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TPPの幻想
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投稿者 一言主 日時 2010 年 12 月 13 日 13:28:14: AlXu/i8.H/.Es
 

TPPの幻想(環太平洋経済連携協定)

菅政権は突然TPPに参加すると言い出した。メディヤの扱いはまるで希望の星のようである。農業政策さえうまく整えれば、大きな利益が生まれるように思っている。

しかしそれは幻想に過ぎない。デフレ下での参加は、大きな災いを日本にもたらすであろう。

デフレ下での大きな経済的自由は、農業だけの衰退だけではない。日本の根幹である産業経済基盤を崩壊させるであろう。TPPへの参加を推奨する人達は日本が未だに無敵の豊富な消費をもたらす中流階級が存在しているように思っている。

もはやそれは存在していない。経済の基礎的条件が変わっていることを知らなければならない。

デフレ下における自由化は、弱肉強食を生み、より大きな経済縮小と低所得化を促進し、それと同時に輸出産業と内需産業の格差の拡大と、民間賃金と公務員賃金の格差の拡大をもたらす。

このようなことは小泉政権時代の政策を見れば分かることだ。

小泉政権時代のデフレ下の金融自由化や、大規模店舗の自由化は、各地の商店街の衰退や、資金が海外へ流出したのである。今でこそアメリカ経済がデフレに入り、低金利のためアメリカには資金に流れなくなっているが、その分新興国に回っているのだ。

もう一度小泉政権時代をよく思い出してもらいたい。
いざ凪を越える長期経済成長と政府が偽ったあの時代である。実際は不毛の経済消耗が続いていたのであり、内需の減退と外需への依存により、統計上経済が膨らんで見えていただけであった。

内需が完全に縮小する中で、輸出の割合がどんどん増え、それが全体の統計でプラスになっていたのである。その間民間賃金は減少を続け、派遣社員が増え、正規雇用者が減少し非正規雇用者が増えた。

また小売業全体の売上も縮小し続けていたのである。
地価も下がり続けていた。

内需の不振が輸出を促進し、その結果輸出産業は、内需産業の犠牲の上に成長していたといえよう。国内の低賃金化をいいことに、より安価な労働者を使い、また下請けや、協力工場には、他に逃げ道のないことを見越して、大きく加工料を引き下げ、大きな利益を上げていたのである。

TPPは再びこのようなことを恒久的に行おうとするものである。TPPの推進者の多くは、小泉政権時代の政策がよかったと思っている連中であり、なんら反省のない人達と言えるであろう。

日本は今1千兆からの借金を政府が抱えている。これを返せなければデフォルトをしなければならなくなる。それは大きな世界的な損失となろう。とりわけ日本にとって敗戦以上の惨禍となろう。

例えデフォルトが行われても、それは政府借金がご破算にされるだけであり、民間はいつまでも返し続けなければならないのだ。デフレの低付加価値の中での借金返済は悲惨を極めるであろう。日本はいい時代を知っているだけに悲嘆が世を覆うことだろう。


これを阻止するためには、すなわち借金を返すためにはできるだけ多くの企業が必要であり、それらが黒字になる必要がある。一部の輸出産業だけではこの借金は返せない。

TPPへの参加は、デフレ状態の日本では、多くの内需型企業の廃業、倒産、が起こり、各地の地場産業が消滅する。これ以上の企業淘汰は、借金を返せなくなることを意味する。

国内の低所得化は、低賃金国からの労働者の流入によりさらに進むだろう。それは消費をさらに減退させ、内需産業を圧迫し、低価格の輸入品がますます増え続けるであろう。多くの企業や産業の淘汰は日本の衰退を早めるのである。

国内企業の衰退は、輸出産業の母体をも揺るがしやがて、輸出産業自体が国内生産できない状態に至るであろう。その時がデフォルトの時である。


よく労働者が増えれば生産性が上がり経済が活発になるという主張を時折見かけるが、それは間違いである。低賃金国からの労働者は、本国に仕送りをするため、所得が総て消費に使われず、その経済的な作用は、デフレを促進する方向に働く。
http://www.eonet.ne.jp/~hitokotonusi/teraxBLG/blg-hiduke.htmlデフレと日本の移民政策参照)

生産量は増えるが、仕送りするため、国内の消費が常に生産量以下になり、所得が減退していく。労働生産曲線は右下がりを描くのである。

バブルの崩壊後名目GDPが低下している。これは労働生産曲線が右下がりであることを証明している。
このような場合、労働者が増えるほど所得が減少するのである。

世界化した輸出企業は国内に引き留めようとしてもいずれ最も生産に適したところへ移動することだろう。

しかも輸出産業が稼いだ国内への還流資金は、国内市場に流れず、市場の資金は増えない。輸出産業と内需産業の格差が激しくなる。政府はこれを是正するために、消費税を輸出産業に掛けたり、還流資金を国内市場に回すための算段を付けなければならない。

しかるにTPPはこの流れに明らかに逆行するものである。

現在の民主党政権は、輸出産業の味方であり、内需産業をを無視している。


交易の比較優位説は、経済が正常な国どうしの貿易において成り立つものであり、デフレ国と、正常国、あるいはバブル国と正常国などとの取引では、前者はデフレ国が不利になる一方であり、後者はバブル国が有利になる一方である。

デフレ国は、付加価値が常に正常な状態より少なく貨幣で評価され、逆にバブル国は、付加価値が常に正常な状態より多くの貨幣で評価されるからである。


これは南北格差がなかなか解消されないことや、ヨーロッパとアフリカ諸国との貿易がいつまでも富がヨーロッパに片寄ることからも明らかであろう。

TPPの推進者は、日本のファンダメンタルが未だに正常な最強の産業経済基盤を持つ国だと思っている。

最強の産業経済基盤を支えるためには、最強の消費者が必要なのである。しかし今最強の消費者は日本にいない。

TPPへの参加は出来る限り遅い方がよい。デフレを解消してから参加するべきである。今はその時ではない。軽々に、半可通の評論家や、新聞などの軽挙妄動に乗ってはならない。


これ以上の内需産業の衰退や、淘汰、消滅は、1千兆にも及ぶ借金を返す担い手を失うことになりデフォルトせざる負えなくするだろう。
デフレからの脱出の糸口を潰えさせる可能性の高いものである。。

またTPPの参加に国内の消費が増える要素は見当たらない。消費が増えるものが何もない。それはデフレの解消に程遠いものということである。

農業だけの問題ではないのである。バブル崩壊後日本の産業基盤が揺らぎ、衰退している。日本の産業経済基盤の根幹を覆す大問題なのだ。


デフレの問題を解消せずにTPPに参加すれば、より早く日本を没落させることになろう。取り返しがつかないであろう。

現民主党政権は、経済状態をまともに分析できていない。やるこなすことが、1970年や80年代の良いころの経済状態を基礎にした政策ばかりである。
非常に危険な内閣と言えよう。

一言主
http://www.eonet.ne.jp/hitokotonusi
http://blog.so-net.ne.jp/siawaseninarou
http://www.eonet.ne.jp/~hitokotonusi/teraxBLG/nlg-hiduke.html  

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コメント
 
01. 2010年12月13日 14:52:15: 4yQJJ7FTpw
TPPよりも行わねばならないのは為替相場の適正化である。いま農業の国内国外の価格比は1.7倍くらいである。また、日本企業の生産する同機種の薄型TVの日米価格差はこれまた1.7倍である。
つまり、TPPでもって1.7倍の価格差をはねのけねば意味がない。目先の10%なんて意味ないのである。
今までは日本企業が、正規雇用を非正規雇用へ、さらに外国人雇用にして競争力を維持してきた。
その結果、為替がどんどん円高に振れても企業は生き残ってきた。農業はとうの昔に脱落、この10年で電気も脱落してきた。トヨタ、キャノン等だけが好調であったのは先の理由による。
国民の賃金を犠牲にし、競争に勝つ事で円高を促進してきた。
今はその転換点である。もう国には余力はない。
企業は、移民を受け入れて更なる円高にし、おそらくはTPPで稼いだ分も円高の材料にしようとする。
ホントに必要なのは、1.7倍円安に持って行く事である。新興国も工業化をすれば農業は日本と同じ運命をたどる。
とにかく円安に持っていくのが先決である。そのためには日本企業は一時期一斉に死んだふりをするのが一番かも知れない。GMのように。国民の犠牲の上に企業が競争に勝ち続けた結果の円高である。適当な時期に勝つのを止めていればこんなことにならなかった。安定した生き残りを計るべきであった。勝たないが負けもしない企業が必要である。



02. 2010年12月13日 17:41:00: PPAJr6WqwQ
医療保険制度や社会保障制度などが違う国が、価格競争すれば、医療制度や社会保障制度のない国が勝つ。

それでは対等な競争とは言えない。

国内であれば儲けに課税でき、それが社会保障費になるが、日本法人でない外国の企業から所得税は取れないので社会保障費はどこからもねん出できないことになる。

関税も税金であり、社会保障制度などが違う国から所得税に代わって取る税金である。

国家には、徴税権がある。
それを放棄すればもはや国家ではない。
貨幣発行権を放棄したユーロの悲惨と同じになる。


03. 健奘 2010年12月13日 20:52:13: xbDm84QDmOFmc : rYd4I1Qido

ご存じのとおり、自由貿易を支える考え方は、19世紀に確立しました。比較優位説です。

これが成立するのは、つまり自由貿易をする2つの国が経済発展をするのは、需要が増えていくときです。需要が増えていくことが前提です。

もう、ほとんど置き換え需要しか発生しない時代になれば、成り立ちません。アナログテレビがディジタルテレビに。ガソリン自動車が電気自動車に。固定電話がモバイルに。他に新たな需要を掘り起こすのが難しい時代には。

置き換え需要しかないような経済状態でも、自由貿易、そして2つの国で同時に生産効率の向上を進めることを支える考え方はあるのでしょうか?

どうやら、TPPは、ともかく何でもいいけれど、可能性があるかもしれない、動かなければどうにもならないという程度の、悪あがきになってしまっていると思われるのですが。


04. 2010年12月13日 23:23:31: cqRnZH2CUM
>医療保険制度や社会保障制度などが違う国が、価格競争すれば、医療制度や社会保障制度のない国が勝つ。

そんなことはない。
現在の日本は、非効率な状況になっているが
社会保障は、元々、人的資本を効率的に使うために発達したと言ってもいい。


>比較優位説

これは、自由市場が完全になるほど、(さらに人の自由な移動まで実現すれば)、最終的には人類の総需要の最大化(経済的な最大多数の最大幸福)の実現に対応する。

あとヒトの欲望には限りがないから、サービス業まで考えれば、基本的には、いくらでも需要は増えていく。


05. 2010年12月13日 23:31:17: cqRnZH2CUM
>人的資本を効率的に使うために発達した

つまり労働人口に対するミニマムな医療保険制度や社会保障制度などが存在する国が勝つ



06. 2010年12月13日 23:46:00: cqRnZH2CUM
>ホントに必要なのは、1.7倍円安に持って行く事

仮に可能だとしても、人為的に物価を1.7倍にすることが本当に皆にとって良いことかどうかだな。
これは70%の資産税をかけるのと同じことだ。

それよりも、きちんとした社会保障(最低生活の保障手当と再教育投資)を行い続ける方が、悪い影響は少ないだろう。

どんどん失業が増加して、赤字国債が増え続け、量的緩和が続けば、必ず円安に反転する。


>日本企業は一時期一斉に死んだふりをする

現実にできないことを言っても無意味だな

>新興国も工業化をすれば農業は日本と同じ運命をたどる。

農業を過保護にしなければ、日本化(非効率で儲からない兼業農業が主流)はしない
効率的な農業にのみ補助金を出せば、豪州や欧米みたいに低コスト大規模専業農業だけが生産力として残る。
まあ趣味の農業は自腹で勝手にやればいい。



07. 2010年12月14日 00:05:17: P5rRdHFaII
大資本の大企業の独占が進んで大金持ちの資本の独占によって資本の流動が減って、

さらにデフレが進んで、国の借金を減らす対策はあっても国は出来ない又はする気が

ないのでデフォルト。

物の流通が止まり飢餓、疫病の蔓延なんて未来にしないでください官僚の方々。

上司の指示を疑い各々自分で考えてください。

何が国益で後々自分にとっても何をすることが有益なことか。


08. 健奘 2010年12月14日 01:05:04: xbDm84QDmOFmc : rYd4I1Qido
04 さん

現実を観察して話を構築してくださいね。

韓国、若者は、昨年も今年も、多くが日本に職を求めてやってきます。日本も悪いけれど、韓国のほうがさらに悪いと、韓国の普通の人々は言いますね。韓国は、他より自由貿易協定を多く結んでいるのですが。

合衆国、相対的には、より自由な市場が作られていると信じられています。私は、定点観測をいくつかしているのですが、経済状態がそんなに悪くはなっていませんが良くなってもいませんね。安物の服の枚数は増え、ジャンクがますます増えるというような状態ではあります。



09. 2010年12月14日 13:52:55: 4yQJJ7FTpw
農業を活性化させる方法は何も大規模化だけではない。
一番必要なのは、官僚による統制を無くす事にある。
補助金といっても全てひも付きである。減反を強いられたり大規模農家にならないと農家を潰すような政策圧力をかけられる。
大規模農家以外は成り立たないようにすると、多くの農家は失業する。もうすでに農家は貸家業や不動産業になっているかも知れないが、プライドを持って今の農業技術を伝えて行きたいと思っている所も多い筈である。工業でも、大規模生産から多品種少量生産に移行する兆しもある。
官僚は一度始めた政策は変えたがらない。時代遅れの補助金は止めて別の振興策をとる必要がある。
それはTPPではあるまい。補助金がもっと必要になるであろう。

10. 2010年12月14日 15:44:41: qNejwtlz6U
労働者の賃金の何%がパチンコ産業に流れ込んでいるのか知らないが、莫大な金額になることは間違いない。朝鮮系の企業が多い業界なので、北朝鮮に裏金がまわっていてもおかしくはなかろう。
 公営カジノを合法化して、労働者が遊んだ金は確実に国内で消費されるような仕組みをつくるべき。
 パチンコパチスロは実質的にはギャンブルであるわけだから、その運営で得られた収益金は競馬や競艇と同じように公的目的の為にすべて使われるべきはず。

11. 健奘 2010年12月14日 23:36:00: xbDm84QDmOFmc : rYd4I1Qido

10さんへ

2009年ですと、
米の年間生産額は、1.8兆円。
パチンコホールの年間売上高は、21兆円。

農林水産業として区分けされる産業の年間売上高は、おおよそ8兆円。


12. 2010年12月15日 12:32:59: 4yQJJ7FTpw
ちなみに日本の総医療費
35.3兆円
3割負担だから10兆円くらいあれば窓口負担を0割にできる。

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