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今回インサイダー疑惑で情報提供を求められたヘッジファンドが全て、自己売買部門が得意とするトレーディング戦略を用いている
http://www.asyura2.com/10/hasan70/msg/276.html
投稿者 TORA 日時 2010 年 11 月 29 日 15:09:57: CP1Vgnax47n1s
 

株式日記と経済展望
http://www5.plala.or.jp/kabusiki/kabu228.htm
http://blog.goo.ne.jp/2005tora/
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今回インサイダー疑惑で情報提供を求められたヘッジファンドが全て、
自己売買部門が得意とするトレーディング戦略を用いているファンドだ

2010年11月29日 月曜日

◆米で大規模インサイダー疑惑 複数ヘッジファンドを捜索 11月25日 朝日新聞
http://www.asahi.com/international/update/1125/TKY201011250120.html?ref=goo

【ニューヨーク=山川一基】大手ヘッジファンドや投資銀行などが絡む大規模なインサイダー取引疑惑があったとして、米捜査当局が摘発に乗り出した。すでに複数のヘッジファンドが家宅捜索されたほか、24日には投資情報会社幹部が逮捕された。米メディアは巨大事件に発展する可能性があると報じている。

 米連邦捜査局(FBI)やニューヨーク州の検察当局は24日、カリフォルニア州の投資情報会社幹部ドン・チュウ容疑者(56)を、顧客であるヘッジファンドに対し、IT企業の非公開の収益情報などを提供した疑いで逮捕した。

 米メディアによると、ITや医薬品分野で不自然な株価の動きがあったとして、捜査当局は約3年にわたり大規模な捜査を続けているという。22日にはニューヨーク州などのヘッジファンド3社を家宅捜索。大手ファンドSACキャピタル・アドバイザーズなども情報提供を要請された。

 FBIなどによると、今回の捜査はオバマ大統領が設立した「金融詐欺対策タスクフォース」と連携している。金融界では、幹部への巨額報酬や金融危機を引き起こしたことへの批判が根強く、当局は取り締まりを強化している。

◆ファイナンシャル・ステロイド 11月26日 ウォール・ストリート日記
http://wallstny.exblog.jp/13705136/

ヘッジファンド業界への冷や水

2008年のリーマン危機の後に、大きな資金流出を被ったヘッジファンド業界は、まだその深い穴から完全に脱出したとは言えない状況にあります。2009年は、業界への資金の純流入の観点から見ると、昨今では最悪の年となりました。

2010年は、4月ごろまでは、株式市場の回復とアメリカの景気回復期待によって、2009年より遥かによい雰囲気が漂っていました。Pension & Investments誌の記事も、「2009年は業界にとって最悪の年であったが、2010年は最高の年の一つになるかもしれない」と書き出しで述べています。

しかし、5月に欧州でギリシャ危機が発生し、また米国で主要株式指標が、システムエラーによって一時的とは言え暴落する事態を受けて、リスク資産への投資意欲は、大幅に減退してしまったように感じます。夏にかけては市場は軟調に推移し、アメリカの景気回復期待も徐々に減退して、11月の中間選挙において政権政党である米民主党の大敗が予想されるようになると、不確実性の高まりと共に、市場の冷え込みは加速しました。

2010年9月末時点の段階で、業界に投資された資金の9割以上が、$3bn(約2500億円)以上を運用する大手ヘッジファンドに集中していたとされ、投資家がリスク回避的になっている実態を、強く物語っています。

年央ごろから、Goldman SachsやJP Morganに代表される大手投資銀行が、社内ヘッジファンドとも言えるプロップデスク(自己売買部門)を解体し、人材が社外に流出するというニュースが流れると、新規ファンド設立期待で、にわかに業界は活気付きました。しかし、今回インサイダー疑惑で情報提供を求められたヘッジファンドが全て、プロップデスクが得意とするトレーディング戦略を用いているファンドであることが、業界にとって大きな冷や水になることは、間違いない気がします。

どこまで取り締まるか

米SECは、Bernie Madoff氏による空前の詐欺事件が発覚した2008年から、監督体制を大幅に強化していると言われます。また、今年成立した金融業界改革法には、今までブラックボックスと批判されることの多かったヘッジファンドの内情を透明化するために、$150m(約120億円)以上を運用するヘッジファンドに対して、SECへの登録を義務付けることになっています。$150mの運用額は業界では小規模と言えるので、要求の厳しさが見てとれます。

しかし、前述のEconomistの記事は、運用会社によっては取引の数が膨大で、かつスピードも極めて速いことから、どの取引がインサイダー取引に当たるかを証明するのは簡単なことではない、と指摘しています。また、上でも書きましたが、まじめな投資調査によって集めた情報の、どこまでを「重要な非公開情報」と看做すかについても、曖昧さが残ります。

計画されているM&Aや資金調達についての情報であれば、間違いなく「重要な・・・」に当たるでしょうから、Galleonのように、そうしたイベントに関する情報を取引のネタとする、リスクアービトラージ戦略のヘッジファンドが、インサイダー取引調査の対象になりやすいのは、理解できる気がします。

しかし、企業のファンダメンタルズについて分析した投資リサーチは、証券会社も大々的に提供していますので、その中で、商品の売れ行きや顧客数などについてのデータを載せたらどうなるのか、また、工場見学に行った結果、その会社の作業効率についての見解を述べた場合はどうかなど、グレーは部分は永遠に取り除けない気がします。

現時点では、情報提供を求められている運用会社のどこも、告発されているわけではありませんので、SECがどのような行為の摘発を行おうとしているのかは、今後徐々に、明らかにされていくことと思います。不法行為が厳しく取り締まられるべきであるのは、言うまでもありませんが、運用業界はしばらくの間、不安に満ちた時間を過ごすことになるのかもしれません。


(私のコメント)
アメリカの金融立国戦略は、ゴールドマンサックスなどの投資銀行が主役となり、世界の金融を一手に握ってきた。うまく行っている内はいいが、サブプライムローンがらみの債券ファンドを世界に売りさばき、巨額の販売手数料を手にしてきた。格付け会社がAAAの最高ランクの格付けをつけて高利回りだからとぶように売れた。

日本の年金組合などもアメリカの投資ファンドに巨額の資金を預けて運用してきた。最高格付けで高利回りだから信用度も高くて法人企業などもこれほどいい資金運用方法はない。ところがリーマンショックで投資したファンドが紙くず同然となり、日本の大学の資金運用部門などでは100億円以上の穴を開けてしまった。

株式日記でも、アメリカのヘッジファンドの胡散臭さは書き続けてきましたが、アメリカ政府ぐるみのインサイダー取引をやっていたのだろう。ゴールドマンサックスのCEOなどが財務長官となり、国家機密がゴールドマンサックスなどの投資銀行に流れて、さらに傘下のヘッジファンドにもたらされて投資が行なわれるからSECも取り締る事ができなかった。

ところがリーマンショックで投資銀行は解体されて、自己売買部門は規制されて縮小された。投資銀行の自己売買部門が巨大化してレバレッジを効かせた投資で、ファンドマネージャーには億万長者が続出した。国家公認でインサイダー取引ができるのだからぼろ儲けし放題だ。利益追求が行き過ぎてサブプライムローンまで手を出すようになり、時限爆弾が爆発した。バブルの崩壊だ。

日本のバブル崩壊でも犯人探しがありましたが、アメリカのバブル崩壊でも金融業界が矢面に立たされている。特に金融業界の幹部たちは巨額の報酬を手にしてきたから国民からの批判は強い。その結果金融業界改革法が出来て厳しく取り締まられる事になった。もはやヘッジファンドは以前のように財務省の庇護は受ける事ができない。

ウォールストリート日記にも書かれているように、インサイダーの中身が良くまだ分かりませんが、ゴールドマンサックスなどとの情報のやりとりがインサイダーに引っかかっているのではないだろうか? 表向きはヘッジファンドは投資銀行から切り離されても、実質的には自己売買部門と同じ事をやっている。

とくにITや医薬品などの産業は材料次第で値が飛ぶからインサイダー取引に使われやすい。私なども長いこと株をやっていましたがインサイダー情報がなければ株で儲ける事ができないと言う現実を認識して株式投資からはリタイヤした。大衆投資家はカモになるだけであり、ほとんどの人が大損して株から手を引く。

さらにはコンピューターを駆使した超高速トレーディングなどが行なわれるようになり、デイトレーダーもカモにされた。売買注文を出しても0,01秒早く買われて値が動いたら売り抜けられてしまう。こんな事をされたら素人は手が出せなくなる。だから機関投資家などもファンドと言う形で資金運用するようになり、手数料だけでも莫大な利益になるだろう。

このような株式売買のハイテク化はヘッジファンドの独壇場となり、個人が手を出す場ではなくなってしまった。そしてヘッジファンドの運用はブラックボックスであり、新規の投資資金が入ってくる限りにおいてはネズミ講もばれる事はない。基本原理としてはヘッジファンドはネズミ講であり規模が大きくなるほどに破綻する確率は100%になる。

デリバティブとか金融工学とはいっても、LTCMも数百年に一度しか起きない事が起きて破綻しましたが、100%儲かる投資法などあるわけがない。数%の利回りなら常識の範囲内ですが、毎年10%を越えるような投資ファンドはネズミ講か詐欺と見たほうがいいだろう。

日本のマスコミはマドフ事件を大きくは報道しませんでしたが、夢のような高利回りは結局は詐欺だった。ヘッジファンドがブラックボックスであったがためにマドフのネズミ講は長い間ばれなかったのだ。おそらくバブル崩壊がなければ詐欺が発覚する事もなかったかもしれない。日本でもバブル崩壊以降多くの金融犯罪が公になった。

アメリカのバブル崩壊はまだ始まったばかりであり、インサイダーを始めとして金融犯罪が次々と明らかになっていくだろう。投資家も安全志向が強くなり国債投資が中心になっていくだろう。だから日本やアメリカは超低金利となり、資産家も金利収入が入らなくなって消費を渋るようになる。

FRBはドルをばら撒いて人工的にインフレにしようとしていますが、インフレターゲット政策はうまくいくだろうか? もしそれが成功したらインフレターゲット政策を採用しなかった政府日銀の失敗は明らかだ。アメリカや日本のような経済大国がマネーをばら撒いてしまうと世界的なインフレになる可能性もある。

 

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コメント
 
01. 2010年11月29日 15:22:51: E6aU50v0zY

>インフレターゲット政策はうまくいくだろうか? もしそれが成功したらインフレターゲット政策を採用しなかった政府日銀の失敗は明らかだ。

経済のケの字もわかりませんかぁ? まぁ、著作権違法確信犯行為を続け、頓珍漢コメントで

>デリバティブとか金融工学とはいっても、LTCMも数百年に一度しか起きない事が起きて破綻しましたが

何をいってるか自分でもわかって播磨屋橋?

[策序利湯];経済の地味ー大二誌モランボンかも


02. 2010年11月29日 17:18:12: O3dcieTuek
TORAって都市銀行の行員だったらしいよ。

03. 2010年11月29日 23:05:19: 7UqH1kl9cU
大きすぎるから潰せない。 だからメガバンクの不良債権を政府が肩代わりしてしまうことは必要だと言う論理は間違っていると言うこと。 銀行だろうが企業だろうがその失敗のつけを国民に廻すのは間違っていると言うのは当然過ぎるほど当然だが、本当に潰せばどうなるのか判っているのだろうか。 ドミノ倒しでギリシャ・アイルランド・スペイン・イタリア・イギリスの順に国家破産、即ちデフォルトになれば、ユーロ全体が破産するだろう。 アイルランドの銀行を倒産させれば、CDSがあるから直ちに外の国の銀行も倒産せざるを得ないのではないのか。 あらゆる金融取引ついて厳重な規制をかけ、大銀行を国有化するぐらいしか思いつかない。 多分同時に金を溜め込んだ富裕階級にペナルティーでもかけるということなのか。 そうなればECは共産主義国家群になるということのような気がする。 金融市場原理主義とグローバリズムの結果が、古臭い共産主義国家というのでは笑い話にはならないだろう。 N.T

04. 2010年11月30日 15:07:44: MSc52GFGko
金融取引ってインサイダー情報とねずみ講の組み合わせ?。

05. 2010年11月30日 21:10:02: cqRnZH2CUM

2 ボラティリティの売買

 いったいなぜ、このような破綻が繰り返し生じるのか。一つには、金融工学の金字塔であるブラック=ショールズ=モデルや、その他のファイナンス理論が、ボラティリティ=一定という仮定のもとに組み立てられているからだ
 図1は、1989年10月から1991年3月までの日経平均の動きとヒストリカル・ボラティリティの推移を示したものである。注目してほしいのは、長期的にはボラティリティは一定の水準に収束するということだ。図2は、オプション価格から計算されるボラティリティ(インプライド・ボラティリティ)だ。投資家の心理状態が反映されるため、プロの運用者はこちらの方を重視するが、いずれにしても長期的には一定値に収束する。
 ボラティリティには、このような一定値に収束する性格があるので、LTCMをはじめとする多くのヘッジ・ファンドは、ボラティリティが高いときにデリバティブを売り、ボラティリティが収束する過程で巨額の利益を得る(いわゆるリスク・アービトラージ)。
 ちょうど、株価に割安、割高があるのと同じように、ボラティリティ自体にも割安、割高があり、ヘッジ・ファンドのような専門家は、コンピューターを駆使することで、その割安、割高の程度を瞬時に判断できるのだ。ところが、市場は人間が作り出すもので、ロシア危機や日本の関西大震災などの突発的な事件が起こるとボラティリティは長期間異常値を維持する。
ロシア危機では「フライ・ツー・クオリティ」(質への逃避)という現象が起きてドイツ国債が買われ、関西大震災では日経平均が大幅に下落した。これが金融工学の理論と現実が大きく乖離し、ヘッジ・ファンドが大きな痛手を被る根本的な理由なのだ。
一方、ボラティリティを買う戦略も有効だ。市場が膠着した時に、突然大きな取引が行われると、そのような取引の真の取引理由を知らない市場参加者は心理的に追い込まれ、疑心暗鬼になる。自分が知らない情報を他人が知っていて、自分だけが大きな損失を被るのではないかという疑心暗鬼の心理状態だ。
このような状況を巧みに利用するのがジョージ・ソロスをはじめとする古典的なヘッジ・ファンドだ。彼らは、金融工学がボラティリティ一定と言う仮定を置いていることに目をつけ、現実の市場はそうなっていないことを利用して、巨額の利益を得ようとする。彼らにとってもまた、ボラティリティは収益源なのだ。

3 ボラティリティ変動の理由

それでは、なぜ、ボラティリティが変動するのだろうか。ボラティリティの変動する要因は何なのだろうか。ボラティリティとは、ファンダメンタルズが変動した時に、その変動が証券価格に反映される際に生じる一種の摩擦、あるいは、余熱のようなものだ。現在のファイナンスでは、ボラティリティの変動要因は、大きく分けて2つがあると考えられている。 1つは、ファンダメンタル・ボラティリティと呼ばれるもので、個別企業の業績変更等のファンダメンタルズの変化が証券価格に反映されるために払わなければならないコスト、すなわち、一種の必要悪だ。もう一つが、トランジット・ボラティリティと呼ばれるもので、ファンダメンタル・ボラティリティに付随して起こる過剰反応、あるいは、一種のノイズ・トレード(情報に拠らない取引)だ。
 証券取引においては、両者を見分けることが難しいため、両者を合わせてボラティリティと呼ぶが、本来は両者を区別する必要がある。
 特に問題なのが、後者だ。後者をエクセス・ボラティリティとも呼ぶが、こちらはしばしば市場を過熱させ、資産価格がファンダメンタルズから乖離させる原因となる。 
このように、証券市場には、ノイズ取引がつきものだが、注意しなければならないのは、このようなノイズ取引があるから、市場の流動性が確保され、急な換金需要(ファンダメンタルズの変化によらない個人的な資金需要)に応えてくれるということだ。
 ちなみに、有名なブラック・ショールズ・モデルの考案者の一人であるフィッシャー・ブラックは、1986年に「ノイズ」という論文を書き、このようなノイズ・トレードがあるからこそ、市場で証券の適正価格を常に知ることが出来、さらに、業種別の経済変動やビジネス・サイクルも、このようなノイズ・トレードによって引き起こされるとした(Black Fischer, “Noise”(The Journal of Finance,July,1986))。
 このように考えると、ボラティリティの変動は、市場を理解する際に重要な鍵を握っていることがわかる。先に述べたLTCMのようなヘッジ・ファンドは、金融工学を駆使して、ボラティリティの割安、割高感を瞬時に判定し、割高なボラティリティを売り、割安なボラティリティを買う。こうすることで、超過収益を得るのだ。
また、この過程で、ヘッジ・ファンドはボラティリティを市場平均(均衡値)に戻す機能があるものの、時として、市場の暴力的な動きに翻弄され、前記のような破綻に追い込まれることになる。
 ところで、ブラック・ショールズ・モデルでは、ボラティリティ一定という仮定を置いてモデルを導出したが、最終的なモデルには、ボラティリティを推定する必要があった。
ところが、市場価格とモデルの推定値との不一致の程度は、ヒストリカル・ボラティリティ(過去の平均ボラティリティ)とインプライド・ボラティリティ(モデルのボラティリティ)の差として表れるが、インプライド・ボラティリティは、投資家の相場観と密接な関数であるため、理論値(オプションの理論価格)と実際値(オプションの市場価格)の不一致を、モデルの誤差ではなくて、投資家のスタンス(相場観)の違いと説明することで、モデル自体の矛盾を巧みに乗り越えることができたのだ。

4 効率市場仮説

 このように、「金融工学」が依拠するボラティリティ一定という仮定は、実務的には問題があるが、長い間、金融工学の世界で支持されてきた。この仮定の根源は、「効率市場仮説」に溯ることができる。
 「効率市場仮説」とは、世の中のすべての情報は瞬時に証券価格に織り込まれる。良い情報があれば価格が上昇し、悪い情報があれば価格は下落するから、常に証券は適正価格になっている。どんなに証券を分析しても超過収益は得られないという理論だ。
 「効率市場仮説」は、別名「ランダム・ウォークの仮説」と言われる。「金融工学」は、長い間、「ランダム・ウォーク」を前提に、理論を構築してきた。最近では、「効率市場仮説」に対する夥しい数の反証を前に、投資家心理を重視する「投資行動学」が研究されている。しかし、主流はあくまでも「効率市場仮説」なのだ。
 仮に、市場参加者の全員が「市場は効率的だ」と信じ、その場合理論的に最も効率的な投資手法であるインデックス運用を行えば、市場はどうなるだろうか。誰もコストをかけてまでファンダメンタルズを分析しなくなり、個別銘柄の割安、割高感に応じて投資を行うアクティブ運用が消滅する結果、市場では投機家やヘッジ・ファンドが幅をきかせ、最終的に非効率化してしまう。これが、「効率市場のパラドックス」だ。市場はどのようにして、このパラドックスを解くことができるのだろうか。

5 現実的対応

これらの矛盾に金融工学は十分な回答を用意しているだろうか。答えは、残念ながらノーである。それでは、金融工学はどのような方向性を持って、この矛盾を解決するべきだろうか。筆者は、証券のファンダメンタルズを再度重視することが重要と考えている。筆者は、それを3つのアプローチに分けて考えている。取引コスト・アプローチ、グロスマン・アプローチ、学習アプローチだ。
 取引コスト・アプローチは、証券取引にはコストがかかるから、このコストを抑えようとして投資家が一生懸命市場を分析する、そのことが、結果的に無駄な取引をなくし、裁定機会を減らすことでヘッジ・ファンドの攻撃から市場を守るインセンティブになるという考え方だ。古くは、証券取引を結婚に例えたジョン・メイナード・ケインズの言葉に通じる。このアプローチは、一見正しいようにも見える。取引コストを上げることが、リサーチ活動の資金源となり、投資家の慎重な投資行動を促し、結果的に市場を守ることにつながるというものだ。しかしながら、このアプローチは、証券の大衆化、民主化の議論と相反すると言う欠点を持っている。むしろ、国民的見地から見た場合、証券市場の活性化の議論とも矛盾してしまう。
 グロスマン・アプローチは、金融工学が発展すれば投資家の将来のキャッシュ・フローを担保にしてすべての資金需要に応えられる証券を作ることができるはずである。投資家はこのような根源的な証券を1つ持ち、必要に応じて権利行使することで、ノイズ・トレードをなくし、かつ、不意の資金需要にも応えられるようになるというものだ。このような証券がある場合に限って市場は効率的となり、金融理論が前提とするノー・アービトラージの状況が達成される。この場合、インデックス運用が最良の運用方法となるが、現実には、このような証券は存在しないため、アクティブ運用の活躍の余地が残ることになる。また、このような証券を作れないのは金融工学が発展途上にある、あるいは、怠慢だからということになる
 最後に残されたのが、学習アプローチだ。学習アプローチは、取引コスト・アプローチが市場の民主化に合致せず、グロスマン・アプローチが現在の技術水準では非現実的である以上、投資家に残された唯一の方法となる。簡単に言えば、個人個人が証券市場を自分のものとしてとらえ、市場の癖(性格)を学習することで結果的に無駄な取引をなくし、市場を効率化することができるというものだ。最近機関投資家の間で行われているマルチ・ファクター・モデルを使ったセミ・パッシブ運用(インデックス+?運用)は、この学習アプローチを発展させたものだ。
筆者の結論は、金融工学の理論(効率市場仮説の仮定)と現実の市場(ノイズ・トレードが多く、一方でノイズ・トレードに流動性の提供を依存している状況)がヘッジ・ファンドに裁定機会を与える情況を長期間にわたって生み出しているのではないかというものだ。それに対して、投資家サイドとして採ることができる現実的な対応策は、市場の癖を学習して、市場の性格を理解し、できるだけ無駄な取引を行わないこと(学習アプローチ)だ.
しかし、残念ながら、投資家に証券の真の価値を知らせる重要な役割を期待される証券アナリストの大部分がセル・サイド・アナリストであり、その銘柄推奨が証券会社の営業政策に左右される現実を考えると、今のところ学習アプローチについても悲観的にならざるを得ないというのが現在の正直な気持ちだ。
 このまま、証券市場に関する十分な知識と情報を持たずに、個人投資家の証券市場への誘導政策が採られたとしたら、今後の日本経済はいったいどうなってしまうのだろうか。
 現在、日本では、証券市場改革、確定拠出型年金プランの導入をはじめとして、国をあげて直接金融への道をひた走っている状況にある。しかしながら、その前に議論するべき根本的な点が多く残されているのではないだろうか。
筆者は、学習アプローチによって個人投資家の奮起を促し、一方で証券アナリストの独立性を確保することが、証券市場を発展させ、ヘッジ・ファンドから市場を守る最良の方策であると考えている。
 なお、詳細は、本年7月にダイヤモンド社から出版した拙著「金融工学 理論と現実」を参照されたい。

参考文献

1 ロジャー・ローウェンスタイン「天才たちの誤算」日本経済新聞社(2001)
2 渡辺信一 「金融工学―理論と現実」ダイヤモンド社(2001)
3 Black Fischer, “Noise”(The Journal of Finance,July,1986)

図1 日経平均とヒストリカル・ボラティリティの推移
図2 日経平均とインプライド・ボラティリティの推移


06. 2010年11月30日 21:13:48: cqRnZH2CUM
>基本原理としてはヘッジファンドはネズミ講であり規模が大きくなるほどに破綻する確率は100%になる。

??
適正に運用していれば、単に期待利子率が低下していくだけだ

>デリバティブとか金融工学とはいっても、LTCMも数百年に一度しか起きない事が起きて破綻

これは単にリスク管理の失敗だ

本稿は、『週刊エコノミスト』、2001年12月25日号に掲載されたコラム「学者が斬る」の原稿に加筆、修正したものである。


                 金融工学の理論と現実戻る
                 
     <要約>
金融工学の発展は、投資理論の普及とともに運用手法の高度化をもたらしたが、一方で、金融工学の影の部分にも注目する必要がある。1998年にアメリカで起きたLTCMの破綻はその一例だ。最近出版された、事の真相に迫ったいくつかの本によれば、LTCMの失敗は、ボラティリティ水準が、短期間に過去の平均値に収束しなかったために起こり、結果的にファンドに巨額の損失を生じさせてしまった、というのが実態のようである。すなわち、現実が理論どおりに動かなかったのだ。ある意味では、金融工学の限界を示したものと見ることができる。我々は、「金融工学の理論と現実」に、注意を払う必要がある。

             <目次>
        1 LTCM破綻の原因       
2 ボラティリティの売買      
 3 ボラティリティ変動の理由
        4 効率市場仮説
        5 現実的対応

1 LTCM破綻の原因

 1998年9月のLTCM(ロング・ターム・キャピタル・マネジメント)社の破綻、さらには、1995年2月の英国ベアリングス社の破綻、あるいは、1994年12月のカリフォルニア州オレンジ郡の破産、これらの事件に共通するキーワードがある。それは、ボラティリティである。日本ではなじみの薄い言葉であるが、一言で言えば「収益率の価格変動率」、すなわち、一定期間内に資産の価格がどれだけ変動するかを統計的に表したものだ。
 実は、このボラティリティは、現在の金融工学では最も重要な指標の一つとなっている。一般投資家の多くは価格水準を重要視し、前日よりも何円上がったか下がったかを話題にすることが多い。これに対して、金融工学(者)は、ボラティリティを話題にする。前日よりも何%上がったか下がったか、なのだ。
 「天才たちの誤算」で、筆者のロジャー・ローウェンスタインは、1998年当時、LTCMが株式市場のボラティリティを19%と仮定し、この水準までデリバティブを売り続けたこと、この運用が命取りとなって同社が破綻したこと、ボラティリティが1%変化すれば、アメリカで4千万ドル、ヨーロッパで同額の利益が得られたことを記述している。


07. 2010年11月30日 22:21:02: 5W1j8lEHQM
[ヘッジファンドの家宅捜索に踏み切ったFBI 真のターゲットは どこか?]
2010年11月30日 20時58分 / AIFENCE
http://kabu.sakiyomi.com/aifence/?EACH=762

先週月曜日、FBIがヘッジファンド3社に対して家宅捜索に踏み切った。
家宅捜索の対象となったのは、
[ダイアモンド・バック・キャピタル ][レベル・グローバル・インベスターズ ][ロッチ・キャピタル]の3社である。
また、大手ヘッジファンドの [SACキャピタル]と[シタデル]に対して、[召喚状 ]を送付した。
さらに、「ヘッジファンドに対してインサイダー情報を販売していた 」として、
[プライマリー・グローバル・リサーチ社 ]の幹部[ドン・チュウ容疑者]を当局は逮捕した。
 
[プライマリー・グローバル・リサーチ社]は[エキスパート・ネットワーク]という
インサイダー情報の販売を生業とする企業の一つと言われている。
FBI、米国証券取引委員会、NY検察の 今回の合同捜査であるが、
数年来まれに見る大規模な展開を見せている。
 
さて、当局の狙いはどこにあるのだろうか?
 
ヘッジファンド3社に対する家宅捜索、ドン・チュウ容疑者の逮捕は、
マイルストーンの一つにしか過ぎないと考えられる。
というのも、捜査に詳しい消息筋の話では、捜査リストのトップに上がっているのは
SACキャピタルの創設者[スティーブ・コーエン氏 ]と言うのである。
 
家宅捜索を受けている[ダイアモンド・バック・キャピタル]と[レベル・グローバル・インベスターズ ]は、
「SACキャピタルの元従業員が設立したヘッジファンド 」である。
また、捜査当局は既にSACキャピタルの元従業員[リチャード・チューベン・リー容疑者]を逮捕している。
リー容疑者は、当初はインサイダー取引に関する容疑に対して弁明をしていたが、
現在では捜査当局に協力するようになっているという。
どのような司法取引があったのかは報じられていないようだが、
SACキャピタルに在職していた時の内部情報について捜査当局に提供していると見られている。
「ウォール街との利害関係に縛られ、ロクに役割を果たせなかった米国証券取引委員会」に業を煮やしたのか
FBIや司法・検察当局が気合いをかなり入れているようだ。
 
今回の捜査は年末まで続けられるという。
捜査の行方は、[ウォール街の影響力]がどこまで残されているのかを試す、
絶好のリトマス試験となりそうである。


08. 2010年12月02日 05:32:54: ezqPTG9DzU
金融工学とは・・・
実際はインサイダー取引とネズミ講であることを素人投資家に見抜かれないように巧みに取り繕うカモ誘導手法
保険契約の約款と同じ、10中8、9大手資本が有利なのにいかにも個人に利益があるかのように専門用語と理論と老眼鏡なしには見えないような細かい字で煙に巻く詐欺商法

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