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サブプライムローンのカモ第1号はみずほフィナシャルグループだった
http://www.asyura2.com/10/hasan68/msg/188.html
投稿者 クールヘッド、コールドハート 日時 2010 年 5 月 20 日 11:31:43: KEZEGJWQ/MaE2
 

WEDGE INFINITY
「サブプライムばらまいて大儲けした男たち」
“The Big Short” ウォール街のあきれた実態
2010年05月18日(Tue) 森川聡一
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/902

■今回の一冊■
The Big Short 筆者Michael Lewis, 出版社Norton, $27.95

“The Big Short” 自らの債券トレーダーとしての経験をもとに、ウォール街のあきれた実態を「ライアーズ・ポーカー」で活写しベストセラー作家になったマイケル・ルイスが、20年ぶりにウォール街にメスを入れる書を送り出した。世界の金融システムが崩壊寸前にまで追い込まれた2008年当時、住宅バブル崩壊を予見し、サブプライムローン(信用力の低い低所得者向け住宅ローン)関連の債券を空売りし巨万の富を築いた男たちを描くノンフィクションだ。タイトルはまさに、直訳すると「大いなる空売り」だ。

 アメリカの大手金融機関が、住宅バブルの崩壊が始まった直後に、含み損を抱えたサブプライム関連債券を、日本の金融機関に転売したてんまつなども活写しており、日本の読者にとっても読みどころ満載だ。

 ニューヨーク・タイムズ紙の週間ベストセラーリストの単行本ノンフィクション部門で、3月下旬に1位で初登場。本書にとってはタイミングがいいことに、アメリカのSEC(証券取引委員会)が4月中旬に、米大手投資銀行ゴールドマン・サックスを証券法違反の疑いで提訴した。SECが問題視したのが、サブライムローン関連債券を投資家に販売する際、裏でヘッジファンドが空売りしている情報を隠していた点だったから、本書への関心が一段と高まった。

 最新のベストセラーリスト(ウエブ版5月13日付)では惜しくも1位は逃したものの、8週連続でランクインし堂々の2位につけている。

 みなが住宅バブルに浮かれていた中で、逆張りの投資をした男たちだけに、マイケル・ルイスが描き出す登場人物は個性が強い。幼いころに病気で片眼を失い、人付き合いが嫌いで、アスペルガー症候群のおかげで、鋭い投資判断ができるヘッジファンドのマネージャー。サブプライムローン関連債券の空売りを、ヘッジファンドに推奨して回ったドイツ銀行のトレーダーや、全くの投資の素人からヘッジファンドを立ち上げた若者たちなど、ユニークな人物たちのサクセスストーリーを本書はとりあげる。

小馬鹿にされた日本人経営者

 オッペンハイマーという独立系証券会社で株式アナリストとして働き、のちにヘッジファンドに転職しサブプライムローン関連債券を空売りしてもうけるアイスマンという男も強烈だ。住宅ローン会社の社長がアナリスト向けの説明会でスピーチをしている途中で、突然、「その数字はウソだ」と叫ぶなど奇行で有名な人物だ。日本の不動産会社の社長との面談について描く次の挿話も興味深い。

The president of a large Japanese real estate firm was another. He’d sent Eisman his company’s financial statements and then followed, with an interpreter, to solicit Eisman’s investment. “ You don’t even own stock in your company,” said Eisman, after the typically elaborate Japanese businessman introductions. This interpreter conferred with the CEO.
“In Japan it is not customary for management to own stock,” he said at length.
Eisman noted that the guy’s financial statements didn’t actually disclose any of the really important details about the guy’s company; but, rather than simply say that, he lifted the statement in the air, as if disposing of turd. “ This ….this is toilet paper,” he said. “ Translate that.”
“ The Japanese guy takes off his glasses,” recalled a witness to the strange encounter. “His lips are quavering. World War Three is about to break out. ‘Toy-lay paper? Toy-lay paper? ‘” (p4-5)

 「日本のある不動産会社の社長のケースはもう1つの好例だ。その社長はアイスマンに会社の決算書を送り、通訳を伴って訪れ、投資するよう促した。日本のビジネスマンにありがちな手の込んだ前口上を聞いた後、アイスマンは『あなたは自分の会社の株式を保有していませんね』と言った。通訳は、その社長と話してから言った。
『日本では経営者が自分の会社の株式を買う習慣はありません』
アイスマンはしかし、決算書では会社の重要な点についてちゃんと開示していないことに気づいていた。しかし、単にそう言うかわりに、アイスマンは汚い物を捨てるかのように、決算書を宙に放り投げた。『こんなのトイレットペーパーだ』と吐き捨て、『訳してくれ』と言った。
その場に居合わせた人は次のように証言している。『その日本の社長は眼鏡を外し、唇を震わせていた。第3次世界大戦が勃発しかねなかった。“トイレペーパー? トイレペーパー?”と言っていたよ』」

 同時に、ウォール街の投資銀行が複雑な投資リスクに対し無知だった実態や、格付け会社によるサブプライム関連債券の格付けの不備なども暴き出す。2007年9〜11月期にサブプライムローンに絡み90億ドルを超える損失を計上した大手投資銀行モルガン・スタンレーでも、経営陣は自分たちが抱えていたリスクを理解していなかった。本書は投資家向け説明会でのジョン・マックCEO(当時)のしどろもどろの説明を引用し、次のように切り捨てる。 

 What the words actually revealed was that the CEO himself didn’t really understand the situation. John Mack was widely regarded among his CEO peers as relatively well informed about his bond firm’s trading risks. After all, he was himself a former bond trader, and had been brought in to embolden Morgan Stanley’s risk-taking culture. Yet not only had he failed to grasp what his traders were up to, back when they were still up to it; he couldn’t even fully explain what they had done after they had lost $9 billion. (p218-219)

 「その言葉で分かるのは、ジョン・マックCEO自身も状況を本当は把握していないということだった。ジョン・マックは同じウォール街のCEOの中でも、債券部門が抱えるリスクについては、よく理解している方だとみられていた。そもそも、マック自身が債券トレーダー出身だったし、モルガン・スタンレーのリスクを恐れない文化を守るためにCEOに就いたのだ。しかし、自分の会社のトレーダーたちが何をしでかしたか把握できていなかったうえ、90億ドルもの損失を出した後でさえ、何をやっていたのかまともに説明さえできなかった」

サブプライムをばらまかれたのは?邦銀!?

 さらに、衝撃的なのは、モルガン・スタンレーのトレーダーが2007年前半に、サブプライムローン関連債券での含み損に気づき、慌てて海外の2社に大口の転売をしていた点だ。

 The first was the Mizuho Financial Group, a trading arm of Japan’s second biggest bank. As a people, the Japanese had been bewildered by these new American financial creations, and steered clear of them. Mizuho Financial Group, for some reason that would remain known only to itself, set itself up as a clever trader of U.S. subprime bonds, and took $1 billion in subprime-backed CDOs off Morgan Stanley’s hands.
The other, bigger, buyer was UBS -----which took $2 billion in Howie Hubler’s triple-A CDOs, along with a couple of hundred million dollars’ worth of his short position in triple-B-rated bonds. (p215-216)

 「1社目は、みずほフィナシャルグループ(FG)だった。日本で2番目に大きな銀行グループの証券会社だ(評者注、みずほFGとみずほ証券を混同?)。日本人は、これらアメリカの新しい金融商品に戸惑い、投資を避けていた。彼らにしか分からない理由で、みずほフィナンシャルグループは、自分たちのことをアメリカのサブプライムローン関連債券の優れたトレーダーだと評価し、サブプライムローンを裏付けとする債券(CDO)をモルガン・スタンレーから10億ドル買い取った。
2社目は、もっと大きな買い手で、UBSだった。(モルガン・スタンレーのトレーダーの)ハウイー・ハブラーのトリプルAのCDOを20億ドル買ったうえ、ついでに、トリプルBの債券の空売りのポジションも数億ドル分引き取った」

 住宅バブルの最終局面で、紙くずになる債券に手を出す金融機関のリスク管理も考え物だが、とにかく他人に損失を押しつけようというウォール街のカルチャーにも驚かされる。

 本書の筆者マイケル・ルイスは結びで、ウォール街の投資銀行が株式を上場したことで、無責任に過大な投資リスクをとる傾向が助長されたと分析する。社員が自分のお金を出資して経営するパートナーシップ形態をとった古き良きウォール街と異なり、多くの株主が資金を出資する上場会社となった今は、投資銀行の経営者たちは他人のカネでギャンブルをやっているだけで、しかも自らの懐は痛まない。そこに問題があるという。

 アメリカの読者にとっては、サブプライム危機でなぜ金融システムが危機に瀕したのかをよく理解できる一書であると同時に、ますますウォール街に対する不信感を高める結果にもなるノンフィクションだ。  

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