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【正論】東京大学教授・坂村健 明暗分ける「人材流動性」の低さ
http://www.asyura2.com/10/hasan68/msg/177.html
投稿者 gikou89 日時 2010 年 5 月 20 日 02:25:16: xbuVR8gI6Txyk
 

(回答先: 「就職難なのに」学生らに動揺…公務員採用半減 投稿者 gikou89 日時 2010 年 5 月 20 日 02:22:11)

http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/100518/plc1005180250002-n1.htm

情報通信技術(ICT)の爆発的な進歩が社会を大きく変えている。そういう大変化の時代に日本と米国、どちらが適応できているのか。ICTの発達が複雑な金融商品を可能にし、それが引き起こしたリーマン・ショック、その震源地であったにもかかわらず、市況的に見て早くもその影響を抜けている米国。一方サブプライムの傷口がもっとも小さかったはずの日本は「3度目の失われた10年」などと外国のマスコミに揶揄(やゆ)される状況になっている。

 ≪状況に応じて働く仕組み≫

 当たり前なことだが「時代は変わる」。問題はICTの進歩により状況変化のスピードが爆発的に加速したことだ。もはや「どう変化したか」でなく「変化していること」が常態になってしまった。こういう状況は明治のころはいざしらず、今の日本には向いていない。法律体系の問題もあるし、社会的安定を求める国民性などさまざまな問題がある。

 その中でも早急に日本社会が対応すべき問題があるとしたら「人材の流動性」というより「人材の流動性のサポート」だ。

 同じ専門を持っている優秀な人間をたくさん集めた大企業より、技術とデザインと財務などまったく畑違いの専門を持った優秀な個人が、状況に応じて素早くグループを組みアイデアを具現化しサービスを投入する。その多様なトライアルから世界を席巻するビジネスが、数打ちゃ当たるで生き残るのが今のネットの世界である。

 ≪サポートする社会の体制≫

 逆に言うと資本がなくてもスモール(小規模)スタートが可能になったためか、最近はアイデアでも技術力でも米国に負けていないというような若者が独立し起業する例が日本でも見受けられるようになった。しかし、どうしても米国に比べ成功例は少ない。そういうスタートアップ時の明暗を分けているのが日本の「人材の流動性」の低さなのだ。

 多様なトライアルにとって図体(ずうたい)の大きさは不利になる。実はそのことを日本の企業もわかっているのだろう。近年の非正規雇用の拡大も、日本企業の生き残りのあがきだったともいえる。しかし、状況は悪化するばかり。すでに年功序列や企業年金などの人材を企業に囲い込む仕組みのほとんどは破綻(はたん)している。この上は大規模リストラや、さらには「潰(つぶ)れたんだからしようがない」型のリセットクリアまで話はいく。そうなれば、雇用保護をいくら強めても何の役にもたたない。

 望むと望まざるとにかかわらず実は日本の「人材の流動化」はなし崩しに始まっている。むしろ問題は「従来型雇用」という建前のために、本音の「人材の流動化」をサポートする社会の体制が遅れているということの方だ。サポートなしに人材の流動性が高まれば悲劇になるのは当然だろう。

 米国は、時代にあわなくなった古い企業が潰れ、そこから出た人材によって新しい会社が生まれるという新陳代謝を前提とした国。そのための体制を持ち、人々も転職を恥と思わない。履歴書の転職数が不利になる日本とは違う。

 ≪上部組織の一員を離れて≫

 そういう日本人の考え方を一朝一夕で変えることはできないとしても、制度的にもまずやるべきことがある。それが流動性をサポートする仕組み、そして、その基盤となる「個の確立」だ。

 日本には個人をそれが属する集団と切り分けて特定するという考えがない。江戸時代の宗門人別改帳は「檀家(だんか)寺/名前」だし、侍は「藩/家/名前」、今も戸籍は「本籍地/名前」、名刺は「会社/部署/名前」で人を特定する。

 官僚制など多くの点で似ている欧州と日本だが、この「個の確立」については大きな差がある。プライバシーにうるさい欧州で国民番号はとっくに確立し、ひろく利用されている。上部組織の一員でなく、個人としての自分を認めさせる、そのための番号という割り切りがあるからだろう。

 「大企業終身雇用」を理想としない個の世界も日本になかったわけではない。典型的なのは建築現場を渡り歩いている労働者のみなさんだが、それ以外にも飲食、宿泊、医師、福祉、美容、保育、ソフトウエアなど専門求人サイトがどんどんできている業界は流動性が高いと見て間違いない。

 成人再教育から年金管理まで、今やそういう実情を反映した「人材の流動性」サポートの枠組みが必要であり、その基本になるのが個人特定だ。それによりあらゆる専門技能評価や資格や年金などを、属する組織や居住地と切り離し、個人に紐(ひも)を付けてポータブルにする。ICカードやネットワークなどがそれを可能にする。

 そしてロールプレイングゲームの経験値のように各自が個人としての役割や価値を見えるようにできれば「キャリアアップ」とか「ステップアップ」の意識も日本に確立するだろう。先に述べたようにすべての雇用が流動化しようとしている今、このような個をサポートするキャリアインフラ確立こそ国が最も力を入れるべきなのだ
 

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