に光る涙。それを何度もハンカチでぬぐう》

 検察官「大丈夫ですか」

 長男「…」

 検察官「大丈夫ですか」

(2/4ページ)
http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/090804/trl0908041449021-n2.htm

 長男「…」

 検察官「いま、被告に対してどういう処罰を求めますか」

 長男「正直、死刑にしてほしいです。…それは(判例上)無理でしょうから、無期懲役にしてほしいです。一生、刑務所から出ないようにしてほしいです。酒を飲んで、競馬をやって、いい加減な生活をするんじゃ、母が浮かばれません」

 《5人の女性裁判員は、伏し目がち。男性裁判員は、じっと長男を見ている。ただ、いずれも口を真一文字に結んでいて、表情に変化は伺えない》

 検察官「裁判官や裁判員のみなさんに、言いたいことはありませんか」

 長男「藤井(被告)の言っていることを真に受けないでほしいです。僕は母の名誉回復のために来たんです。公平な判決を心からお願いします」

 《必死の声で訴える長男。裁判員が、この言葉をどう受け取ったのか、表情からは伺えない。ここで、検察側は尋問を終えた。いよいよ今度は弁護側が尋問に立った》

 弁護人「あなたは(事件があった)5月1日に警察官から事情聴取を受けましたね。そのときの調書では『母は一言で言うとキツイ性格で、話を蒸し返すことも…』とありますが、こういうお話をしたのですか」

 長男「正直、覚えていません」

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http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/090804/trl0908041449021-n3.htm

 弁護人「『トラブルになることもあるし、相手にカチンと来ると、相手の痛いところをついてしまうこともあります』ともありますが、こういう話をされたのですか」

 長男「はっきり、覚えていません」

 弁護人「じゃあ、これは事実と一致していますか」

 長男「一致していません」

 弁護人「署名捺印をされたんですよね」

 長男「(調書は)5月1日ですよね。母親を殺されて、西新井署に連れて行かれて缶詰にされて、そういう状況の中の調書ですよ!」

 《直前に長男が語った母親像とは、大きく印象が異なる内容の弁護側の質問。長男はそれに声を荒らげた》

 弁護人「そういう状況の中で適当に作られた調書だというのですか」

 長男「適当じゃありません」

 弁護人「じゃあ、結構です」

 《厳しい質問をする弁護側。感情的な言葉を発する遺族。裁判員は、じっと見つめている。表情を変えないようにしているようにも見える。ここで、弁護側は、被害者の自宅の見取り図を示し、法廷にも映像が映し出される。自宅前に、バイクなどが置かれていたことが分かるようになっている。藤井被告は、このバイクの置き場所などをめぐっても怒りを覚え、犯行に及んだとされている》

 弁護人「お母さんのスクーターは、ここに示されたスクーターですよね」

 長男「そうです」

(4/4ページ)
http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/090804/trl0908041449021-n4.htm

 弁護人「玄関先に置いておいたことを、被告から言われて(トラブルになって)いたことは知っていましたか」

 長男「僕は言われたことがないです」

 弁護人「弟さんが、オートバイを(文さんから)どかすように言われたことは」

 長男「僕は聞いたことがないです」

 弁護人「あなたは」

 長男「幅をとるから動かしてと、それは言っていました」

 《裁判員は弁護人を見たり、証人を見たり、激しく目線を動かした》

    =(13)に続く

 
【裁判員 聴く(13)】「母は酔っぱらいにかかわりたくなかった」と長男 目を見開く裁判員(13:30〜13:40) (1/3ページ)
http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/090804/trl0908041458022-n1.htm
2009.8.4 14:55

(12)へ戻る

 《被害者の文春子さんの長男に対する弁護人の尋問が続く。裁判員らはメモを取ったり、証言台に立つ長男の顔をみていた》

 弁護人「お母さんのだいたいの出勤時間は何時ですか?」

 長男「顔を合わせないので分かりません。夜勤でしたので、僕が帰るころにはいませんでした」

 弁護人「帰りは何時ごろですか。深夜と聞いてますが」

 長男「…(首をかしげる)」

 弁護人「植木の水をやっている姿を見たことは?」

 長男「ないです。日曜の昼にやってるくらいではないですか」

 弁護人「水やりで、(地面に)こぼれた水を食器で(ガリガリ)かいているのを見たことはありますか?」

 長男「ありません」

 《長男に次々と質問していく弁護人。トラブルの原因として弁護人が指摘する被害者の行動について、文さんの長男自身に語らせようとしているが、裁判員にはどう映っているのか》

 弁護人「お母さんは被告人を何と呼んでいましたか?」

 長男「藤井(勝吉)さんと呼んでましたよ」

 弁護人「どういう感情を持っていましたか?」

 長男「どう思っているかは言っていませんでしたが、『関わるなよ』と。『道であってもあいさつ程度でかかわるな』と言っていました」

 《女性裁判員の一人がハッと顔を上げて長男の顔を見た。そして、手元のメモに何かを書き込んだ》

 弁護人「なぜそう言ったと思いますか」

(2/3ページ)
http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/090804/trl0908041458022-n2.htm

 長男「酔っぱらいのおやじにかかわるのが嫌だったというのが正直なところと思いますけどね」

 《女性裁判員2人が目を見開いた。一方、他の目撃者の証言の際に下を向き続けていた藤井被告は、長男の顔をにらむようにじっと見つめている。何かいいたいことがあるようだ》

 弁護人「スクーターを空き地に置かせてもらっていたのはいつからですか」

 長男「気づいたときには置いていたので分かりません」

 《ここで弁護人は現場写真を大型モニターに映し出した》

 弁護人「ロープを張られている場所に若干すき間があります。この狭いすき間から出入りしていたのですか」

 長男「そうです」

 弁護人「あなたが朝出るときは必ず空き地に入っていましたか」

 長男「正直、覚えてないです」

 《続いて右側に座っていた弁護人が立ち上がり、尋問を始めた。これまでの弁護人よりも厳しい口調だ》

 弁護人「道路に植木やバイクを置いてあるのをどう考えていましたか」

 長男「出るときはじゃまと思いました」

 弁護人「そういう所に置いてはいけないんじゃないですか。道路ですよ」

 長男「…。あまり思っていませんでした」

 弁護人「藤井さんとのトラブルは知っていましたよね」

 長男「おれは聴いてないですね」

 弁護人「トラブルになっても不思議とは思わないがどうですか?」

(3/3ページ)
http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/090804/trl0908041458022-n3.htm

 長男「…(首をかしげる)。正直あまり思ってなかったですね」

 弁護人「弟さんはバイクを何台持っているんですか?」

 長男「写真をみりゃ分かるじゃないですか」

 弁護人「何台ですか?」

 長男「3台ですね」

 弁護人「何で?」

 長男「使うんじゃないですか」

 《被害者一家を非難するような質問に、語気が荒くなる長男。弁護人は追及を続ける》

 弁護人「あなたはお母さんのスクーターの切り返しの方法は知っていますか?」

 長男「北側のT字路でUターンしていると思います」

 弁護人「藤井さんの隣の空き地に止めているなら、Uターンの必要はないじゃないですか」

 長男「おれが見たときはそうしてましたから」

 《6人の裁判員は、弁護人と長男のやりとりをじっと聞いている。何か疑問でもあるのか、一部の裁判員は首を少しだけかしげる場面もあった》

 
【裁判員 聴く(14)】厳しい質問ぶつけ続ける弁護側 検察側はハッキリ通る声で間に入って質問(13:40〜13:50) (1/3ページ)
http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/090804/trl0908041518024-n1.htm
2009.8.4 15:17

 《証言台に立つ、殺害された文春子さんの長男に藤井勝吉被告の弁護人は、少しでも裁判員の心証に訴えようと、厳しい質問をぶつけ続けた。質問が途切れ、検察官が間に入る》

 検察官「裁判長、1点だけよろしいでしょうか」

 《裁判長は軽くうなずいて許可。検察官はハッキリと通る声で質問を始める》

 《弁護人は、文さんが近隣住民と口論するなどしていたと印象づけようとしていた》

 検察官「あなたは、(文さんが)近所の人としょっちゅう口論をしていたと知っていましたか」

 長男「…。(少し考えるように首をひねり)オレの知る限りはなかったと思います」

 検察官「では、あなたはお母さんが親類の人にズケズケと物をいうことを聞いたことがありますか?」

 長男「(少し苦笑し)ありました」

 《弁護人は文さんが殺害された後の警視庁の事情聴取の際に、長男が『近所の人と口論していた』と証言した供述調書を元に尋問していた》

 《検察官は、この調書の趣旨が別のところにあったという立証をしていこうとしているとみられる》

 検察官「親類の人に(文さんが)ズケズケと言っていたのを、近所の人と警察官が混同してしまったということでしょうか?」

(2/3ページ)
http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/090804/trl0908041518024-n2.htm

 長男「はい。調書を作成した5月1日は事件直後で何が何だか分からない中で作った調書です。頭の中が真っ白な状態で、警察官の方から『何でもいいから、お母さんについて思うことを話してください』といわれて作ったものです。昔のことや、現在のことを混同もしていました」

 検察官「以上です」

 《検察官はいったん座ろうとしたが、何かを思いだして立ち上がった》

 検察官「すみません。もう1点だけ。近所の人と親類の方への話を混同したのかもしれない。思いつく限りに話したということですよね。確認ですが、あなたが近所の人にお母さんがズケズケと物を言うことはなかったということですね」

 長男「はい」

 《一般市民が裁判員として法廷に参加する最初の裁判。検察官はできるだけ丁寧に分かりやすく、最後まで手を抜かずに質問を締めくくった》

 《ここで、藤井被告の弁護人も最後に手を挙げる》

 弁護人「1点だけ。5月1日に作成した調書は警察官が『こう書け』といって書いたものですか」

 長男「いいえ」

 弁護人「警察官に『思いつくままにいってください』といわれて作った調書ですね」

 長男「はい」

 《弁護人は思い通りの立証ができたのか、笑みを浮かべて『はい。結構です』と短く述べ、質問を終えた》

 《ひと区切りがつき、秋葉康弘裁判長は左右の裁判官と顔を付き合わせて短時間協議し、前を向いた》

(3/3ページ)
http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/090804/trl0908041518024-n3.htm

 裁判長「若干の打ち合わせをしますので…」

 《裁判長がそう告げると両サイドに控えた6人の裁判員は一様に手にした緑のファイルを手に席を立ち、法廷をいったん後に。午後1時44分、再び法廷に静寂が訪れた》

 《法廷に残された長男は検察官の後ろに座り、小声で打ち合わせを重ねる》

 検察官「冷静に…」

 長男「はい」

 《静かな法廷にささやく声が響く。短い打ち合わせを終え、長男は証言台を挟んで向かい側に座る藤井被告の顔を見た》

 《母親を殺され、日本で初めての裁判員裁判で遺族として証言台に立ち、厳しい質問を受けた長男。藤井被告の顔を見つめると、眼鏡の奥から涙があふれ、長男は青のハンカチでぬぐった》

 《一方、藤井被告は長男の様子をうかがうことはなく、じっとうつむいたまま目を閉じていた》

 
【裁判員 聴く(15)】「4番さん、どうぞ」 「えーと…」女性裁判員が初質問(14:00〜14:15) (1/4ページ)
http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/090804/trl0908041525025-n1.htm
2009.8.4 15:24

 《10分間の休廷の後、再び法廷に姿を現した3人の裁判官と6人の裁判員。全員が席に座ると、秋葉康弘裁判長は左の方に顔を向け、正面向かって右から3番目の場所に座っている女性の裁判員に話しかけた》

 裁判長「4番さん、どうぞ」

 《秋葉裁判長に促された女性裁判員。意を決したように、証人席に座る被害者の文春子さんの長男に向けて口を開いた》

 女性裁判員「えーと、先ほど(母親の)人物像の説明で、調書と食い違うところがあってひっかかるのですが、どのように確認しましたか」

 裁判長「警察で調書を作ったときの調書の内容の確認方法を聞かれているんですが」

 《全国初の裁判員裁判となった今公判で、初めて口を開いた裁判員。声は小さいながらも、はっきりとした口調で質問を終えると、首を軽く右に傾けながら、証人の長男が答えるのを待った。他の裁判員も長男の方を見つめ、答えを待っている》

 長男「正直、覚えていないんです。ぼーっとしていて、調書を読んだらサインしていました」

 女性裁判員「書いたのを自分で読んでサインしているんですか」

 長男「読んだのも覚えていないんです。正直、(事件当日の)午後から、まるっきり覚えていないんです」

 《長男に質問を終えた女性裁判員は、秋葉裁判長と顔を見合わせ、軽くうなずく。そして長男の方へ向き直った》

(2/4ページ)
http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/090804/trl0908041525025-n2.htm

 女性裁判員「はい、ありがとうございました」

 《軽く頭を下げながら長男に礼を述べた女性裁判員。次に隣に座る男性裁判官が質問を始めたが、女性裁判員はそのまま下を向くと、手元を動かした。メモを取っているようだ》

 《文さんに、スクーターの止め方を注意したかについて確認した男性裁判官に続き、今度は女性裁判官が質問する》

 裁判官「犯人が藤井被告と知ったのはいつですか」

 長男「女子医大で警察官から写真を見せられ、『この人知っている』といわれ、後できいたら藤井でした」

 裁判官「知った時は、どんな気持ちでした?」

 長男「何も考えつかなかったです、正直」

 裁判官「特に犯人への気持ちは?」

 長男「そういうのより、『おふくろ、大丈夫かな』と。そんなの(犯人への気持ち)は二の次だと思いました」

 裁判官「『被告のいっていることはデタラメだ』と言いますが、どこがデタラメなのですか?」

 長男「おれから言わせれば、全部がデタラメ」

 裁判官「その理由はなんですか」

 長男「うちのおふくろは、『おれ』とか『やるならやってみろ』とか言わないし、言ったこともないです。そういうのを普通に話している藤井は、これだけのことをやったんだという自己嫌悪じゃないかと」

 《女性裁判官が質問を終えると、秋葉裁判長は、左右を見回した》

 裁判長「じゃあ、いいですか」

(3/4ページ)
http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/090804/trl0908041525025-n3.htm

 《軽くうなずく6人の裁判員。裁判長は、長男に「終わりました」と述べ、証人尋問を終えた》

 《続いて検察側を向く秋葉裁判長》

 裁判長「次に証拠番号16番について調べたいと思います。モニターを付けてください」

 《証拠番号16番は、被害者、文春子さんの母親の供述調書だ。女性検察官が立ち上がり、調書を読み上げる》

 検察官「私は小島千枝こと文春子の母親です。この子のことを『姉ちゃん』と呼んでいましたので、『姉ちゃん』と話します」

 《調書によると、文さんは5人兄弟の長女だった。親孝行の優しい子で、実家に帰ると農業の手伝いや弟、妹の世話をしていたという》

 検察官「親孝行だけでなく、親代わりの頼れる存在でした」

 《裁判員らは、女性検察官が読み上げる被害者の母親の調書に聞き入っている》

 検察官「姉ちゃんは女手1つで子供を育て、しっかりして気も強いところがありました。その一方で、情にもろいところもありました。私は着る物や履物をよく姉ちゃんにもらっていました。姉ちゃんはいつまでも私を支えてくれると思っていました。けれど藤井(被告)に殺されてしまった」

 《母親の犯行当日の心境について読み上げを始める女性検察官。裁判員はみんな伏し目がちで聞き入る》

(4/4ページ)
http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/090804/trl0908041525025-n4.htm

 検察官「平成21年5月1日は、私は姉ちゃんに病院に連れて行ってもらう予定でしたが、その前に藤井に殺された。どうして姉ちゃんは先のない私より先に命を取られてしまったのですか。生きる支えを失って悔しくて仕方がないです」

 《女性検察官は母親の訴えの読み上げを続けるが、藤井被告は目を閉じ口を結んだままだ》

 検察官「私には霊感があります。姉ちゃんはまだ家の中にいるが、私が触ろうとすると消えてしまうのです」

 《裁判員のなかには顔を悲しげに曇らせる者も》

 《女性検察官は最後に母親の処罰感情について述べ始める》

 検察官「藤井は前からとんでもないやつで有名でした。命を取ってもらいたい。あの野郎の命を取って私も死にたい。死刑にしないと浮かばれない」

 《感情を込め読み上げた女性検察官は「以上です」と締めくくった》

 《裁判長は「それではここで休廷します」と述べ、休廷を宣言した》

 
【裁判員 聴く(16)】「前科はいっぱいあります」驚愕の供述に裁判員は…(14:45〜14:55) (1/3ページ)
http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/090804/trl0908041559027-n1.htm
2009.8.4 15:57

 《30分の休廷後、入廷した藤井勝吉被告は手錠を解かれると、首をぐるりと回して無表情で着席した。被害者の文春子さんの長男が、涙交じりで語った証言は心に響かないのだろうか。再び開廷。法廷内のモニターに『被告の供述調書 身上・経歴等』と文字が浮かび上がり、検察官が藤井被告の供述内容を読み上げていく》

 検察官「年金はもらえる年ですが、もらっておりません、前科前歴はいっぱいあります。懲役には6回くらいいっています。これまでに15回くらい、警察に捕まっています」

 《被告の前科が次々と明らかになっていく。検察官は落ち着いた口調だ》

 「昭和31年7月から35年5月の間には、傷害事件で4回捕まっています。全部、相手に絡まれてケンカになって、けがをさせました」

 「昭和35年12月には傷害と、道路交通法違反で捕まりました」

 「昭和38年6月には傷害致死で逮捕されています。自宅で知人と酒を飲んでいて、テレビを見ながらふざけて相手を持ち上げて、相手の打ち所が悪くて首の骨を折って死亡させたというものです」

 「昭和51年2月には川口でケンカになり被告が刺されましたが、被告が護身用の登山ナイフを持っていたために捕まりました」

 「平成17年8月には酒気帯び運転で人身事故を起こし、府中刑務所で服役しました」

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http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/090804/trl0908041559027-n2.htm

 《被告の人生を映し出すかのような前科の数々が明らかになった。藤井被告は、さすがにバツが悪いのか顔をしかめて、苦々しい表情になった。続いて、説明は被告の身上に移った》

 「被告は昭和25年3月に小学校を卒業し、当時義務教育になっていた中学には家庭の事情でいけませんでした。被告は結婚を2回しています。1人目の女性は離婚後に死亡、2人目の女性は懲役中に離婚し、どこにいるのかは不明です。1度目の女性との間に娘、2人目の女性との間に息子がいます。娘は病気で死亡しています」

 「紙加工の職人の父親の元に生まれ、9人兄弟の末っ子です。兄弟はいまはみんな死んでいます。おやじは心臓が悪くて仕事ができず、おふくろと紙加工の内職をしていました。小学校を出るころにおやじが死に、おふくろと注射器を作る工場に働きにでました。町工場を転々とし、運転手をやったりしました。10年前からは廃品回収をしていましたが、平成17年に道交法違反で逮捕されました。その後は生活保護を受けています」

(3/3ページ)
http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/090804/trl0908041559027-n3.htm

 「資産は、家と土地は自分名義です。預貯金、借金はありません。趣味は競馬です。地方競馬が好きで、場外の馬券売り場、汐留や大井に開催中は毎日のようにいきます。タバコはいまは吸いません。酒はかなり好きで、今まで逮捕された事件の半分は酒がらみだと思います。持病は白内障と疥癬(かいせん)です。身長は158センチ、体重65キロ、利き腕は右で、足のサイズは26センチです。(藤井被告は)『昔は住吉連合の男に世話になったが、今はその仲間とは付き合いはない』と言っています」

 《裁判員は、手元のモニターと検察官を交互に見やった。驚きの供述内容に比べ、検察官の口調は実に淡々としている。続いて、弁護人が、被害者の友人の男性の証言を文章で読み上げ始めた》

 
【裁判員 聴く(17)】被害者とのトラブル語り始めた被告…裁判員は肉声に耳を傾ける(14:55〜15:05) (1/3ページ)
http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/090804/trl0908041607028-n1.htm
2009.8.4 16:06

 《弁護人は、藤井勝吉被告の友人男性の証言を文書で読んでいる。この友人は、逮捕される直前、藤井被告に連れ添って、警察へ行こうとした人物。証言の要点は法廷内の巨大モニターに映し出されているが、裁判員席に設置された小型モニターでも見られるようだ。裁判員は、じっと法廷内や手元のモニターを見ている》

 「藤井さんからは、前々から小島(千枝)さん(被害者の文春子さんが日本で使っていた名前)とトラブルになっていることを聞かされていました。(逮捕直前)事件のことを話したがりませんでしたが、(一緒に道を歩いていて)『トラブルがあった』『だらしないので刺した』と言ってきました。私は『そんなことでカッとするな』と言いました。『どこに行っていたんだ』と聞くと、『競馬に行っていた』と言いました」

 「私は人を刺しておいて競馬に行っていたことを知り、不愉快になりました。『カネはあるのか』と聞くと、『カネはないからそんなに使えないんだよ』と言っていました。自宅を出て15分ぐらいの細い道路を歩いているところで、警察官に声をかけられました。私は『この人が藤井さんです』と伝えました」

 《この後、藤井被告は警視庁に正式に逮捕された。弁護人が、この証言を読み上げると、今度は被告人質問が始まった。藤井被告が法廷中央の証言席に座る。裁判員の視線が、一斉に被告にそそがれた》

(2/3ページ)
http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/090804/trl0908041607028-n2.htm

 弁護人「現在の家にはいつから住んでいますか?」

 藤井被告「55年前です」

 弁護人「小島さんの家との間の道は、あなたの私道ですか?」

 藤井被告「はい」

 弁護人「一応、公衆用道路に指定されていますね」

 藤井被告「はい」

 弁護人「小島さんが家の前に植木鉢やバイクを置くようになったのは、いつごろからですか?」

 藤井被告「家を建ててから3、4年ぐらいからです」

 《法廷のモニターには、事件の3日後に撮影した被害者自宅前の写真が映し出される。家の前には、スクーターなど2台のバイクが映っている》

 弁護人「(事件の)5月1日もこんな状態でしたか?」

 藤井被告「そんなもんです」

 弁護人「この2台のバイクは誰のものですか」

 藤井被告「これは息子さんのものです」

 弁護人「小島さんのスクーターはどこにありましたか」

 藤井被告「隣の空き地だったと思います」

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http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/090804/trl0908041607028-n3.htm

 《モニターには、隣の空き地の写真も映し出される。藤井被告は、文さんのスクーターは、空き地から私道へはみ出しておかれていたと説明した。もごもごとしゃべりながら、弁護人の質問に言葉をかぶせるように答える藤井被告。裁判員も少し聞きにくそうだ。公判を記録する速記にも支障が出る恐れがあり、裁判長が「質問が終わってから答えてください」と注意すると、藤井被告は「すいませんでした」と言って、ぺこりと頭を下げた》

 弁護人「あなたは軽自動車も持っていましたね」

 藤井被告「はい」

 弁護人「この空き地に止めていたんですか」

 藤井被告「はい」

 弁護人「軽自動車を持っていた時期は、平成13年から16年ですか」

 藤井被告「はい」

 弁護人「その軽自動車が、小島さんのバイクで道が通れなかったことはありましたか」

 藤井被告「はい、ありました」

 《被害者とのトラブルについて、ゆっくり語る藤井被告。裁判員は、じっと耳を傾けた》

 
【裁判員 聴く(18)】「スクーターでペットボトルつぶされたことある」 被告証言に疲れも見せず耳を傾ける(15:05〜15:15) (1/3ページ)
http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/090804/trl0908041632029-n1.htm
2009.8.4 16:30

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 《弁護人による藤井勝吉被告に対する被告人質問が続く。藤井被告は被害者の文春子さんが軽自動車を駐車していたために道が通れなかったことがあったと訴えている。裁判員は疲れた様子も見せず、真剣な表情で藤井被告の発言に耳を傾けている》

 弁護人「小島(千枝)さん(文春子さんが日本で使っていた名前)は気をつけると言いましたか」

 藤井被告「言いません。『自分の土地だから、うちの道路だ』『私の勝手だ』とこう言っておりました」

 弁護人「あなたに『生意気言うんじゃない』と言ったことはありますか」

 藤井被告「『バイクをかたしてください』と言うと、『生意気言うんじゃねえ』と言われました」

 弁護人「『おい、やるのか』と言われたことは?」

 藤井被告「あります」

 弁護人「女性が『おい、やるのか』とはどういう場面ですか」

 藤井被告「私がバイクのこととか何か注意するとそうなってくる。つかみかかられたらかなわんから、殴ったら、自分の前科もあるし…。家に逃げ帰ります」

 《下を向いてメモを取っていた男性裁判員が顔を上げ、口をゆがめて藤井被告を見やった。裁判員は藤井被告の発言に何を感じたのだろうか》

 《ここで弁護人は文さんの自宅前に植木が多数置いてある様子が写った写真を大型モニターに示した》

 弁護人「写真番号4を見てください。こうなったのはいつからですか」

 藤井被告「(平成)14年ごろですね」

(2/3ページ)
http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/090804/trl0908041632029-n2.htm

 弁護人「植木鉢の世話をするとき、水をやったり特別なことはありましたか」

 藤井被告「ホースで水をやって、水がたまるんですよね。それをアルミの丸いボールですくって、使えなくなった電気釜の20〜30センチの中に入れるんですけど、水がなくなっても道路をひっかいているわけですね」

 弁護人「頻繁にあったのですか」

 藤井被告「毎日のようにありました」

 弁護人「注意したことはありますか」

 藤井被告「あります。『水もないのになぜやるのか、もったいないならホースでうちの水を使ってください』と言いました」

 弁護人「小島さんは」

 藤井被告「『そんなの水がもったいない』と言いました」

 弁護人「やめようとはしなかったのですか」

 藤井被告「やめようとはしなかったです」

 《女性裁判員の1人が自分のこめかみに手をやり、首をかしげて藤井被告を見た。事件の動機につながるこうした出来事が本当にあったのか、真実を見極めようとしているのだろうか》

 弁護人「手を出すと懲役になると思って攻撃するのをやめたのですか」

 藤井被告「何を言ったってダメだとあきらめが半分ですね」

 弁護人「18年に府中刑務所の服役から帰ってきた後はありましたか」

 藤井被告「ありません」

 弁護人「なぜ」

(3/3ページ)
http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/090804/trl0908041632029-n3.htm

 藤井被告「車も売ったし、言えば『おお、やるのか』とこれですから」

 弁護人「車がなくてもあなたが銭湯から帰るときにバイクにぶつかることはありましたよね」

 藤井被告「ありました」

 弁護人「ペットボトルを倒されたことはありましたか」

 藤井被告「小島さんのスクーターが常に私の空き地でUターンして、バックしすぎてペットボトルをつぶされたこともあります」

 《弁護人は、別の証拠写真を大型モニターに映し出した。藤井被告の自宅前に大型ペットボトルが3つ並んでいるのが分かる》

 弁護人「写真番号1番ですが、下は石畳ですね」

 藤井被告「私がいらなくなった物を建築現場からもらってきて敷き詰めたんです」

 弁護人「小島さんは深夜にスクーターで帰ってくるそうですが、事件前には空き地のあたりに置いていたのですか」

 藤井被告「道路ですね」

 弁護人「スクーターを置く場所が変わることはありましたか」

 藤井被告「午後から日が当たるので、私の出入りする石畳に置いちゃうんです」

 《裁判員は1日がかりの長い裁判にも疲れた様子もみせず、黙々とメモをとったり、証言台の被告をじっとみていた》

 
【裁判員 聴く(19)】缶チューハイに焼酎、犯行前も迎え酒…被告の生活態度にまゆひそめる裁判員(15:15〜15:25) (1/4ページ)
http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/090804/trl0908041634030-n1.htm
2009.8.4 16:34

 《犯行当日の様子を弁護人は藤井勝吉被告に尋ねていく。狭い路地を隔てて向かい合わせの家に暮らす藤井被告と殺害された文春子さんには大きな溝があったようだ。だが…。浮かび上がる藤井被告の生活実態にまゆをひそめる女性裁判員もいた》

 《文さんが道路にはみ出すように置いていたとされる植木やバイクを藤井被告は、不快に思っていたという》

 弁護人「(植木がバイクについて)あなたは(文さんと)話したことはなかったのですか?」

 藤井被告「言ったって聞くような人間なんかじゃないので…。またけんかになるし…」

 《文さんを殺害してもなお、不満を口にする藤井被告に、検察官の後ろに座る文さんの長男ら親族は口を曲げる。裁判長らの脇に並ぶ裁判員の多くはメモの手を止めて、藤井被告の真意を図ろうとじっと顔を見つめる》

 弁護人「(文さんは)夕方仕事に出かけて、深夜に帰るという生活だったのですね」

 藤井被告「ええ」

 弁護人「深夜に顔を合わせたことは?」

 藤井被告「ない」

 《前置きを終えた弁護人は、事件当日の様子に質問を大きく変える。競馬が趣味だったという藤井被告への質問を続ける》

 弁護人「事件の前日も大井競馬場に行っていたのですか?」

 藤井被告「ええ」

 弁護人「帰りにお酒を飲みましたね」

(2/4ページ)
http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/090804/trl0908041634030-n2.htm

 藤井被告「(競馬に負けたので)やけ酒を飲んだ」

 弁護人「350ccの缶チューハイと500ccの缶チューハイ。それに近所のスーパーで買った焼酎の『樹氷』ですね。どういう飲み方をしたのですか?」

 藤井被告「いつも私はポッカレモンという飲み物を買うんです。それに水を入れてレモンハイのようにして…」

 弁護人「どれくらい飲んだのですか?」

 藤井被告「はい。焼酎は1リットルくらい」

 弁護人「ちょっと飲み過ぎたんじゃないですか?」

 藤井被告「二日酔いになって、ゲーゲーという感じでした」

 《弁護人は飲み過ぎたことが事件に影響したことを立証しようとしているのか。意図が分からず、6人の裁判員は藤井被告と弁護人を見比べる》

 弁護人「翌朝は何時に起きたのですか」

 藤井被告「6時すぎ」

 弁護人「二日酔いじゃなかったのですか。深酔い状態では?」

 藤井被告「酔ってではなく、ゲーゲーという感じでした」

 《何度もふつか酔いの様子を語ろうとする藤井被告に、弁護人も思わず『もういいです』と静止。事件の本題に入る》

 弁護人「朝ご飯は食べましたか」

 藤井被告「食欲がなかったので、前の晩と同じように、焼酎を作って飲みました」

 弁護人「迎え酒ですね。どれくらいですか?」

(3/4ページ)
http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/090804/trl0908041634030-n3.htm

 藤井被告「ビールジョッキに1杯くらいで、もう1杯つくりました」

 《藤井被告は犯行前に2杯弱の焼酎を飲んでいたという。そのことが事件に影響したのだろうか》

 弁護人「酔って気が大きくなることはありますか?」

 藤井被告「あるかもしれません」

 弁護人「でも、競馬に行く前には飲まないのですよね」

 藤井被告「(競馬の)予想が立てられませんから」

 《生活態度が乱れていた藤井被告の様子に、弁護人も思わず苦笑。女性裁判員の中には目をそむける姿もみられる》

 《事件の日も競馬に行こうとしていた藤井被告。ただ予想をしっかりと立てなければ決して出かけることはなかったという。たまたま事件当日は遅れた。理由はふつか酔いが影響したという》

 弁護人「出かけようとしたときに、(文さんを)見かけましたか」

 藤井被告「はい。植木いじりをしていました」

 《仲が悪かったとする2人。藤井被告は文さんの顔を見かけると開けたドアを再び閉め、家に引き返したという》

 《ドアを薄く開け、何度も確認したというが、文さんはなかなか家に入らなかったとする》

 弁護人「遅れたのは(文さんが)家の前にいたからですね」

 藤井被告「はい」

 《ここで大型モニターに藤井被告の玄関の写真が映し出される。引き戸のガラスは片方が割れ、段ボールで補修されている》

(4/4ページ)
http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/090804/trl0908041634030-n4.htm

 弁護人「段ボールは警察官が突入したときに割れたものですね」

 《弁護人は苦笑しながら質問を続ける》

 弁護人「段ボールがはられていないところから(文さんの)様子をうかがい、出かけるタイミングを図っていたのですね」

 藤井被告「はい」

 《いつもは未明に帰宅して寝ていることが多かったという文さん。一方、藤井被告も午前中に競馬に出かけていた。あまりすれ違うことがない2人。弁護人は偶然も事件に影響を与えたと印象づけようとしているとみられる》

 《6人の裁判員は、弁護人の話す言葉を真剣に聞き入っていた》

 
【裁判員 聴く(20)】「刺した感触が残っています」質問は犯行時の状況に(15:25〜15:35) (1/3ページ)
http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/090804/trl0908041648031-n1.htm
2009.8.4 16:48

 《弁護側による被告人質問が続く。つい冗長になる藤井勝吉被告の説明に対し、弁護人はそれを遮りながら文春子さん殺害時の状況について問いただしていく》

 《弁護側はモニターに藤井被告宅の写真を表示しながら質問を始める》

 弁護人「あなたが(文さんを注意しに)出たのは写真でいうと、どのあたりですか」

 藤井被告「(玄関の)石畳のあたりです」

 弁護人「あなたは何と言いましたか」

 藤井被告「(倒れた)ペットボトルを直せと言いました」

 弁護人「小島(千枝)さん(文さんが日本で使っていた名前)は何と言いましたか」

 藤井被告「『そんなの知るか。人のせいにするんじゃない』と」

 《弁護側は今度は文さん宅の写真を映しながら質問を始める》

 弁護人「写真でいうと、どのあたりに小島さんはいたのですか」

 藤井被告「道路の泥があるあたりです」

 弁護人「小島さんとは数メートル離れていた」

 藤井被告「そうです。『そんなこと知るか。おれのせいにするな』と」

 弁護人「小島さんは『(自分のことを)おれ』というのですか」

 藤井被告「いいます」

 弁護人「(文さんの)長男は『そんなことはない』と証言しましたが」

 藤井被告「使います。前にも『おれがやってることにうんぬん』と」

 弁護人「あなたは何か言い返しましたか」

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http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/090804/trl0908041648031-n2.htm

 藤井被告「こんなとこに入るのはお前以外にいないといいました」

 弁護人「それで小島さんはカチンとくる一言を言ったのですか?」

 藤井被告「はい。『国の世話になっていてそんなこというんじゃない』と」

 弁護人「国の世話?」

 藤井被告「生活保護のことだと思います」

 《裁判員は時折、藤井被告に目をやりながら必死でメモを取っている》

 弁護人「それでどうしましたか」

 藤井被告「『お前(小島さん)も前に生活保護を受けていたじゃないか』と言い返しました」

 弁護人「どれくらいの時間言い合ったの」

 藤井被告「分からないです」

 弁護人「それであなたはナイフを取りに家に帰った」

 藤井被告「はい」

 弁護人「なぜですか」

 藤井被告「『ばか』だのなんだの言われたので、脅かせばいうことを聞くだろうと思って」

 《弁護側は再度、小島さん宅をモニターに映す。裁判員も全員視線を机上の小型モニターへ移す》

 弁護人「写真を見て。ナイフを持って出てきたとき小島さんは同じ場所にいたの」

 藤井被告「はい。ちょっと玄関寄りですね」

 弁護人「あなたは走って小島さんの所に行ったのですか」

 藤井被告「走る距離ではない」

 弁護人「その時『ぶっ殺す』と言ったの」

 藤井被告「いやー。言ってないですね」

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http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/090804/trl0908041648031-n3.htm

 弁護人「(近所の)証言があるが」

 藤井被告「言ってない」 弁護人「ナイフは鞘がついてるのですか」

 藤井被告「はい」

 弁護人「鞘は抜いていたの」

 藤井被告「直前に抜きました。いくら言っても分からないので」

 弁護人「小島さんはどうしました」

 藤井被告「『おー。やるのか。やるならやってみろ』と」

 《弁護側はとうとう犯行時の状況についての質問に入る》

 《6人の裁判員全員は食い入るように質問に耳を傾けつつメモを走らせる》

 弁護人「小島さんはあなたのあごを押したのですか」

 藤井被告「はい。あと左肩を押さえられました。それでのけぞる形となり刺しました」

 弁護人「刺した位置は」

 藤井被告「どこを刺したか分からないです」

 弁護人「あなたの身長は158センチ。小島さんは155センチですよね」

 藤井被告「私からすると自分より背が高く見えた」

 《弁護人はその答えに「あなたより高く見えたんですか」と思わず失笑した》

 弁護人「それで(ナイフを持った)右手を差し出した。心臓を刺した記憶はありますか」

 藤井被告「左あたりを刺した。指に感触が残っています」

 弁護人「上半身の胸? それともおなかですか」

 藤井被告「よく確認できませんでした」

 《裁判員は一様に険しい表情を浮かべ、藤井被告の説明を聞いている》

 
【裁判員 聴く(21)】預金下ろしたのは「逮捕後の生活のため」…首かしげる裁判員(15:35〜15:45) (1/4ページ)
http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/090804/trl0908041654032-n1.htm
2009.8.4 16:53

 《藤井勝吉被告に対する弁護人の質問は続く。藤井被告は、警察での取り調べの際、犯行後は「無我夢中だった」などとして、途中までほとんど記憶がなかったと供述しているという。弁護人は、この点を確認する》

 弁護人「(犯行当時の記憶について)とにかく、上半身を刺したという記憶はあるんですね」

 藤井被告「はい」

 弁護人「その後、背中などを刺した記憶は」

 藤井被告「頭が真っ白になっちゃったというか、無我夢中になっちゃったというか、何と説明していいかわかりません」

 弁護人「あなたは、警察でも(そのときの心境にふさわしい)いろいろな表現を考えたと言っているが、結局、(被害者の文春子さんを)確実に殺そうという意思はありましたか?」

 藤井被告「ありません」

 《調書などによると、藤井被告がわれに返ったのは、近所の民家の前で、住人に「人殺し」と叫ばれたときだったという。弁護人は、このあたりの経緯を詳しく聞いていく》

(2/4ページ)
http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/090804/trl0908041654032-n2.htm

 弁護人「(刺した後)結果的にあおむけに倒れた、と。ナイフと鞘も持ってたんですね」

 藤井被告「はいそうです」

 弁護人「小島(千枝)さん(文春子さんが日本で使っていた名前)に押されてしまったんですか?」

 藤井被告「はい」

 弁護人「その後は?」

 藤井被告「○○さん(文さんの斜め向かいにある民家、法廷では実名)の家の前でした」

 弁護人「そのとき、何か言われましたか?」

 藤井被告「『人殺しー!』と言われました」

 弁護人「それまでのことは何か覚えていますか?」

 藤井被告「無我夢中で覚えていません」

 弁護人「『人殺し』といわれてわれに返ったと?」

 藤井被告「はい」

 弁護人「そこから記憶は?」

 藤井被告「あります」

 《われに返った被告は、自分のしたことの重大さに気付いたという》

 弁護人「あなたはどうしましたか?」

 藤井被告「取り返しのつかないことをやったと思いました」

 弁護人「それで?」

 藤井被告「背中をついていたんですが、私は足が悪いもので、いったん四つんばいになって、しゃがんだ状態になって、立ち上がったという状態です」

 弁護人「それで?」

 藤井被告「家に入りました」

 弁護人「何をやったか認識はありましたか」

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http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/090804/trl0908041654032-n3.htm

 藤井被告「取り返しがつかないことをしたというか…。刺したという記憶はあったので、『死ぬようなことがあったらどうしようか』と思いました」

 《犯行後、いったん家に帰り、自分のしたことに青ざめたという藤井被告。しかし、その後の行動は冷静だった》

 弁護人「家に戻って何をしましたか?」

 藤井被告「鞘を持って転んだので、薬指をすりむいてしまって、血がダラダラとでたので、止血しました」

 弁護人「そのとき、救急車とかパトカーの音は?」

 藤井被告「聞こえませんでした」

 弁護人「その後、救急車の音は聞きました?」

 藤井被告「家の中で聞きました」

 弁護人「どう思いました?」

 藤井被告「救急車で運ばれれば、助かるんじゃないかと思いました」

 《弁護側は、助かってほしいという気持ちを持っていたことを示し、殺意がそれほど強くなかったということをアピールしたいようだ》

 《さらに質問を続ける弁護側。藤井被告は、この後、近所の信用金庫に貯金を下ろしに言ったという。逃走資金かと思いきや、藤井被告の口から意外な答えが返ってきた》

 弁護人「(犯行直後の)午後0時1分ごろ、信用金庫に4万円下ろしに行っていますが、なぜですか?」

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http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/090804/trl0908041654032-n4.htm

 藤井被告「警察に行くためにお金が必要でした。差し入れしてくれる人が誰も見つからないと、(逮捕後の生活は)自分で(必要なものを)購入しなければならないんで、おろしました」

 弁護人「出頭するためにおろしたんですか」

 藤井被告「はい」

 弁護人「そのとき、走りましたか」

 藤井被告「早足で歩いたと思います」

 弁護人「逃げようと思いましたか」

 藤井被告「逃げようだなんて…」

 《「逮捕経験者」ゆえとも言えるこの説明をどう考えたのだろうか。6人の裁判員は、ちょっと首をかしげたり、一生懸命メモをとりながら、藤井被告の話を聞いていた》

 
【裁判員 聴く(22)】目指す答え引き出せずにいら立つ弁護人 メモの手を止め受け答え注視する6人(15:45〜15:55) (1/3ページ)
http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/090804/trl0908041702033-n1.htm
2009.8.4 17:02

 《弁護人による藤井勝吉被告に対する質問が続いている。裁判員は、疲れた様子も見せず、モニターをのぞき込んだりメモを取ったりしながら、やり取りを見守る》

 《弁護人は、文春子さんを殺害した後の藤井被告の足取りについて確認していく》

 弁護人「あなたは、警察に行かずに大井競馬場に行ったのでしたね」

 藤井被告「はい、でも最初は警察にまっすぐ行くつもりだったんですがねえ」

 弁護人「大井競馬場には何時ごろ着いたのですか」

 藤井被告「ええと、午後2時ごろだったと思います」

 《藤井被告はこれまで、大井競馬場に行った理由について「事件の相談のため友達に会いに行った」と説明している》

 弁護人「友達には会えましたか」

 藤井被告「会えませんでした」

 弁護人「何時ごろ帰ったんですか」

 藤井被告「午後5時ごろです」

 弁護人「あなたは、『気がかりなことがあって警察に行かなかった』とも話していましたが、気がかりなこととは何ですか」

 藤井被告「公共料金の支払いなどです」

 弁護人「人をあやめて、払えなくなってしまうからですね」

 藤井被告「ええ、それと不動産屋に家の処分もお願いしないといけないと思いましてね」

 弁護人「被害者の長男は、あなたに『死刑か無期懲役になってほしい』と、強い処罰感情を持っているようですが」

(2/3ページ)
http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/090804/trl0908041702033-n2.htm

 藤井被告「ええ知っています。でも、自分を守るためにこういう話をしているんじゃないんです」

 弁護人「事実を知ってもらいたくて?」

 藤井被告「はい」

 《弁護人は、藤井被告が事件後に逃亡したわけではないことを強調したいようだ》

 弁護人「被害者が亡くなっていると知ったのはいつですか」

 藤井被告「警察に行ったときです」

 弁護人「あなたはどのように考えましたか」

 藤井被告「えーと、何てことになっちゃったんだろうと。えらいことになっちゃったと、その場で手を合わせたことを覚えています」

 弁護人「被害者の家族には、どのような感情がありますか」

 藤井被告「謝っても済む問題じゃないなと…」

 弁護人「弁償するのですか」

 藤井被告「できればしたいんだけど…」

 弁護人「意志はあるけど、財産がないということですね」

 藤井被告「はい、意志はあります」

 《藤井被告の反省の態度を引き出す弁護人。裁判員は、ゆっくりと話す藤井被告をじっと見ている》

 弁護人「あなたは昭和30年代にも、プロレスごっこで知り合いを死なせてしまっていますね」

 藤井被告「はい。力自慢のつもりで、友人を持ち上げたんです。バランスが崩れたと思ったら、友人が首から落ちてしまって…」

(3/3ページ)
http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/090804/trl0908041702033-n3.htm

 弁護人「どうしてそんなことになったのですか」

 藤井被告「当時は力道山がはやっている時代だったんです。力自慢だったし、私はバーベルなんかも…」

 弁護人「いや、ですからね、『無理矢理じゃない』ってことですよね」

 藤井被告「はい、そんな無理矢理なんて…」

 弁護人「分かりました」

 《引き出そうとする答えがなかなか出ない藤井被告に、弁護人は少しいら立った様子だ。裁判員はメモを取る手を止め、藤井被告の受け答えを注視していた。被告人質問から、藤井被告の人となりを探ろうとしているようだ》

 
【裁判員 聴く(23)】被告に迫る検察官の強い口調に裁判員は…(16:20〜16:30) (1/4ページ)
http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/090804/trl0908041726034-n1.htm
2009.8.4 17:25

 《20分の休廷後、藤井勝吉被告への、検察側の被告人質問が再開された。被告の背中は、傍聴席からは小さくうつる。裁判員は藤井被告に視線を注いでいる》

 検察官「(被害者の)小島(千枝)さん(文春子さんが日本で使っていた名前)とは、最近はどのくらい会っていなかったのですか?」

 藤井被告「半年以上…、うーん、今年は会っていなかったかもしれません」

 検察官「どうして会わなかったのですか」

 藤井被告「私が避けていたからです」

 検察官「あなたが避けていたと」

 藤井被告「はい」

 検察官「刑務所を出て帰ってから、小島さんに文句言ったことはありませんか?」

 藤井被告「言ったことはないです」

 検察官「刑務所をでてから、小島さんと何回会ったのですか?」

 藤井被告「…できるだけ避けているから…会ってないかもしれない」

 検察官「それだけ避けていて、どうして当日は会ってしまったのですか?」

 《検察官の語気が、少しずつ強くなる。裁判員の視線の動きが、検察官と被告の間で揺れ動いた》

 藤井被告「出かけようとしても、(被害者が)植木いじるのが終わらなかったので」

 検察官「先ほどの話だと、被害者には何を言ってもだめだったと言っていた。ずっと文句を言わなかったのに、当日はなぜ腹を立てたのですか?」

(2/4ページ)
http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/090804/trl0908041726034-n2.htm

 藤井被告「なぜって、顔があってしまったから。いつかは言わないとと思ってはいました。(ペットボトルが)倒されても私が直していたわけですから」

 検察官「どのみち何を言っても無駄なんでしょ」

 《検察官の語尾がさらに強くなった。裁判員の視線が一斉に検察官に集まる。こうした強い口調の質問が、裁判員にはどのように映るのだろうか》

 藤井被告「そう考えれば、そうなのかもしれません」

 検察官「この日は、何かイライラすることとか、不安があったんですか?」

 藤井被告「前日に競馬に負けて…悔しいというのはあった。負けるとやっぱりね」

 検察官「どのくらい悔しかったのですか?」

 藤井被告「思ってたやつで当たらないと…よほど悔しかったというか、千円くらいでまとめて買っているからやっぱりね」

 《生活保護を受けながらの競馬三昧。裁判員は被告の表情を注視する》

 検察官「前日にやけ酒をしたのは何時ごろまでですか」

 藤井被告「(夜の)12時ごろだと思います」

 検察官「その間、買い物にはいきませんでしたか」

 藤井被告「500ccの酎ハイと、350ccの酎ハイを飲んで、足りなかった。それでいつもの4リットルの(焼酎)を買いにいきました」

 検察官「何時ごろですか」

 藤井被告「うーん、8時くらいかもしれません。でも、縛られない生活なもので、時間にルーズなんで…。」

(3/4ページ)
http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/090804/trl0908041726034-n3.htm

 検察官「夜、暗くはなっていますね」

 藤井被告「はい」

 検察官「歩いていったのですか?」

 藤井被告「自転車です」

 検察官「庭のペットボトルは自転車のすぐそばに置いてありますね。酔ったときに自分で倒したのではないですか」

 藤井被告「なら自分で直しますよ」

 《モニターに被告の自宅周辺の見取り図を写す。酒が原因での前科が複数あるという被告。被害者が倒したとするペットボトルも、酔った被告の勘違いであることを立証したいのだろう》

 検察官「あなたはいつも1本のペットボトルが倒れたと言っているが、見取り図には、3本のペットボトルが書かれてありますね」

 藤井被告「警察官が倒したんですよ。私のときは倒れていなかった。いつも倒れているのは3番目のだけです」

 検察官「あなたが被害者に文句をいったペットボトルは、いつから倒れていたのか。事件の朝、それ以前ですか?」

 藤井被告「その日ではない。立てると倒される。倒れたら2、3日倒れたままになっているんです」

 検察官「その日倒されたんじゃないのに、腹が立つんですか」

 藤井被告「ずっと直してくれないかと思っていました。(スクーターを)バックして入れるから、倒れているときに気がつくはず」

 検察官「被害者は空き地にスクーターを止めていたのではないですか?」

 藤井被告「止めてないですよ」

 検察官「間違いありませんか?」

(4/4ページ)
http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/090804/trl0908041726034-n4.htm

 藤井被告「間違えないっす」

 《藤井被告がいらだった口調で吐き捨てた。じっと被告を見ていた裁判員からは特に変わった様子はうかがえない》 

 
【裁判員 聴く(24)】「サバイバルナイフを伊豆の海に…」“複雑化”する被告供述(16:30〜16:40) (1/4ページ)
http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/090804/trl0908041748035-n1.htm
2009.8.4 17:47

 《文春子さんを殺害した動機の一つとして、「猫よけのペットボトルを倒されたから」と供述した藤井勝吉被告。本当に動機は「ペットボトル」なのか−について、検察官は法廷ではっきりさせようとする。「事件の真の動機は、別にあるのではないか」という観点に立っているようだ。事件後、被告と一緒に警察に連れ添おうとした友人男性の証言などを取り上げて、詳細な質問をする。裁判員は黙ったまま、検察官と被告のやり取りを聴いている》

 検察官「あなたは、ペットボトルが倒れたことを事件の原因だと言っているが、○○さん(友人男性の実名)には、そんな話はしていないですね」

 藤井被告「それは言うまでもないからです」

 検察官「先ほど、弁護人が○○さんの供述調書(証言)を読み上げましたが、『植木(の置き場所)がだらしない』という話しかしてないのではないですか」

 藤井被告「それは私が逮捕されてからの話で…」

 《検察官は、逮捕前に友人男性にペットボトルの話をしていなかったと指摘しているようだが、藤井被告の証言は混乱し、分かりにくくなっている。秋葉康弘裁判長が、割って入る》

 裁判長「あのね、聞かれているのは、○○さんに『(文さんが)植木がだらしない』と言ったことはありますか、ということなんですよ」

(2/4ページ)
http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/090804/trl0908041748035-n2.htm

 藤井被告「あります」

 裁判長「それは、なぜなのですか」

 藤井被告「植木がだらしなくて、車が動かせなくて、車検も切れて、引き取ってもらったんです」

 裁判長「聞かれているのは、なんでペットボトルのことを言わなかったのか、ということなんです」

 藤井被告「それは、そこまで話がいかなかっただけです」

 《また改めて検察官が質問を始める》

 検察官「その日(事件当日)は、競馬に負けてムシャクシャしていたんじゃないですか」

 藤井被告「それもあるが、ムシャクシャはしていましたが、事件の引き金ではありません」

 検察官「あなたと奥さんの離婚に、小島(千枝)さん(文さんが日本で使っていた名前)が関わっていたということが、関係あるのではないですか」

 藤井被告「それは当時、金がなくって、(妻が)金を持つと知り合いの奥さんを連れて、使ってしまうので、『生活保護をもらった方がいい』と…」

 検察官「生活保護をもらうようになった理由に、小島さんの助言があったということですか?」

 藤井被告「そうです」

 《混乱しがちな藤井被告の証言。検察官は要点を整理して、聞いていく》

 検察官「離婚は、あなたの家庭内暴力が原因ではなかったのですか」

 藤井被告「違います」

(3/4ページ)
http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/090804/trl0908041748035-n3.htm

 検察官「前の奥さんと別れた理由は、小島さんが余計なことを言ったからというのもあるのですか」

 藤井被告「そうですね」

 検察官「いつごろですか」

 藤井被告「平成7年ごろです。正式に離婚になったのがそのころで、家を出て行ったのは20年ぐらい前です」

 検察官「前回(起こした事件で服役していた)、刑務所から出てきてから、小島さんのことを避けていたんですよね。『文句を言っても仕方がない』と思って。それなのに、なぜ事件前に『ペットボトルを直しておけ』と言ったんですか」

 藤井被告「言ってもいつも直さないので、言わないようにしていたんですが、つい顔を合わせてしまったので」

 検察官「小島さんの、植木の出し方やバイクの置き方が気に入らないなら、なぜ息子さんに言わないのですか」

 藤井被告「昼間いないから」

 検察官「夜に顔を合わせることもあるでしょう」

 藤井被告「いや、ありません。家庭内ですごい声で怒鳴ったりしているから…」

 検察官「あなたは(凶器に使われた)サバイバルナイフを、よく持ち出すのですか」

 藤井被告「いや、娘のところから持ってきて、ポンと道具箱に入れておきましたから。伊豆の海に持って行くんです。私は毎年、伊豆の海に行くんです」

(4/4ページ)
http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/090804/trl0908041748035-n4.htm

 《なぜ被害者の家族らに、植木の置き方を注意できなかったのか。なぜサバイバルナイフを持っており、毎年、伊豆の海に持って行くのか。この時点では、藤井被告の供述だけでは、はっきりしない。裁判員は、公判の行方を注意深く見守った》

 
【裁判員 聴く(25)】凶器のサバイバルナイフを掲げる検察官、そのとき裁判員らは…(16:40〜16:50) (1/3ページ)
http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/090804/trl0908041801036-n1.htm
2009.8.4 18:00

 《検察官から藤井勝吉被告への被告人質問が続く。検察官は白い手袋を手にはめ、凶器のサバイバルナイフが入ったポリ袋からナイフを取り出した。紙製の鞘を抜くと、約9センチとやや小ぶりな刃体が現れた。検察官は自分の目の高さにサバイバルナイフを掲げ、裁判員全員の目がサバイバルナイフと藤井被告に注がれた》

 検察官「どうして女性相手にナイフを持ち出したのですか?」

 藤井被告「脅すために持って行ったんです」

 検察官「口で言えばいいんじゃないですか?」

 藤井被告「何回も言ったんですよ。そしたら『おい、やるのか』といわれて…」

 《興奮した口調で反論する藤井被告。裁判員全員が顔を上げ、藤井被告を見つめた》

 検察官「女性相手に刃物で脅すんですか。あなたが口論しないようにしていたのは、(もめて罪を犯すと)刑務所に戻らなきゃいけないからですよね。あなたは銃刀法での前科がありますね?」

 藤井被告「私は逮捕もされてないし…」

 検察官「サバイバルナイフで脅せば犯罪になると分かっていたのではないですか」

 藤井被告「(サバイバルナイフより小型の)ダイバーズナイフと思っていました」

 検察官「脅迫は犯罪ですよね」

 藤井被告「そこまでは気づきませんでした」

(2/3ページ)
http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/090804/trl0908041801036-n2.htm

 検察官「ここまでは許されると思ったのですか?」

 藤井被告「法律的なことはわかりません」

 《藤井被告は「法律的なことは分からない」と何度も繰り返した。女性裁判員3人は、手元のメモに何かを書き込んだ》

 検察官「昨日、『ぶっ殺す』と2回言ったという証言がありましたが、覚えはありますか?」

 藤井被告「ありません」

 検察官「証人がうそを言っているというのですか?」

 藤井被告「そうとしかとれませんな、私には」

 検察官「逃げている小島(千枝)さん(被害者の文春子さんが日本で使っていた名前)に『くそばばあ』と言ったとの証言は?」

 藤井被告「私の記憶にはありません」

 検察官「嘘をついていると」

 藤井被告「それしか考えられません」

 検察官「2人の証人から恨みを買う理由があるのですか」

 藤井被告「ありません」

 《自分が正しいと主張する藤井被告。検察官はさらに藤井被告の記憶が欠落しているのではないかと追及を続けたが、藤井被告は否定し続けた。裁判員の1人は険しい表情で藤井被告を見つめた》

 《続いて検察官は、藤井被告が公判で供述した内容に、検察官調書にない内容があると指摘し、その理由を尋ねた》

 検察官「ここにいる○○(実名)検察官の質問には、ありのままに答えましたか?」

 藤井被告「はい」

 検察官「調書に違うところはありましたか?」

(3/3ページ)
http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/090804/trl0908041801036-n3.htm

 藤井被告「○○検察官は今までで最高に私の意見をよく聞いてくれる検察官でした。感謝してますよ」

 検察官「生活保護のことで小島さんから文句を言われカチンと来た、というのは○○検察官の調書には出てきませんね」

 藤井被告「相手をあやめてしまったのに責めるわけにはいきませんので」

 検察官「あなたはもっとすごいことを言ってませんか?」

 藤井被告「言ってますよ。いや、それ以上かどうかわかりません」

 検察官「『小島さんがつかみかかってきた』とかも言っていないですね」

 藤井被告「言っておりません」

 検察官「どうしてですか」

 藤井被告「今言ったとおりです。亡くなられているのに、自分の有利になることを言ったんじゃね」

 《証言の混乱ぶりに傍聴席でも首をかしげる傍聴人の姿も。裁判官の両脇に座る6人の裁判員の中にも、当惑したような表情がうかがえた》

 
【裁判員 聴く(26)】「あっ〜。あっ〜。あっ〜」 “暴走する”被告に裁判長絶叫(16:50〜17:00) (1/4ページ)
http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/090804/trl0908041815037-n1.htm
2009.8.4 18:13

(25)へ戻る

 《藤井勝吉被告が被害者の文春子さんとトラブルになり、殺害するまでの状況について検察官の追及が続く》

 《公判段階になり、藤井被告は『(文さんが)先に身体に接触してきたことが事件の発端となった』と主張するようになった。検察官はこの点を厳しく聴いていく》

 検察官「なぜ、あなたは捜査段階で話さなかったのですか?」

 藤井被告「それは…。被害者に対して言ってしまっては申し訳ないんじゃないかと。胸のうちにしまっていた方がよいかと…」

 検察官「(文さんが)先に身体に接触したということは、あなたの心証をよくさせるものではないのですか?」

 藤井被告「あの〜。検察官に対して殺意を持っていたということはいいませんでした。だけど、裁判ではそれを認めている」

 《質問と答えがかみ合わず、直ちに検察官がたたみかける》

 検察官「そうではなくて、あなたは捜査段階で自分に優位に進むような話をしていなかった。なぜ今になって話すようになったのか?」

 藤井被告「その辺りのところは、本来であれば言わなかった。だけど、被害者の家族が(公判で)『死刑にしてほしい』と言っていた。あまりに(判決が)悪くなってしまったら…」

 《何度も厳しく問いただす検察官に、藤井被告も冷静さを失い、本音とみられる発言も飛び出す。検察官はさらに質問を重ねる》

(2/4ページ)
http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/090804/trl0908041815037-n2.htm

 検察官「ちょっと私の話を聞いてください。あなたが、(文さんが『先に身体に接触した』とする発言をしたのは)公判で遺族が証言する前ですよね」

 藤井被告「はい」

 《話がかみ合わず、矛盾を繰り返す藤井被告の様子をみて、検察官は優位な証言を引き出せたと思ったのか、「では結構です」と話を先に進めた》

 《次に、検察官は文さんを刺したナイフの鞘をどこに捨てたのかについての追及に入る》

 《検察官はナイフの鞘を玄関付近に捨てたとするが、藤井被告は「違う」と繰り返す》

 《藤井被告は「ナイフは脅すためのもの」と証言するが、検察官はナイフの鞘を玄関付近に捨て、文さんに向かっていたのなら、初めから殺意が強かったと立証したいようだ。このため、鞘を捨てた位置関係を何度も尋ねる》

 検察官「見取り図で捨てた(と証言した)位置と違うが…」

 藤井被告「いやそうじゃない」

 《かみ合わない問答に、裁判員の頭の整理が難しいと感じたのか、秋葉康弘裁判長が思わず割って入り、藤井被告に尋ねる》

 裁判長「今聞かれていることはね。鞘を手から離したのは、どこかということです。あなたは覚えていますか」

 藤井被告「いや(覚えていない)」

 裁判長「(文さんを刺した後で)家に戻った際、鞘はありましたか」

 藤井被告「ない」

(3/4ページ)
http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/090804/trl0908041815037-n3.htm

 《裁判長が答えを引き出してくれたため、検察官は鞘の質問を終える》

 《次に大型モニターには地図が映し出される。検察官はそれを藤井被告に示して、最初に文さんを見かけた位置に「○」印をつけるように促す》

 《藤井被告は手元にある小型モニターで、思いだすように首を傾けながら印をつける》

 《検察官は続ける。藤井被告から見て、文さんが最初に見えた位置に「×」印をつけるように指示する》

 藤井被告「ここだったような気もするし、最終的にはここにいた」

 《検察官の聞かれたこと以上に次々に印をつける藤井被告。一般市民が参加する裁判員裁判では、より理解が進むようにと、大型モニターが多用される。しかし、被告人が“暴走”すると裁判員の理解の妨げとなり、機材が逆効果になることもあるようだ。裁判長が思わず静止する》

 裁判長「ちょっと待ってください。あなたが聞かれていることは、最初に見かけた位置に印をつけてくださいということ。もう1回やり直してください」

 《モニターの印がすべて消され、再び藤井被告が印をつけ始める》

 《しかし、またしても藤井被告は次々と印をつけていく》

 裁判長「あっ〜。あっ〜。あっ〜」

 《藤井被告が印をつける度に絶叫する裁判長に、傍聴席からも笑いが漏れる》

(4/4ページ)
http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/090804/trl0908041815037-n4.htm

 《何度か裁判長が絶叫してやり直し、ようやく位置関係図が完成。やっと質問ができるようになり、検察官が口を開こうとすると、裁判長の横やりが入る》

 裁判長「少し待ってください」

 《6人の裁判員が混乱した頭を整理し、位置関係を理解する時間を裁判長は与えたようだ。しばらく地図が映し出されたモニターを注視する裁判員》

 裁判長「では始めてください」

 《裁判長は検察官に質問再開を促す。ひと呼吸置いて仕切り直した検察官。その後は、刺した後の行動を淡々と尋ねていった》

    =(27)に続く

 
【裁判員 聴く(27)完】犯行後の缶酎ハイ「暑かったから」 失笑もれる法廷(17:00〜17:15) (1/5ページ)
http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/090804/trl0908041836038-n1.htm
2009.8.4 18:35

 《検察側は藤井勝吉被告による文春子さん殺害時の状況を明らかにしようと質問を繰り出すが、あやふやな答えに終始する藤井被告。そこへ秋葉康弘裁判長がいきなり疑問を挟んだ》

 裁判長「先ほど弁護人の質問で『(文さんの背中を刺した状況について)想像だけども』といってますが記憶ではないのですか?」

 藤井被告「正確な記憶ではないです」

 《質問を続けようとする裁判長に対し、藤井被告は説明をかぶせる》

 藤井被告「どこがどうなっていたのか分からないですね」

 裁判長「…いまは『小島(千枝)さん(文さんが日本で使っていた名前)が(背中から刺した)バイクの方に逃げていった』といっているが」

 藤井被告「想像ですねー。それ以外、背中を刺せないので」

 裁判長「多少は(バイクの方で刺した)記憶が残っているのですか?」

 藤井被告「多少…。バイクの所にいたという記憶は残ってます」

 《ちぐはぐなやりとりのまま裁判長は質問をやめる》

 《男性検察官の質問に戻るが、その口調からはいらだった様子がうかがえる》

 検察官「捜査段階で『小島さんまで1〜2メートルの距離でナイフを見せた』と言ってますね。それで小島さんが『やるならやってみろ』と。それでやるしかないと思った。それは間違いないですか」

 藤井被告「はい」

 検察官「『小島さんの体の柔らかい感触があった』と」

 藤井被告「はい」

(2/5ページ)
http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/090804/trl0908041836038-n2.htm

 検察官「ナイフの鞘の部分まで刺したんですね」

 藤井被告「はい。(小島さんの)体に(手が)当たったから感触があったと思います」

 検察官「小島さんと正面から向き合って(ナイフを持った)右手を出したというのは間違いないですか」

 藤井被告「はい」

 《そして検察側は藤井被告の犯行後の不可解ともいえる行動に質問を移す》

 検察官「事件後、あなたは家にいましたね」

 藤井被告「はい。(刺した後)ひっくり返って、家に入りました」

 検察官「どれくらい家にいたのですか」

 藤井被告「私は時間にルーズだから…。7〜8分。…10分ぐらいですか」

 検察官「警察官が来るのを待っていたのですか」

 藤井被告「はい。来ないから自分から行こうと家を出ました」

 《自首しようとしたという藤井被告だが、検察側はその後の行動とつじつまが合わないことを指摘していく》

 《一方、6人の裁判員は全員、下を向き必死にメモをとり続けている》

 検察官「あなたは12時10分に金をおろしていますね」

 藤井被告「はい」

 検察官「結局、警察には出頭せず競馬に行った」

 藤井被告「はい」

 検察官「途中、アルコールを買ってますね」

 藤井被告「はい」

 検察官「何を買ったのですか」

 藤井被告「缶チューハイです」

 検察官「人を死なせた人がすぐにアルコールを飲んだのですか」

(3/5ページ)
http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/090804/trl0908041836038-n3.htm

 藤井被告「それは…。暑かったからですね」

 《この回答に、男性検察官は「暑かったからですか」と苦笑いし、傍聴席からは失笑が漏れる。裁判員のうち何人かも思わず顔を上げ、藤井被告に視線を送った》

 《続いて、男性検察官は藤井被告の前科について質問を変えた》

 検察官「あなたの前科の傷害致死ですが『冗談でやった』と」

 藤井被告「はい」

 検察官「それも有罪となってますね」

 藤井被告「はい」

 検察官「その時の被害者を突き落とした場所は路上ですか」

 藤井被告「当時は舗装されていないので地面です」

 《再び検察官は藤井被告の犯行後の行動に質問を戻した》

 検察官「(犯行後)回転すしに行く途中にコンビニで競馬新聞を買ってますよね」

 藤井被告「はい。(競馬場に行くのに)何も持たないわけにはいかないので」

 《再び傍聴席から失笑が聞こえると、男性検察官は「私からは以上です」と述べ質問を終えた》

 《その直後、秋葉裁判長が検察官や弁護人を呼び、相談を始めた。出廷した文さんの長男の弁護人が、被告人質問を希望していたため、その審議が行われたようだ》

 《裁判長が「それでは許可します」と話すと、検察官の後ろに座っていた文さんの長男の代理人が立ち上がり、質問を始めた》

(4/5ページ)
http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/090804/trl0908041836038-n4.htm

 長男の代理人「あなたは事件直前に小島さんが植木をいじっていたと言いましたが、そのとき水はあげていたのですか」

 藤井勝吉被告「いや、植木をいじっていたと思いますが」

 長男の代理人「口論になってナイフを持ってきたんですね、その時はどうですか」

 藤井被告「その時は、水まきを始めていました」

 長男の代理人「あなたがナイフを持ってくることは小島さんは考えていたと思いますか」

 藤井被告「考えていないと思います」

 長男の代理人「あなたは『刑を軽くしたいわけじゃない』と話していましたよね」

 藤井被告「はい、その通りです」

 長男の代理人「あなたは、小島さんがオートバイを敷地内でUターンさせたり、ペットボトルを倒したりしたことに腹を立てたと話していましたが、それが犯行の理由になると思っているのですか」

 藤井被告「思っていません」

 長男の代理人「では、あなたの犯行についてどう思っているのですか」

 藤井被告「どんな理由があるにせよ、私は犯行を後悔し、深く反省しております」

 《長男の代理人の質問に、ぶっきらぼうな口調で答える藤井被告。質問は続く》

 長男の代理人「あなただって、夜中に飲んで騒いで近所に迷惑をかけた事実がありますよね」

 藤井被告「ありますねえー」

(5/5ページ)
http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/090804/trl0908041836038-n5.htm

 長男の代理人「『手を合わせた』とか、『大変なことをやってしまった』とか言っていましたが、本心なのですか」

 藤井被告「本心です」

 《厳しい口調で追及する長男の代理人。藤井被告も負けじと声を荒げる》

 長男の代理人「被害者側に謝罪をしていないようですが」

 藤井被告「損害賠償とかがありますので…」

 長男の代理人「謝罪を伝える必要はないと考えているんですか」

 藤井被告「伝えると言っても手紙では失礼ですし」

 長男の代理人「では、謝罪はしていないんですね」

 藤井被告「はい」

 《長男の代理人による被告人質問は終わり、この日はこれで閉廷となった》

 《6人の裁判員は手元の書類を持つと、表情を変えずに次々と退廷した。続いて、裁判長が藤井被告が手錠をかけたことを確認し法廷を後にした。予定されていた裁判所側の被告人質問は、時間の都合で5日(10時開廷)に延期された》

       =(完)
 

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