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完全雇用でないときは保護主義は得か?
http://www.asyura2.com/10/hasan70/msg/729.html
投稿者 tea 日時 2011 年 1 月 21 日 20:41:38: 1W1IXELjjF6i2
 

中野剛志は
「完全雇用が達成されていない時は、保護主義で、内需を囲い込んで雇用(高い価格と売上)を守るのが合理的」
と主張することで関税による保護主義を擁護している。

 この説自体は、現時点の(まだインフレが顕在化していない)デフレ不況の先進国(特に再分配の安全網整備が遅れ、しかも財政赤字で財政出動が難しい日本)では、説得力をもつだろう。

 ただし、これは、本来、政府が行うべき財政支出(構造失業対策、安全網整備、都市インフラ整備、高齢者住宅整備、子育て施設充実・・)や規制緩和による産業構造改革を行っていないことによる。

 つまり需給ギャップが存在し、完全雇用でない場合、将来的に必要な財政出動を行っても、全く問題はないのだが、過去の非効率な支出(ダム、堤防、道路、公民館、天下り施設・・)のトラウマため、政治的な理由で、行えなくなっている。

 政治の機能不全が、皮肉にも、保護主義の根拠となっているわけだ。

 ただインフレが顕在化してくれば、関税による割高い国内価格は、さらに高くなっていくことになる。特に海外の穀物や石油を消費する製品では顕著になる。
 さらにコストプッシュインフレで国内生産が停滞するケースでは、過去のバターのように、価格高騰で庶民は困るが、天下り関税団体は暴利を貪るといった事態もありうる。
 
 つまり、現実は関税維持がメリットばかり(TPPはデメリットばかり)というわけではない。


http://hakusanjin.cocolog-nifty.com/blog/2009/05/514-2c51.html
中野氏の<保護主義の何が問題か?>を読んでみよう。少し長いから、時間をかけて書き写してみる。

 <保護主義の台頭が問題になっている。保護主義とは、国内産業を守るため、関税などで輸入を制限することである。公共事業で使う鉄鋼を国産のみとする米国の「バイアメリカン」政策が、その典型だ。>

 <保護主義は世界不況を悪化させると、誰もが心配している。経済学者は皆、保護主義を国家のエゴだと批判する。サミットはいつも保護主義阻止で合意する。しかし、実に奇妙なことなのだが、なぜ自由貿易が望ましいのかについては、根拠がはっきりしないのだ。>

 <自由貿易は良いことだというのが、アダム・スミス以来の経済学の常識ではある。二つの国が相対的に得意とする製品に特化し、自由に貿易を行えば、両国にとってメリットがあるという「比較優位論」は、経済学の基本中の基本だ。>

 <ところが、この比較優位論は、実は、いくつかの特殊な前提の上に成り立っている。その一つは、各国が完全雇用の状態にあるという前提だ。しかし、今は、どう考えても、世界中で失業者があふれ、完全雇用からはほど遠い。自由貿易を正当化する理論の前提が、今は崩れているのだ。>

 <自由貿易のメリットを実証した研究は、あるのだろうか。それについては、両方あって、よく分からない。例えば、メリーランド大のロドリゲス氏とハーバード大のロドリック氏の「貿易政策と経済成長」(2000年)は、保護貿易が経済成長を妨げるとは言えないと結論する。>

 <また、ケンブリッジ大のチャン氏による経済史研究『はしご外し』(2003年 未邦訳)によれば、英米は保護貿易によって発展し、大国になった。そして、自国が大国になると、他国には貿易自由化を強要し、自国の優位を確保した。自由貿易が経済発展をもたらすという理論は、歴史的には実証できないというのだ。>

 <経済史の通説は、保護主義こそが1930年代の世界恐慌を悪化させたとしている。当時のアメリカは、自国の産業を保護するために「スムート・ホーレイ関税法」を定めた。他国も報復として自国の関税を引き上げ、自由貿易体制は崩壊した。その結果、世界経済が縮小し、恐慌は深刻化した。世界恐慌の教訓とは、保護主義の阻止に他ならない。これが通説だ。>

 <ところが、この通説も盤石ではない。テミン氏の『大恐慌の教訓』(1994年 東洋経済新報社)、マサチューセッツ工科大のドーンブッシュ氏とフィッシャー氏の分析(1984年)、ハーバード大のアイケングリーン氏の論文等(2001年)は、保護主義の悪影響は、通説に反して限定的だったと主張している。保護関税は輸入を制限することで内需を拡大する効果があり、その効果により保護貿易のデメリットは減殺されるという。>

 <このように、保護主義は、心配されているほど、危険なものではないのかもしれない。それどころか、世界不況の今、恐るべきなのは、むしろ自由貿易の方かもしれないのだ。>

 <自由貿易は安価な外国製品の流入や競争の促進によって、物価を下げ、消費者にメリットを及ぼす。しかし、それは、裏を返せば、物価や賃金の下落(デフレ)の圧力がかかるということだ。現在、世界中がデフレを心配しているが、自由貿易は、このデフレを悪化させる恐れがあるのだ。>

 <また、現在、世界各国が、内需拡大のため財政支出を拡大している。その財政支出の出所は、言うまでもなく税金だ。しかし、血税によって拡大した需要が、貿易を通じて外国企業にとられてしまうとしたら、政府は、納税者に対する説明責任を失ってしまう。だから、米国は、公共事業用の鉄鋼を国産に限ったのだ。「バイアメリカン」政策は、確かに貿易の自由主義には反するが、「国民の負担による利益は国民にもたらすべし」という民主主義には合致しているのだ。>

 <保護主義は、貿易によるデフレ効果を減殺する。そして、デフレ対策として必要な財政出動の恩恵が、国外に流出するのを防ぐ。ならば、世界デフレ対策として、貿易の保護や管理を、ある程度認めてもよいという議論が、もう少しあってもよいはずだ。しかし、それが殆どない。>

 <もちろん、過度な保護主義は、確かに危険だ。保護貿易の行きすぎや乱用を防ぐのは、ひとえに政治の思慮深さによる。問題は、現実の政治に思慮深さを期待できるかだ。>

 <自由貿易論者の答えは「ノー」であろう。政治が信頼できないから、政治介入を一切排する自由貿易が良いとなる。多くの人が、証拠不十分でも自由貿易論を疑わないのは、それが、政治抜きでも秩序と繁栄は可能だと唱える「原理」だからだろう。自由貿易論は、政治不信に深く根を下ろしている。>

 <しかし、自由貿易を推進するのもまた、政治だ。政治がいかに信頼できなくても、政治抜きの世界へは逃げられない。非現実的なパラダイスを夢想し、議論もせずに「原理」に固執するのを「原理主義」という。色々議論した上で、保護主義を否定するなら、すればよい。しかし、議論なき原理主義は、保護主義以上に危険だ。そこで本稿は、敢えてタブーに挑戦し、保護主義を積極的に論じてみたという次第である。>

 一気に読める。痛快な内容である。ケンブリッジ大のチャン氏の説は説得力を持っているように見える。アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、日本。先進諸国の論理はまだ罷り通るのだ。  

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コメント
 
01. 2011年1月27日 14:39:10: cqRnZH2CUM
日経ビジネス オンライントップ>政治・社会>田村耕太郎の「経世済民見聞録」
「食糧自給率」より「稼ぐ農業」!
イスラエル、オランダ型農業で日本農業を再生せよ

* 2011年1月27日 木曜日
* 田村 耕太郎

食料自給率  イスラエル  点滴灌漑  オランダ  中国  マーケティング  高付加価値 

カロリーベースの呪縛

 日本農業を、自給率という“呪文”を唱えつつ補助金漬けにして、これ以上弱めてはならない。日本財政は間違いなく、補助金を払い続ける余裕をなくしていく。いくら補助金を出しても、農業がよくて終始トントンくらいなら、担い手が現れず、生産力も自給率も落ちていくだろう。TPP(環太平洋経済連携協定)に入ろうが入るまいが、日本農業は廃れてしまう。

 日本の農業小国ぶりを訴える指標として農水省が採用しているのがカロリーベースの自給率だ。国民1人当たりの国内生産カロリーを1人当たり供給カロリーで割ったもの。

 ちなみにカロリーベースで自給率を計算している国は日本だけだ。高カロリーな畜産物の自給率を、飼料穀物の自給率と掛け合わせて計算する。日本では家畜の飼料をほとんど作っていない。畜肉や鶏卵や牛乳が国産でも、エサが外国産なら、それは国産とカウントしない。よってカロリーベース自給率は40%と相当低く出る。ちなみに金額ベースの自給率(消費した農産物の金額のうち国産の金額)を見ると70%となっている。

 われわれは食糧自給率を心配しなければならないのだろうか? 現実的に検討してみよう。

 日本の農産物輸入元は大半が米国、豪州、タイ、カナダといった、いわゆる民主主義と市場経済を基本とする国だ。加えて、食糧は国家が国家から買っているのではなくて事業会社同士の売買である。たとえ、何か天変地異や紛争があってある国の会社から買えなくなったとしても、別の国の会社にとっては大きなビジネスチャンスとなり、売り手確保には困らないと思う。

 例えば、深刻な紛争などにより国家単位で食糧のやりとりが止まるときもあるかもしれない。そんな事態となれば、まずは自給率が4%しかないエネルギーのやりとりが止まるだろう。コメも炊けなければ肉も焼けない。

 食糧自給率にこだわって、外国産に比して競争力のない作物を作り続けることは、農家にとっても、それ以外の国民にとっても大きな負担である。それよりも、日本にしかできない農産物の作り方、売り方に特化して、稼げる農業をたくさん作り出し、生産力を上げていくべきだ。輸出競争力がつけば、それが安全保障の人質になる。

 わが国は気候、土壌、水資源と、世界有数の農業好条件に恵まれている。日本固有の農業技術に、IT、バイオ、代替エネルギー、素材など、日本が得意とする他産業の英知も結集し、稼げる農業を実現すべきである。世界には不利な条件にもかかわらず、農業を立派な輸出産業にしている国がけっこうある。稼げる農業にしているのだ。

イスラエル:砂漠の中の農業大国

 その中でも劣悪な環境の中で、奮闘する2つの小国農業を紹介したい。まずは、砂漠の農業立国イスラエル。中東に位置し、国土の60%が乾燥地に覆われている。雨季は11月から4月までの間しかない。その降雨量は北部で平均700ミリ、南部では50ミリ以下である。ちなみに、農業県の新潟、高知、鹿児島の降雨量は1800ミリから2500ミリである。

 この過酷な条件にもかかわらず食料自給率は93%以上を維持している。イスラエルの農業人口は8万人。一方日本の農業人口は400万人。現在の農業輸出高は21億ドルでほぼ同じだ。イスラエルは日本の50倍の生産性を持っていると言える。

生産性は日本の50倍、品質も世界一厳しい独基準を技術力でクリア

 降水量に乏しい乾燥地帯のイスラエル農業はすべてが施設園芸。通常、施設園芸の最大の敵は病害だ。農薬の使用は避けられない。であるにもかかわらず、イスラエル農業は病害や薬害を克服した。イスラエルが砂漠で栽培しているトマトは、イタリア産やオランダ産を抑えて、欧州で最高の品質として重用されている。残留農薬で世界一厳しいドイツの基準をクリアしている作物も多い。これはとてつもなくすごいことなのだ。その秘密は、土壌改良から温度管理まで徹底した30年にわたる研究にある。

 日本の農産物の安全性は高いと思っている日本人が多い。だが、世界一の安全基準を誇るEUの基準をクリアできないものが多いのが現実だ。中でもドイツの基準をクリアできるものはわずかしかない。

 イスラエルの農業生産高は過去30年で約5倍に成長。しかし、水の使用量はほとんど増えていない。これを可能にしたのが点滴灌漑という技術だ。イスラエルはこの技術を、乾燥地に覆われる中東をはじめ、中国からブラジルまで世界中に輸出している。イスラエルでは農業はハイテク産業であり、情報産業なのだ。

農業技術を対中外交のカードに利用

 イスラエルは農業技術を武器に中国との関係を強化している。中国側は「イスラエルの節水農業技術が取得できるなら何を犠牲にしてもかまわない」とまで言い切る。中国国家ファンドも、イスラエルの農業技術を中国へ移転するべく、大きな投資をしているほどだ。

 イスラエルの農業技術の中核は、節水技術である。また、作物の生育をコントロールする技術でもある。中国は既に、大量の農業技術者を労働者としてイスラエル本国の農場に派遣し、技術を吸収中だ。水資源不足に悩む中国は節水技術と農産物の高品質化を習得している。

中国産のイメージ変わる?!

 話題はそれるが、年間輸出額が300億ドルを超える世界最大級の農業輸出国となりつつある中国が、イスラエルの農業技術でさらなる効率向上、高品質化、安全性向上を実現したらどうなるか。日本は隣国として多大な影響をこうむるだろう。確かに日本産の農作物は美味しいが、いつまでも競争力があると思っていてはいけないと思う。日本農業の生産力と生産性を落としてしまったら、日本市場は中国産農作物に席巻されるかもしれない。

 エルメスが中国製品のブランドイメージ向上に働きかけ始めたように、イスラエルの技術が、中国産農産品のイメージと実態を変えるだろう。マンガもアニメも韓国に追いつかれて、やがて13億人から才能あるコンテンツクリエーターが生まれるだろう。

 一つ意外な話を紹介しよう。イスラエルの錦鯉だ。日本の専売特許と思っていたら、イスラエル産錦鯉が品質でも価格でも競争力がある。中東産油国の富豪は全身ゴールドの鯉が好きだ。21金バーション、22金バージョン、18金バージョンなどがある。

 以下にイスラエル農業の生産性を示す指標を掲載する。いずれも世界最高水準だ。
10アール当たりのトマト最大生産量・・・・・50トン
10アール当たりの1シーズン温室バラの生産本数・・・・・30万本
10アール当たりのかんきつ類生産量・・・・・8トン
乳牛1頭当たりの年間搾乳量・・・・・1.2万リットル以上
鶏卵の初年度産卵数・・・・・308個

オランダ:世界最強の小国農業

 イスラエルの次に紹介するのはオランダ。チューリップとチーズは有名だが、実は意外にも世界最強の農業国なのだ。

 オランダが、国際的に農業で稼ぐ上で、不利な条件を挙げてみよう。まず国土面積の狭さ。国土面積は日本の5分の1しかない。平坦な土地が多いが、それでも耕地面積は日本の4分の1。次に農業人口の少なさだ。総人口に対する農業者の比率は2・5%で日本と同規模だが、実数は43万人で日本(305万人)の 7分の1以下の規模だ。低温で日照時間にも恵まれない。日本の近くに例えればサハリン北部に相当する厳しい気候だ。また、人件費も高い。パートタイム労働者の時給が2000円近くする。

 それでいて、強い農業を形づくっている。農業輸出額は680億ドルでアメリカに次ぐ規模だ。これは日本の30倍に相当する。日本の農業貿易は440億ドルの赤字だが、オランダは世界最高の250億ドルの黒字だ。小さくても世界で稼げる農業を実践している。

 オランダの農業生産性は非常に高い。日本の7分の1以下の農業人口で、日本の2.5倍の量のばれいしょ、1.3倍の甜菜、3.5倍のマッシュルーム、1.2倍の豚肉、1.3倍の牛乳、を生産している。牛肉生産量も日本の8割以上である。

 一言でいえば、自給率へのこだわりを捨てて、高付加価値なものに特化しているのだ。小麦1トンの売り値は340ドル。トマトなら1200ドル。チーズなら5600ドルだ。

 オランダは「稼ぐ農家」を実践することによって、農業を強くしている。食糧自給率を上げるためにはトン当たり利益の少ない飼料や穀物を作らねばならない。それらでは利幅は薄く農家は儲からない。オランダはチーズや肉、トマトやパプリカ、マッシュルーム、そしてイチゴにという単位面積当たりの利幅が高く、農家が潤う品目に特化した。結果的に、自給率は14%まで落ちたが付加価値ベースでは世界最高水準の農業を実践している。

新潟のコメも、長野のレタスも勝算があったわけではない

 肥料、飼料、農薬、農業機械の品質が向上し、世界の食糧生産は世界の人口の増加率を超えて急増している。窒素肥料の登場でコメや穀物の単位当たり収量は5倍になった。世界人口が2倍となるのに要した期間で牛肉の生産量は4倍になっている。

 「そんなに簡単に儲かる品種を作れるわけがない」との反論もあるだろう。しかし、今の全国区の稼げる品種も、元々、確たる勝算があったわけではない。また恵まれている地域だけが成功しているのではない。もともと新潟のコメは日本一まずく「鳥も食べない“鳥またぎコメ”」だった。そこで新潟は、味にこだわり勝負に出た。おいしいものの、稲が倒れすくて人気がなかったコシヒカリ導入し、新潟米への評価を一気に逆転。日本一うまい米を作る名産地となった。

 「高原レタス」でレタス長者を数多く生み出した長野も、もともと気温が低く、冷害ばかりが有名だった土地だ。朝鮮戦争のとき、米兵に供給する目的でレタスを作り始めた。高温に弱いレタスが、夏でも見事に出来ることで、名産地となった。

オールジャパンでマーケティング戦略を導入せよ

 オランダは効率的な施設園芸で、ハンディを克服し、世界一強い農業を実現している。なんといっても、思い切って“選択と集中”を実践した。施設野菜では、トマト、パプリカ、きゅうり、いちごが、栽培面積のほぼ4分の3を占める。これらの4品目に、集中的に投資している。国を挙げて品種に取り組み、それを生産する施設設備を導入する。そしてネットを活用して、世界各地の需要(トマトやパプリカの色、大きさ、甘さなど)を徹底的にリサーチする。そして、最も高く売れるタイミングを予想し、それに合わせて生産体制をしく。カラフルで可愛らしいパッケージで消費者を引き付ける。

 労務管理も徹底している。高価なパートタイム労働者を無駄遣いしない。収穫や栽培にロボットを大量に導入し、人件費削減を図る。流通や施設園芸にかかるエネルギーについても研究開発を怠らない。代替エネルギーを開発したり、使用済みエネルギーを再利用したりして、施設園芸のアキレス腱であるエネルギーコストを大幅に下げている。

 こうして、生産した作物のほぼ80%を輸出し、世界中で稼いでいる。

 日本だと、鳥取産とか、宮崎産とか、地域をベースに農作物をブランド化して競う。これは長く国内競争だけを想定してきたからだろう。オランダやアメリカは、ポテト、トマト、ビーフ、マッシュルームと作物ごとに連合して競う。“アメリカンポテト”はいかが? “オランダチーズ”を買ってと!という感じだ。オールアメリカ、オールオランダで、作物別に連携して世界に大攻勢をかけるので、資金力も政治力もけた違いに大きい。だから国外の市場においてパワーが違う。

 稼げる品目に特化して、バイオ技術使って品種改良し、施設園芸、代替エネルギー、省エネ、ロボット、インターネットの技術を総動員する。こういう農業なら日本が得意とするところではなかろうか? マーケティング――生産予測から市場ニーズ調査、魅力的なパッケージングの開発まで――も導入すれば農業は大きく変わると思う。

 あらゆる産業の力を、オールジャパンで導入し、日本の農業をさらに稼げる事業に変えていってはいかがだろうか?

 イスラエルやオランダの奮闘振りを見れば、日本農業に無限の可能性を感じることができる。
このコラムについて
田村耕太郎の「経世済民見聞録」

政治でも経済でも、世界における日本の存在感が薄れている。日本は、成長戦略を実現するために、どのような進路を選択すればいいのか。前参議院議員で、現在は米イェール大学マクミラン国際関係研究センターシニアフェローを務める筆者が、海外の財界人や政界人との意見交換を通じて、日本のあり方を考えていく。

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著者プロフィール

田村 耕太郎(たむら・こうたろう)

田村 耕太郎 米エール大学マクミラン国際関係研究センターシニアフェロー。前参議院議員、元内閣府大臣政務官(経済財政政策担当、金融担当)、元参議院国土交通委員長。早稲田大学卒業、慶応大学大学院修了(MBA取得)、米デューク大学ロースクール修了(証券規制・会社法専攻)(法学修士号取得)、エール大学大学院修了(国際経済学科及び開発経済学科)経済学修士号、米オックスフォード大学上級管理者養成プログラム修了。


02. 2011年1月27日 20:04:23: cqRnZH2CUM
農家戸別所得補償制度は悪くない
5つの誤解とあるべき制度
http://www.dir.co.jp/souken/research/report/harada/11012401harada.pdf
2011年1月24日
専務理事チーフエコノミスト 原田 泰
【サマリー】

◆農家戸別所得補償制度は欠陥が多いという意見が多いようだが、本来の制度を行うのであれば、優れた制度である。また、これによって、TPPにも参加できるのであるから、さらに優れた制度となる。

◆農家戸別所得補償制度に関する5つの誤解を解いて、本来なすべき「デカップリングされた所得補償制度」を採用すべきことを訴えたい。

農家戸別所得補償制度でTPP にも参加できる

農家戸別所得補償制度はトンデモない制度だという意見が多いようだが、私は
悪くないと思う。もちろん、新たに予算を増やすのではなくて、既存の農業予算
を戸別所得補償に置き換える場合である。また、これでTPP(環太平洋戦略的経済
連携協定)に参加できるのであるから、TPP 参加で得られる利益(内閣府の試算に
よれば約2.4〜3.2 兆円である)を限度として、予算を増額する価値がある。TPP
は、FTA(自由貿易協定)一般や日本が他の国と結んでいるEPA(経済連携協定)
と較べて、国内産業保護制限の度合いが厳しいため、TPP に参加できれば、さらに
FTA やEPA を締結しやすくなる。その利益を含めれば、TPP の利益はさらに大きな
ものとなろう。

はじめに、農家戸別所得補償を行うためにどの程度の予算が必要なのかという
概算を示しておく。日本の農林水産業総生産額(売り上げから機械、肥料、農薬
などの投入費用を除いた付加価値)は5.6 兆円である。しかし、農業のすべてで
競争力がない訳ではない。野菜、果実、鶏卵などは競争力を持っている訳だから、
これらには戸別所得補償が要らない。競争力のあるものの産出額はすべての農林
水産業総産出額の3 割程度だから、農林水産業総生産額5.6 兆円の7 割、すなわ
ち3.9 兆円について戸別所得補償が必要となる。生産費と価格との差が総生産額
の半分とすれば、2 兆円弱で戸別所得補償が可能になる。現在使われている農業予
算は2.5 兆円であるから、予算を増やさず、戸別所得補償が実現できるはずだ(こ
れらの数字は農林水産省ホームページ農林水産データ集、財務省ホームページ日
本の財政関係資料などによる)。

農家戸別所得補償への5つの反対論

農家戸別所得補償が望ましくない理由として、第1 に、零細農家にも配るバラ
マキだから、農業の大規模化を阻害するという議論がある。第2 に、平均的には
赤字になればなるほど補償額が増えるのだから、効率化を阻害するという議論が
ある。第3 に、戸別所得補償によって農地の貸しはがしが起きるという議論があ
る。第4 に、戸別所得補償を行えば、平均的には生産費を上回る価格で購入して
もらえるのだから、生産は拡大してしまい、コメは余る。第5 に、コメが余れば、
米価が下がるか、在庫が溜まる。下がった米価と生産費の差額を補償していれば、
財政支出はいくらでも膨らむ。在庫が溜まるのであれば、減反を強制するしかな
くなるという批判がある。減反は一律にせざるを得ないから、生産性の高い農家
も減反する。これでは生産性は高まらないというのである。

以下、これら5つの議論に対し、順次反論を書いてみたい。

第1 に、農業の大規模化を阻害するという議論がある。しかし、農業の大規模
化が望ましいのは、大規模にすると効率が高まるからである。すると、生産物当
たり同じ額の補償をしている限り、大規模な農家の利益は大きく、小規模な農家
の利益は小さくなる(現実には土地の広さに応じた補償になる可能性があるが、
これは生産量にほぼ比例するだろう)。戸別所得補償制度が大規模化を阻害する
というのは当たらない。もちろん、小規模農家には補助せず、大規模農家にのみ
補助すれば、大規模化はもっと促進されるかもしれないし、必要な予算額も節約
できる。ただし、図表1 に見るように、1 ヘクタール未満の農家の耕地が全耕地面
積に占める比率は22.4%にすぎず、節約できる予算は2 割余である。

しかも、大規模農家のみに限定して所得補償政策を行うことは政治的に難しい。
どこで線引きするかといえば、例えば1ヘクタール程度だろう。図表1に見るよ
うに、田のある農家は174 万戸あるが、うち98 万戸が1 ヘクタール未満の農家で
ある。半分以上の農家に補償しないというのはなかなか難しいのではないだろう
か。また、1ヘクタール以上の農家にのみ補償するとすれば、すべての農家が1
ヘクタールの経営を維持しようとするだろう。これでは、1ヘクタールをわずか
でも上回る土地を持った農家の土地は流動化されず、むしろ大規模化を阻害する
面もある。2 割程度の無駄は、あらゆる政策につきものと割り切ってしまった方が
良いのではないだろうか。

図表1 田のある農家規模分布の状況
(出所)農林水産省「農林業センサス2005」

既存の農業予算にはもっと効果が分からないものがいくらでもある。例えば、
マルシェ・ジャポン・プロジェクトである。これは大都市のビルの一部を借りて
農産物の仮説市場を作るというものである。農水省の説明によれば、農業者が大
都市の消費者と対面で自ら生産した作物を直接販売することにより、生産者は消
費者の反応を直接感じ、都市住民は農山村への理解を深めることができるという
ものだ。説明は一見もっともらしいが、予算6 億のうちほとんどがビルの賃貸料
となっている。あまりにバカらしいので2009 年11 月の行政刷新会議の事業仕分
けで廃止となった。

第2 の反対論として、平均的には赤字になればなるほど補償額が増えるのだか
ら、効率化を阻害するという議論もある。しかし、平均で赤字が増えれば補償額
が増えるからと言って、自ら赤字を増やす人はいない。皆が赤字でも自分が黒字
であれば、より利益が大きくなる。これは地方交付税とは異なるものだ。地方交
付税なら、赤字の自治体ほど潤沢な補助金が来るから、あえて赤字を作ろうとす
る地方自治体はないとしても、自ら効率を向上させ、黒字にしようという自治体
の意欲を削ぐことは間違いない。しかし、戸別所得補償で補償されるのはあくま
でも平均の赤字であって、各農家が作った赤字ではない。平均と自分とは切り離
されている。

貸しはがしは関係ない

第3 の反対論として、農地の貸しはがしが起きるという議論もある。議論だ
けでなく、実際に起きているという。しかし、そもそも自分でコメを作るより、
地代を得た方が得だから農地を貸したはずだ。戸別所得補償で、実質的に販売収
入が増えるなら、借りている人の収入も増えるはずである。であるなら、その分
を地主に渡せば、地主が自らコメを作ろうとはしない。なぜ、貸しはがしが起き
るのか理解できない。

もっとも、農家戸別所得補償は地主を儲けさせるだけで農業者の利益にはなら
ないという批判はあるだろう。批判は正しいが、あらゆる農業保護政策は地主の
利益になるものだ。輸入を禁止して農産物価格が上がれば、地代も上がる。農産
物価格が上がっても利益が上がるのは、最終的には地主だけになる(土地を所有
する農家、自作農も地主として当然利益を得る)。このことを明らかにしたのは
19 世紀初めの偉大な経済学者リカードだ。リカードの議論に対して挑戦した経済
学者はことごとく論破されている。リカードは正しいのである。しかし、先述の
マルシェ・ジャポンほど露骨に農業保護が地主を儲けさせるものだということを
示すものも珍しい。地主に儲けさせるのが嫌であれば、戸別所得補償制度を導入
するとともに土地に課税すれば良い。少なくとも、農地であることによって固定
資産税をまける制度を廃止すべきだろう。

貸しはがしが起きるのには理由があった。貸しはがしが起きた田は、飼料用の
牧草を栽培していた。農水省は、戸別所得補償制度を導入するとともに、米粉用
や飼料用などの新規需要米を転作作物として認めた。新規需要米は、麦や大豆と
異なり、通常の米と同じ農機具を使える。しかも、助成金は10アール当たり8
万円と、麦や大豆の3万5000円と比べて高い。助成金に米粉用米の販売収入
を加え、経費を差し引いた所得は4万3000円である。それに対して、飼料用
の田の地代は3万円程度だという(例えば、「農地『貸しはがし』拡大」河北新
報2010 年4 月25 日)。これでは貸しはがしが起きるのは当然だ。貸しはがしが
起きたのは、戸別所得補償制度のためというより、麦や大豆よりも中小農家が作
りやすい新規需要米という転作品目にやたらに有利な助成金を付けたからである。
役人、恐るべしである。普通に考える限りは、農家戸別所得補償制度が農業の
発展を阻害することはない。しかし、役人が、大規模化や効率化を阻害する奇妙
な戸別所得補償制度を実施すれば、もちろん、この制度はうまくはいかない。

デカップリングされた所得補償制度を採用すべき
第4 の、農家戸別所得補償を行えば、平均的には生産費を上回る価格で購入し
てもらえるのだから、生産は拡大してしまい、コメは余るという批判は正しい。
戸別所得補償制度の下では、各農家は平均的生産費を上回る価格で農産物(例え
ばコメ)を購入してもらえる訳だから、平均的以上の生産性を持つ農家はコメを
生産し続けるだろう。これではコメは余ってしまう。
コメ余りが起きないようにするためには、戸別所得補償を実際の生産とではな
くて、所得補償制度の導入される前の生産とリンクし、制度導入後の生産とはリ
ンクしないようにする必要がある。これを「デカップリングされた所得補償制度」
という(「デカップリングされた所得補償制度」については、八田達夫・高田眞
『日本の農林水産業』日本経済新聞出版社、2010 年、による)。こうすれば、生
産性の低い農家は所得補償を得て、農業から退出する。規模が拡大し、生産費が
低下して、国際競争力のある農業ができるから、生産増大を心配する必要がなく
なる。日本の農業は輸出産業になる。輸出分は自給率に勘定できる訳だから、自
給率も上昇する。所得補償制度の導入される前の生産量を認定することが難しけ
れば、耕地面積に応じて全国一律の所得補償をしてもよい。
これは生産しない農家に補償金を配るという制度であるから、究極のバラマキ
であり、働いて初めて所得が得られるという基本的道徳律に背反する非道徳的制
度であるという批判があるかもしれない。しかし、(1)私が繰り返し述べているよ
うに、バラマキは悪くない(例えば「バラマキ政策は悪くない」大和総研、2009
年9 月8 日、参照。(2)働かないことよりも悪く働くことはなお悪いと指摘してお
きたい。日本の農業政策は、票田としての農家戸数を維持するために、小規模の
効率の悪い農家を守るために働いてきた。これは働かないことよりも、効率を下
げてきただろう。(3)働かない農家に補償金を配ることがあんまりだというのであ
れば、所得補償制度の金額を毎年20 分の1ずつ減らして20 年後にゼロにするこ
とである。
第5 のコメが余れば、米価が下がるか、在庫が溜まる。財政支出がいくらでも
拡大するか、減反を強制するしかなくなるという批判にも、デカップリングされ
た所得補償制度を採用することで応えられる。

結語

農家戸別所得補償制度に対する5つの批判のうち、最初の2つは根拠がない。3
つ目は、奇妙な制度を作るからである。第4 と第5 の過剰農産物を作り出すとい
う批判には根拠がある。しかし、これは現在の民主党政権が考えている戸別所得
補償制度を行うからである。民主党は、戸別所得補償制度は、ヨーロッパで行っ
ている優れた農業保護制度としているが、実際にしていること、あるいはしよう
としていることとは異なる。民主党が、本当にヨーロッパで行っている、「デカ
ップリングされた所得補償制度」を採用すれば、戸別所得補償制度は、良いこと
だけになる。

コメ余りが起きない
ようにする方策はあ

減反を避ける方策も
ある


03. 2011年1月27日 20:48:13: cqRnZH2CUM
« 前の記事| 三橋貴明第86回 TPPと「平成の開国」 前編
2011/01/25 (火) 12:14
 菅直人首相は、1月24日の施政方針演説において、TPPを「平成の開国」と位置づけ、国会での議論を呼びかけた。
『2010年1月24日 毎日新聞「菅首相:施政方針演説 税・TPP協議呼びかけ「責任、与野党負う」−−通常国会開会」http://mainichi.jp/select/seiji/news/20110124dde001010049000c.html
 第177通常国会が24日召集された。会期は6月22日までの150日間。菅直人首相は24日午後、衆参両院本会議で施政方針演説を行い、消費税 を含む税と社会保障の一体改革について「一政治家、一政党の代表として与野党で協議することを提案する」と宣言。環太平洋パートナーシップ協定(TPP) についても国会での議論を呼びかける。演説の最後でも「国民は、先送りせず、結論を出すことを求めている。今度こそ、熟議の国会に」と訴え、「ねじれ国 会」を武器に対決姿勢を強める野党に責任の共有を求める。
 首相は昨年6月の就任後、国会での所信表明演説は2回行っているが、年初の施政方針演説は初めて。演説では国づくりの三つの理念として、「平成の開国」「最小不幸社会の実現」「不条理をただす政治」を掲げる。(中略)
 平成の開国では、貿易・投資の自由化を経済成長につなげることをうたい、米豪などがアジア太平洋地域の貿易自由化の枠組みづくりを目指すTPPに関し「今年6月をめどに、交渉参加について結論を出す」と参加に前向きな姿勢を示す。』
 今ひとつ菅首相の真意が分からないのだが、江戸時代の鎖国に終止符を打った「開国」、すなわち「日米和親条約」や「日米修好通商条約」などを各国と締結 したのは、明治政府ではなく江戸幕府である。しかも、本格的な「日本の開国」を決定付けた日米修好通商条約は、治外法権や完全自主権の放棄など、日本に とって著しく不利な内容を含む「不平等条約」であった。
 治外法権とは、たとえ国内であっても、自国の権利が外国人に対して完全には及ばないという、外国から見た「特権」である。すなわち、日本国内で あっても、日本の司法の手を外国人に及ぼすことができない状況なのだ。より分かりやすく書くと、外国人が日本国内で罪を犯しても、日本の法律では裁けない のである。
 そういえば、2010年9月7日に発生した「尖閣諸島中国漁船衝突事件」は、「日本国内で中国人が犯した犯罪を、日本の法律で裁けない」という結末を迎えた。全く笑い事ではないが、あれこそがまさに「治外法権」である。
 さらに、関税自主権の放棄とは、国内産業の保護を目的として、輸入製品に対して税金を「課せなくなる」という話である。すなわち、例えば日本の農 業の生産性が相対的に低いからといって、農産物に高関税を課すことは許されない。外国産の製品やサービスについて、自国の都合で関税を設定することができ なくなるわけだ。何ということだろう。
 尖閣問題の顛末(中国人の治外法権)といい、TPPといい、菅直人政権の進める「平成の開国」とやらは、まさしく江戸幕府が締結した諸外国との不平等条約そのものだ。冗談でも何でもなく、「平成の開国(治外法権や関税自主権の放棄)」なのである。
 江戸幕府から政権を奪取した明治政府にとっては、不平等条約の撤廃こそが国家的な目標であり続けた。明治日本は日清戦争、日露戦争と、数多の戦争を経て、ようやく不平等条約の撤廃を実現したわけだ。
 ところが、民主党あるいは菅政権は、「自主的に」中国人への治外法権を認め、「環太平洋諸国」を相手に、関税自主権の放棄を促進している。皮肉で も何でもなく、現在の菅直人政権の政策は、まさしく「平成の開国」である。すなわち、外国人が治外法権を獲得し、日本が関税の自主権を失う日米修好通商条 約の再現だ。
 そもそも、日本がTPPを批准することによるメリットとは、一体何なのだろうか。「平成の開国」や「TPPに加盟しなければ日本は完全に世界の孤児にな る!」といった、フレーズやイメージはどうでもいい。「経済的なメリット」を数値データに基づき、検討する必要があると思うわけだ。
 本連載「第84回 TPPの現実」【図84−1 09年におけるTPP関連諸国のGDP(単位:十億ドル)】でご紹介したように、TPP諸国のGDPを比較すると、アメリカと日本の二カ国で九割を超える。すなわち、TPPなどとは言っても、日米両国にとっては、「互いの国」以外に、まともに相手にできる市場は存在しないのである。
 アメリカが日本に「何を売りたいか?」については次回に回すとして、まずは「日本がアメリカに売れるもの」について考えてみよう。はっきり言っ て、TPPにより関税が撤廃され、アメリカ市場における日本企業の売上が増える製品とは、耐久消費財しかない。具体的に書くと、自動車と家電である。
 アメリカ市場、特に個人消費の市場は、名目値で10兆ドル近い。文句なしで、世界最大の「需要項目」である。何しろ、日本の全GDPの二倍である。
 この世界最大の市場において、日系企業が自動車や家電を販売を拡大したい。現在、アメリカは工業製品への関税を維持している(ちなみに、日本の工 業製品に対する関税はほぼゼロ)。関税率を下げてもらうか、あるいは撤廃してもらえれば、日本からアメリカへの耐久消費財の輸出が増える。だからこその TPPだ。
 上記の理屈は、「印象論」ではあるものの、非常に分かりやすい。とはいえ、この種のイメージに基づく論調は、多くのケースで的外れか、あるいは悪 質な「情報操作」である可能性が高い。上記のような解説をしたいのであれば、本来は全てを「数値データ」に基づき語らなければならないのだ。なぜならば、 経済とは「イメージ」や「フレーズ」ではないためだ。経済とは、数字である。(2/3に続く)

2011/01/26 (水) 14:25
(1/3の続き)
 そもそも、現在の日本の家電メーカーや自動車メーカーが、アメリカ市場で苦戦しているのは、ウォン安で勢いに乗る韓国企業の攻勢を受けているためだ。
 08年の危機において、韓国のウォンは「暴落」に至り、ほとんど通貨危機直前の状態に至った。ところが、韓国にとっては大変幸運なこ とに、08年2月に大統領に就任した李明博氏は、元大企業の経営者ということもあり、まさに「これしかない」という対策を立て続けに打ってきた。
 李政権は、まずは近隣の三大国(日本、アメリカ、中国)と通貨スワップを結び、通貨危機に対するセーフティネットを構築した。さらに、ウォン安で競争力が高まった韓国大手輸出企業への支援(法人税引き下げなど)を拡大し、輸出依存で韓国経済の立ち直りを図ったのである。
【図86−1 韓国ウォンの対日本円為替レートの推移(単位:ウォン)】出典:Yahoo! Inc
 07年には1円=7.5ウォンだった円ウォン為替レートが、08年の危機以降、一気に高騰した(=韓国ウォンが暴落した)。2010年中盤以降は、1 円=13ウォン台で高止まりしてしまっている。すなわち、ウォンの価値は07年と比較し、対円で二分の一に近い水準にまで落ち込んでしまったのである。
 対米輸出で考えれば、韓国製品は日本製品と比べ、半額セールを常時行っているようなものだ。韓国企業のアメリカ市場における競争力が、一気に高まって当たり前である。
  為替レートの問題である以上、TPPでアメリカの工業製品に対する関税が撤廃されたとして、果たして日本企業がどれほど対韓国企業で競争力を高められる か、疑問視せざるを得ない。なぜならば、アメリカの家電製品に対する関税率は5%、自動車(トラック除く)は2.5%に過ぎないのだ。TPPにより、数 パーセント程度の関税がなくなったところで、そんなものは更なる円高(もしくはウォン安)で相殺されてしまう。
 また、そもそも日本の自動車メーカーがアメリカ市場で販売する製品は、すでに現地生産の割合の方が高い。すなわち、日本からアメリカに輸出してい るのではなく、アメリカ国内の工場で生産しているわけである。すでに日系自動車メーカーのアメリカにおける現地生産の割合は六割を超え、ホンダに至っては 八割を上回っている。
 現在、確かにアメリカ市場で韓国の現代自動車に勢いがある。だが、日系自動車メーカーは、今のところ互角以上の戦いを演じている。無論、日系メーカーの現地生産が拡大し、為替レートの影響を受けにくくなっているためだ。
 逆に、アメリカにおける現地生産が、自動車ほど進んでいない日系家電メーカーの方は、まさしく「惨憺たる状況」に陥ってしまった。ウォン安で競争力を高めた韓国家電メーカー(サムスン電子、LG電子)に対し、ほとんど太刀打ちできない事態に至っているのだ。
(3/3に続く)
2011/01/27 (木) 12:19
(2/3の続き)
 とはいえ、ここで落ち着いて考えてみて欲しいのは、「マクロ的な日本の耐久消費財の輸出」についてである。トヨタやソニー、パナソニックなどがア メリカ市場で苦戦しているのは分かるが、そもそも日本の耐久消費財(自動車や家電など)の輸出は、我が国の国家経済に対してどの程度の割合を占めているの だろうか。
【図86−2 09年 日本の乗用車・家庭用電気機器の輸出、及びGDP(単位:百万ドル)】出典:IMF及びJETRO
 乗用車の輸出がGDPに占める割合は、1.23%。家電は0.036%に過ぎない。無論、金額ベースで見ると、乗用車が623億ドル、家電が18億ドル と、相当にでかい。とはいえ、GDPの2パーセントに満たない乗用車や家電の輸出をサポートするために、日本の「国の形」や「社会のあり方」を変えかねな いTPPを批准しても構わないのか、という話である。(TPPがなぜ日本の「国の形」や「社会のあり方」を変えるかについては、次週に解説する)
 断っておくが、別に筆者は自動車メーカーや家電メーカの苦境を放っておいても構わない、などと主張する気は全くない。だが、そもそも日本の製造業がアメリカ市場ばかりを見ているのは、国内がデフレで市場規模の拡大が見込めないためなのだ。
 また、現在の日本は「デフレかつ円高」なのではない。「デフレゆえに、円高」なのだ。すなわち、名目金利が低くとも、デフレで実質金利が高まり (※実質金利=名目金利−期待インフレ率。デフレとは期待インフレ率がマイナスの状態)、日本円が相対的に買われやすい状況になっているためなのだ。
 そうである以上、日本政府が「財政出動(及び減税)と金融緩和のパッケージ」という真っ当なデフレ対策を実施することで、現在の自動車メーカーや 家電メーカーの苦境を救うことができる。デフレ対策として日本が量的緩和を拡大すれば、円の価値は相対的に落ちていく。かつ、デフレを脱却すると実質金利 が低下し、円高圧力が緩和される。加えて、デフレ脱却で国内市場が拡大を始めれば、日本のメーカーもアメリカ市場ばかりを意識する必要はなくなる。
 そもそも、TPPとは「貿易の自由化」を目的としている。自由貿易とはインフレ時には全体的な生産高(=消費量)を増やし、参加者が得をする政策だ。だが、デフレ期に自由貿易を推進すると、「物価を安くする」ことでデフレを悪化させてしまう。 すなわち、TPPとはインフレ対策なのだ。
 言うまでもなく、現在の日本に求められる政策は、「平成の開国」とやらではなくデフレ対策なのだ。日本がデフレを脱却することは、耐久消費財のメーカーの苦境を救うという点でも大いに意味がある。
 それにも関わらず、民主党政権はTPPという「インフレ対策」を推進している。しかも、TPPを批准した場合、アメリカから「とんでもない連中」が大挙して日本に押し寄せてくる可能性が、極めて濃厚なのだ。
 来週もこの話を続ける。
本ブログの「TPP」関連記事はこちら。


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