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日航はまだ政治のおもちゃ/山形浩生(評論家兼業サラリーマン)
http://www.asyura2.com/10/hasan67/msg/545.html
投稿者 gikou89 日時 2010 年 4 月 01 日 05:13:11: xbuVR8gI6Txyk
 

(回答先: .公共事業?国家ファンド? 郵貯マネーの使い道に閣内騒然… 投稿者 gikou89 日時 2010 年 4 月 01 日 05:09:07)

http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20100323-00000001-voice-pol

◇努力するだけあほくさい◇

 ぼくはODA(政府開発援助)の仕事で途上国をまわるとき、各国の電力会社を見ることが多い。

 電力というのは、比較的わかりやすい分野だ。原理はシンプルだし、どの部分も技術的には確立していて世界共通だ。そして財務的にも、料金はどのくらいにすればいいか、投資はどのくらいが望ましいかは、ほぼ決まっている。にもかかわらず、電力会社の多くは世界のあちこちで、収拾のつかないほどの大赤字に陥っており、借金の固まりと化していたり、政府予算からすさまじい補填を受けて財政のお荷物になったりしている。

 それは電力会社が多くのところで政治のおもちゃになっているからだ。貧乏人を救うという名目で電気料金が政治的に抑えられ、実際に掛かるコストを回収できるだけの料金が取れない。また有権者に恩を着せたい政治家たちが、電力会社に圧力をかけて、財務的に絶対に無理なところにまで電気を引かせ、その設備のメンテナンス費用や、電気料金を徴収するコストがその後果てしなくのしかかる。電力は「公共性が高い」から、といって政治家たちはそれを正当化する。

 が、やがて累損がかさんでくると、その政治家たちは、電力会社は何をやってるのだ、無駄をなくせ、おまえたちが努力しないから赤字になるんだ、社長の給料が高いぞ云々と国会でまくしたてる。

 でも、とくに火力発電はコストの9割は燃料だ。燃料の価格は国際市場価格で決まってしまう。電力会社としては努力のしようがない。コストに合わせたセオリーどおりの料金設定と投資計画を認めれば、もともとそんなことにはならなかった。政治家たちが電力会社を人気取りの道具に使うのが、問題の大きな原因なのだ。

 それがある程度以上のところにくると、もう職員たちもやる気を失う。多少の努力をしたところで、大勢にはまったく影響がない。そして電力会社をなくすわけにはいかないので、いずれ赤字は補填してもらえるんだから、努力するだけあほくさい。そうするうちに、会社も傾いてくる。

◇何のための会社更生法か◇

 さて、どっかで聞いたような話だろう。もちろん、これは日本航空や郵政と似たような構造の話だからだ。

 日航が会社更生法の申請を出し、あれこれやたらに叩かれた。OBの年金が高いとかパイロットが高給過ぎとか。むろん、そういう面はあるんだろう。もはや飛行機がさほどご大層な代物ではなくなっている時代に、昔の夢を追い過ぎかもしれない。客が払ってる金だって大幅に落ちてるんだし、ろくな金を払ってない格安エコノミーの客(例:ぼく)などにヘコヘコしてサービスしなくてもいいし、あれやこれや。

 でもその一方で、日航の苦境のかなりの部分は、それがナショナルキャリアだという口実で、途上国の電力会社のように政治のおもちゃにされたからだ。需要のない地方空港に、どう考えても利益の出るわけがない便を無理強いされたり、あれを負担させられたりこれをやらされたり。だからこそ彼らは高コスト構造を容認されていた。

 が、それがもう許されませんという話になった。政府はもう支援しませんということで会社更生法となり、上場廃止となった。民間的な感覚できちんと立て直すべく、新しい経営陣も選ばれた。それはそれでいい。でもそれならば、もう政府は日航をおもちゃにするのはやめなきゃいけない。彼らの普通の経営判断に任せなきゃいけない。

 だがその日のニュースに上がったのは、国産ジェット機MRJを買うよう政府が(再建中の)日航に圧力をかけることに決めたという話だった。

 それがだめなんでしょうに。そういう圧力が横行したのが日航の苦境の大きな原因なのに。MRJは、そこそこ優秀なジェット機になりそうではある。でも、それを政府がごり押しするんなら、何のための会社更生法なのか。日航を普通の会社にすべく突き放したはずなのに、いまだにそれが政治のおもちゃのままだという、何ら変わらない政府の意識がそこにはあからさまに見えている。

 郵便絡みの話でも似たようなものだ。民営化したと思ったら国営に戻す。民営化には民営化のバランスがあるだろうし、国営でやるなら国営的なバランスがある。でも両者がそんなに違うとはぼくは思わない。そして結局、この手の話はおもちゃとしての役割を温存しつつ、一方で都合よく経営改善してくれないかな、というムシのいい話になってしまい、そして結局は虻蜂取らずに終わるのが定石なのだ。

 ぼくは日航がきちんと再建されて、今後も続いてくれるといいとは思っている。知り合いも何人か勤めていることだし。でも政府の甘い腹づもりを見るかぎり、前途はまだまだ多難なようだ。
 

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