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アメリカ経済の低迷がこれからも続く理由――ケネス・ロゴフ ハーバード大学教授
http://www.asyura2.com/10/hasan70/msg/143.html
投稿者 gikou89 日時 2010 年 11 月 05 日 22:42:33: xbuVR8gI6Txyk
 

(回答先: ロボットの世界的リーダー目指す米国 投稿者 gikou89 日時 2010 年 11 月 05 日 22:40:35)

http://www.toyokeizai.net/business/international/detail/AC/ebec32b1bc6c5c353237495688208bb6/

アメリカ経済はもたつきながらリーマン・ブラザーズ破綻から2周年を迎えた。景気は低迷し、失業率は10%弱の泥沼状態にあり、大幅な改善は見込めそうにない。11月の中間選挙を控え、国民が「超大型景気刺激策でも事態を変えられなかったのはなぜか」と疑問を抱くのも無理はない。しかし、それ以外に何ができたのであろうか。

 その疑問に対する正直な答えは、「特効薬など存在しない」ということだ。ただ、そんな答えを聞きたいと思っている有権者はほとんどいないだろう。現在の穴は10年以上かけて掘られたものであり、そこから抜け出すには時間がかかる。私はメリーランド大学のカーメン・ラインハート教授と一緒に800年にわたる金融危機について分析した本を昨年出版した。その本の中で、「深刻な金融危機の後遺症により景気回復は遅れ、長期にわたって高失業率が続く」と警告した。

 なぜ金融危機後に雇用を増やすのは難しいのか。理由の一つは、金融システムの修復に時間がかかるからだ。巨額の税金を金融機関に注入しても、過剰な借金を抱えた社会を萎縮させている深刻な問題を解決することはできない。国民は、借金をして浪費にふけった。住宅価格の天井知らずの上昇が、すべての債務を洗い流してくれると考えていたのだ。当時は、世界中から資金が流入し、すべてがただで手に入るように思えた。

 現在、多くのアメリカ人は、減税によって民間消費を刺激すれば、問題は簡単に解決できると信じている。確かに減税は、長期的な投資と成長にとって悪いことではない。だが、減税にはいくつかの問題がある。

一つ目の問題は、州政府と地方政府を含めた公共部門の債務が、第2次世界大戦後のピークであるGDP(国内総生産)の119%に近づきつつあることだ。一部の人は、将来の債務問題について心配している場合ではないと主張しているが、中期的なリスクを考えるなら、将来の債務問題を無視できない。

 減税の二つ目の問題は、短期的にも需要に対して限定的な効果しかないかもしれないことだ。民間部門は減税で得た資金の大半を過剰な借り入れの返済に振り向けるだろう。

 さらに公平性の点でも問題がある。アメリカ人のほぼ半数は所得税を払っていない。減税は低所得者層には及ばず、不平等な所得配分をさらに歪めることになる。所得の不平等がさらに悪化することになれば、政治的に深刻な結果をもたらすだろう。保護貿易や社会不安を引き起こすかもしれない。

金融政策発動の余地は十分にある

 政府が民間支出の落ち込みを埋めるべきだと考える人々は、成長を促進するプロジェクトはインフラ再建など数多くあると指摘している。財政悪化で苦しんでいる州政府や地方政府に対する資金移転は、教師や消防士、警察官のレイオフを抑制することになるだろうし、100年に1度といわれる危機に対処して、失業保険給付の延長も簡単に実施できる政策だろう。

 ただ残念ながら、ケインズ的な需要管理政策は万能薬ではない。減税は長期的には生産性を高めるが、政府部門の拡大は経済的な活力を取り戻す処方箋ではない。市場経済の中で政府が行うべき有益な活動は多くあるが、景気刺激策を求める過度の熱狂は、理性的な議論にとって有益ではない。当然のことながら、財政赤字拡大も問題となる

 G20は現在、「財政赤字の増大を徐々に安定化させ、16年までに国民所得の伸びと一致する水準にまで下げる」という政策目標を掲げている。この目標は、失業という厳しい代価を払うにしても、長期的な金融危機と短期的な景気刺激のバランスを取る合理的な政策である。

 アメリカの財政政策には限界があるが、金融政策の余地は多く残されている。バーナンキFRB(連邦準備制度理事会)議長は、8月末にワイオミング州ジャクソンホールで開かれた国際会議での演説の中で、その詳細を述べている。その要点は、金融市場が機能マヒに陥っている中で、FRBは財務省証券もしくは民間債券の購入を増やし、流動性を供給することができるということだ。また同議長は、FRBの中期的なインフレ目標を一時的に引き上げる可能性にも触れている。

 将来、公共・民間部門の債券が大量に償還されることと、私自身が抱く、アメリカの政治・司法システムへの不信感を前提とすると、数年にわたりインフレ率を若干高めることは、悪い選択肢の中の最善の選択であり、デフレよりはるかに好ましい。FRBは長期的に独立性を損なう政策を取ることを躊躇しているが、バーナンキ議長が提案した政策の全部とは言わないまでも、その多くを実施するのではないだろうか。

 重要なポイントは、金融部門が健全性を取り戻し、経済が穴からゆっくりとはい出してくるまでの何年間か、国民が忍耐強く待つことができるかどうかということだ。政府は支援することはできる。しかしながら、景気を簡単に回復させることができると無責任に吹聴する人間には用心する必要がある。

(週刊東洋経済2010年10月9日号)

※記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。


Kenneth Rogoff
1953年生まれ。80年マサチューセッツ工科大学で経済学博士号を取得。99年よりハーバード大学経済学部教授。国際金融分野の権威。2001〜03年までIMFの経済担当顧問兼調査局長を務めた。チェスの天才としても名を馳せる。  

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コメント
 
01. 2010年11月06日 06:37:28: qgyjiSm1gY
いくらドル紙幣をバラ捲いても金融機関に吸収されるだけ、あっしにらには関係ございません。ことバブルに関しては日本は世界の最先端を行っているんですね。
日本のきた道を世界が通るだけ。 

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