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日銀総裁発言要旨:量的緩和ではないが追加緩和−量は現場に委ねる(ブルームバーグ)
http://www.asyura2.com/10/hasan67/msg/479.html
投稿者 そのまんま西 日時 2010 年 3 月 18 日 00:31:09: sypgvaaYz82Hc
 

日銀総裁発言要旨:量的緩和ではないが追加緩和−量は現場に委ねる 3月17日
(ブルームバーグ):

日本銀行の白川方明総裁は17日午後、定例記者会見で、
経済・物価情勢について次のように述べた。

――本日の決定の背景について説明してほしい。

「本日の会合では無担保コール翌日物金利を0.1%前後で推移するよう促すという、これまでの金融調節運営方針を維持することを全員一致で決定した。また、来月以降、企業金融支援特別オペの残高が漸次減少していくことを踏まえ、昨年12月に新たに導入した期間3カ月の固定金利方式の共通担保資金供給オペを大幅に増額することにより、やや長めの金利の低下を促す措置を拡充することとした」

  「具体的には、固定金利オペの頻度を現行の週1回から2回に引き上げ、原則として毎回8000億円ずつオファーする予定だ。その結果、このオペによる資金供給額は現在の10兆円程度から20兆円程度になる見込みだ」

  「わが国の景気は先月と同様、国内民間需要の自律的回復力はなお弱いものの、内外における各種対策の効果などから持ち直していると判断した。このように景気の総括判断は変わっていないが、個別の需要項目をみると、全体に幾分上振れ気味に推移している。輸出や生産は内外の在庫調整の進ちょくや、海外経済の改善、とりわけ新興国経済の強まりなどを背景に増加を続けている」

  「設備投資はおおむね下げ止まっている。個人消費は厳しい雇用・所得環境が続いているものの、各種対策の効果などから耐久消費財を中心に持ち直している。公共投資は減少している。金融環境をみると、厳しさを残しつつも、改善の動きが続いている。企業の資金調達コストの低下傾向が続いているほか、企業の資金繰りも中小企業中心に厳しいとする先が多いものの、改善の動きが続いている」

  「物価面では、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、経済全体の需給が緩和状態にある下で下落しているが、その幅は縮小傾向を続けている。先行きについては、2010年度半ばごろまでは、わが国経済の持ち直しのペースは緩やかなものにとどまる可能性が高い。その後は、輸出を起点とする企業部門の好転が家計部門に波及してくるため、わが国の成長率も徐々に高まってくると予想される」

  「物価面では、中長期的な予想物価上昇率が安定的に推移するとの想定の下、マクロ的な需給バランスが徐々に改善することなどから、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比下落幅は縮小していくと考えられる」

  「リスク要因をみると、景気については新興国・資源国の経済の強まりなど上振れ要因がある一方で、米欧のバランスシート調整の帰すうや企業の中長期的な成長期待の動向など、ひところに比べれば低下したとはいえ、依然として下振れリスクがある。また、最近における国際金融面での様々な動きとその影響についても、引き続き注意する必要がある」

  「物価面では、新興国・資源国の高成長を背景とした資源価格の上昇によって、わが国の物価が上振れる可能性がある一方、中長期的な予想物価上昇率の低下などにより、物価上昇率が下振れるリスクもある。日銀は日本経済がデフレから脱却し、物価安定の下での持続的成長経路に復帰することが極めて重要な課題であると認識している」

  「そのために、中央銀行としての貢献を粘り強く続けていく方針だ。今回のやや長めの金利の低下を促す措置の拡充はこうした日銀の政策運営方針をあらためて明確に示すものだ。このところ景気は幾分上振れ気味で推移しているだけに、こうした措置は経済、物価の改善の動きを確かなものにすることに資すると考えている。金融政策運営に当たっては、今後とも極めて緩和的な金融環境を維持していく考えである」

―――新型オペ拡充に反対が2人いたが、その理由は何か。

  「詳しい考え方は議事要旨等で公表するのでご容赦いただきたい」

―――なぜこのタイミングで決めたのか。

  「決定会合は毎回、新しいデータを踏まえて経済・物価・金融情勢の点検を行う。今回は特別オペが3月末で完了するので、4月以降はこの残高が漸次減っていく。既に昨年秋に公表した通り、特別オペの残高が減っていった後は共通担保資金供給オペを活用していくという方針は公表している」

  「このオペの中で、固定金利型と金利入札型の両方があるわけで、こうしたオペをどう使っていくかを示していく必要がまずある。そうした方針を示す時に、あらためて日銀として粘り強く政策課題に対処していく方針を明確にしていくということだ。そういう意味で、もちろん4月に入ると、また新しいデータが入ってくるわけだが、3月のタイミングで判断することが適切ということだ」

―――なぜ量だけで期間を延長しなかったのか。

  「今、新型オペの拡充に質問が集中しているが、あらためて金融緩和が今、どういう形で効果が浸透しているかを検討してみる必要がある。昨年12月に新型オペを表明して以降、どういう変化があったか3点申し上げる。1点は金利で、実際にターム物金利が低下し、その結果、貸出金利も低下してきている」

   「もう1つは、昨年11月末にかけて企業中心にマインドがかなり下振れて行くということがあったが、そうしたマインドの下振れにこの措置が一定の歯止めをかける効果があった。そのことは株価あるいは為替レートにも反映していると思う」

  「3つ目は新型オペだけではないが、大きな金融政策の効果を考えた場合、企業の営業利益率と資金コストの関係が確実に金融政策の効果が発揮される方向に変化している。昨年第1四半期の営業利益ベースの収益率が0.8%だったのに対し、貸し出し金利はストックベースで1.8%で、逆ざやという感じだった」

  「第2四半期はこの逆ざや幅がマイナスの0.1%、第3四半期は順ざやでプラス0.5%、第4四半期は順ざやで1.2%。これは法人企業統計で確認した数字だ。大きな流れとして金融政策の効果が浸透しやすい環境になっているという気がする。そういう意味で、全体としての金融緩和の浸透具合、現に浸透している最中だが、そうしたものを見た場合に、先ほどご説明したような措置をとることが適当だと判断した」

―――山口広秀副総裁は先月24日の講演で「物価下落幅が縮小するテンポは若干遅いような印象を受けている」と述べた。総裁の見解は。

  「コアCPIは石油製品価格変動の影響で昨年8月にマイナス2.4%まで下落した後、下落幅は大幅に縮小し、最近ではマイナス1%程度まで改善している。マクロ的な需給ギャップの改善が物価に波及するには、かなりの時間的なラグを伴う。物価の下落が続いているが、縮小傾向が続いている。こうした物価の動きをどう評価するか、毎回の会合で議論している。本日の会合でも議論した」

  「私が受け止めた感じは、1月の中間評価で示した日銀の想定におおむね沿っているとふうに判断した。先行きの中心的な見通しとしては、マクロ的な需給ギャップの改善に伴って、前年比の下落幅がさらに縮小する可能性が高いとみている。今申し上げた本日の議論の総括的な評価については、たぶん山口副総裁も違和感がない評価だったと私は受け止めた」

――――新型オペの増額が景気なり物価の改善にどういう経路で効果があるのか。

  「昨年12月の固定金利オペの導入後、短期金融市場で長めの金利が総じて低下しているほか、貸出金利もさらに低下するということで、所期の目的の通りに、金融緩和の一段の強化に相応の効果を発揮していると思う。また、マインド面での下振れを回避するという点においても一定の成果があったと考えている」

  「日銀の金融政策の手段は、経済全体の需要の働きかけていき、需給ギャップを小さくすることを通じて物価に働き掛けていくという政策だ。今回、固定金利オペを大幅に増額することによって、やや長めの金利の低下を促す力が一段と強まると考えている」

  「今回の措置は、やや長めの金利の低下に加えて、現在の金融緩和が経済に一段と浸透し、貸出金利は企業マインドなどにも好影響を与えることを期待している。その結果、民間需要を下支えし、経済、物価が改善する動きを確かなものにすることに資すると考えている」

  「現在の景気と物価の関係について、少し詳しく申し上げる。いつも申し上げているが、デフレ克服については政府、日銀、民間部門によるさまざまな取り組みが不可欠だ。今回は世界的に物価上昇率が低下している。これはリーマンショックを契機として大幅な景気の落ち込みが生じ、需要と供給のバランスが大きく悪化したことが背景にある」

  「先行きも需給バランスの改善が緩やかと見込まれるなか、日本に限らずどの国もそうだが、物価上昇率が望ましいと考えられる水準に到達するにはやや時間がかかる姿になっているのは各国共通だ。需給ギャップの変化が物価に表れてくるにはかなり長い時間がかかることは冷静に認識しておく必要がある」

  「過去の物価動向をしてみていると、現在、コアCPIはマイナス1.3%だが、この1.3%と同じ幅だけ物価が上昇した時期を過去20年間振り返ると、日本では2度だけある。1回目は消費税率の引き上げがあった1996年から97年だ。2回目は国際商品市況が大幅に上昇した2007年7月から08年7月にかけてだ」

  「物価が1年間に1.3%上がるという時期は、欧米を見ても基本的に食料とかエネルギーとか国際商品市況が上がるなど各国共通だ。考えてみると、短期間の物価上昇の多くは景気改善ではなく、国際商品市況の大幅な上昇など、いわば外生的なショックが原因であることが過去の経験だ。そのような物価だけが上がることが国民生活にとって望ましいかというと、それは望ましくない」

  「つまり、物価だけが上がっても、その場合は企業からすれば仕入れ価格が上がる、販売価格も上がるので、収益が実質的に増えるわけではないし、財政バランスが改善するわけでもない。われわれが欲していることは、景気が改善し、その結果物価上昇率も徐々に高まっていく姿を実現することが大事だし、そういう姿を実現したい」

  「金融政策だけでデフレを克服できるわけではないが、日銀の持っている金融政策という手段を通じて景気に対して働き掛け、物価に好影響を及ぼすということを粘り強く実現していく。その中のこれは1つの手段だ。逆に言うと、ミラクルのような手段があれば皆採用しているが、粘り強くやっていく。これはなかなか時間のかかる話で、すっきりしない話だが、そのことをしっかり認識していく必要があると思う」

――今回の措置は広い意味での量的緩和の強化と受け止めてよいのか。今後の政策運営は資金供給の量の操作になるのか。

  「当座預金残高を目標に金融政策を運営していくという運営方式はとっていない。そういう意味で量的緩和政策の拡充ということでは、そもそもない。ただ、昨年12月に申し上げたのは、日銀が供給する資金量が制約になって金融機関や企業の行動が制約される事態は防ぐということは常々申し上げている。今回の措置は、やや長めの金利の低下を促すという措置を拡充したということだ」

――今回の措置は追加緩和と受け止めてよいのか。

  「やや長めの金利の低下を促す措置を拡充するという意味で、今回の措置は追加緩和措置だ」

――追加緩和措置だということだが、今日の発表文のどこにもそうは書かれていない。なぜ、金融緩和の強化であることをもっと説明しないのか。

  「今回の発表文の第2段落に『昨年12 月、金融緩和の一段の強化を図るため、固定金利方式の共通担保資金供給オペレーション(固定金利オペ)を新たに導入し』という表現がある。その上で、この段落の最後に『やや長めの金利の低下を促す措置を拡充することとした』としている。金融緩和の一段の強化という言葉はここに入っている」

  「われわれ自身が政策の効果についてピーアールが下手だというご指摘だが、ピーアールはうまくはないが、われわれの思いを正確に伝えている」

――事務方の説明によると、採決がとられたのは20兆円への増額ではなく、「固定金利オペを大幅に増額することにより、やや長めの金利の低下を促す措置を拡充することとした」ことについて採決がとられたということだった。10兆円から20兆円に増やすことは採決の対象ではなく、執行部の裁量ということだが、なぜこれが15兆円でもなく、25兆円でもないのか。

  「かつての量的緩和は量それ自体を誘導目標として設定し、それを達成するように調節した。量それ自体に意味を持たせて運用していた。われわれが今回採用している金融政策は、そういう意味では量的緩和ではない。あくまでも無担保コール翌日物金利を0.1%にするように促すことだ。それでやや長めの金利の低下を促していくことがわれわれの考えだ」

  「これを実現していく上で、どの程度のオペの金額が必要かは、さらなる金利の低下を促すという要請と、短期金融市場の機能を維持していくということとのバランス、それからターム物金利にもいろいろなターム物金利がある。従って、金額をいくらという形で設定すると、結果として先ほど申し上げたバランスをうまく達成できない」

  「そこは金融市場の調節の現場にゆだねる。ただし、それは必ず毎回毎回の決定会合で、どういう方針で運営したかをまた執行部から報告する。その対応方針が適切でなければ、もちろんそこで判断していく」

――一部メディアの報道で新型オペの増額が今回市場に織り込まれ、見送られれば失望の反応が出ると懸念された。この点をどう考えるか。

  「市場は重要な情報の源だと思う。しかし、近年の金融危機の経験があらためて示すように、金融市場は時として行きすぎを示すことも事実だ。また、金融政策が市場の期待に沿う形で常に運営されると、結果として政策が経済の変動をかえって大きくすることも、今回の危機の教訓の1つだったと受け止めている」

  「市場の動きは一方で注意深く見ると同時に、しかし、金融政策の判断に当たっては、あくまでも中長期的な経済物価の姿を点検して政策運営していくという姿勢が大事だと思っている。端的な言葉で言うと、金融市場の短期的な動きに過度に引きずられて政策運営をしていくことは中央銀行としての仕事をしっかり果たすことにはならないと思う」

  「逆に、金融市場がある反応をしたから、従って、織り込んだことはやらないんだということも、これは適切ではないと思う。中央銀行としては、市場の反応について時として自分達と感覚が違うという反応があっても、あるいは感覚と合っているケースを含めて、中長期的な姿をしっかり見据えて運営していく。その軸をずらしてはいけないと強く思っている」

――政府からの強い圧力もあったが。

  「政府との関係だが、日銀が物価安定の下での国民経済の健全な発展を意識して中長期な観点から金融政策をやっていくことは非常に大事だ。中央銀行がそうした目的に照らして、しっかり行動している、それからしっかり行動していると見られていることが非常に大事なことだ。また、そうした中央銀行の姿勢を社会が尊重しているということも非常に大事だと思う」

  「私としてはさまざまな意見に耳を傾けて、その上で日銀法の精神に従って、政策委員会が責任を持って判断し決定していくことを貫くことが大事だと思っている」

――今回の措置によって為替相場は円安に振れると考えているのか。

  「為替相場の先行きについてコメントするのは差し控える。為替相場を基本的に目的として金融政策を運営することは適当ではない。今回の対応は、日本経済が物価安定の下での持続的な成長経路に復帰することを確かなものにすることが必要だという判断に基づいて実施するものだ」

  「今回の措置は、極めて低い金利を維持するという日銀の姿勢を明確に示すものなので、こうした姿勢に対する市場の見方がさらに浸透していけば、もちろん為替相場にも相応の影響があるのかもしれないが、しかし、このこと自体を目的にして今回の措置を決定したわけではない。為替相場はさまざまな要因で変動する」


http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90920018&sid=ax0UbUGIFHN4  

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