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菅政権かそれともあ菅政権か民主党再検討:菅直人「所信表明演説」から浮かび上がる「第三の道=増税指向」 高橋 洋一
http://www.asyura2.com/10/hasan68/msg/629.html
投稿者 gikou89 日時 2010 年 6 月 15 日 00:25:15: xbuVR8gI6Txyk
 

(回答先: バーナンキFRB議長を悩ませる金相場上昇−W・ペセック 投稿者 gikou89 日時 2010 年 6 月 15 日 00:05:40)

http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20100614-00000001-gendaibiz-pol

6月11日、菅直人首相が所信表明演説を行った。首相が自由にモノが言えるこの演説を読み解けば、その政権の将来を占うことができる。

 今回の所信表明演説を読むと、自らの政治体験などを語った冒頭以外は、各省庁から持ち寄った数行の政策を羅列しただけである。官僚たちは、これら数行の小文を「短冊」のように見えるから短冊と呼んでいる。

 これらをホッチキスで留めて所信表明はできあがり、というのがかつての自民党時代の「短冊」方式であった。今回、それがが久しぶりに復活して、官僚たちは喜んでいるだろう。

 具体的に所信表明の中からいくつかの文を紹介し、その背後にある菅政権の考え方を検討しよう。

 まず公共事業中心の経済政策を「第一の道」とした後、「その後の10年間は、行き過ぎた市場原理主義」という表現で「第二の道」を位置づけている。しかし、これは事実ではない。

 たしかに最近10年間で規制緩和は進んだ。しかし、先進国の中で日本だけが規制緩和していたわけでない。OECD(経済協力開発機構)による調査では、G7の中で規制の少ない順番は、1998年には英、米、加、独、日、仏、伊の順であったが、2008年には米、英、加、日、独、伊、仏となっている。

 ドイツが規制の多い東独を併合したことにより、日本が上になったが、規制のレベルはG7の平均であることにかわりない(下図)。


 海外での第三の道といえば、行き過ぎた市場原理主義の修正を指す。しかし、日本の規制緩和は行き過ぎていない。ようやく世界の平均的な動きについて行けたという程度なのである。

 この程度のものを「修正」したら、日本が規制緩和で鎖国するのと同じになるわけで、世界から取り残されるだろう。

 また、「国は国民をリストラすることができない」として、小泉政権時に企業のリストラが行われて失業が増加したといっている。これも事実でない。

 小泉政権はスタート当初こそ景気の悪により雇用者数は50万人くらい減少したが、その後景気が良くなり150万人ほど増加した。結果として小泉政権時代を通せば、雇用者は100万人増えていたのである。

 実際のデータでは雇用者が増えていたわけだから、小泉政権でリストラが多く、失業が増えたというのは印象論でしかない。ちなみに、民主党政権以降、雇用者は30万人ほど減少している(下図)。

 第三に「格差の拡大が強く意識」という表現がある。これは、小泉政権の時に経済格差が拡大したといういつもの民主党の言い方である。ところが、これはデータからは事実ではない。

 OECDの調査によれば、ジニ係数(1に近いほど格差が大きく、ゼロに近いほど格差が小さい)でみた所得格差は、G7の中で格差の少ない順番でいえば、1990年代半ばには仏・独・加・日・伊・英・米、2000年代半ばでは仏・独・加・日・英・伊・米である。


 また、2000年から2000年代半ばの変化を見ると、日・英では格差が縮小しているが、他の国では格差が拡大している。この間、格差が拡大しているのは他の先進国でも見られることで、日本では逆に格差が縮小している(下図)。

 小泉政権のときに格差が拡大したというのは、これも単なる印象論である。


 こうした事実誤認から導かれる政策は、規制緩和は進めず、格差をさらに縮小させるような所得再分配政策ということになる。

 この流れの中で、新内閣の方針として、「強い経済」、「強い財政」、「強い社会保障」がでてくる。これらの三者を関連つけるのが、菅総理が主張する「増税しても景気が良くなる」というロジックだ。

 日本語の演説ではいずれも「強い」という形容詞であるが、英訳を見ると、"Strong Economy"、"Robust Public Finances" 、"Strong Social Security System" と財政だけ"robust"と形容詞が異なっている。ここにヒントがある。

 普通の考え方では、強い経済が、強い財政と強い社会保障を作る。しかし菅政権ではこう考えない。まず強い財政がある。そのために増税があり、増税で政府が得たお金を社会保障に投資する。そうなると、強い社会保障ができ、それで強い経済になるという。

 これは、所得再分配によって成長するという話だ。単なる所得移転では成長しない。となると社会保障への投資がどの程度の効果を持つかが問題だ。

 学問的な立場からいうと、乗数効果の計測は難しい。しかし、どんな研究結果でも、教科書の理論が想定しているほどの高い値はない。教科書の理論では、投資の乗数効果が3などと出てくるが、実際の研究では1くらいである。減税の乗数効果も1くらいというのが多い。

 となると、増税で得たお金を投資に回してもほとんど効果がない。強い財政で強い経済、強い社会保障というのは絵に描いた餅になる。

 かつて菅総理は、乗数効果について公共投資はないが、11くらいになるモノがあるはずだと発言したことがある。その具体策を見せてもらえれば、私も菅総理の所信表明演説を信じてもいい。

 最後に「強い財政」のところで、超党派による「財政健全化検討会議」の設立をぶちあげている。

 うかつにも谷垣自民党総裁は、「民主党の衆院選マニフェスト(政権公約)が間違ったものだとざんげしてもらわないといけない」としながらも、「条件さえ整えば、今すぐでも応じていい」と述べた。谷垣総裁は財務大臣の時にたっぷり財務官僚の洗脳を受けている。

 そうした人物を総裁にする自民党も、政権と対峙するはずの野党とはいえない。

 このコラムでも指摘してきたように菅首相も財務官僚の洗脳を受けている。とすれば、財務官僚の洗脳を受けた者同士の増税大連立になるかもしれない。財政再建といっても、歳出構造と歳出構造で合意ができなければならない。

 いっそのこと増税連立ということで、国民の審判をうけるのが筋だろう。

 

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