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「JALの企業年金基金問題に潜む経営者と厚生労働省の無責任、国民年金・厚生年金制度の崩壊?」
http://www.asyura2.com/09/senkyo75/msg/248.html
投稿者 ミスター第二分類 日時 2009 年 11 月 25 日 13:21:14: syFUAx3Wc1pTw
 

「JALの企業年金基金問題に潜む経営者と厚生労働省の無責任、国民年金・厚生年金制度の崩壊?」
   ミスター第二分類

 JALの企業年金問題は実は大企業が持っている企業年金基金制度への影響が大きいく、問題の背景が全く理解させていないようなので、投稿させていただく事としました。
 実はこの問題の背景には企業経営者のモラルと厚生労働省の無責任による放置により犠牲となりかねない労働者の問題があり、放っておけないと思ったからです。ほとんどの投稿者は単にJALの高給取りの労働者の贅沢な企業年金の問題としか思っていないようなので・・・・・

JALの企業年金の問題は部外者には分かりにくい年金基金制度による「代行」問題があるので、ちょっと長文ですが節介させてもらいます。

1.企業年金制度とはなにか?

 乱暴に言ってしまえば、企業年金制度は従業員の退職金のベース資金と厚生年金の上乗せ給付や基礎年金の原資となる従業員の全ての掛金を預かってより多くの給付をおこなうために「運用」する制度です。

 本来、基礎年金などの公的な年金制度部分は国が全て運用する事が望ましいのですが、経営が健全な企業において、国の給付以上の給付を従業員に大使して行なう事を約束した企業には、関連の会社組織として「企業年金基金」が設立する事が認められています。

 この「企業年金基金」は会社組織は別の法人格を持つ組織で、「企業年金基金」が設立されると企業は国に対して基金に「掛け金」を支払います。また従業員の給料から天引きした公的年金等の「掛け金」の国への納付は停止され、基金がその資金運用を行なう事になります。

関係は以下のようになります。

企業年金なし
・年金の掛金(給料から天引き)
  「企業、従業員」→「掛け金」→「国」
・退職金の原資
  「経理処理」→「引当金で内部留保」

企業年金あり
・年金の掛金(給料から天引き)
  「企業、従業員」→「掛け金」→「企業年金基金」
・退職金の原資
  「経費処理(掛け金)」→→→→→「企業年金基金」

 年金基金は将来の退職金や国に支払うべき「公的年金の掛け金」を原資にして従業員の複利厚生の為に「自主運用」を行なう事となります。
 もちろん、従業員が払った「掛け金」は国のもので、制度上は私企業が運用原資を「借用」しているため運用を「代行」する形になっています。

 つまり、年金基金を持つ会社は国に1円も払わずに傘下の「年金基金」に従業員の年金・退職金の原資を集めて「マネー・ゲーム」に勤しむ事になります。
※実は企業年金基金と言う組織は厚生労働省の天下り先として、その筋では有名です。

 ほとんどの企業年金は退職金の原資となる母体企業からの「掛け金」を毎年所定の利率(5.5%〜4.5%)の「複利」で運用し、退職時に一時金で受取るか、年金の形で分割して長期に渡って受取るかを選択できる形になっています。

※実は企業年金とは言ってもその実態は過去の退職金に「高い金利」を付けて分割払いしているに過ぎないのです。

2.企業年金制度の普及と問題

 なぜ企業年金制度が大手企業を中心に広まったかと言えば、それは経営サイド、労働者の両方にメリットがあったからに他なりません。
 
 確定給付型(給付額が決まっている年金。4.5%の運用が約束されている)の企業年金を例にすると、それは毎月企業から支払われる「掛け金」をベースにして4.5%の1年複利で金利を付けて、退職金の代わりに死ぬまで支払うというものです。

 バブル期には予定利率の5.5%なんかちょろいもので、10%以上、あるいは20%以上で運用できた基金も珍しくありません。

 余った資金については、福利厚生の為に使うことが許されていたので、豪華な保養所を作り「内需振興」に励んでましたが・・・・昨今の低金利時代、5.5%とか4.5%とかの高金利ではとても運用できません。

 それどころか、バブル崩壊後は運用で「大穴」をあける基金が続出しました。

 法令上、「基金」の損失は母体企業で補填しなければなりません。また本来国が運用すべき公的年金制度の為の掛け金についても「代行」の為に年5.5%とか、4.5%の1年複利で「運用」しなければなりません。不足する分は企業が「補填」しなければなりません。

 しかし「株主の為の企業」、「ブルジョワジーの為の企業」は4.5%とか5.5%で運用できない「差額の補填」なんかしたくありません。もともと代行運用する目的は4.5%とか5.5%とかの「公的な所定利回を超える部分の超過収益」が目的でそれは退職金などの費用負担を減らす事にありました。

 結果として企業年金基金は企業経営者のお荷物になりました。

3.お荷物となった企業年金基金、清算すらできない基金。

 お荷物となった企業年金基金はどうするか・・・・給付水準を下げて対応できる基金や、代行制度を止めて国に多額の金利(5.5%の一年複利)を支払って返済できる力のある母体企業を持った基金はよろしいのですが(代行返上と呼ばれている)、そうできない基金を持つ企業はどうするか・・・・・・・大損をしてしまい国に返すカネもない基金はどうするか・・・・その状態で母体企業が破綻したらどうするか・・・・制度上の問題とされて来ました。

 本来は国の業務を代行する事で労働者により多くの年金や退職金を保証する制度で、国の給付以上の厚い給付を行なう事が目的でしたが、実際には「基金」がそのカネを利用してマネーゲームに励んでいたというのが実態のようです。

 不景気になり、運用が難しくなると5.5%の金利はとても払らえません・・・・・
 しからば、どうするか・・・・・考える事は「踏み倒し」とか「カット」が想定されます。
その意味では、JALの企業年金問題は深刻です。
 母体企業の破綻により、年金債務はカットされますが、問題は過去に勤務した職員が払った公的年金の掛け金を国に返すだけの資産があるかどうか・・・

 あなたは、払った筈の国民年金、厚生年金が「企業年金基金の破綻により」未納扱いとなり、いきなり「無年金者」が大量に出現する事を容認するか、あるいは企業経営者が年金基金の破綻を知りつつも公的な救済策によりすがる「モラル・ハザード」を容認するか・・・・。

 いずれにしろ、JALの企業年金基金の問題の本質は「経営陣」、「経営者」にあり労働組合や退職したOBのみを責めるのは筋違いと言うもの。
 また運用基準を緩めるだけで事実上欠損状態の「企業年金基金」を放置していた厚生労働省にあります。

4.JALの企業年金問題は国民年金・厚生年金問題へ波及するか?

 アメリカの自動車メーカの問題よりも深刻な問題が実はあります。単に私企業の年金問題なら母体の整理で終わりです。しかしJALの従業員、退職者が起業年金基金と母体企業との関係を正しく理解しているとは、とても思えません。
 またJALの職員が毎月の給料から天引きされている厚生年金、国民年金の「掛け金」が実は国に納付されず、基金に溜め込まれている事を知っているとはとても思えません。
 国の代行分が返せず、負債だけがどんどん増えていく。そのような状態となっていない事を祈るだけです。
 もし、母体の清算や法的整理手続き等が実行され、代行により徴収した国民年金・厚生年金の掛け金を金利を付けて国に払えない場合、その事を理由に国は年金受給者に対して支払をカットするのでしょうか。あるいはそのまま払うのでしょうか。

 払っていた筈の年金が払われていない。大損あけたのは、しかも厚生労働省OBとかでない事を祈るだけです。

 モラルか道理か・・・・資本の論理か、労働者の保護か、行政庁の無責任か・・・・分からん。

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(関連投稿)
企業年金制度と公的年金制度の問題
http://www.asyura2.com/09/hasan66/msg/159.html  

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コメント
 
企業年金と公的年金は並存するのですが、投稿では誤解されます。
JALは積み立て不足なのに、もらう、あるいはもらっている額が大きい
というのは企業と個人で解決する以外は方法はないと思う。
藤井財務大臣がいうように、「国税をビタ1文つかってはいけない」と
いうのが正論。
あまりもめるようなら、倒産させるのが一番よい。
2009/11/25 14:04
>>2009/11/25 14:04
誤解しているのは、あなたですよ。

 一定以上の規模を持つ優良企業については「企業年金基金」を設立する事が認められると書いていますが・・・日本航空はそのような企業年金基金を持つ会社で、その事を述べています。

 つまり経営不振の大企業に勤務している労働者の公的年金問題を述べたのですが・・・・。

 仕組み的には企業年金と公的年金は並存するのですが、「企業年金基金を持つ企業に就職する労働者」の公的年金の「掛け金」は国に納付されずに「基金」に預託されそこで運用されています。

 そして、実際に支給する段階になると国に代わって基金が「公的年金」の支払いを「代行」して行います。

 つまり形の上では、分離していても実際に退職者が受取る公的年金は企業の影響下にある基金から支払われます。
 つまり基金は国の代理店になっている訳で、その意味で「代行」と呼ばれています。

 問題の本質は必要な資金の無い基金からの公的年金の受給が問題でカネの無い基金からの支給はカネが回っているだけで、年金の受給者が増えればいずれ破綻します。
 特に認識しなければならないのは経営サイドがそのような問題を多くの場合「隠して来た」事です。

 そして厚生労働省がおこなった事は、「改善計画」の作成と言う名の「問題の先送り」です。基金には何も力もカネもなく、実態は母体企業の経営陣が協力するか調整をするしかないのにですよ。

 解散したくとも国に返済するカネもなく、解散もできない亡霊基金は沢山ありますが、母体企業の経営陣は多くは知らん振りです。
 なぜか・・・監督責任を取りたくない。労働争議を起したくない。カネだしたくない。
 退職金カットなんて組合が飲む訳ない。JALも恐らくはほとんどの職員が経営危機になるまで基金の問題なんか知らなかったと思いますが・・・知っているようなら企業年金なんか宛てにしないで退職金を一括でもらいますよ。

                           (ミスター第二分類)
2009/11/25 14:32

厚生年金基金はピーク時の1/3くらいに減っています。解散したり確定給付型企業年金に移行(代行返上)したり確定拠出型に移行しています。今年の初めで619基金しかありません。そのうち無茶な運用で、公的年金保険料の部分まで食いつぶしている基金がどの程度あるのですかね。何かデータお持ちですか。平成12年ころから騒いでいた問題でもありますし、いま問題があるところは確信犯じゃないですか。なおここに書かれたようなことはうちの中卒の親でも理解していますよ。JALの人たちは国が絶対に潰さないと信じていただけと思いますが。少なくともこの問題で公的年金制度が崩壊することはないです。
2009/11/25 15:11
>>公的年金保険料の部分まで食いつぶしている基金
は相当あります。でも、述べるつもりはありません。

 その理由は現在価値率、予定利率、過去勤務債務の償却期間などの前提条件で必要な退職金の額が大幅に変動するからです。
 現実的な基準(例えば現在価値率を現在の長期金利とするとか、平均余命が伸びる等)で計算したら、今でも多くの企業基金は債務超過でしょう。(JALが解散基準で債務計算したらどうなるか・・・)
 年金基金を持っている企業でも、基金の形態が「連合型」であるために退職金(年金)債務を会計上、認識していない会社はゴロゴロあります。
2009/11/25 17:02

 公的年金保険料の部分まで食いつぶしている基金や、それに近い基金でも自ずから解散する事はほんどありません。理由は退職金(年金)債務について連合型等の基金の場合、基金があるという理由で債務をB/Sに入れていないからです。(会計上認められている)そのような企業はB/Sに引当金すら計上する必要もありません。

 もし基金を清算し、公的年金部分を全部返済(代行返上)した場合どうなるか・・・とたんに退職金債務をB/Sに計上する事を監査法人から求められます。
場合によっては債務超過です。基金を潰したら母体企業まで経営危機では、だれが代行返上などするのでしうか。

 「年金崩壊」は、約束した金額が出ない事とか、「知らずにカット」され信頼が失墜する事だと思っています・・・
 確かにJALの年金は高額で、年4.5%の複利計算などと言うトンデモ高利回りです。公的資金導入を考えるとカットされて当然でしょう。

 予定利率が高いのは将来運用が4.5%で、できる事にして制度設計しているからです。運用が4.5%の複利で今後できるから、今は少ない額で良しとして会計監査をパスしています。※割引率(現在価値率)を4.5%から2.0%に下げた場合、運用期間を30年とすると債務は2倍以上も増加します。長期国債が2%を割る期間がすでに10年以上も続いている現在、将来の運用で取り返す事は絶望的だと思うのです・・・
 JALを法的整理すれば、同社の企業年金基金が事実上破綻するのは目に見えていますが、問題は同基金がきちんと公的年金債務の返済ができるかどうかです。

 もし、できなかった場合、公的年金の未払・未納問題をどう整理するかです。
 もし問題が発生するならば、厚生労働省の基金に対する、あるいは母体企業に対する監督責任、法的な対応措置が要求されると思いますが・・・
 対応を誤れば、それは大問題の原因になり得ると思うのです。
(ミスター第二分類)
2009/11/25 17:02

 基金の数が619にしても、見方が違うと思うのですが・・・沢山あると見るか、すくないと見るか。
 規模が小さいところでも数千人です。ひとつの基金が1万人でも600万人になる計算ですが・・・
  (ミスター第二分類)
2009/11/25 17:06
加入者数は465万人だそうです。
年金基金の連合会のホームページにありました。
2009/11/25 17:09
非常に大きな問題になりそうですね。退職金や年金の問題は以前かなり話題になり、そのときに積立金を積み増すことで解決されたのかと思っていましたが、余り解決していなかったのですね。

今後、景気を直撃することになるかもしれません。IFRSについての簡単な特集が週刊東洋経済に載っています。
2009/11/26 13:34

企業年金基金については、予定利率と言うのが曲者で、この毎年、予定利率の1年複利で運用できる事が前提になっており、例えば4.5%なら、年4.5%の複利で資産が増加して行く事が基金が必要な資産(現金)を保持する事ができるような仕組みになっています。

つまり決算上、予定利率に達しない運用となった場合には、基金の仕組み上は事実上「赤字決算」と言う事になります。

 不足する資金はバランスシートの資産側に「過去勤務債務」とか「数理計算上の差異」等の科目で計上されます。つまりバランスシートを単純に眺めてもその実態は分かりません。
 普通の会社と異なる仕組みなので、バランスシートを見て正確に理解できる人はそれ程多くはありません。

 今残っている企業年金基金はその多くがバランスシートに事実上の不足金(事実上の累積赤字)をかええており、企業が単年度で引当金を積んだから解決したとマスコミの「プロパガンダ」に乗せられて安心していては痛い目に合う事となるでしょう。

2009/11/29 20:01

※企業年金基金の事実上の不足金(事実上の累積赤字)はバランスシートの「資産側」に帳尻合わせの形で計上されています。
念のために・・・・・・

2009/11/30 10:25
11. 2010年6月19日 19:02:43: lRKEaBgKrE
厚生年金基金が債務超過を補填する義務があるとする法令があるとかかれていますが、具体的にどの法律なのか教えていただけませんか。

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