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ドイツのEU脱退など、もともとありえない ?
http://www.asyura2.com/10/hasan70/msg/451.html
投稿者 tea 日時 2010 年 12 月 26 日 06:27:50: 1W1IXELjjF6i2
 

政治経済的な混乱が自国に帰ってくるリスクを考えれば
仄めかすことはあってもドイツが脱退することはありえないというのは
メインシナリオとしては正しいだろうが、断言するのは危険ではないか
人間は、皆そんなに合理的に動くものではない


XXXXXXXXXXXXX 引用 XXXXXXXXXXX
http://diamond.jp/articles/-/10558
辻広雅文 [ダイヤモンド社論説委員]
「米国のハミルトン以前」の欧州で続く危うい綱渡りとドイツの危機感〜白井さゆり・慶大教授に聞く

金融政策は統一されたが財政政策は各国ばらばらという欧州の本質問題を指して、専門家たちは「欧州は米国のハミルトン以前」と形容する。ハミルトンとは、地域ごとにバラバラに債券が発行されていたのを統一して、連邦債を発行した米国の初代財務長官である。ギリシャ、アイルランドにとどまらず、ポルトガルやスペインへの飛び火も懸念される財政危機の連鎖不安を受けて、欧州が“ハミルトン後” に移行する可能性はあるのか。目の前の危機の行方とあわせて、白井さゆり・慶應義塾大学教授に聞いた。

――アイルランドはなぜ、EU(欧州連合)、IMF(国際通貨基金)、ECB(欧州中央銀行)総がかりによる救済支援を受けなければならなくなったのか。
白井さゆり
慶応大学総合政策学部教授。経済学博士。専門は国際経済、マクロ経済、アジア経済。慶応大学大学院修士課程修了。コロンビア大学大学院博士課程修了。「欧州迷走」(日本経済新聞社)など著書多数。

 財政赤字と公的債務が巨額に膨れ上がり、独力では立ち直れず、ポルトガル、スペインといった“次の危機国”に波及しかねないと、その三者が判断したからだ。当初、アイルランド政府は救済支援を拒否したのだが、とりわけ、ECBが申請せよ、と強く迫った。

 財政赤字のGDP比は2009年の14%から10年には32%に急膨張した。公的債務のGDP比は、10年には97%だが早晩150%まで増えるだろうとみられている。

 財政の急激な悪化は、金融危機、銀行危機が原因だ。財政赤字GDP比32%のうち、20%が銀行の損失を埋める増資に使われた。それを除いたら12%で、今年の財政赤字目標を満たすので合格点だ。だから、財政運営の失敗によって危機に至ったのではない。

――GDP比20%を日本に当てはめれば、およそ100兆円だ。それだけの資金を今年調達したのか。

 そうではない。この資金は今後10年かけてアイルランド政府が調達していくので、今すぐに市場で国債を発行して調達する必要はない。しかしEUの会計基準により全額を10年の財政統計に計上しなければならなくなった。だから今年の財政赤字は20%分増えたのだ。しかし政府の負担になる事実は変わらないし、市場はアイルランド政府の負担能力に懸念を高めている。アイルランドの国内銀行の総資産はGDPの4倍という、とてつもない規模にまで拡大した。その劣化が、止まらず、今後も負担が増えていく可能性があるからだ。

 ユーロという統一通貨に参加しているメリットを生かして、アイルランドの銀行は欧州の銀行から大量の資金を借り入れた。それを不動産業者や家計の住宅ローンに貸しまくった。当然、バブルが発生した。10年間で不動産価格は、4.5倍に上昇した。

 ところが、08年9月のリーマンショックでいっせいに返済を迫られる一方で、国内のバブルが崩壊した。資金が調達できず、資産は一気に不良化した。アウトだ。

 政府は三大銀行の一つを国有化し、巨額の公的資金を投入した。だが、大海の一滴かもしれない。4.5倍に上昇した不動産価格は、ピークからまだ 30%程度しか下落していない。景気と雇用の回復の見通しが立たなければ、底が見えないまま、下がり続けるだろう。銀行の損失拡大は止まらない。
次のページ>> アイルランドはなぜ当初、救済支援の申し出を拒否したのか

――同じ財政危機でも、財政運営の失敗が原因のギリシャとまったく状況が異なるということか。

 ギリシャは、50歳前半でハッピーリタイアメントができる恵まれすぎた社会保障を続けるなど放漫財政の典型であり、脱税天国でもあり、あげくに政府が粉飾を施し、財政赤字を過少に報告した。規律が働かない典型的な南欧の国だ。

 実は、アイルランドは2008年後半から今年にかけてGDPの10%相当の歳出カットと増税による財政の健全化を進めて、国際的な評価も高かった。だが、その努力を銀行危機が無にしてしまった。

――それほどの危機に至っているのに、当初はアイルランド政府が救済支援の申し出を拒否したのはなぜか。

 アイルランドはITサービス産業立国構想を実現しつつあった。米国の名だたるハイテク企業が進出している。その最大の武器は、12.5%という非常に低い法人税だ。EU平均が23%、ドイツが29.8%、フランスが34%だから、かなりの低率だ。それをかねてから他のEU諸国は不公平だと不満に思っていた。そこでアイルランドが救済支援を受けた場合、策定する財政再建策に法人税率引き上げを入れるべきと、ドイツとフランスが要求した。アイルランド政府は、これだけは経済成長のために譲れないと拒否したのだ。

 結局、支援する側が折れて、法人税率引き上げ要求を取り下げた。それで、ようやくアイルランド政府は、救済支援申請に同意した。当時、ポルトガルやスペイン国債が売られ始めていた。危機の連鎖を何としても止めるために早急にアイルランドに国際支援を受け入れてもらう必要があり、EU、IMF、 ECBは妥協したのだ。

――5月9日、国際救済支援の仕組みが導入された。アイルランドはその支援第一号になる。

 この仕組みによる支援額の総額は、総額7500億ユーロだ。IMFが2500億ユーロ、EUが5000億ユーロを拠出する。内容を詳しく解説しておこう。

 EUが拠出する5000億ユーロは、二つの組織から調達される。一つは欧州金融安定化メカニズム(EFSM)で600億ユーロ、もう一つは欧州金融安定基金(EFSF)で4400億ユーロという分担だ。つまり、EFSFがほとんどの資金を出すということだ。この基金は特別目的事業体であり、 EFSFは社名だと考えてほしい。EFSFは、アイルランドが救済支援要請を行ったら、アイルランド政府に代わって債券を発行、市場から資金を調達する。トリプルA格付けを得るために、ドイツやフランスなど残りのユーロを採用している諸国が保証を付ける。
次のページ>> とりわけECBの危機感が強いのはなぜか

 この仕組みが用意されていたので、EUは支援を受けろとアイルランド政府に迫ることができた。ギリシャ危機の時点では、まだこの救済支援の仕組みがなかった。EU基本条約(リスボン条約)には「救済禁止条項」もあるため、ギリシャ支援はそれとの整合性の問題もあったことから、あれほどギリシャ救済支援にEU各国は躊躇し、混乱したのだ。

――アイルランド救済支援内容は総額850億ユーロで、アイルランド政府自身が175億ユーロを出し、IMFとEUが先ほど述べた支援制度を使って675億ユーロを供与する。

 アイルランド政府自身が(年金基金などを使って)拠出するのは、市場も想定外だった。理由は、節約のためだ。仮に財政危機がポルトガルやスペインに広がり、支援しなければならなくなると7500億ユーロの国際支援制度の資金枠が不足する恐れがあるからだ。

 アイルランドへの救済支援のもうひとつの特徴は、資金使途が財政支援500億ユーロ、銀行部門支援350億ユーロに分けられ、決まっていることだ。通常であれば、支援資金は国に対して供与するもので、使い方を決めたりしない。いかにアイルランドの問題の本質が銀行危機にあるかを物語っている。

 また、資金使途を明記するに当たっては、一国の銀行危機に対して大掛かりな国際支援を組むのは好ましくないのではないか、という批判が、複数国から出た。だが、ECBが「銀行の救済と銀行改革にこそに使うべきだ」とわざわざ公的にお墨付きを与え、最も強く救済支援要請を迫った。

――とりわけECBの危機感が強いのはなぜか。

 ECBは今、非伝統的金融政策に突入し、「無制限の資金供給」という異例の金融緩和を続けている。実は11年1月に終了、出口戦略に移行する心積もりだったが、方針を転換し、4月までの延長を決めた。場合によっては、さらなる延長もありえる。最も大きな理由は、アイルランドの銀行が市場から資金を調達できず、預金の流出が続いており、ECBからの借り入れへの依存度を高めていることにある。このままだといつまでもECB支援から卒業できないのではないかといった懸念がECBで高まっていた。そこでIMFとEUの支援を受け入れて大幅な資産売却など抜本的な銀行改革も断行してほしいと主張したわけだ。

 その一方で、ECBは12月16日に、自己資本を二倍に増資することを決定した。ECBは長らく否定的だったユーロ建債券(各国の国債)の買い入れを5月に開始したが、市場からすれば非常に物足りない額だった。大幅増資はこの方針も転換するという意味であり、各国国債を本格的に買い支え続けアイルランド支援をするというシグナルだろう。場合によっては、ECBが不良債権のたまり場になってしまう危険があるが、目の前の危機への対処を優先させた。
次のページ>> 財政危機はどこまで波及する可能性があるのか

――アイルランドの銀行危機は解決できるのか。

 結論を言えば、難しい。IMF、EU、ECBが必死で救済スキームを作ったが、あまりに大きい銀行の負債の大きさに対して十分とはとても言えない。これほどの巨額な負債の削減にめどをつけるには、本来は「銀行債務の再編」が必要だ。金利支払いの軽減、元本の削減などで、負担を軽くしてやる必要がある。だが、アイルランド救済支援策には銀行の劣後債の再編だけしか入っていない。優先債や政府が保証する債券などには手をつけない予定だ。

――「債務の再編」とは、企業再生において銀行団が債権放棄などを行う金融支援策に当たるものか。

 そうだ。通常のIMFの支援では対外債務の借り手である「民間債務の再編」を促す。例えば、1997年のアジア通貨危機におけるタイ、韓国、インドネシアの支援ではそうだった。実は今回も、IMFとアイルランド政府自身はそう望んだのだが、EUが拒否したのだ。

 なぜなら、ひとたびアイランドの銀行の債務再編を行えば、民間投資家が損失を嫌ってポルトガルやスペインなどの銀行の債券を購入しなくなる恐れがあるからだ。そうなるとこれらの諸国の銀行が市場で資金調達するのが難しくなるかもしれない。となると欧州のいくつかの国の金融機関が持たなくなる。結果として、ECBの負担や銀行支援を迫られる各国政府の負担が急増する可能性がある。

 こうした思惑が交錯した結果、アイルランド支援は中途半端なものになった。ECBも出口戦略の転換し、当面はアイルランドなどへの支援を続けざるをせざるを得なくなった。

――財政危機はどこまで波及する可能性があるのか。

 10年もの国債の利回りが高い順番に、危機が訪れる可能性が高い。ギリシャ、アイルランド、ポルトガル、スペイン、イタリアの順だ。ポルトガルが救済支援を申請する可能性は極めて高く、市場も織り込み済みだ。救済支援が現実化しても、ポルトガルのGDPは、ユーロ圏全体の2%に過ぎないから、ここで止まれるならば、深刻ではあるが取り返しの付かない事態にはならない。

 問題は、ユーロ圏第4位の大国である国スペインだ。GDPは12%を占めている。スペインの10年もの国債利回りは、今のところ5.5%前後であり、危険水域からは離れている。それでも市場が不安に駆られるのは、借換債の規模が大きいからだ。来年度の政府の必要調達額は2000億ユーロ前後であり、仮に支援資金として3年分確保しなければならないとなれば6000億ユーロで、7500億ユーロのIMFとEUの国際金融支援枠を使い果たしてしまう。
次のページ>> ドイツのEU脱退など、もともとありえない

 また、民間銀行も巨額な融資を受けており、来年度の借換え額は、1000億ユーロ前後に達する。政府の借換債の必要額を合計すれば3000億ユーロだ。果たして来年度、それだけの資金調達をスペインができるのか、市場は不安視している。

――現在の財政危機拡大に対処し、また将来の再度の危機発生に備えるために、EUは矢継ぎ早に監視、監督あるいは救済に関わるさまざまな制度の再構築を行っている。ポイントはどこにあるのか。

 さきほど説明した欧州安定化基金(EFSF)だ。これは実は、3年間の時限措置で導入されたスキームだ。問題は、その後2013年中旬以降だ。

 前述しているように、EU基本条約のなかには「救済禁止条項」があり、各国は互いの債務には責任を負わない取り決めになっている。この条項が壁となって、ギリシャ救済や欧州安定化メカニズムなどをなかなか決められず、また、EFSFを時限措置に限ることになった。

 これでは、市場の不安は消せない。そこで12月16、17日の欧州首脳会議で、詳しい説明は省くが、EU基本条約に新しい項目を追加して、EFSFを永続化することを決定した。詳細は決定していないが、市場が注目しているのは、「集団行動条項」という新しい機能を持たせようという点にある。

――「集団行動条項」とは何か。

 一言で言えば、先ほど述べた「債務の再編」条項だ。13年中旬以降にユーロを採用する各国が発行する国債を保有する金融機関や投資家に、場合によっては損失を負ってもらうという内容だ。例えば、ポルトガルの債務が巨額すぎて持続不可能だと判断した場合、支援を続ける一方で、民間投資家に損失を肩代わりしてもらう。この規定は、国債発行の際に契約文書に明記される。「投資家の(たとえば)75%以上が同意したら債務再編を行う事ができる」といった条項になるだろう。これは、ドイツの提案だ。

――ドイツは財政難の国々に対し極めて厳しく、制裁主義の方針を採っていたのではなかったか。孤立を恐れず、EUを脱退するかもしれない、とさえ言われていた。

 ドイツの脱退など、もともとありえないと思う。ドイツへの信認によって、ユーロが成立しているのだ。確かに、孤立を恐れぬ制裁主義であったが、明らかに方針を変え、他国と強調して改革を積極的に進める覚悟を固めたように見える。

 ドイツ経済好調の主因は輸出であり、その約50%以上がユーロ向けだ。しかもドイツの銀行はユーロ圏に多額の投融資をしている。さらにドイツが脱退しドイツマルクに復帰すれば、ドイツマルクは急上昇するだろう。PIIGS(ピーグス)などの周辺国の預金者が一斉に預金をドイツに移すだろうから、ドイツマルクはドイツの経済実態を超えて大きく上昇するであろう。そうなれば輸出で高い成長をしているドイツ経済はアウトになる。それらの事実を改めて認識したのだろう。今年の初めには対立気味だったフランスとも、今は協調路線に転換している。EU基本条約に新たな項目を追加することによって、欧州金安定基金(EFSF)の永続化を推進したのもドイツとフランスだ。ドイツが提案した集団行動条項も、フランスが賛同した。
次のページ>> ドイツ主導でEUは統合の緊密度を上げていく

――欧州危機が起きたとき、「欧州は米国のハミルトン以前だ」というジョークが専門家の間で交わされた。ハミルトンはワシントンとともに米国建国の立役者であり、初代財務長官として、地域ごとにばらばらに債券が発行されていたのを統一し、連邦債を発行した。金融政策は統一されたが、財政政策は各国ばらばらであるという欧州の本質問題を言い表したジョークだ。

 実は、ルクセンブルク首相とイタリア蔵相が、12月初めに“ユーロ連邦債”の発行を提案している。やり方は、二つある。ひとつは、アイルランドなどの財政難で国債発行が難しい国々の肩代わりを行う。もうひとつは、財政難の国々の国債と一定の割引率で交換する。この二つの方法によって、少しずつ共通のユーロ建債券が増加していけば、最終的には米国の財務省証券に匹敵する質が一定の大きな流動性市場ができあがる。

 だが、ドイツとフランスは反対している。財政難の国にはまず厳しい再建策の実行を迫るべきで、さまざまなアイデアは財政赤字国がきちんとした財政改革や構造改革を推進する意欲を失わせてモラルハザードを引き起こす、という立場だ。ルクセンブルグとイタリアは、財政難の国ほど既存の国債とユーロ連邦債の交換において厳しい割引率を適用するのでモラルハザードは起きないと主張しているが、ドイツは、そもそも肩代わりという発想自体が問題であり、議論する段階にない、としている。

 ただし、ドイツは、EU共通の税制や労働政策のあり方の議論に入ってもいいのではないか、と言い出してもいる。つまり、財政運営の共通化を図る基盤つくりの提案だ。また、ドイツの野党は”ユーロ連邦債“を認めてもいいのではないか、としている。

 EU一体化をあれほど嫌っていたドイツは、明らかに姿勢を転じた。今後、EUは紆余曲折を辿りながらも統合の緊密度を上げていくであろう。それを牽引するのは、ドイツだ

 

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