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合理的であるために、不合理的になる
http://www.asyura2.com/10/hasan70/msg/450.html
投稿者 tea 日時 2010 年 12 月 26 日 05:38:41: 1W1IXELjjF6i2
 

常に合理的であろうとすること(自己利益の追求)が、結果として不幸になったり、自己利益を損なう
というのは、良くあるパターンだ。
成功した企業がCSRに励むのも、法人として、同様の原理が働いているからだろう


XXXXXXXXXXXXX 引用 XXXXXXXXXXXX
【第122回】 2010年12月24日
http://diamond.jp/articles/-/10575

「職場や家庭で常に合理的であろうとするな!」
気鋭の行動経済学者ダン・アリエリーが説く
理屈に合わない不合理を人生に活かすヒント
1 

人間の行動の驚くほど理屈に合わない不合理性を浮き彫りにした2008年9月のリーマンショックを契機に、その学問的意義があらためて見直されている行動経済学――。振り返れば、再評価ブームの火付け役は、ダン・アリエリー教授(デューク大学)の世界的ベストセラー『予想どおりに不合理』だった。その気鋭の行動経済学者が、新作『不合理だからすべてがうまくいく』で実生活の視点から人間の行動原理をさらに解き明かし、今ふたたび話題を集めている。「高い報酬は逆効果」「自分で作ったものを過大評価するイケア効果」等々、職場や家庭での不合理な人間行動メカニズムを解析する自称「ソーシャルハッカー」が、人生に役立つ行動経済学的思考法を披露する。
(聞き手/ジャーナリスト、大野和基)
ダン・アリエリー(Dan Ariely)
新進気鋭の行動経済学者。現在、デューク大学教授。2008年に上梓した『予想どおりに不合理―行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」』(邦訳は早川書房刊)は世界的ベストセラーに。2008年度のイグノーベル賞の受賞者。近著は『不合理だからすべてがうまくいく―行動経済学で「人を動かす」』(邦訳は同じく早川書房刊)。

――あなたにとって、行動経済学とは何か。

 重要なポイントは、二つある。

 まず心理学やさまざまな社会科学を合わせて人間の行動を解き明かす集学的な、すなわち多くの学問領域にわたる(multidisciplinaryな)アプローチであるということ。もう一つは、多方面に応用が利くということだ。

 われわれは皆、政府・企業・個人などの各レベルでの意思決定全般をより良い方向にもっていきたい。ただ、そのためには、実際にどんなことをすればいいのか、意思決定の際に人が犯す間違いを正すために何ができるのかを研究しなければならない。行動経済学とはそうしたことに対して具体的な説明を試みている、非常に実用的な学問だと私は思っている。

――近著『不合理だからすべてがうまくいく』(原題 “The Upside of Irrationality”)で伝えたかったことは何か。

 われわれ人間は、配偶者や上司たちについては合理的ではないと考えていながら、自分自身については合理的だと思い込んでいる。まずは、そうではないと認めることから始めないといけない。

 錯視(visual illusion)では、相手の間違いを証明することは簡単だ。実物を測定すれば証明できる。しかし、意思決定はそれほど簡単ではない。たとえば、恋愛や仕事で二つの選択肢があったとする。この女性か別の女性かどちらとも結婚できる、あるいはこの仕事かあの仕事かいずれにも就くことができるとする。われわれはいったいどうやって、自分たちの選択が正しかった、間違ったと証明できるというか。一人の女性と結婚したら、あるいは一つの仕事に就けば、もう一人もう一つの現実はない。要するに、合理性の説明は簡単ではないし、世の中は不合理でいっぱいなのだ。

――われわれ人間はなぜ不合理に行動するのか。
次のページ>> ときには不合理でいることは凄く良いことだ


合理的になる方法は一つでも、不合理になる方法はいくらでもある。一つには、われわれはしなければならない少しのことをするようにはできていないということだ。たとえば、人類は非常に長生きをするようになったが、30年後に自分に何が起こるかについて気にするようにはできていない。

 また、感情という問題もある。感情は、意思決定についての大きな部分を占めるが、そもそも感情というものは合理的ではない。

 最後に、お金の問題だ。お金は比較的新しい発明だ。非常に抽象的で考えにくいものだ。コーヒー一杯買うたびに、現在と将来についてどんなトレードオフ(得失評価)があるのか考えなければならない。しかし実際は考えることは難しい。

 そこで起きることは、近道を見つけて、完全ではない方法でお金(の使途)に関する決断を下すことだ。

――われわれは常に合理的であろうとすべきなのか?

 それは違う。そもそもの議論として、われわれは常に合理的に行動しようとすべきではないと思う。この本のタイトルをThe Upside of Irrationalityにしたのは、ときには不合理であることはすごくいいことだと伝えたかったからだ(注:upsideは利点という意味)。

 たとえば、人は他人のことを気遣うものだ。「自分が一番得する」方法ばかりを考えて実際に行動している人間だらけの社会に生きたいとは、あなたも思わないだろう。もしそんな社会ならば、皆それぞれに何が自分にとってもっとも利益になるかを計算しているだけになる。

 つまり、常に合理的に行動する必要があるということではなく、どんなときに、自分たちに害になるやり方で行動しているかについて考える必要があるということだ。

 それは単に合理的とか不合理というのではない。どういうときにわれわれは間違いを犯すのか、間違った行動をするほうがいいのはどういうときなのか、どういうときにわれわれの行動が不合理だけれども受け入れられるのか――そうしたことを考えるべきなのだ。近著のテーマも、まさにそこにあった。
次のページ>> 人間の失敗の多くは長期的なビジョンに関するもの


――人間が長期的なビジョンを持つことは難しいと思うか?

 非常に難しい。人間の失敗の多くは長期的なビジョンに関するものだ。

 貯蓄することの難しさ、食べすぎ、無防備なセックス、十分運動をしないこと、飲みすぎ…枚挙にいとまがない。予防的医学検査をしないこともそうだ。こういうことはすべて今と将来のトレードオフになる。トレードオフにかかわると、人間は間違いを犯す。

――もし将来に対して非常に明確な目的がある場合、その目的を達成するために今何をすべきだと思うか。逆算するのか?

 その通りだ。多くのことを考慮に入れなければならない。先送りにすることについてもそうだ。

 そもそも目的を持つことはいいことである。なぜならそれは非常に具体的なことを作り出すからだ。一般的に、今私があなたに貯金を始めたらどうかと言っても、その理由を考えるのは非常に難しい。しかし、非常に具体的な目標があれば、たとえば、休暇のために貯金するといったいことであれば少しは貯金が簡単になる。

 自動天引きもしかり、長期的な意味を持つ一つの意思決定を作り出すといい。もし先延ばしを懸念するなら、その目標に対する毎日のタスクをカレンダーに書き込むことも有効だ。また、他人に目標を伝えることで、達成しやすくなることもわれわれの研究で分かっている。言ったことは守りたいと思うからだ。
次のページ>> オンラインデートはなぜうまく行かない?

――ところで、あなたは著書の中で、「自分で作れば愛着がわいて来る、価値が高くなる」というイケア効果について言及している。イケア自身、この効果を知っていて、企業戦略に生かしたのだと思うか。

 (笑)イケアに取材して確認しようとしたが、答えはもらえなかった。ただ、イケアは別として、うまく行っている企業は、人間の行動分析について何かコツを知っているのだろう。

 そもそも、行動経済学には3種類の支持者がいると私は思っている。まず、パーソナルな関心を持っている人たち。つまり、われわれは誰なのか、どのように行動するのか、といったことに関心がある人たちだ。

 次に、企業だ。企業はもちろん人間の行動分析をいいようにも悪いようにも使うことができる。もしも企業側が悪いように使うのならば、われわれは消費者として自分たちがどこかで失敗するかもしれないことを考える必要がある。

 最後に、政策立案者だ。人がどこで失敗するか理解すれば、いかにして規制を作ればいいか考えることができる。

――個人と企業についていえば、オンラインデートについての章は興味深かった。最後に当人(女性についてデータを集めて、完璧だと思った人と付き合おうと思ったら、すぐにふられた男)が失敗したのはなぜだと思うか。彼は絶対にうまくいくはずだと思っていた。

 オンラインデーティングは、本当に悲しい状況だ。われわれが機能してほしいという方向では機能していない。

 たとえば、こんなことを想像してほしい。あなたが、自分の好きな人50人と、それほど好きでない人50人の計100人のリストを作り、皆に連絡して、オンラインデート・サイトに各々の情報を書き込んでもらう。そして、そのサイトから顔も名前も伏せられたかたちで、プロフィールだけ送られてきたとする。それで、あなたは先ほどの区分通りに分けられると思うか。

――非常に難しい。

 そうだろう。そこが問題だ。つまり情報は記述であって、それだけでは役に立たない。われわれはオンラインデート・サイトがその人について説明するのと同じようには、その人のことを経験していないからだ。
次のページ>> 自分が持っているものを過大評価させる授かり効果と損失回避


――話は変わるが、あなたはかつて事故で重傷を負い、腕の切断を医師に迫られたが、その提案を受け入れなかった。行動経済学者としてその時の判断をどう分析する?

 人間には、Endowment effect(授かり効果)とloss aversion(損失回避)という2つのバイアスのせいで自分の持っているものを過大評価し、それを失うことを損失とみなす傾向がある。

 また、現状バイアスという別の不合理の影響を受ける。一般的に言うと、われわれは現状を維持したいと考える傾向があるからだ。

 さらに、決定の不可逆性も人間特有の癖につながっている。元に戻せない決定となれば、不合理の影響を受けるのはなおさらのことだ。

――結局、何がわれわれを動機付けるのかということについては、わからないという結論に達したのか。

 (笑)私の研究の目的は、何がわれわれを動機付けるのかを解明することだ。理解できるときもあれば、少しだけしか理解できない、あるいはまったく理解できないときもある。

 また、大きくわけて、2つのタイプの誤解がある。一つはまったくみえない誤解。もう一つは見えてはいるが、そのパワフルさを理解していない場合だ。

――本の中には「直感を疑え」と書いてあるが。

 それは最初のステップだ。そして少し謙虚な気持ちを持つことだ。知らないと認めると現実を吟味する方法を考えるが、わかっていると思い込めば、何もしない。

 本にも書いたが、自分のあやまちを発見し、それを克服する方法を見つける最善の方法の一つは、データを集め注意深く調べ、そこに潜むことを見抜くことである。  

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コメント
 
01. 健奘 2010年12月26日 11:36:59: xbDm84QDmOFmc : rYd4I1Qido

日本では、すでに行っていることを、言葉にするのがアメリカ、そんな例のひとつと言えます。

生産の仕方、日本の現場で行っていりやり方を、"JUST IN TIME"と名前をつけてまとまりよく話をつくったのがMIT(マサセッチュ工科大学)。

行動経済学。

儲からなくても、残したい、良い仕事を続けたい、というのは、日本ではよくあります。経済的には不合理ですが、気持ちがそうさせるのですね。そんな会社は、日本では山ほど。細々としてもやろうとしています。

数々の工芸品。

アメリカにはほとんどありませんね。19世紀初めには、地域的な家具など、フランス的な、オランダ的な家具もあったのですが、生産効率の中でなくなりました。特色が。


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