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“トップ営業”を勘違いする日本/山形浩生(評論家兼業サラリーマン)
http://www.asyura2.com/10/hasan68/msg/810.html
投稿者 gikou89 日時 2010 年 6 月 28 日 01:33:36: xbuVR8gI6Txyk
 

(回答先: 高橋洋一の民主党ウォッチ官僚製マニフェストに踊る 民主と自民の「似た者同士」 投稿者 gikou89 日時 2010 年 6 月 28 日 01:32:22)

http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20100625-00000001-voice-pol

◇大臣はタマを用意したのか?◇

 前回ぼくは、官民共同とか官民一体受注とかは、あまり安易にやりなさんな、という話をした。そしてそれはいまだに変わっていない。ちゃんと事業評価して意味あるものだけやってね、と思う。

 だがその一方で、やるなら腹を決めてしっかり仕事を取りにいこうぜ、とも思う。前にも書いたように、新幹線は事業としてどうかな、という見方もある。でもそれなりのリスク覚悟で取るというのであれば、それはそれで結構。単体としては不安でも、日本の技術を売り込むための布石だと割り切るなど計算があるのであれば、官民一体でなりふりかまわず営業して、仕事をむしりとってきてほしいと思うのだ。そうなれば、ぼくにだって末端の仕事が回ってくる可能性はあるし。

 で、前回のコラムを書いたとき、あちこちでいわれていたのは、“トップ営業”が重要だという話だった。韓国は、大統領自らが乗り出して営業をかけたので、どこぞの原発が取れた、だから日本も首相か、せめて大臣級が現地に行け、という話。そしてそれを受けてだろうか、日本からは前原国交大臣と仙谷国家戦略担当相が二人してベトナムに出かけたわけだ。

 さてぼくは、大臣二人とほとんど入れ違いに帰国したので、現地の反応をダイレクトに知っているわけではない。そして大臣二人がベトナムとどんな話をして何を握ったのか、細かい話はわからない。が、現地からの伝聞によるかぎり、どうもかれらが来たことで話が大きく進展した、という印象はあまりないようなのだ。

 新幹線のほうは、閣議決定が済んで国会に諮る段階なのだけれど、話があまりきちんと詰まっていないようで、「そんな漠然とした話をもってこられても判断しようがない」と文句も上がっているとの報道だ。そして原発のほうは、あくまで噂レベルだけれど、日本の動きが遅いことへの不満が出ているとかいないとか。大臣が来たのになぜ決めごとが何も決まらないのか、という文句も聞かれる。いまのところ原発のほうは、公式には「日本製も前向きに検討するので応札してね」という程度の段階なんだから、トップ営業でどうにかするんなら、よほどのタマをその場でバシバシ出さないと……と書いたところでふと思ったのだが、今回の大臣たちは、そういうタマをちゃんと用意していったんだろうか?

◇手土産なしに話は進まない◇

 多くの人はトップ営業というものをなんだか誤解している。大臣や総理や大統領が行けば、相手が「おお、なんと恐れ多い」と感激して、本来、通らないような話が通ってしまうような、そんなバカなことを考えている。だから、大臣がもっと外遊してトップ営業すれば国益にかなう、といったまぬけな意見があちこちでみられた。

 でも、そんな甘い話があるもんか。トップ営業が歓迎されるのは、まず下々の連中がお膳立てを整えたあとで決裁権をもつ人が話をつけましたという形式とともに、彼らのもってくる手土産のおかげだ。偉い人の面子を立て、彼らが来たから話がまとまったという形式をつくるために、どんなお土産をもたせるかで、下々の者たちは根回しに散々苦労するのだ。

 ぼくの数千万円規模のセコいプロジェクトですら、そうした根回しとお土産あってのトップ営業。まして何兆円という大規模プロジェクトとなれば、向こうだって大臣が来たくらいで実利もないのに浪花節で話を決めてくれるもんか。そういうお土産や事前準備なしに、トップがのこのこやって来られても、相手も困るだけなのだ。

 たとえば以前この欄でも触れたが、民主党政府が自衛隊による米軍海上給油を打ち切ったとき、岡田外相がいきなりアフガンやらパキスタン、そしてインドネシアを回った。でも明らかに、この根回しも手土産も皆無。だからどこへ行っても「何しに来たの」状態で、とくに大した義理のないパキスタンでは、先方の外相がひと言も口を利いてくれないという情けなさ。

 さて大臣は、官民一体インフラ受注という話のなかでは官代表だ。今回のベトナムの話で官の役割というのは、前回も述べたとおり資金の提供となる。ということは、官のトップであるはずの大臣がベトナムに出かけて何の話をすべきかといえば、「新幹線も原発も、金はこれだけばっちり付けますからご心配なく」ということであるはずだ。

 で、ベトナムに来た前原大臣と仙谷大臣は、これをちゃんとやったんだろうか。やったと信じたいところではあるけれど、どっちの話もチマチマした見せ物事業仕分けでの節約分が一気に吹っ飛ぶくらいのでかい話だ。いまの民主党政権にそういう腹のすわったでかい決めごとができるのかどうか。が、それなくしては、大臣がどこに何度足を運ぼうとも、トップ営業なんかに何の効果もないはずなのだ。
 

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