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スーパーサイクル 「世界のATM」が巨費をつぎ込む先 日本は果たして重要か 「ニューノーマル」は新しくない
http://www.asyura2.com/10/hasan70/msg/663.html
投稿者 tea 日時 2011 年 1 月 16 日 15:45:15: 1W1IXELjjF6i2
 

今後、新興国の経済発展と、先進国の相対的縮小と地位の低下が、劇的に進むと言われているが、どこが、どの程度か?どのような経路を辿るかの予測が、重要になってくる

http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90920021&sid=a8Isusgl3QV4
胸躍る世界の変容期、スーパーサイクル到来か−新興国にパワーシフト

  1月13日(ブルームバーグ):世界経済が瀕死(ひんし)の状態に陥った3年前、前例のない一連の協調的な措置によって世界は死のふちから蘇ることができた。しかし現在も世界は病の床にあり、あたかも医者らが今後の治療方針を議論するのをじっと見守っているかのようだ。

  主要国首脳らは2008年秋からの短い期間に、一斉に利下げや銀行救済、大規模な景気刺激策に乗り出した。その後、09年4月に開かれた20カ国・地域(G20)首脳会議(金融サミット)は、危機の再発阻止に向け金融機関の規制強化の必要性を表明した。

  2011年が明けた現在、各国間だけでなく政策当局内でも、市場の混乱防止策と成長促進策を両立させる方法をめぐり意見が割れている状態だ。繁栄への道筋に戻るためには支出抑制から始めるべきだと主張する英独政府などの緊縮財政論者がいる一方で、オバマ大統領は失業率が10%付近に高止まりするなか、ブッシュ減税延長で議会共和党と昨年合意した。減税延長合意は株価を押し上げたほか、一部のエコノミストが今年の米成長加速を予想する根拠となっている。

  自国の経済をいかにして繁栄に導くかを政策当局者らが議論するなか、一部のアナリストは将来の世界経済成長の大部分が新興市場にけん引されるだろうと予測している。すなわち、北米と欧州の停滞が、中国などの新興国への大規模かつ恒久的なパワーシフトを加速させる可能性があるとみているのだ。ここで重要なのは、ブラジル、ロシア、インド、中国のいわゆる「BRICs」が、市場や産業への介入や資本規制を通じて自国の権益を追求する狭量な見方を脱して、世界経済に対するより大きな責任を担うべく努力を積み重ねて行くかということだ。

今年最初の議論の場

  今年最初のこうした議論の場となるのが、スイスのダボスで今月末開かれる世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)だ。政財界のリーダーや経済理論の大家らが集う同会議で、世界経済の短期的な命運を左右する今後の方向性が定まる可能性がある。

  世界経済フォーラムに長年参加してきたルービニ・グローバル・エコノミクス(ニューヨーク)会長のヌリエル・ルービニ氏は、「金融、財政、規制、為替の各政策で国内外に意見の相違が存在する」とした上で、「著しいマクロの不安定性と変動性が見込まれる」と分析した。

  金融危機の際に講じた緊急措置を解除する方法と時期をめぐり議論が続く北米や欧州とは対照的に、新興市場は着実に高成長を続けている。

           第3のスーパーサイクル

  英銀スタンダードチャータードのチーフエコノミスト、ジェラード・ライアンズ氏は、新興市場国が途切れなく成長を持続させていることから、2000年から少なくとも30年間続く新たな景気循環が起こると予想。歴史的に見て高い成長を貿易と投資、都市化の進行が支えており、「世界経済は現在、第3のスーパーサイクルに入っている可能性がある」と指摘した。スーパーサイクルとは一世代以上にわたって持続する景気循環。

  過去2回のスーパーサイクルは、米国がけん引した1870−1913年と、日本とドイツの復興が寄与した第二次世界大戦後から1970年代初めまでの期間だった。

  ライアンズ氏によると、今回のスーパーサイクルが過去と異なる点は、新興市場の寄与する割合だという。同氏の推定では、同割合は最初のスーパーサイクルでは20%、2番目では28%にとどまっていたが、今回では68%に達する見込みだ。2030年までに世界の経済規模は、2000年初頭の32兆ドル(約2660兆円、名目値)から308兆ドルに増加する見通し。

  ライアンズ氏は、「経済と金融のパワーシフトが進行中であり、これは必然的に政策のパワーシフトを招くだろう」と指摘した。

          中国は9.6%成長の見込み

  中国は昨年4−6月(第2四半期)に日本を抜き、世界2位の経済国として新たな年を迎えた。ライアンズ氏の分析は、現在の成長率によっても裏付けられる。国際通貨基金(IMF)によれば、今年の世界成長率は4.2%と、昨年の4.8%を下回る見通しだ。

  しかし新興市場国は今年の景気拡大の主なけん引力となる見込みだ。中国は9.6%成長、インドは8.4%成長と予想されているのに対し、米国は2.3%、ユーロ圏は1.5%にとどまる見通しだ。

  米モルガン・スタンレーのエコノミストらの推定によると、新興国は経済規模では世界経済の半分に過ぎないが、成長に関しては4分の3を担っている。また、中国が人民元の上昇を抑制し、ブラジルは昨年、海外投資家による確定利付証券投資購入に課す税率を引き上げる資本規制を実施するなど、景気過熱の防止も図っている。

  「BRICs」の名付け親である米ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメントのジム・オニール会長は、「われわれは世界経済・社会の変容を目の当たりにしており、とても胸が躍る」とした上で、「誰もが新たな世界経済でどのような位置を占めるのかが分かっていない。全員にとってチャレンジとなるだろう」と指摘した。

翻訳記事に関する翻訳者への問い合わせ先:東京 城塚 愛也 Aiya Shirotsuka ashirotsuka@bloomberg.net Editors:MasashiHinoki、Yoshito Okubo記事に関する記者への問い合わせ先:Simon Kennedy in London at skennedy4@bloomberg.net
更新日時: 2011/01/13 08:02 JST


http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90900001&sid=annZJxr.iGM4
ギリシャをジャンク級に格下げ、見通しネガティブ−フィッチ(Update1 

  1月14日(ブルームバーグ):格付け会社フィッチ・レーティングスは、ギリシャの長期発行体デフォルト格付け(IDR)を外貨建て、自国通貨建てともに「BBB−」から投機的(ジャンク級)格付けの「BB+」に引き下げた。ギリシャはこれにより最後の投資適格級格付けを失った。

  先月ギリシャの格付けを引き下げる可能性を示していたフィッチが今回格下げしたことで、米格付け会社のムーディーズ・インベスターズ・サービスやスタンダード・アンド・プアーズ(S&P)による格付けと同じ水準になった。フィッチは格付け見通しを「ネガティブ(弱含み)」に指定しており、一段の格下げの方が格上げや据え置きに比べて可能性が高いことが示唆されている。

  フィッチのロンドン在勤アナリスト、クリス・プライス氏らは14日付のリポートで、ギリシャの「多額の公的債務は、財政の支払い能力が負の衝撃に対して極めて弱い状況を映し出している」と指摘した。

翻訳記事に関する翻訳者への問い合わせ先:東京 守護 清恵 Kiyoe Shugo kshugo@bloomberg.net Editor: Hitoshi Ozawaニューヨーク 西前明子 Akiko Nishimae anishimae3@bloomberg.net記事に関する記者への問い合わせ先:Simon Kennedy at +44-20-7330-7086 orskennedy4@bloomberg.net
更新日時: 2011/01/15 11:37 JST

http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90920021&sid=aRX8mz0K6R6o
【コラム】「世界のATM」が巨費をつぎ込む先は別にある−ペセック

  1月12日(ブルームバーグ):世界経済の関係が完全に引っくり返ってしまったことが、公の事実となった。

そうでなければ、欧州が途上国の中国や弱体化した日本に丁重に支援を求めることに、他にどんな理由が考えられるだろうか。中国には、沈みゆくユーロ圏を支援するよりももっと良い金の使い道があるはずだ。日本にも同じことが言える。デフレやまひ状態の中で、2007年9月以来6人目となる首相の誕生もあり得るのだ。

日本は、欧州連合(EU)がアイルランド救済のために設立した欧州金融安定ファシリティー(EFSF)が今月末に発行する1回目の起債分で、2割超程度を購入することを明らかにした。中国もすでに、債務危機が広がる欧州への支援を明らかにしている。ギリシャとアイルランドの救済は、より経済規模の大きいポルトガルやスペイン、そして恐らくイタリアの救済の前触れにすぎない。

いずれイタリアのような大国も救済しなければならなくなることは、中国や日本の当局者にEU発行債の大量購入に二の足を踏ませるはずだ。ただ、より考慮すべきことは、世界が本当に必要としているのは中国や日本の余剰資金ではなく、アジアの経済大国である両国がバランスの取れた持続可能な成長を達成することだ。

欧州の債務危機は始まったばかりだ。欧州の政策担当者がどんな対策を取ろうとも、切り下げられない通貨と膨らみ続ける膨大な債務を抱えていることに変わりはない。日本や中国がEU発行債を購入するのは一時的な応急措置にはなるが、ユーロ危機の避けられない悪化を食い止めることはできない。

ウィー・アー・ザ・ワールド

これはキャンペーンソングの「ウィー・アー・ザ・ワールド」的な瞬間だと考えた方がいい。1兆ドル(約83兆円)超の外貨準備を持つ日本は、経済的だけでなく外交的な配慮もしたのだ。欧州が困っている時に助けることは、過去の国力と栄光を失いつつある日本にとっては点数稼ぎとなる。日本の支援は、長期的な戦略というよりは、中国の後追い策のように思えてならない。

EFSF発行債の購入は大きなリスクであるようには思えない。格付けは「AAA」で、2011年中に最大165億ユーロ(約1兆7800億円)を調達する見通しだ。1回目は30億−50億ユーロ規模を予定しており、日本の購入額は10億ユーロ以上になるもようだ。ただ、欧州の債務危機が悪化すると、日本の投資状況は急激に悪化するだろう。

日本はあちこちで金をばらまくより、自国の景気回復に本腰を入れるべきだ。起業奨励のために大胆な取り組みを行い、巨額の国債やゼロ金利への依存を断ち切り、移民の受け入れを拡大することで、生産性と競争力を向上させなければならない。

借金に頼らずに

日本はこういった取り組みを全く行っておらず、それは世界経済成長見通しの足かせとなる。日本は欧州のように世界に危機を拡大させてはいないものの、現在の状態を続け、改革を回避していれば、危険水域に足を踏み入れることになるかもしれない。

日本の債券市場は、以前から圧力が高まっていた。公的債務は国内総生産(GDP)の約200%なのに、10年債利回りは1.2%を下回っている。いくら緩やかなデフレに直面しているといえ、ファンダメンタルズ(経済の基礎的諸条件)上は説明がつかない。日本国債崩壊のリスクは差し迫っている。日本は借金に頼らずに成長する方法を学ばなければならない。

一方、中国は財布の口を締めて、市場を不安定にする不均衡を是正すべきだ。最初の措置は人民元切り上げだ。中国は米国が求めているからではなく、自国の利益にかなうからこそ切り上げを実施すべきだ。上昇する食料品価格と原油価格は、景気過熱のリスクを悪化させるだろう。

もしイタリアが

中国の資金力は、2兆8000億ドルの外貨準備のたまものだ。国際通貨基金(IMF)が各国を救済するのに十分な資金を持っていた1990年代後半はとうに昔の話だ。スペインの救済が必要となったら、もっと大きな資金提供者が必要だ。といっても、イタリアのような大きな経済が崩壊したら(その可能性は排除できない)、アジアの貯蓄で賄うには十分ではない。

欧州当局がアジアに助けを求めることは驚くべきことではない。結局、金があるのはアジアなのだから。しかしそれよりも有益なのは、日本や中国が自国の経済を立て直すことだ。悲しいことに、どちらの国もそれを実行していない。(ウィリアム・ペセック)

(ウィリアム・ペセック氏は、ブルームバーグ・ニュースのコラムニストです。このコラムの内容は同氏自身の見解です)

翻訳記事に関する翻訳者への問い合わせ先:東京 亀山 律子 Ritsuko Kameyama rkameyama@bloomberg.net Editor:Masami Kakuta、Yoshito Okuboコラムニストへの問い合わせ先:William Pesek in Bangkok at wpesek@bloomberg.netコラムに関するエディターへの問い合わせ先:James Greiff at +1-212-617-5801 orjgreiff@bloomberg.net
更新日時: 2011/01/12 15:27 JST


http://jp.wsj.com/Japan/node_169366
【ブログ】日本の失われた20年から学ぶべきこと
The Source

* 2011年 1月 12日 15:45 JST


 たとえ日本に直接投資をしていなくても、日本の過去20年の経験はわれわれの思考に大きな影を落とす。

 残念ながら、その影を理解しようとすることは、その存在を認めることとは大きく異なる。

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神田明神
Bloomberg

仕事始めの4日、東京・神田明神で景気回復、商売繁盛を祈願するビジネスマンら
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神田明神

 年末休みにかけて、日本に対する自らの考えを整理しようと試みた結果、一連の疑問について自問自答するのが最も妥当だとの結論に至った。そこで、この場でそれをしてみようと思う。

われわれにとって日本は果たして重要か。

 重要だ。理由は2つある。日本は大規模な資産バブルの崩壊や銀行セクターの機能不全、長年のデフレを経験している。同様の不運を繰り返しているかにみえる米国にとっては、日本を参考にすることで、そうした事態がどういう経緯をたどるかを推し量ることができる。

 また、たとえ日本の例が米国の参考にならないとしても、日本経済のたどる道は世界の金融システムにとって重要な意味を持つ可能性がある。何だかんだ言っても、日本は依然世界第2位の経済大国であり、一人当たり所得が最も高い先進国の1つであり、巨大な金融セクターを有しているのだから。

米国は日本が味わった苦境を逃れられるか。

 米連邦準備理事会(FRB)のバーナンキ議長がそう考えているのは間違いない。そして、そのために今、最大限の努力を尽くしている。量的緩和策を2度にわたって実施しているのも、日本式デフレを繰り返さないようにするためにほかならない。

 FRBは、バーナンキ議長が昨年夏に初めて量的緩和第2弾の実施を示唆して以来、さぞかし市場の反応に勇気付けられたことだろう。景気は回復の兆しをみせており、インフレ期待値もいくらか上向いている。オバマ政権も、減税措置を中心としたものではあるが、一部景気刺激策の延長を決定した。

 残念ながら、金融政策が十分な効果をもたらすかどうかは不明だ。コアインフレ(食料品とエネルギーを除く物価上昇率)はかろうじてプラスを維持し、政策金利は実質ゼロ%の現状においては、財政刺激策が打ち切られた後が問題だ。

 日本にもその長きにわたる低迷期に何度か「回復」は訪れている。だが、金融や財政刺激策が手控えられるたびに、再びデフレに陥っている。

日本はようやく「正常な」回復を遂げつつあるのか。

 日本が20年間にわたって慣例的、あるいは極端な金融・財政刺激策を行ってきた理由は、1990年代の株式市場と不動産バブルの崩壊を原因とする総需要の落ち込みにある。そのケインズ理論の中心には、銀行セクターの債務が一掃され、過剰能力が縮小されれば、景気は自律的な成長軌道に戻るだろうとの考えが常にあった。

 だが、日本は15年間ほぼゼロ金利政策が続いている上、支出超過に陥っている。1992年時点では国内総生産(GDP)の12%にすぎなかった公的純債務は今年、130%に達する見込みだ。

 2000年代初頭の1.9〜2.7%という成長率は一見妥当に見える。だが、1980年代のそれと比較すると微々たるものだ。当時日本は世界の頂点に立ち、GDPは年平均約4.5%のペースで拡大していた。しかも、その過去10年に訪れたわずかな成長さえも依然公的刺激策に大きく依存したものであった。

 日本のトレンド成長率の低下の原因は総需要の落ち込みではなく、人口構造の変化にあるとする向きもある。だが、だとすれば、なぜインフレは上向かないのか。

日本の公的刺激策は限界に達しつつあるのか。

 10年物日本国債の利回りはわずか1.2%程度であるにもかかわらず、日本は巨額の公的債務を抱えているため、利息の支払いだけで政府収入の4分の1以上が消えてしまう。

 国際通貨基金(IMF)は、日本の年間赤字は今後10年ほぼGDPの7.5%程度で推移すると予想している。そうなれば、いずれ投資家は日本の返済能力に懸念を抱き始めるだろう。

 それは日本がデフォルト(債務不履行)に陥る公算が高まるからではない。日本の債務はほぼ国内の投資家が円で保有しているため、いざとなれば日銀が紙幣を増刷すれば済むからだ。それよりも、政府には赤字を統制・削減する能力がなく、紙幣増刷は債務の貨幣化に直結するとの懸念が払しょくできなくなる可能性があるためだ。

日本の行く末はどうなるのか。

 巨額の債務負担を抱え、赤字を削減できず、債務の貨弊化に走るとなれば、日本のたどるべき道は1つしかない。インフレだ。しかも、ちょっとしたインフレではなく、ハイパーインフレだ。こう予想するのは、フランスの金融大手ソシエテジェネラルのストラテジスト、ディラン・グライス氏。同氏の主張には残念ながら説得力がある。

 こうした日本の大きな「巻き戻し」は、遅かれ早かれいずれ訪れる可能性がある。それは皮肉にも、世界的な景気回復期待を背景とする債券利回りの上昇によってもたらされる可能性がある。そうなれば日本経済は、たとえわずかな利回り上昇であっても、金利負担の増加によって赤字がさらに拡大し、その結果さらに金利が上昇するという悪循環に陥る可能性がある。

 これまで日本の国内投資家は政府債務の穴埋めに甘んじてきた。だが、高齢化に伴って国内貯蓄率は減少している。近い将来貯蓄率はマイナスになり、政府は海外投資家に資金を頼らざるを得なくなるだろう。だが、海外投資家は、損失の見通しが高い投資に対して1%の利回りでは満足しない。

そうなった場合、他国にどのような影響が及ぶのか。

 日本がハイパーインフレで立ち行かなくなれば、さまざまな事態が発生する可能性がある。

 投資家は間違いなく日本の債券市場から去っていくだろう。そうなれば、ほかの「良質な」ソブリン債に投資家が流れるのか。あるいはソブリン債にはすべて、より高いリスクプレミアムが課されるべきだとみなされるようになるのか。その場合、他の投資商品が選好される可能性もある。恐らくは、コモディティーのように政府が発行できないものだろう。

 そうなれば、世界中の市場に深刻な影響がもたらされるのは確実だ。

記者: Alen Mattich 翻訳: 原 尚子

http://jp.wsj.com/Life-Style/node_167922
【オピニオン】「ニューノーマル」は新しくない
ジョン・バッシー

* 2011年 1月 7日 20:24 JST
 
 「ニューノーマル」について書かれた文章を目にすることが多い。そして、この言葉を目にするたび、この3月に91歳になる父とウォルマートで買い物をした時のことを思い出す。
イメージ

 父は、ドーナツひと箱2ドル50セントの表示の前を通り過ぎた。私の父は、節約を至上の喜びとし、家の修理にはダクトテープが何よりも役立つと考えるタイプだ。

 「父さん、2ドル50セントで焼き立てのドーナツひと箱だよ。これは買うしかないね」と私は意地悪く言ってみた。

 「くだらん。明日になれば、一日過ぎただけで1ドル25セントになるぞ」と父は返した。

 父の世代とその次の世代にとって、「ニューノーマル」は決して目新しいものではない。事実、それは昔から存在する。

 この最新の流行語は具体的に何を意味するのか。われわれが収入を上回る生活をしてきたという”驚愕すべき”事実が判明し、この流行語が生まれた。3年間の経済危機は、この新たな決まり文句に息吹を与え、これからはもっとコストを意識し、賢明になるべしとわれわれを戒めた。新聞、テレビ、ブログ、ありとあらゆるところにこの言葉は顔を出した。ルッコラに別れを告げ、これからはマカロニとチーズを食べる。それが「ニューノーマル」だ。

 しかし、父や他の何百万もの米国人が証明する通り、そういったことが「ニューノーマル」では決してない。父はおそらく、アメリカ全般を象徴している。彼はルッコラなぞ買わない。普通の昔からある「ノーマル」だ。

 「十代のように腹を空かせれば良いだけさ。(当時の生活が)どんなに大変だったか知らないだろう」と父は言う。父と私は、フロリダにある父のアパートで、ブリトー(トルティーヤに具材が包まれた食べ物)の食べ残しをウォルマートのブランド「グレートバリュー」のラップでくるんでいた。

 父はミネソタ出身で、いくつかの誇らしい功績を除き、自分のことはあまり語りたがらない。彼は、一言でいうと、実用主義者だ。棚の上には「グレートバリュー」の食器用洗剤のボトルがあるが、父はそれを薄めて使い、何カ月ももたせる。「グレートバリュー」ブランドのオートミール、マッシュルームのクリームスープもある。

 父は、ビーチに建てられた住宅を購入する余裕はあったものの、大きな施設の一角にある質素なアパートを買った。ベッドルームは湖に面し、キッチンは駐車場に面している。「完璧だ。これで十分。道を下りていけば葬儀場もある」。父が次に言うのは年齢に関するお気に入りのジョークだ。「気に入らないのは保険数理表に勝っている(長生きをしている)ことかな」

 ここ数年で、我々兄弟は古びたストーブを替え、黄色い毛足の長い絨毯(じゅうたん)を処分、新しい安楽椅子を受け入れるようついに父を説得した。彼は今でも第二次世界大戦時代の紙ばさみを持ち、書類入れとして愛用している。

 父は若い頃、たいてい家族ぐるみの友人と簡易宿泊所に泊まったり、働いていた移動遊園地の防水シートの上で疲れて眠った。バスの運転手とその妻が父に1週間で10ドルの宿代をくれたこともあった。

 父が自分の母親に会うのはまれだった。彼の父親は善良な人物だったが、ほとんど家を空けていた。そんな父を繋ぎ止めたものが2つある。ミネアポリスのマーシャル高校と軍隊だ。どれだけ多く簡易宿泊所に泊まろうとも、父はマーシャル高校に通い続けた。そして結局、日に三度の食事を父に与えたのは軍隊だった。

 父を勇気づけるものはそれで十分だった。彼は大学に進み、州兵に入隊、陸軍の情報機関に勤務した。情報機関にとどまり、陸軍予備役を務め、最後は大佐として引退した。父は現実の戦争も冷戦も経験した。世界大恐慌の時代、移動遊園地のアルバイトで生き延びた少年が、1961年にベルリンの壁が建設された時に共産勢力と戦い、ベトナム戦争が終結した1975年4月のその夜には、サイゴンの大使館の屋根からヘリコプターで脱出した。テヘランの米大使館が最初に襲撃された1979年2月、彼は待機していた。

 父はその間、3人の息子を大学に進学させるだけでなく、少年の頃に寝る場所の世話をし、庭のトマトのジュースを毎年送ってくれたリディアおばさんのような古い友人や、軍隊の慈善活動に小切手を切ることも惜しまなかった。

 ほとんど何もない所から始まり、質素な暮らしを続けた父の話は、米国の歴史においては普通であるという点で注目に値する。また、「ニューノーマル」が米国を覆い尽くし、浪費家の権利を脅かしているとの概念を広める向きにとっては、父の話は珍しく思われることも特筆しなければならない。

 可処分所得に占める個人貯蓄の割合は、この国が浮かれムードの頂点にあった2005年に1.4%と目を背けたくなるほどの低水準にあったが、過去数カ月でじわじわと上昇、約6%に達した。しかし、今からさほど遠くない1982年には、米国は10.9%もの貯蓄率を誇っていた。

 間違いなく、私の父が貯蓄率を押し上げたのだろう。しかし、私の目は、父に――そして、父と彼のような人々に代表される不屈の数十年に向かう。そして、「ノーマル」についての最新の解釈には「新しさ」をあまり感じない。

 そうはいっても、私は、父が新しい食器のセットを買ってくれればと願っている。私が小学生の時に使ったプラスチックのシリアル用ボウルを父はまだ使っている。

 「完璧だよ。十分使える」と父は言う。

(ジョン・バッシーは、ウォール・ストリート・ジャーナルのエグゼクティブ・ビジネス・エディター兼アシスタント・マネジング・エディター)

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コメント
 
01. 2011年1月16日 20:38:19: ibwFfuuFfU
父さん、2ドル50セントで焼き立てのドーナツひと箱だよ。これは買うしかないね」と私は意地悪く言ってみた。

 「くだらん。明日になれば、一日過ぎただけで1ドル25セントになるぞ」と父は返した
---------------------------------
これは一見堅実に聞こえるが、

 「明日になれば、一日過ぎただけでドーナツ表面の油は酸化が進んで(ただでさえ飽和脂肪の関係で体に悪い)ドーナツがますます健康上のリスクとなる点を無視すればね。


02. 2011年1月16日 23:07:30: mHY843J0vA
>スーパーサイクル、新興国の経済発展と、先進国の相対的縮小と地位の低下

一時的な新興国バブルに終わるのか、本当に長期的な新興国のGDPの拡張が続き、世界の覇権変更につながるような変化になるのかの判断は難しいですが、基本的に、上下動しながら、先進国(特に日本)のシェアが低下していくことは間違いなさそうです。
その場合、投資対象へのホームバイアスを捨てた投資家が勝つことになり、日本株を黙って持てば長期的に勝つという時代では無くなるのは確実なんでしょう


03. 2011年1月17日 14:47:12: z6FPymHZG6
ドーナツの話はみんながそう思えば、ドーナツ屋は廃業するしかない
あるいは値下げせずに捨てることそれが正しい選択だろう

煎餅屋は
割れ煎餅など本来は存在しないのに、割れだと売れるからといって
割っているらしい

息子の治療に割引券を探しているうちに息子の足を切断しなければならなかった
へティ・グリーン

倹約や節約は美徳だが、相手の値引きを期待するというのはやりすぎだろう
日本がデフレに陥ったのもこのパターンだから



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