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なぜ、企業は株式投資を増やしているのか?Re: なぜ内部留保が増えたのか? 明快な理由 2つの金融危機とわが国の企業破綻
http://www.asyura2.com/10/hasan70/msg/387.html
投稿者 tea 日時 2010 年 12 月 15 日 22:45:17: 1W1IXELjjF6i2
 

(回答先: なぜ内部留保が増えたのか? 明快な理由 2つの金融危機とわが国の企業破綻 投稿者 tea 日時 2010 年 12 月 15 日 21:32:21)

多くの企業では、増やした内部留保は、当然、国内投資には回っていない
借入金や社債、設備・工場・店舗のような有形固定資産残高は減っているのはわかるが、
現預金のような流動性資産も横ばいで、株式投資だけが増えている

確かに、マイナス成長の国内ではなく、海外子会社にM&Aで直接投資するというのは、個別企業の戦略としては適切かもしれないが、
日本経済にとっては、あまりプラスにならず、当面の雇用にとっては寧ろマイナスだろう


XXXXXXXXXXXXXXXXXXXX 引用 XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX

Economic Trends 経済関連レポート
新しいバランスシート問題 発表日:2010年12月13日(月)
〜なぜ、企業は株式投資を増やしているのか?〜
第一生命経済研究所 経済調査部
担当 熊野英生(пF03-5221-5223)
企業のバランスシートは、負債残高が圧縮される一方、自己資本が増加の一途を辿っている。資産サイドの増加分は、専ら長期保有の株式投資である。2000年代後半に増えた株式投資は、海外事業への投資だったと推察される。日本企業のバランスシートは、国内需要で多少の刺激があったとしても、もはや以前のように容易には膨らまず、資本が海外シフトしていく流れになっていると考えられる。内需の期待成長率、国内投資の期待収益率を上昇させるには、かなり大胆な改革をやらなくてはいけない。
上昇し続ける自己資本比率
「バランスシート不況」と言えば、楽観的な経済展望に基づきレバレッジを効かせ過ぎた企業・金融機関が、後々、デレバレッジの痛みに苦しむことを指す。2000年代初頭までの日本経済は、実体経済のデフレと相まって、デレバレッジに激しく苦しんだことは記憶に新しい。
では、改めて問いたい。今に日本経済には、バランスシート不況が続いているのか。今も負債圧縮は続いているが、これはバブル経済の反動ではない。むしろ、企業は金あまりで、現預金を膨らませていて、極端なまでの健全化が進んでいるとみる方が自然であるその証拠に、ほぼ一貫して自己資本比率が異様なほど上昇している(図表1)。一度膨らませすぎたバランスシートをスリム化するようなデレバレッジの世界観とは、全く違うことが日本経済に起こっているのではないだろうか。筆者のこうした発想は、デフレによって実質負債が重くなるというデレバレッジ論を変形させた議論とも一線を画すものである。

図表1)自己資本比率の推移%出所:財務省「法人企業統計」全産業・全規模全産業・資本金10億円以上2010年7-9月 42.8%37.2%法人企業統計は単体決算であり、ここでの数字も連結ベースとは異なる


増加しているのは株式保有額
まず、事実確認からしておこう。企業部門のバランスシートは、資産・負債でどのような変化が起こっているのだろうか。財務省「法人企業統計」を使って、自己資本比率の上昇にバランスする資産・負債の変化を調べてみた。
自己資本は、総資産残高から負債残高を差し引いた数字になる。総資産と負債の増減を、2000年初(2000年3月末)を基準にして計算してみると、2000〜2003年頃まではバランスシート自体が縮んでいたが、2005年頃からは総資産の方だけが膨らんでいく展開になっている(図表2)。その内訳が何かを特定すると、長期保有の株式残高が増加していることがわかった(図表3)。興味深いのは、借入金と社債が継続的に減って、設備・工場・店舗のような有形固定資産残高は減っていき、さらに現預金のような流動性資産も何とか横ばいだったことだ。株式投資だけが増えているのである。日本企業の事業規模自体が2000年代後半からは縮小傾向に向かって、その代わりに長期保有の株式投資が増えたということだ。株式投資の増加額は、総資産残高の増加額にほぼ匹敵している。

こうした長期保有の株式投資の拡大は、「株式の持ち合いの復活」とみる向きもある。確かに、2006 年頃から
買収防衛策に関する企業の取り組みが活発化することはあった。東証統計の「株式分布状況調査」を使って、事
業法人の株式保有残高が増えているかどうかを調べてみると、2003〜2006 年の時期にはそれまで急激に進んだ持
ち合い解消の反動もあって、一時的に持ち合いの復活の動きがあったようだ(図表4)。だが、2007・2008 年は
そうしたことはあまり活発ではなく、その他の要因で長期株式保有が増加したと考えられる。

おそらく、2000 年代後半に長期保有の株式投資が増加したのは、海外子会社に対する直接投資が活発化したた
めであろう。財務省「国際収支統計」をみると、2006 年頃から直接投資のうち株式出資形態の投資分が増えてい
る(図表5)。この仮説は、企業がグローバル化している世界観を極めてよく説明できる。グローバル企業は、よ
り資産収益率の高い海外事業にシフトしていき、海外事業を強化するために海外子会社の自己資本を増強したと
いう動きである。もしかすると、自己資本の内部留保が厚くなったことや、資産サイドで現預金が増えたことも、
企業が海外投資のために投資余力を蓄えている状況が、見かけ上、「必要以上に自己資本を上乗せしている」と
か、「金あまりになって利息を生まない現預金が山積み」とみえるかもしれない。
業種別に長期保有の株式投資を増やしたセクターを資本金10 億円以上についてみると、残高ベースでは、非製
造業が大きいのだか、増加額に占める割合では約半分を超える部分を製造業が占めている。自動車が特に大きく、
化学、食品が続いている。非製造業では、情報通信、商社(卸売)が特に大きかった。製造業、非製造業はとも
に2000 年代にかけてアジアなどへの海外展開を進めたことが窺える。

収益率拡大が国内資本の空洞化を招く
日本企業は、2000年代になって、かつてのように国内のバランスシートを膨らませることに慎重になった。その代わりに、国内で稼ぎ出した収益を再投資するときにはより高い収益が見込める海外事業を優先している。その動きが、バランスシートの拡大分を長期保有の株式投資に振り向ける現象として表れたとみられる。 本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所経済調査部が信ず
るに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、
記載された内容は、第一生命ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。
- 3 -

国内のバランスシートにみられる自己資本の増加分は海外における自己資本の増強とオーバーラップしたものなのだろう。連結ベースではオフセットされるデータの動きが、単体だけで捉えた国内統計には表れたという皮肉な結果である。
この新しいバランスシート問題を再定義すると、企業が国内事業を拡張することに消極化している現象と言える。その現象は、銀行などからみれば、企業が国内投資に躊躇して銀行融資を増やそうとはしない様子として目に映る。雇用者からみれば、企業の中から団塊世代がリタイアして人件費が軽くなったのに、新卒採用を絞り込んだまま増やさない不思議な行動として見える。グローバル化する日本企業が、国内投資を海外にシフトさせるから、その反射的効果として、融資も雇用も投資も増えにくいのだろう。 -5-510152025301995年

1997年度1999年度2001年度2003年度2005年度2007年度2009年度当期利益(全産業)当期利益(製造業)直接投資収益兆円出所:財務省「法人企業統計年報」、「国際収支統計」2010年度の直接投資収益は2009年11月〜2010年10月の合計。(図表6)相対的に拡大する直接投資収益
原因は単純明快に、国内の収益額に比べて、海外直接投資の収益額は大きくなっているからである(図表6)。リーマンショックを経て、将来の展望についてのギャップはいよいよ大きくなってしまった。企業から聞こえる話としても、リーマンショックという外生的ショックを受けた後、「国内経済の戻り方が著しく鈍い」という苛立つ声を耳にする。
期待成長率が下方屈折したことによって、企業が国内事業のポートフォリオを増強することに躊躇しているのが現実の姿だろう。極端に言えば、人口減少に象徴されるように将来の暗い需要見通しに流されて、企業が国内のリソースを有効活用しようという弱気のバイアスである。企業経営者の口から「先行きの需要が読めない」という言葉が聞かれるが、これも期待成長率の下方屈折を訴えているのだろう。
そうなると、国内でいくら金融緩和・財政刺激をしても、なかなか手ごたえのある成果は表れにくい。先行きの持続的な需要見通しに自信を持させるほどにマクロ経済政策の余地は力強くはない。さらに、2010年秋にかけて1ドル80円を割り込むような円高に見舞われたことは、国内で高品質な財を製造して海外に売るという輸出の活路さえも困難化させる動きだった。この円高は、国内需要制約に直面した日本企業のマインドに追い討ちをかけて、空洞化現象を加速させたとみることができる。
こうした認識に立つと、政府が国内投資促進プログラムを策定し、法人税率の引き下げなどを軸にして設備投資を呼び起こそうとしても、企業の慎重化するマインドを一気に逆転させることは容易ではなかろう。産業空洞化の問題に対しては、相当に思い切った減税・規制緩和が行われなければ、それなりの効果は見込むことはできず、従来のような塹壕戦を繰り返していてはジリ貧を免れられない。  

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