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東南・東アジアの膨大なドル資産と人民元の台頭 ―なぜ中国共産党はドル支配体制を打倒せねばならないのか―
http://www.asyura2.com/10/hasan69/msg/583.html
投稿者 DOMOTO 日時 2010 年 8 月 25 日 22:08:38: VRQtq/0DZtRLQ
 

(※ 8月19日ブログ、「始動する人民元の国際通貨化 ―南・東シナ海での中国の国家戦略A―」の続きです。)
 http://blogs.yahoo.co.jp/bluesea735/33051240.html
 http://www.asyura2.com/10/hasan69/msg/548.html


7月26日、中国海軍は南シナ海で大規模な軍事演習を行った。7月23日にハノイで開かれた東南アジア諸国連合(ASEAN)地域フォーラムで、クリントン米国務長官が、南シナ海での領有権をめぐる中国と東南アジア諸国間の係争への関与を強化する意向を表明した。中国の大規模軍事演習は、この米国への牽制が狙いだ。南シナ海と東シナ海での中国の覇権の問題は、日本はもちろん、米中の経済的・軍事的対立の問題を考える上で非常に大きなウエイトを持つ。

2005年以前からウォール街の専門家がアメリカ経済にとって重要視していた地域に、「DNA」( Dollar New Area=新ドル圏)と呼ばれたものがあった。サウジアラビア、クウェート、日本、台湾、韓国、タイ、マレーシアなどの諸国が、当時のウォール街の専門家によって、「DNA」(新ドル圏)と呼ばれ、借金経済を運営維持する重要なドル還流システムとして位置づけられていた(日高義樹著 『米中石油戦争がはじまった』 2006年2月刊)。

台湾と韓国が位置する東シナ海と並びタイ、マレーシアなどの南シナ海に臨む東南アジア諸国連合(ASEAN)は、その後も目覚しい経済発展を遂げ、10カ国が加盟する東南アジア諸国連合は今年1月、欧州連合、アメリカに次ぐ中国にとって3位の貿易相手となった(3月18日 ブルームバーグ)。その後日本の景気回復により、2010年上半期の統計で東南アジア諸国連合は中国にとって第4の貿易パートナーとなっている(7月28日 Record China)。
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90920021&sid=a_RsWqjcFL0I
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100728-00000021-rcdc-cn

アメリカの「DNA」(新ドル圏)に含まれる東南アジアは中国にとっての近隣南に位置し、シーレーンの航行地域というだけでなく経済的に非常に重要な意味をもつ地域だ。中国政府は、2009年7月、他国との貿易取引について元建てでの決済を真っ先に東南アジアで解禁している。

アメリカの政府関係者によれば、中国はアメリカに対し、世界人口の半数32億人が住むアジア市場の、中核になるだろうと予想される成長著しい東南アジアを、台湾、チベットと並ぶ「中核的利益」と見なしている事を明らかにしていたそうだ(8月4日 フィナンシャル・タイムズ、8月18日 毎日新聞)。
http://www.nikkei.com/biz/world/article/g=96958A9C9381959FE2E6E2E08B8DE2E6E2EAE0E2E3E2E2E2E2E2E2E2;p=9694E3E7E2E0E0E2E3E2E6E1E0E2


      ■ 東南・東アジア地域の米国債保有残高と人民元の台頭 

米財務省が16日発表した6月末の米国債保有状況によると、「銀行や投資信託をはじめとする米投資家による米国債の保有割合は50.5%と、金融危機が始まった2007年8月以降で最大となった」が、「6月末の中国の米国債保有残高は、比較可能な昨年6月末以降で最低。ピークの昨年7月(9399億ドル)に比べ10.2%減となった。」「外貨建て資産の運用分散を狙って日本国債を買い増す一方、米国債の残高は減らす中国の姿勢が浮かび上がっている。」(8月16日 ブルームバーグ、8月17日 日経)
http://www.nikkei.com/news/headline/article/g=96958A9C9381959CE3E5E2E3938DE3E5E2EAE0E2E3E2E2E2E2E2E2E2

2008年11月の米下院の公聴会で、「豚の耳(住宅ローン担保証券)を絹の耳として売ることにお墨付きを与えたのは格付け会社だ」と言って、「リーマン・ショック」の元凶は格付け会社だとはっきり指摘したのは、世界最強と言われるヘッジファンド「ルネサンス・テクノロジー」のジェームズ・シモンズだ。

株式市場と異なり債券市場では、独占的機関である格付け会社を訴訟で倒産させれば市場は大混乱を起こすが、中国の格付け機関である大公国際資信評估は、私達の既成のマスコミ的常識をあっさりと転覆した。大公は、米国債を米英3社が「トリプルA」としていたものを「AA」へ格下げし、見通しは「ネガティブ(弱含み)」、中国国債の格付けは「AA+」、見通しは「ステーブル(安定的)」とした(7月20日 ブルームバーグ)。
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=jp09_newsarchive&sid=avtEJv1czDeQ

(現在、消去法的理由で金利低下し、短期的スパンでのみ買われている日本国債は、自国通貨「AA−」、外貨「AA」で見通しは「否定的」。 7月13日 中央日報)
 http://japanese.joins.com/article/article.php?aid=131116

共産党政府下に置かれている大公の格付けは操作性が含まれているが、W.ペセックが前出記事で述べているように、米国債に対する大公の格付けは「間違ったメッセンジャーからの正しいメッセージだ」。

前回ブログ、『始動する人民元の国際通貨化』で中国国内の債券市場へ他国が貿易決済で得た人民元資金を流入させる動きを開始するニュースを取り上げた。
http://blogs.yahoo.co.jp/bluesea735/33051240.html

中国人民銀行は8月17日、国内資本市場に他国が貿易決済で得た人民元資金の流入を促すため、海外の金融機関に、中国の銀行間債券市場での人民元資金の運用を認める試験プログラムを実施するとの声明を出した。
「人民銀が7月30日発表したところによると、中央政府や銀行、企業が発行した債券などを売買する銀行間債券市場の規模は6月現在、計14兆3000億元(約180兆円)。債券発行残高の総額に占める割合は97%に上る。」

(「中国、外銀による国内債券市場での元運用を解禁へ−試験プログラム」 8月17日 ブルームバーグ)
 http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=jp09_newsarchive&sid=avQbadJmgCxw

先ほど、2009年7月、中国が他国との貿易取引について元建てでの決済を真っ先に解禁したのは、東南アジア諸国連合(ASEAN)であっと述べたが、中国にとって欧州、米国に次ぐ第3位の貿易相手となった東南アジア諸国連合(ASEAN)は、将来的に中国の債券市場の有力な買い手となる。

下記アドレスでリンクされる数表は、アメリカ財務省(HP)による月次の米国債保有残高を表したものだ(8月16日更新)。

MAJOR FOREIGN HOLDERS OF TREASURY SECURITIES
http://www.treas.gov/tic/mfh.txt

2010年6月の主要米国債保有国のうち、東シナ海に臨む韓国、香港、台湾と南シナ海に臨むシンガポール、タイ、フィリピン、マレーシアの米国債保有残高の合計は、4335億ドル。これに中国本土の8437億ドルを加えると、1兆2772億ドル。内訳は東シナ海に面した韓国と台湾の合計が1673億ドル、東南アジアの前出4ヵ国の合計が1252億ドル。米国債の海外勢全体の保有残高の総合計は4兆92億ドル。

この米国債保有残高を地域別に見るとアジア地域と欧州が最も多いが、中国、日本、英国のトップスリーを別にすると、香港と台湾、韓国、シンガポール、タイ、フィリピン、マレーシア6カ国の合計は、独仏など欧州11カ国の合計とほぼ同じで、中国の保有残高の半分以上を占める。香港とアジア前出6カ国の合計は、インドネシアを含む石油輸出国15カ国の合計に、ヘッジファンドなどが国籍を置くカリブ海域諸島の租税回避地の合計を加えた金額よりも453億ドル多い。

(※ 中国本土の8437億ドルには、米財務省の統計に現れないイギリスと香港などで中国政府が中国関連団体により米国債を購入している分が更に加算される。)
 http://www.asyura2.com/10/hasan67/msg/358.html

東シナ海に臨む韓国、香港、台湾と南シナ海に臨む東南アジア諸国(ASEAN)は、「DNA」(新ドル圏)として、米国債などの莫大な「ドル資産」を保有しているが、中国は、この「ドル資産」を、徐々に「人民元資産」へと置き換えようとしている。人民元の国際通貨化を進め、格付け機関、大公が中国国債を米国債よりも優位と発表しているのはその動きの現れだ。

こういった、中国がアジア圏の「ドル資産」をそのまま「人民元資産」へと置き換えようとしているという見方は以前から言われていたことだが、中国の驚異的な軍事力増強のレポートを加えて具体的な記述で示してくれたのは、ワシントン在住の日高義樹氏だ。中国が人民元の国際通貨化によってアジアの経済圏から「ドル」を追い出す動きは、2006年2月に出された著作、『米中石油戦争がはじまった』に述べられているが、今回の私のブログはその予測の4年後の現在を追ってみた。7月26日、南シナ海で中国の大規模演習が行われ、日高氏の予測は軍事面でも経済面でも現実化している。


      ■ なぜ中国共産党はドル支配体制を打倒せねばならないのか

これらはアメリカにとってドル経済体制に対する極めて重大な挑戦だ。
しかし、13億4千万の人口を抱える中国共産党にとってドル経済体制に対する挑戦は、国家の社会体制を維持するための高い必要性から生じてくるもので、ファーガソン教授らが主張する「米中の利害対立の拡大」は極めて必然的で不可避なものになってくるだろう。
http://blogs.yahoo.co.jp/bluesea735/33051240.html

中国共産党政府は、景気変動による大量失業で社会秩序が悪化に陥らないようにするために、毎年最低8%以上の経済成長を義務づけられている。世界中から石油を掻き集めるのも、鉄鉱石を掻き集めるのも共産党政権の維持のためだ。

米ハドソン研究所のデータでは、中国の老齢化は急速に進み、60才以上の人口は、2020年には17.1%、2030年には国民の約4分の1の23%と推計されるという(今年5月に発表になった日本の65才以上の人口が全体の23%)。1人の老人を支える労働者の比率(依存比)で見ると2006年の5.2が、2030年には2.2へ急上昇。中国には労働者2.2人で老人1人を養う、つまり9億の労働者が4億の老人を養う時代が待っている(注1)。中国共産党は急速に進む高齢化社会へ向けて、全くなおざりにされてきた社会福祉体制の恒久的財源を確保せねばならない。

現時点で明らかな事は、中国共産党政府は、広大な中国国内の社会秩序を未来にわたって維持するために、「ドル」と類似した「人民元」の還流経済システムを少なくともアジア圏で作ろうとしている事だ。世界最大の経済成長力をもつアジア圏での人民元基軸通貨体制は、世界を支配しているドル体制を瓦解・崩壊させる。(※ アジア圏でこの問題を考える場合には、中国のインド政策、中印関係について検討しなければならないが、インドとの問題についてはまたの機会としたい。)

「DNA」(新ドル圏)諸国の特徴は、サウジアラビア、クウェートが含まれるようにアメリカの軍事力と政治力に依存している事だ。中国はこのアジア圏で人民元を基軸通貨にするために、その必須条件である「軍事力」をアジア圏でより一層高めなければならないが、それはアメリカ第七艦隊との覇権争いを意味する。


■(注1)『アメリカの日本潰しが始まった』第5章 P.190 (日高義樹著 2010年3月刊)

■ 関連リンク
 「始動する人民元の国際通貨化 ―南・東シナ海での中国の国家戦略A―」
  http://blogs.yahoo.co.jp/bluesea735/33051240.html


DOMOTO
http://blogs.yahoo.co.jp/bluesea735
http://www.d5.dion.ne.jp/~y9260/hunsou.index.html


 

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