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物価下落に歯止めの兆し、コストプッシュ型なら「真のデフレ脱却」ならず
http://www.asyura2.com/10/hasan70/msg/811.html
投稿者 tea 日時 2011 年 1 月 31 日 04:15:30: 1W1IXELjjF6i2
 

(回答先: お札でデフレ退治できる?? 投稿者 tea 日時 2011 年 1 月 30 日 23:29:21)

まだ世間では、単なる価格低下(デフレ)とGDP縮小によるデフレ不況を区別できてない人々も多いが
この記事は一応理解しているようだな

http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-19267520110128?sp=true
物価下落に歯止めの兆し、コストプッシュ型なら「真のデフレ脱却」ならず2011年 01月 28日 17:27 JST 
[東京 28日 ロイター] 消費者物価(コアCPI)の下落幅の縮小傾向が12月の消費者物価統計で確認され、エコノミストの間では、デフレ脱却に向けて前進との見方が浮上している。

 ただ、今年夏場の基準改定でのCPI下方改定幅は前回改定より大幅になり、0.7%ポイントにも及ぶとの試算があるほか、たとえ原油高や食料高により上昇してもコストプッシュとなるだけに「真のデフレ脱却」にはならないとも指摘されている。

 <総合はプラス、コア指数も下落幅縮小>

 CPIは生鮮食品やエネルギーを含む「総合指数」ではすでに10月から前年比上昇となっていた。昨夏の猛暑による野菜価格の上昇や、原油価格上昇の影響でガソリンなどが高めとなっているため。12月は野菜価格が落ちついてきており、総合指数の上昇幅はゼロに収まった。

 こうした要因を除いても、コアCPIの下落幅は10月以降じわじわと縮小してきている。夏場は食料およびエネルギーを除いたベースで1.6%まで下落していたが、12月は0.7%下落まで縮小した。

 エコノミストからは「名目給与が前年比でプラスを維持していることや、輸出が持ち直しつつあることも併せて考えれば、物価の基調は緩やかな下落から概ね横ばいへ変化しているとみられる」(大和証券・チーフエコノミスト・熊谷亮丸氏)との見方も浮上。「下落率の縮小が想定以上に速いペースで続いている。景気回復の恩恵を受ける形で、今後もデフレ圧力は緩和傾向をたどると予想している」(野村証券金融経済研究所・チーフエコノミスト木内登英氏)との見方も出てきた。

 さらに4月には高校授業料無償化の影響による下落要因が一巡することから、4月以降のCPIコア指数はプラスに浮上するとの見方が大勢となっている。

 <夏場には基準改定でマイナス圧力、デフレ脱却は1年遅れ>

 一方で、夏場に基準年の改定が実施されると、コアCPIは今度は下方改定される可能性が高い。「ラスパイレス効果」と呼ばれるもので、基準年の品目ウエートで計算された指数は、新しい商品の出現や嗜好の変化によって、真の物価指数に対して上方バイアスを持つためだ。

 第一生命経済研究所・主任エコノミストの新家義貴氏の試算では0.7%ポイントも下方改定される可能性が高いという。前回の改定時の0.5%ポイントの下方改定と比べても大きくなる。

 日銀では2011年のCPI見通しをプラス0.3%に上方修正したものの、こうした基準改定の影響は織り込んでいない。「今年の基準改定によって、さらに(コアCPIのプラス転換が)1年程度後ズレする可能性がある。日本銀行は当面緩和的な金融政策を継続し、利上げは12年末頃まで行われないだろう」(大和総研)と受けとめられている。

 <食料・エネルギー高によるCPI上昇は、デフレ効果>

 一方で12月の統計の中身を見ると、食料やエネルギーの寄与が大きかったことから、今後も世界的な食料高や原油価格上昇で、物価上昇圧力が生じやすくなるとみられている。ただ、食料やエネルギー価格の上昇は、デフレの解消にはつながらず、コストプッシュあるいは交易条件の悪化を通してむしろデフレ圧力を強める可能性がある。モルガンスタンレーMUFG証券・チーフエコノミストの佐藤健裕氏は「仮に食料・エネルギー価格の上昇で表面的に物価が上昇しても、購買力の海外流出を招き、かえってデフレ的である」と指摘している。

 今後の消費者物価動向は、景気回復が続けば需給ギャップの縮小により上昇傾向となろうが、様々な要因で方向性が変わる可能性が高い。同じ物価上昇でも、景気回復による上昇なのか、コストプッシュ型による上昇なのかの見極めも必要だ。第一生命研究所では「原油や食料品価格上昇、高校授業料の下押し一巡、基準改定など、多くの撹乱要因が複雑に絡みあうことになり、基調を判断することが非常に難しくなることが予想される」と指摘する。

(ロイター日本語ニュース 中川泉記者;編集 伊藤純夫)

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コメント
 
01. 2011年2月03日 02:49:28: E33omzMTIA
moneyzine.jp/article/detail/191292
相場のジンクスは本当に当たるのか 「1月効果」 「米大統領選前年のダウは強い」などを検証
第59回Heyward 2011年02月01日 09:30
オカルトと変わらないとアノマリーを敬遠、軽蔑する人もいます。しかし明確な理論的根拠もないのによく当たるアノマリーは、相場の深さ、面白さの1つです。(バックナンバーはこちら)
なぜだか分からないが株価が上昇・下落しそうと感じることは誰しも経験のあることではないでしょうか。このような一個人の感覚は、単なる「ヤマ勘」と笑い飛ばされます。
 しかし、なぜ株価が上昇・下落しそうと感じたのか、その原因を考えると、笑い飛ばすのもはばかられます。なぜだか分からないが株価が上昇・下落しそうと感じた根拠は、既視感(デジャブ)であることが少なくないからです。
  デジャブと言えば、ヤマ勘どころかオカルトだと笑われそうですが、過去に体験したような相場が現在再現されつつあると感じることは、経験則による場合がほ とんどです。そのような相場参加者、つまり経験則に従い売買する参加者が多くなれば、当時と同じような相場が再現される可能性が高くなるのが相場です。
 このような過去の経験則に基づく将来の予測、その的中率が高いものを金融市場では「アノマリー」と呼びます。
 「ヤマ勘」と「アノマリー」の違いはなんでしょうか?
 ヤマ勘はあくまでも勘です。自身が感じただけで、論理的な説明ができないもの、他人に根拠を示すことができず、他者の納得を得られないものです。同調者が居ないため、相場に与える影響は限定的です。 一方、アノマリーとは、明確な理論的根拠はありませんが、高い確率で当たるとされる経験則です。明確な理論的根拠はなくとも、それなりの理屈はあるので す。経験則故に、経験の積み重ねによるデータ、数的根拠もあります。それなりの理屈と数的根拠があれば、自身は納得でき、他人を納得させることもできま す。多くの人が納得すれば、相場参加者の心理に影響し、売買、株価にも影響します。アノマリーとは、相場における共通認識、相場を動かす共通意識とも言え るでしょう。
 以下、アノマリーとして有名なものをいくつか見てみましょう。
1月効果(ジャニュアリー・エフェクト)
  年末から1月初旬に株価が上昇しやすいことを、1月効果と言います。年末には来年への期待を、年初には本年の希望を語るのが一般的です。年明け早々、懸念 や警戒を語ると人間性が疑われそうとの思いからか、万年ネガティブの某大学教授も某アナリストも、この時期だけは沈黙を守る傾向もあります。相対的に弱気 のリポートや声は減少し、売り材料が減ることで株価が上昇しやすい、然るべくして、街も相場も明るい雰囲気となり、相場は堅調になりやすいというアノマ リーです。
 これだけでは、心理的な、気分的な話に過ぎない、株価上昇を裏付ける根拠とはならないと考える方もいらっしゃるでしょう。では、需給的な要因も考えてみましょう。
 米国の個人投資家は、12月は節税対策(損出し)の売りを出し、配当落ち後に株やオープン型投資信託を買う傾向があります。ファンドがニューマネーを積極的に株式市場に振り向けるのは年明け以降が一般的と言われています。そのために、配当落ち後(年末)から年初の株価が堅調となることが多いとされています。
 米国の株価が堅調であれば、日本株式市場にもポジティブに働きます。ファンドのニューマネーが日本株に向けられるのではとの思惑から、買いが膨らむという可能性も考えられます。
 このような傾向、解説を聞かされると、年末から1月初旬に株価が高いのも当然のような気がしてきませんか? いや、もっともらしいコジツケに過ぎないと言われる方もいらっしゃると思います。では、データで見てみましょう。

 年間立ち会い日数が240日程度であることを考えると、年間のTOP10パファーマンスの内、4日間が年末年始に集中していることは驚きです。7割強の確率で勝てるという数字を見れば、買ってみよう、売り難いと思う市場参加者が多くなっても不思議ではありません。
 米国株式市場に関する詳細なデータが手元になく申し訳ありませんが、ざっくり見ても年末・年始は高く見えます。特に小型株のパフォーマンスが良好なことは周知の事実です。
 続いてさらに興味深いアノマリーを見てみましょう。(次ページへ続く)
アノマリーとは、単なるジンクスであり、オカルトかもしれません。 しかし、これだけ心理的、需給的、数的根拠が示されると、「1月効果」のアノマリーを完全に否定することは難しいのではないでしょうか。
 第57回記事で 「株価が動けば心が動く、心が動けば人と金が動く、人と金が動くから株価が動く」というお話をしました。オカルトにせよなんにせよ、心理に影響を与え、そ れを信じる人、売買の根拠とする人が増えれば、その方向に動きやすいのが株価です。それは正しい・間違っている、良い悪いと判断すべきものではなく、相場 とはそういうものと投資家は受け入れるべきものでしょう。
季節要因、需給要因的アノマリー
 以下、有名なアノマリーを見てみましょう。

 これらが季節要因、需給要因、心理的要因として株価を左右する可能性を考えることは、相場の手掛かりとなる場合があります。
  上記は、季節要因、需給要因的なアノマリーですが、他にも天候アノマリー(晴れた日には株価が上昇しやすい)、リターンリバーサル(下げ過ぎた株価は反発 し、上げ過ぎた株価は下落する)、大型株よりも小型株のパフォーマンスが良い、低PER銘柄のパフォーマンスが良いなどの売買アノマリーもあります(売買 アノマリーは、売買手法としても語られます)。相場には、さまざまなアノマリーが存在します。
アノマリーの盲信は禁物
 語弊があるかもしれませんが、ある程度の理屈付けができれば、なんにでもなる、どうとでも言えるのがアノマリーです。
 例えば、天候アノマリー(晴れた日には株価が上昇しやすい)ですが、昔は確かにそのような傾向があったようです。統計的な検証からも、また生理学的にも交感神経が刺激され云々と、晴れた日の買いが正当化されていました。
 しかし、現在は、天候と株価の相関性をロジカルに語ることが難しくなってきています。東京証券取 引所は、東京都中央区日本橋兜町にありますが、兜町界隈で株式売買をしている人がどの程度いるでしょう? 日本株の売買シェアの6割強が握るのが外国人投資家です。しかも、個人もプロも、場所を問わずネットで自由に売買できるご時世です。兜町の天候が晴れであ ることにどれほどの意味があり、それがどれだけの投資家に影響を与えるのかは甚だ疑問です。
 「リターンリバーサル」という下げ過ぎた株価は反発し、上げ過ぎた株価は下落するというアノマリーがありますが、効率的市場仮説信者は、これを真っ向から否定するでしょうし、そのアノマリー、手法を信じる者は、効率的市場仮説の矛盾点を指摘するでしょう。
 年末年始は高いという1月効果のアノマリーにしても、確かに年末年始は高いことが多いのですが、日経平均の1月のパフォーマンスを見ると、平成になって9勝13敗。1月の月間パフォーマンスはブ−ビー。一昨年は1月1週目で株価はピークアウト、昨年も1月2週目でピークアウト、本年も1月13日を高値に、現在調整中です。
 こうだからこうなるという、確かなものなど存在しないのです。過去はこうなっていたことが多かったので、今回もこうなるかもしれない。それがアノマリーです。参考程度にみる、そしてその背景を考える、アノマリーは、この程度の取り扱いが無難でしょう。
 次に、有名なアノマリー「米大統領選挙前年のダウ平均は強い」、「インテルの決算が相場の転機となりやすい」を考えてみましょう。
年初は、通年見通しが株価材料となることが少なくありません。年間の見通しを語る向きが多くなるため、「あの年はこうだったから今年はこうだろう」という話が多くなりやすいのです。
 昨年末から現在まで、強気の買いの根拠として最も取り上げられたアノマリーの1つは『米大統領選挙前年のダウ平均は強い』でしょう。
  米大統領選挙の前年は政府が人気取りのために景気浮揚策に励むため株価は堅調となる!実際に1943年以降、大統領選挙前年のダウ平均は全17回前年比上 昇で勝率は100%、その平均上昇率は約16%と云われ、昨年末・本年初の十分な買いの根拠となりました。しょせんアノマリー、オカルトだと馬鹿にする人 でも、売り難さは感じたことでしょう。
 年初から、もう1つ注目されているのは、『インテルの決算が相場の転機となりやすい』アノマリーでしょう。

 昨年のインテルの決算発表全4回を振り返ると、
2010年1月14日 インテル決算 → 調整 2010年4月13日 インテル決算 → 調整 2010年7月13日 インテル決算 → 調整 2010年10月12日 インテル決算 → 調整 2011年1月13日 インテル決算 → ?
 昨年はインテルの決算発表後、決算発表内容の好悪にかかわらず4回ともすべて調整入りとなりました。本年1月13日のインテルの決算に注目が集まり、警戒されたのも無理はありません。
アノマリーは絶対なのか?
 『インテルの決算が相場の転機となりやすい』アノマリーですが、昨年に関しては、確かに4回ともそうなっています。そして、本年も1月13日のインテルの決算発表日が、奇しくも日経平均の本年の高値(10620円)となっています。
 しかし、決算発表は3カ月ごとになされるわけで、インテル云々というより、2010年度は単に3ヶ月サイクルで調整があっただけと見ることもできます。
 さらに、2010年は基本的には11月まで下げ相場だったわけで、サイクル、調整云々というよりも、そもそも下げ相場だった、下げ相場の中でインテルの決算にかけてはリバウンドがあったと逆の見方をすることも出来ます。そう見れば、解釈、取り組み方は別物になります。
 アノマリーは所詮過去の産物であり、未来の方向を示すものではありません。しかし、それを意識する市場参加者が多くなれば、その方向に株価は動きやすくなり、無視することも危険です。 アノマリーを盲信せず、アノマリーだと馬鹿にせず、良い距離感で相場材料の一つとしてアノマリーとは付き合いたいものです。
【関連記事】 ・自己中にならないための投資学 ケインズの「相場は美人投票」に学ぶ ・だからあなたは負けるのです…独りよがりな株式投資に陥る心理 ・個人投資家が「単純な情報」に踊らされ売買に走るのはなぜか ・「利益を確保し、損失を限定せよ」 相場の波「トレンド」に上手に乗る方法

zai.diamond.jp/articles/-/103918
TOPマネー・金融吉田恒のデータが語る為替の法則【第117回】 2011年2月2日吉田 恒 [T&Cフィナンシャルリサーチ代表取締役社長]「逆張りの2月」に米ドル高は進むのか?そのカギは米金利とユーロが握っている!
 1月は米ドル高となったものの、伸び悩む結果となりました(「期待はずれの雇用統計でも、ドル/円は1月陽線引けとなりそう! そのワケとは?」を参照)。
 このまま80円割れへと米ドルの一段安が進むのか、それとも、2月は「逆張り」傾向が強いだけに米ドル高が再開するのか、今回はそういったことについて考えてみたいと思います。
2月の米ドル相場は「逆張り」が奏功しやすい
 まずは「資料1」をご覧いただきながら、経験的に、2月は「逆張り」傾向が強いということをご説明したいと思います。
 1998年以降の13年間について、2月の米ドルの対円騰落状況を調べると、6勝7敗でした。
資料1


 ただ、この勝敗の状況を詳しく見ていくと、一部の例外を除いて、2月の寄り付きが115円よりも米ドル高か、米ドル安かで分けられることもわかります。
 つまり、米ドル安になったケースの多くは115円よりも米ドル高の水準で始まっており、米ドル高になったケースの多くは、115円よりも米ドル安の水準で取引をスタートしていたのです。
 相対的に、2月が米ドル高で始まると月末にかけて米ドル安が広がりやすいし、反対に、米ドル安で始まると米ドル高に向かいやすい傾向があるのです。
 「安く始まれば高くなり、高く始まれば安くなる」という意味では、「逆張り」が奏功しやすい月だと言えると思います。
 それでは、なぜ、2月が逆張り傾向の動きになりやすいのかと言うと、私は、日本企業の3月末決算の影響ではないかと考えています。
 この推測が正しいかはわかりませんが、結果として、2月の米ドル/円には逆張り傾向が強いので、今年もそのパターンが機能するならば、次のようなことは考えられないでしょうか?
 それは、80円台前半といった歴史的な「米ドル安・円高」水準で推移しているのだから、「レパトリ(本国への資金送還)」の米ドル売りが手控えられ、米ドルはそれほど下がらない。むしろ、「米ドル高・円安」に振れる可能性もあるかもしれないということです。
1月の為替相場で米ドル高が伸び悩んだワケは?
 2月相場の特性については、ここまでご説明してきたことが言えるのですが、今年の場合もこのパターンどおりになるかと言えば、懐疑的に思う人も少なくないかもしれません。
 そもそも、1月の為替は米ドル高が伸び悩みました。
 米ドル/円で「米ドル高・円安」が進んだと言っても米ドルのアタマの重い展開が続いたし、ユーロ/米ドルにいたっては多くの予想に反して「米ドル安・ユーロ高」へと大きく反転する展開となりました。
 このユーロ/米ドルに象徴されるように、対円以外では米ドル安圧力の強さが目立った1月でしたが、そうであれば、対円にも米ドル安の圧力が波及し、2月に80円割れとなるような米ドル一段安となる可能性はないでしょうか?
 私は、そのカギを握っているのは米国の金利だと思っています。
記事の続きを読む
「資料2」は、米国の長期金利(10年もの国債の金利)と米ドル/円相場のグラフを重ねたものです。
 これを見ると、年末年始から米国の長期金利が一進一退となっていることがわかるでしょう。
資料2

 米国の金利上昇が足踏みを続ける中で、「米ドル高・円安」も一進一退が続いているというわけです。
■短期的には「上がり過ぎ」、中長期で「下がり過ぎ」の米金利
 ただ、米国の金利上昇が足踏みしている状況については、ある意味では仕方のないことだと思っています。
 「資料3」は、米国の長期金利の短期の行き過ぎをチェックする90日移動平均線からのカイ離率ですが、経験的に、カイ離率がプラス20%以上に拡大すると「上がり過ぎ」となるところ、今回、一時プラス30%まで拡大していたことがわかるでしょう。
 つまり、「異常な金利上がり過ぎ」となっていたのです。
資料3

 この間の米国の金利上昇の足踏みについて、短期的に「異常な上がり過ぎ」となったため、その調整が必要になったのでしょう。
 また、「資料4」は「資料3」を拡大したものですが、これを見ると、米国の長期金利の90日移動平均線からのカイ離率が、最近にかけてプラス20%以下に縮小していることがわかります。
 つまり、「異常な上がり過ぎ」の修正が順調に進んできたと言えそうです。
資料4

 それでもまだ、「異常な上がり過ぎ」の修正局面は続くのでしょうか?
 一方で、米国の金利は短期的には「上がり過ぎ」となったものの、中長期的には正反対で「下がり過ぎ」、すなわち「米債バブル」の可能性もあり、その修正局面から上昇基調が続くとの見方もあります(「崩れた米金利と米ドル/円の相関関係。間違っているのは米金利か? 米ドルか?」を参照)。
 米国の金利は、短期的な行き過ぎの修正で低下がまだ続くのか、それとも、中長期的な行き過ぎの修正で上昇基調が再開するのでしょうか?
 米ドルとの関係では、前者なら米ドル高の伸び悩みが2月も続くということになり、後者なら米ドル高再開の可能性が出てくることになります。
 そのような米ドルの目先の運命のカギを握る米国の金利だけに、これから発表される雇用統計などの米国の各景気指標の結果は、重要な意味を持ちそうです。
■1月の米ドル高伸び悩みはトリシェ発言のためだった
 米国の金利とともに、2月の為替相場のカギを握るのは、ユーロ/米ドルの動きでしょう。
 1月に米ドル/円での米ドル高が伸び悩み、出鼻をくじかれる形となったのは、「資料5」のように、ユーロ/米ドルで「米ドル高・ユーロ安」期待が裏切られ、逆に大きく「米ドル安・ユーロ高」へと反転したことが大きかったでしょう。
資料5

 このように米ドル高から米ドル安へ、ユーロ安からユーロ高へと大きく反転したのは、欧米の金融政策に対する見方の影響が大きかったと思います。
 1月中旬のトリシェECB(欧州中央銀行)総裁の発言をきっかけに、ECBの利上げが早ければ年内にも実施されるとの見方が広がったのです(「米国より欧州が先に利上げするとの見方は疑問。ユーロ逆襲には自ずと限界がある!」を参照)。
■利上げの順番は「英国→ユーロ圏→米国」なのか?
 1月に入ってから、利上げ見通しが早まったのはECBだけではありません。
 同じ欧州でも、英国の中央銀行であるBOE(イングランド銀行)では、利上げを支持するメンバーが、直近の理事会で2人まで増えてきたことなどから、早ければ、2011年前半中の利上げ予想も出てきました。
 先進国サークルは「G7」と呼ばれますが、その中で、カナダだけが2010年中に利上げへと転換しました。それ以外の国では、2008年の「100年に一度の危機」以降、利上げへの転換が実現していません。
 しかし、カナダ以外の先進国についても、この2011年から2012年にかけての利上げへの転換予想が出始めました。これをまとめたのが「資料6」ですが、日米欧先進国の中で利上げが早い順番は、英国、ユーロ圏、米国といった感じになっています。
資料6

 これが最近の為替相場にも反映され、英ポンド高、ユーロ高、米ドル安となり、1月に米ドル高が伸び悩む一因となったのだと思います。
 それでは、この先進国の利上げ予想の順番に沿って、日本以外の先進国で米国の利上げが遅くなり、米ドルがなかなか上昇しないということになるのでしょうか?
■2月に米ドル高に戻れるか、ユーロの動きが大きく左右する
 BOEはともかく、ECBの利上げがFRB(米連邦準備制度理事会)よりも早そうといった見方が拡大してきたのは、米国に比べて欧州のインフレ懸念を示すデータが多くなってきたことも挙げられるでしょう。
 昨年からの欧州財政危機が終息しない中でも、世界最強のインフレファイターである独連銀、BUBAの流れをくむECBが、インフレ懸念の台頭する中で利上げに踏み切るとの見方が広がってきました。
 ただ、実際問題として、欧州の財政危機はまだくすぶっています。「資料7」で欧州の信用リスクを示す「欧州CDS(クレジット・デフォルト・スワップ)指数」を見ると、1年前の信用回復にはまだほど遠い状況です。
資料7

 このように見てくると、ユーロの命運は、ECBの利上げと欧州財政危機に伴う信用悪化の綱引きになっていると思います。
 1月に米ドル/円での米ドル高の出鼻がくじかれたのは、「ユーロ高・米ドル安」への急反転の影響が大きかったと思いますので、その意味では、2月に米ドル高基調に戻れるか、ユーロの動きが大きく左右すると言えそうです。


www.nikkeibp.co.jp/article/column/20110127/258416/?
小宮一慶の「スイスイわかる経済!“数字力”トレーニング」インフレ抑制のために人民元は切り上げへ、経済好調のドイツは欧州を牽引できるか
2011年1月28日 コメント(4件) 総合RSS Twitter はてな
 前回、 米FRB議長の議会証言を経済的な側面だけでなく、政治的な側面からも見て読み解いていきました。そこではFRBの思惑だけでなく、オバマ大統領が厳しい 状況に置かれていることも浮かび上がってきました。今回は、米国経済のこれからのシナリオについてお話ししていきます。そして後半では、欧州経済の分析 と、その政治的な背景について説明します。
オバマ大統領に残された道
 私は、米国経済は確実に回復してきているのではないかと思っています。
 米国が今、行っている量的緩和(QE2)の期限は、今年6月に切れます。前回、FRBが行った量的緩和に対し、今の議会やコロンビア大学教授の ジョセフ・スティグリッツ氏などの著名な経済学者たちが反対しているとお話ししましたが、それらの背景や景気が回復しつつあることを考えると、6月には量 的緩和をやめると考えるのが順当でしょう。ただし、このところのFRBの動きを見ると、6月までに量的緩和をやめる可能性は小さいと言えます。
 これから順調に個人消費が伸び、失業率が毎月少しずつ回復していけば(急激に回復することはないと思いますが)、量的緩和をやめて、短期金利を上げて行く、というシナリオを描けます。
 今のところは個人消費や企業業績などそのシグナルとなることが徐々に表れている状況なのです。
 オバマ大統領に残された時間は、2012年11月の大統領選挙までの約2年弱です。それまでに雇用が順調に回復しているところを国民に見せなければいけないのです。
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 米国は、2008年から2009年の間に約840万人もの雇用を失ってしまいました。それをどれだけ回復させられるかという点が、オバマ大統領が 再選できるかどうかの大きな鍵を握っているわけです。ですから、今後は雇用回復に対して非常に力を入れていくと考えられます。オバマ米大統領は25日の一 般教書演説でも研究開発や教育分野への投資、法人税減税、規制緩和などを通じて民間活力を高め、それにより雇用を創出することを表明しました。
 一方、それと関連して、興味深い記事が2011年1月14日の日経新聞朝刊に載っていました。
米貿易赤字11月0.3%減 対中赤字、通年で最大も「米商務省が13日発表した2010年11月の貿易収支(季節調整済み、国際収支ベース)は、前月比0.3%減の383億900万ドル(約3兆1700億円)の赤字だった。(略)
 国・地域別(サービスを除く通関ベース、季節調整前)は対中赤字が前月比0.5%増の256億3400万ドル。10年の対中赤字額は11月までで 2523億8400万ドルとなり、09年通年(2268億ドル)を上回った。12月分の結果次第で、過去最高だった08年(2680億ドル)を上回る可能 性がある。(2011年1月14日付 日本経済新聞朝刊)」
 つまり、中国の製品が大量に米国へ輸入されているのは間違いありません。今月19日、中国の胡錦濤国家主席がオバマ大統領との会談のため米国を訪 問しましたが、その前日、人民元は対ドルで最高値を更新しました。これは、中国にとっても、米国が最大の輸出相手国であることを意識して配慮したもので す。
 米国としては、早く雇用を回復させなくてはなりませんから、その点では中国に対して強い姿勢を示したいわけです。そのために人民元の切り上げ圧力は高まっていくのではないかと思います。
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また、人民元の切り上げは、中国にとっても比較的望ましいところがあるのです。それはなぜでしょうか。中国のインフレ率を見ていただくと分かります。

 中国の「消費者物価」は、2010年11月に前年比プラス5.1%まで上昇しています。インフレは低所得者層を直撃します。それでなくとも貧富の差が拡大し、十分な社会保障も得てない低所得者層の不満が大きくなっている状況です。
 それらを改善するために、中国政府は、農村部での医療保険制度や年金制度を拡充するなどの対策を進めています。しかし、その矢先にインフレが襲うと、対策を進めるどころかさらに不満が出てしまいます。インフレは、高所得者より低所得者により大きく影響しがちですからね。
 人民元の切り上げは、貿易黒字という面に関しては悪影響がありますが、輸入物価を下げるという面では望ましい方向に働きます。ですから、短期的に考えれば、米国から見ても中国から見ても、人民元の切り上げは望ましいのです。
 このような理由から、短期的に見て人民元は少し上がるだろうと考えられます。
 それによって、米国の失業者数が徐々に減少していけば、オバマ大統領が再選する可能性もなくはないでしょう。民主党は中間選挙で惨敗したわけです から、雇用対策をとらざるを得ませんし、当面は、米国の失業率や非農業部門の雇用者数の増加(特に民間部門での増加)がどれほど回復していくか、が最も注 目すべきポイントです。
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ユーロ安での経済成長を享受したドイツと欧州の政治的背景
 欧州の情勢も、まだまだ微妙な状況です。ポルトガルなどの金融不安は、まだまだ収まる気配はありません。
 私が注目しているポイントは、ここです。

 ドイツの2010年4-6月は実質年率プラス9.5%。周辺の国々と比較すると、伸びが際立っています。なぜ、ドイツだけ大きく成長したのでしょうか。
 2010年、ギリシャ危機が来て、ユーロが売られて安くなったことがありました。ユーロ安の追い風を受けて、輸出産品の多いドイツが急成長したというわけです。
 ですから、もし金融不安が大きく顕在化せずに、不安のままでユーロ安が続けば、ドイツにとっては非常に助かる状況なのです(ポルトガルが財政破綻しなければ、という前提での話です)。
 ただ、ドイツだけが前面に立って、欧州経済を積極的に牽引するのは容易ではありません。
 確かに欧州の中で最も経済規模が大きいのはドイツであることは間違いありませんが、フランス、英国、イタリアなどの国々も欧州の機関車的な役割を果たしています。
 ましてドイツは第二次世界大戦の敗戦国だということがありますし、ナチスドイツが欧州の国々を蹂躙したという過去は今もなお拭い去ることができません。ですからフランスとしては、ドイツが前面に出て欧州経済を牽引してしまうのには抵抗があるのです。
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 ドイツもそれを分かっていますから、ドイツの経済規模が大きいからと言ってフランスなどと事を構えてまで積極的に欧州を引っ張っていくことはした くないでしょう。再びドイツ支配が始まるのかと批判をされてしまうのは予測できているのです。いまだにナチス批判は欧州の中でも根深くありますからね。こ のように、すべてをドイツに任せてしまうということはできない事情があるのです。
 EU(欧州連合)ができた背景というのも、実は、それと同じなのです。欧州は20世紀の間に二回も大きな戦争を経験しました。しかも、敗戦国はどちらもドイツです。第一次世界大戦も第二次世界大戦も、必ずドイツとフランスが戦っています。
 その原因の一つが、「ルール地方とザール地方の帰属問題」です。ルール地方とザール地方には炭鉱があり、それを基盤に工業が大きく発展しました。ここをめぐり、ドイツとフランスは領土問題で度々対立してきた経緯があります。
 そこで、第二次世界大戦が終わった後の1950年代に、もう二度とこの問題で戦争が起こらないように、欧州石炭鉄鋼共同体という組織が作られました。これが、のちにEC(欧州経済共同体)の母体のひとつとなり、さらに発展してEUとなりました。
 この設立は、米国に対抗するためという経済的な理由も一つですが、それよりも経済で統合することによって、お互い経済的な利害対立を小さくし、第三次世界大戦を防ごうとした、ということも大きな狙いです。
 今考えたら、「戦争なんて起こるわけがない」と思われるかもしれません。しかし日本だって、これほど同盟関係にある米国と、65年ほど前に戦争をしていたのです。
 また、1989年にベルリンの壁が崩壊した時、力のバランスが崩れたためにユーゴスラビアでは内線が起こりました。ユーゴスラビアは日本にとって は遠い国だと思われるかもしれませんが、イタリアやギリシャの隣国であることを考えると、遠いとは言えません。イタリアやギリシャには、毎年、多くの日本 人観光客が訪れていますが、その隣国では当時、凄惨な戦争が起こっていたのです。
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欧州の歴史は戦争の歴史です。ですから、どこが引き金になるか分からないのです。そのためにも、経済的に結びつくことで統一感を促そうとECがEUに発展し、通貨まで同じにしてしまいました。
 もちろん、その理由以外にも、先ほども少し述べたように当時NAFTA(北米自由貿易協定)が大きな存在でしたから、それに対抗しようという思惑もありました。しかしそれと共に、あの悲惨な戦争を二度と起こさせないという思いがあったからEUができたのです。
 このような歴史の流れを認識していないと、欧州の経済の流れは読めません。例えば、ギリシャ危機が起こったからドイツがEUを離脱するか否かとい う話がありました。結局は離脱しなかったためにドイツは大きな利益を得たわけですが、離脱しなかった理由の奥底には、もっと深い流れがあるのです。
 前回のバーナンキFRB議長の議会証言の話もそうですが、経済と政治は不可分です。ですから、経済を読み解こうと思ったら、政治の情勢やさらには歴史もしっかり踏まえておかないと読めません。
 前回から今回にかけて、経済の話を政治の面からも読み解きました。これらは私の考えなので、正しいかどうかは分かりません。しかし、経済と政治の両方に目を向け、関連付けて考えることは非常に大切であり、経済を読む上で必要なことです。ぜひ、参考にしてみてください。
(つづく)
■変更履歴本文2ページで「約840万人もの失業者を」としていましたが,「約840万人もの雇用を」です。お詫びして訂正します。本文は修正済みです。 [2011/01/31 13:10]
小宮一慶(こみや・かずよし)
経営コンサルタント。小宮コンサルタンツ代 表。十数社の非常勤取締役や監査役も務める。1957年、大阪府堺市生まれ。81年京都大学法学部卒業。東京銀行に入行。84年から2年間、米国ダートマ ス大学エイモスタック経営大学院に留学。MBA取得。主な著書に、『ビジネスマンのための「発見力」養成講座』『ビジネスマンのための「数字力」養成講 座』(以上、ディスカバー21)、『日経新聞の「本当の読み方」がわかる本』、『日経新聞の数字がわかる本』(日経BP社)他多数。最新刊『日本経済が手にとるようにわかる本』(日経BP社)――絶賛発売中!小宮コンサルタンツBlog:komcon.cocolog-nifty.com/blog
皆さまからお寄せいただいたコメント(4件)
小宮さんの記事は、適切な経済統計解析を述べていただくので大変参考になる。前回と今回は、歴史的推移と政治的動向の読みも加わって、現時点の判断だけでなく今後の予測としても役に立つ。私は1932年生まれ。小学校は戦争中、旧制中学入学で新制高校卒業の変則的中高一貫教育。判断力を養う時期に教育の変遷で揉まれ続けた。中高時代は飢餓を味わい、1955年に輸出産業入社以降は国際競争に揉まれ続けた。賃金・生産性・物価の上昇も国際関係も、輸出品ものつくりを通じて体験し、経済統計やニュースをひっくり返さなくても大まかには記憶している。変転の時代を生きてきた年の功は、今になって将来予測に非常に役立っている。米国の景気は日本に大きく影響する。小山さんの予測では、ドル安と元高が米国の景気回復を後押しするとのこと。金融緩和ではアメリカの製造業は復活しないだろうが、ドル安・元高なら競争力が出てくる。後はどれだけ米国内の生産が急速に復活するかだ。米国の景気回復が製造業復活によるものなら、仕事の海外流出が続く日本は取り残される。日本人の競争回避傾向が国内産業の競争力を弱めており、将来が益々心配になってきた。(2011年01月29日・富士 望) more
大変分りやすい、しかも重要なご指摘と思えます。続きをぜひ拝見したいですが、此処に来て起こったチュニ ジアから始まった政変、エジプトの問題が、ユーロ、あるいは世界経済にどのような影響を与えるか、その点についても触れて頂きたいと思います。アラブの国 々へのこれ以上の波及があるのか、それによって影響度が変わってくると思われますので。日本の国債down gradeの問題も、政治に不信感が拭えない現在、相当drasticな手段が実行されないと、まさにcritical。一体この事態に「疎い」と発言してしまうリーダーが対処できるのでしょうか?少なくとも首相は四六時中市場動向を把握できるシステムを構築すべきではないでしょうか?(2011年01月31日・mandf) more
小宮さんの世界を幅広く見た解説は役に立つ。しかしグローバル化を充分考慮しない政治や評論、コメントがよく見受けられる。不況時の生産性向上は雇用が減るから駄目が経済の常識だったが、人物金が自由に国境を越える今日、この常識は通用しない。合理化を怠れば競争力が低下して注文や工場は海外に流れ、国内の仕事は減ってデフレは加速する。貯金を下ろして消費しても、誰かの収入になって景気が回復し、国債消化は問題ないも間違いで、消費財は殆ど中国製だから引き出した預金は中国に流れ、日本国内の資金供給は逼迫する。海外と競争が少ない農林、土建、行政、医療介護、教育保育などの従事者と国内中心に考える政治家や評論家の方々も、グローバル化の影響認識が足らず、規制と保護を続けて日本の国際競争力を弱めている。公共投資と金融工学による経済浮揚も駄目になった。EU北よりの独仏オランダ等は国内の農業・工業振興で堅実だが、南よりの楽天的諸国ギリシャスペイン伊等は公共投資頼りが破綻に瀕し、基軸通貨国米国も投機破綻とドル安進行で国力は落ちている。日本も公共投資依存と保護規制は止め、国内産業の国際競争力強化を始めねばならない。(2011年01月31日・富士 望) more
経済と政治の状況を、冷静な分析により読み解かれる内容に、引き込まれています。この話しと、是非国内の経済と政治の分析も対比しながらの、辛口な話しも伺いたいです。特に、現状の日本国の孤立化、政治の貧困、国民の無反応、3年後当たりに迫ると私が予測する、国民生活の危機的な状況に国民一人一人がどのようにしたら対処できるのか、不安がつのる毎日です。もう、日本から出てゆく優秀な企業と一部の世界に通用する人達は離れ、なほ沈むこの国で、何かを自らの行動を考える指針の一助が知りたいです。(70歳のセミリタイアメントより)(2011年02月01日・泉 重郎)


デマ、誹謗中傷を原動力とした藤田田の成功哲学日本マクドナルドの創設者のDNA
第21回ビリオネア・リサーチ・グループ 2011年01月30日 16:00

格差 格差問題 マクドナルド 不況 藤田田 富裕層 天野雅 
 日本マクドナルドはすでに株式会社として、東証一部に上場しており、経営と所有(株主)は分離されて運営されている。社長は当然経営のトップではあるが、そのカリスマ性は藤田と比べるべくもない。
 企業が上場して組織が大規模になるほど、カリスマ経営などは不可能に近くなり、ボトムアップの集団指導制で運営していくことになる。もはや、藤田のカリスマ性を受け継ぐ者は、内外を問わず皆無なのか。
 しかし在野に、藤田田の遺伝子を受け継ぐ怪物が存在していたのだ。それも、とてつもない経歴を持った風雲児である。
 おそらく本人は、藤田の怪物商法の「遺伝子」を継いでいる意識はまったくないであろう。いや、それをあえて否定するかもしれない。
 前例を否定し、他人との比較を嫌うことこそ、その証明かもしれない。彼の「お金と水の理論」からも、その破天荒な思想が伺える。
 彼は「お金と水は同じ」だという。つまり、お金を稼ぐということは、川に水をくみにいくということであり、水=給料ということになる。
 サラリーマンは毎日水をくみにいかなければ生きていけず、すこしでもサボれば、次の日にはスッカラカンになる恐れもあるのだ。
 しかし、水をくみにいかなくても生きる方法はある。それは、川から自分の住みかに水を流し込むこと、つまり、お金が自然に流れるような仕組みを作ることだ。これが「起業」ということ。
 水を流せば、魚も飼えて、米や野菜も栽培できる。どんどんお金が増えていく可能性があるわけだ。彼はこの仕組みを26歳のときに知り、起業して大金持ちになった。
3%の金持ちが「希望を摘み取る仕組み」をつくった
  彼の名は「天野雅博」。両親に認知されずに生まれ、養護施設で育つが、小さい頃から放浪癖があり、施設から脱走を繰り返す。暴走族を率いて、少年院を三度 経験し、18歳で少年刑務所送りになる。22歳で出所後、リサイクルショップで大儲けして、米国で流行していた酸素ビジネスによって、億万長者の仲間入り をする。
 彼こそまさに、怪物商法の遺伝子を受け継いだ風雲児ではないだろうか。その彼が世の中のオキテを知ってしまったとき、生き方が決定されたのかもしれない。
「人びとに成功させない仕組みを築いた3%の金持ちがいる――僕はそう思っている」 「金持ちが金持ちとしてその生活レベルを維持し、継続させるためには、犠牲が必要だ。(中略)そして金持ちたちは、絶対に成功することのない人たちに、 『頑張って努力すれば、君らも僕らのようになれるんだよ』という夢を与え、同時に希望を摘み取る仕組みをつくった。それが現代の成功哲学だと何の疑いも 持っていない僕がいる。むしろ僕はそれを確信している」(『それでいいのか、サラリーマン』のプロローグより)

  そこから、彼のとてつもない冒険が始まった。その破天荒な発想法と恐るべき実行力、そして成功をつかみ取るビジネスセンスは、起業を目指す者にとって大き な指標となるはずだ。一方で、大いなる成功者には毀誉褒貶は付き物、彼を「詐欺師」と称する輩もいるのだ。この続きはまた次回にしたい。
参考資料:『ユダヤの商法』『勝てば官軍』『頭の悪い奴は損をする』(以上、KKベストセラーズ)、『それでいいのか、サラリーマン』(三冬社)、『貧乏は完治する病気』(あさ出版)など
【関連記事】 ・米国に逆らい結果を出したマクドナルド藤田田 儲けの原点「ユダヤ商法」と「超合理主義」 ・これが取締役の年俸の実態だ 国内大手企業60社「お偉いさんの懐事情」 ・「貧乏人が金持ちを連れてくる」仕組みに自画自賛した社長


news.finance.yahoo.co.jp/detail/20110130-00000002-sh_mon-bus_all
米国に逆らい結果を出したマクドナルド藤田田儲けの原点「ユダヤ商法」と「超合理主義」
第20回  2011年01月03日 16:00

格差 格差問題 マクドナルド 不況 藤田田 富裕層
■ハンバーガーの世界記録達成にやっかみが殺到する

 日本マクドナルドの創設者、藤田田は1971年7月20日、銀座三越の1階にマクドナルドのハンバーガー1号店をオープンさせて大人気を呼び、大きな売上げをあげた(前回記事参照)。開店前、藤田の「大風呂敷」に半信半疑だった米国の本社も、その実力を認めざるを得なかった。

 その後、売上げは驚異的に伸びて、開店1周年を迎えて1日の売上げ222万円を達成する。これは、当時のハンバーガー店1店舗の1日の売上げの世界記録であった。それまでの記録は、米国のミネソタ州にあるハンバーガーレストランが出した209万円だったが、この金額は、ハンバーガーの本場である米国で、年間百億円以上の宣伝費を費やしての記録であった。

 ところが、藤田はパン食の習慣のない東洋の国で、しかもテレビ宣伝はおこなわず、開店わずか1年という短いサイクルの中での記録達成であった。

 しかも、その8ヵ月後には記録を更新して、1日の売上げ293万円をたたき出すことになる。もはや米国の本社では藤田を知らぬ者はおらず、こぞって本社の幹部が視察に現れるようになったという。

 その一方で、日本国内ではその成功を評価されながらも、ハンバーガーという異文化が蔓延することによる軋轢で、マクドナルドを妬む者まで現れる。

「日本人の美徳は、座って静かに食事をとるところにある。ところが、マックは立ち食いで、歩きながら食べる者もおり、その美徳を損ねることになる。日本文化を冒涜する食習慣だ」といって、あからさまに批判する評論家や料理家が現れた。

 単なる中傷としてすますにはことが大きくなりすぎたので、藤田はいろいろな機会に「食事にパン食や米食があるように、その飲食スタイルもいろいろあったほうがよい」と反論する。しかし、本心では、「外食では立ち食いスタイルが本流になる」という自負もあったろう。

■いわれのないデマと誹謗中傷を原動力とする

 こんな批判はかわいいもので、さらに誹謗中傷としか考えられないものも出てきた。
 それは、「マックは牛肉ではなく、猫の肉を使っている」というものだった。

 猫の肉とはひどい中傷だが、そうでないと、あんなに安く大量に販売できるはずがないとされて、マックの各店舗の裏には猫の死骸がたくさん埋まっていると噂された。

 実際に、マクドナルドのある店舗が開店する際には、朝早くから車3台に分乗した風体の怪しげな男たちが現れて、店の周辺の住民に、マクドナルドの肉は牛肉ではなく猫の肉だとふれ回っている。
 いまでこそ笑い話になるが、当時は真剣にその対策に追われていたのだ。もし噂の通りなら、ハンバーガーの販売量からして、日本全国に猫は一匹もいなくなってしまうだろう。

 そんな、少し考えれば底が割れるデマが、まことしやかに囁かれるのであるから、日本という国は成功者に対して、何のリスペクトもない、足を引っ張る悲しい国だと、藤田は嘆いていた。

 しかし批判されるほど、藤田は反発し、それを原動力として、それ以上の実績を外食産業の雄としてあげている。ハンバーガー文化が日本にすっかり根づいた以降も、店舗数を増やし続けて、新商品も続々と開発して売上げに貢献している。

■デマを払拭するために企業秘密を公開した藤田田

 この1件で藤田は学んだことがある。それは、何でも秘密にするとデマが飛ぶということだ。100%牛肉を使用しているにもかかわらず、そんな噂を立てられるのも、企業秘密の分野が多すぎるからだと考えた。

 マクドナルドには、実に2万5000にものぼるノウハウがあるが、企業秘密のために一切公開されていなかった。これは多国籍企業として当然のことであり、コカコーラにしても、原液の製造法などは極秘とされている。

 しかし、このデマ事件以来、藤田は一大決心をして、マクドナルドの企業秘密の公開に踏み切る。

 これまでは、外部者にはキッチンの写真や見学さえ許さなかったが、小学生から大人まで「ストアツアー」といって、すべて公開することにしたのだ。当時では、この決定は競争相手に手の内を晒すことになり、極めて大きな不利益を被ることが予想されたが、いわれのないデマを払拭するには、この方法が一番だったのである。

 藤田とマクドナルドにとっては、大変なリスクであったが、あえて「儲け」の秘密を公開しても、絶対に勝てるという自信があったのだ。

 案の定、その後のマクドナルドの躍進は見ての通りである。デマによるマイナスイメージが取り払われて、ますます業績を上げて、外食産業として他の追随を許さない地位を築き上げたのである。

■「お金と水は同じ」という哲学で大金持ちになった男

 そんな藤田も、2003年には、体調不良のために日本マクドナルドの会長を辞任して、翌2004年に74歳の生涯を遂げることになる。

 数々の伝説を残してきた巨人であったが、その恐るべき起業家精神は、誰かに受け継がれたのであろうか? 

 日本マクドナルドはすでに株式会社として、東証一部に上場しており、経営と所有(株主)は分離されて運営されている。社長は当然経営のトップではあるが、そのカリスマ性は藤田と比べるべくもない。

 企業が上場して組織が大規模になるほど、カリスマ経営などは不可能に近くなり、ボトムアップの集団指導制で運営していくことになる。もはや、藤田のカリスマ性を受け継ぐ者は、内外を問わず皆無なのか。

 しかし在野に、藤田田の遺伝子を受け継ぐ怪物が存在していたのだ。それも、とてつもない経歴を持った風雲児である。

 おそらく本人は、藤田の怪物商法の「遺伝子」を継いでいる意識はまったくないであろう。いや、それをあえて否定するかもしれない。

 前例を否定し、他人との比較を嫌うことこそ、その証明かもしれない。彼の「お金と水の理論」からも、その破天荒な思想が伺える。

 彼は「お金と水は同じ」だという。つまり、お金を稼ぐということは、川に水をくみにいくということであり、水=給料ということになる。

 サラリーマンは毎日水をくみにいかなければ生きていけず、すこしでもサボれば、次の日にはスッカラカンになる恐れもあるのだ。

 しかし、水をくみにいかなくても生きる方法はある。それは、川から自分の住みかに水を流し込むこと、つまり、お金が自然に流れるような仕組みを作ることだ。これが「起業」ということ。

 水を流せば、魚も飼えて、米や野菜も栽培できる。どんどんお金が増えていく可能性があるわけだ。彼はこの仕組みを26歳のときに知り、起業して大金持ちになった。

■3%の金持ちが「希望を摘み取る仕組み」をつくった

 彼の名は「天野雅博」。両親に認知されずに生まれ、養護施設で育つが、小さい頃から放浪癖があり、施設から脱走を繰り返す。暴走族を率いて、少年院を三度経験し、18歳で少年刑務所送りになる。22歳で出所後、リサイクルショップで大儲けして、米国で流行していた酸素ビジネスによって、億万長者の仲間入りをする。

 彼こそまさに、怪物商法の遺伝子を受け継いだ風雲児ではないだろうか。その彼が世の中のオキテを知ってしまったとき、生き方が決定されたのかもしれない。

「人びとに成功させない仕組みを築いた3%の金持ちがいる――僕はそう思っている」
「金持ちが金持ちとしてその生活レベルを維持し、継続させるためには、犠牲が必要だ。(中略)そして金持ちたちは、絶対に成功することのない人たちに、『頑張って努力すれば、君らも僕らのようになれるんだよ』という夢を与え、同時に希望を摘み取る仕組みをつくった。それが現代の成功哲学だと何の疑いも持っていない僕がいる。むしろ僕はそれを確信している」(『それでいいのか、サラリーマン』のプロローグより)

 そこから、彼のとてつもない冒険が始まった。その破天荒な発想法と恐るべき実行力、そして成功をつかみ取るビジネスセンスは、起業を目指す者にとって大きな指標となるはずだ。一方で、大いなる成功者には毀誉褒貶は付き物、彼を「詐欺師」と称する輩もいるのだ。この続きはまた次回にしたい。
 

参考資料:『ユダヤの商法』、『勝てば官軍』『頭の悪い奴は損をする』(以上、KKベストセラーズ)、『藤田田―金儲けのプロの教え』(アスペクト)など

米国に逆らい結果を出したマクドナルド藤田田儲けの原点「ユダヤ商法」と「超合理主義」
第20回  2011年01月03日 16:00

格差 格差問題 マクドナルド 不況 藤田田 富裕層

 1971年、マクドナルドの第1号店が東京の銀座三越1階にオープンした。 2年越しで、米国本社のレイ・ブロックを説得して、日本における初進出の店舗である。本国の米国では、郊外のファミリーレストランとして成功してきたので、繁華街やダウンタウンでの出店は予想外で、またそれほど期待されていなかった。
 しかし開けてビックリとはこのことで、売上げの世界記録をつくってしまう。「郊外なんかダメ、やるなら日本一、人通りのよい日本の中心部がよい」といって、東京銀座に開店。日本法人の意向を貫き通した、社長藤田田の勝利だった。
 銀座三越店の1号店の開店には、3000万円の費用がかかったが、最初の月間売上げで4000万円を記録して、1ヵ月で開店費用を回収してしまうという快挙がおこった。
 その体験を元に1972年、藤田田の記した『ユダヤの商法―世界経済を動かす』は、出版されるやいなや、瞬く間に売れ行きベストテンに入り、販売部数104万部でミリオンセラーになった。しかし、その後、この本は市場から姿を消す。
 通常なら、ミリオンセラーは古本屋でいくらでも安価に手に入るのだが、現在の値段は、最低7000円前後で、高騰しており、ほとんど市場に出回っていない。
 なぜなら、この本には、元祖富裕層になった起業家の教えとして、商売と金儲けのコツがふんだんに書かれており、購入した人が大切に保管しているからだと、著者の藤田田氏本人が語っていた。
 確かに、藤田田は、日本で外食産業を根づかせた父として語り継がれており、そのカリスマ性は半端ではない。
 東大在学中に藤田商店を起こし、銀座にマクドナルドの1号店を出店。あっという間にハンバーガーブームを巻き起こし、億万長者になったビジネス巨人から、読者へのメッセージとして、今なお読み継がれているのである。ここでは、その本のエキスを抽出して紹介していきたい。

あとがきに「お金の欲しい人が読んでください」
 まず、彼の成功の秘訣を探ってみよう。
 日本という「米」と「醤油」の国で、米国の象徴である「パン」と「ケチャップ」を売り込み、ファーストフードの先駆けとなった、大風呂敷商法の極意、そして大成功の源となった、世界中で異端視される「ユダヤの商法」とは、いったいどんなものなのだろうか?(次ページへ続く)

 藤田田は『ユダヤの商法』のあとがきで、「お金の欲しい人が読んでください」として、こう記している。
「ど うすれば儲かるか――ということを公開するのは、はなはだ不本意だが、世の中を見渡すとどうも不景気色が強い。これまで他人に金儲けのコツを伝授するため の苦労してきたわけではないが、国の将来のためにわたし一人が儲けるよりは、国民全体に儲けもらった方がプラスになりそうなので、あえて金儲けのコツの公 開に踏み切った」
 何と太っ腹な経営者であろう。自分が億万長者になったヒケツをすべて公開しようというのである。これこそ究極の「ウィンウィン関係」(お互いにメリットのある関係)ではなかろうか。
 藤田式「ユダヤの商法」の基本は、「現金主義」である。ユダヤ人の教えでは、天変地異や人災から自分の命や生活を守るのは、現金以外には考えられないというものである。
 人間も社会も毎日、毎日変化する中で、銀行預金ですら、いつ破綻してゼロになるかわからないし、クレジットカードなど信販会社の信用がなくなれば、まったく価値のないものになってしまう。さらに、戦争が起これば、現金以外は通用しなくなる可能性も高いのだ。したがって、すべての評価は「いま現金をいくら持っているか」という概念に基づいて行われるわけだ。
どんなビジネスも商売相手は「女」と「口」
 第二に、ユダヤの商法には、「商売の対象」は2つしか存在しない。それは「女」と「口」である。「女」とは、男が稼いだお金を女が使って生活を立てるわけだから、商売は女を狙うことが大事だという意味。古今東西、儲けるには「女」が欲する商売を行うことである。
「口」 とは、レストランや居酒屋、バーなどの飲食店を始め、食品関連業などが対象で、口に入ったものは、身体の中で消化されて、次の商品が必要になるからだ。つ まり永遠にリピートされる商品であるわけだ。したがって、ひとつ当たればロングセラーになり、大きな儲けが期待できる。
  第三に、「国際感覚」が必要であり、そのための必須条件は英語が話せること。グローバルビジネスで、通訳をはさんでいては、意思の疎通ももどかしく、即断 即決の妨げになる。また、いろいろな国の人間と商売をすれば、それだけ広い視野から考えられるし、違った角度から物事が見られることにつながる。
 藤田田も学生時代に、GHQでアルバイトをして英語力を磨き、国際感覚を養っており、後に「銀座のユダヤ人」といわれるようになる。GHQ時代には英語力だけでなく、ユダヤの商法の原点になることも体験した。
 GHQに従事する軍人たちの中にはユダヤ人も多く、かれらは同僚に金を貸すサイドビジネスで儲けていた。相手が同僚でも一切手加減せずに、厳しくお金を取り立てていく姿は、藤田に衝撃を与える。お金=キャッシュの大切さや重要さを、ここで身につけることになる。
  ユダヤ人は、紀元前から自国を追われて難民となり、差別から土地の所有権や職人への弟子入りも許されなかったので、キリスト教ではご法度の金融業などを行 い、大きな利益を稼いでいったのである。当然、お金のためには危ない橋も渡らなければならないわけで、これが「黒い錬金術師」の誕生であるといわれてい る。
ビジネスは「もっとよこせ!」が儲けの原点
もうひとつ藤田田のユダヤの商法で特長的なのは、「超合理主義」というヤツである。

 それをひとことで言いあらわすと「勝てば官軍」という言葉になる。そこで、彼は語る。
「勝負は勝たなければダメだし、商売は他人が腰を抜かすほど儲けて見せなければダメだ」 ビジネスの世界では、「敗者の美学」など存在せず、負ければ即倒産である。負けてから、いくら立派な理由をつけようとも何の意味もない。ビジネスは食うか食われるかの世界なのである。
 こうした徹底した精神こそ、日本では絶対に不可能といわれたハンバーガービジネスを大成功に導いた源なのである。
 藤田は「人間の本性は「悪」だ」といい、次のように語っている。 「日本人は基本的に性悪説ではなく性善説をとっている。それは、講談や浪花節でもわかるように、とにかく長い間、勧善懲悪というモラルに親しんできたからだ。(中略)
 しかし、ビジネスの世界ではそうはいかない。ここでは、相手も絶対に儲けようと思っているのだし、自分もそう思っている。自分が儲けるためには、相手をどん底に陥れる。そうしなければ自分がやられる。お互いに食うか食われるかの修羅場で戦っているのだ。」
 つまり、ビジネスは修羅場であり、そんな修羅場に性善説でのぞめば、あっという間に足をすくわれ、骨の髄までしゃぶりとられてしまうことは目に見えているのだ。
 日本人はよく「商売はギブ・アンド・テイクでいきましょう」というが、これはキリストが人を導くためにいった宗教上の言葉であり、ビジネスに応用するほうがおかしいのである。 その証拠に、ユダヤ人は
「テイク・アンド・アスク・フォー・モア」つまり「(取った上で)さらによこせ!」 という。「ギブ」はなしで、取ってとって取りまくるという意味である。これなら、儲かること間違いなしである。
 実際「ギブ・アンド・テイク」では、最初に与えるわけだから、よくてイーブン、下手をすれば大損をしかねないのである。
ソフトバンクの孫正義もユニクロの柳井正も師と仰ぐ
 お金に関連してもうひとつ付け加えると、お金に「きれい」とか「汚い」とかという表現は意味がないということだ。日本人はよく「きれいなお金」「汚いお金」という言葉を使いたがる。そのお金の出所、つまりどうやってその金を稼いだかを問題にする。
 しかし世界では、そんな考え方は通用しない。どんなお金でも価値は変わらないというわけだ。お金には倫理的な判断は必要ないとされている。
 米国には「ループホール」という言葉がある。「抜け穴」とか「例外」という意味だが、そこを狙えば儲かるということで、ループホール専門の弁護士がいて、「この法律にはこういうループホールがあるのでやりませんか」という儲け話を持ってくる。
 日本でいうと、そんな輩は「悪徳弁護士」になるのだろうが、こんなことは世界中で、日常茶飯事のように行われているのだ。
 藤田田はこういった考えから、企業と政治家の癒着という批判が起こりそうな政治献金も正々堂々と行い、政界からもいろいろな情報を得て、ビジネスに生かしていた。
 そんな藤田田を尊敬して、ソフトバンクの総帥・孫正義、そしてユニクロの創業者・柳井正も、彼の著作を読破し信奉して、その経営理念を受け継いでここまできたといっている。
 特に、孫氏は高校時代、藤田に直接面会して、「これからはコンピュータビジネスの時代」という薫陶を受け、起業し大成功につなげているのだ。
競争相手を知りたければゴミ箱の中を調べればよい
 藤田田のビジネスのルーツは、米国マクドナルドの創業者レイ・クロックのとの出会いに始まる。初めてクロックに会ったとき、彼は自分の手を広げて見せてくれた。薬指の第一関節から先がなく、若い頃、工場でケガをして切断したという。
 そして彼は、藤田に手を見せろといい、「きみは指が全部揃っているから、大きくなるまで20年かかったわたしより、もっと早く日本マクドナルドを大きくできる」といった。
 クロックがマクドナルドの事業を立ち上げたのは52歳で、人生の黄昏時である。それから、30年間、粉骨砕身努力して、世界一のファーストフード企業に育て上げた。そのビジネスに対する情熱を述べた言葉に「成功はゴミ箱の中に」というものがある。 これは、クロックが競争相手に述べた言葉で、
「競争相手のすべてを知りたければゴミ箱の中を調べればよい。知りたいものは全部転がっている」 と語ったものである。続けて、
「わたしが深夜2時に競争相手のゴミ箱をあさって、前日に肉を何箱、パンをどれだけ消費したかを調べたことは一度や二度ではない」
と も語っている。そんな情熱家に気に入られて、日本でマクドナルドを創業した藤田田は、クロックが予想した以上に、瞬く間に年商3000億円の巨大産業に育 て上げ、自らも『フォーブズ』誌に世界の長者として紹介されることになる。まさに、「ジャパニーズ・ドリーム」ナンバーワンの巨人といえるだろう。
参考資料:『ユダヤの商法』、『勝てば官軍』『頭の悪い奴は損をする』(以上、KKベストセラーズ)、『藤田田―金儲けのプロの教え』(アスペクト)など

【関連記事】 ・「第二次朝鮮戦争勃発で未曾有の日本大不況へ突入」という最悪のシナリオ(1/2) ・これが取締役の年俸の実態だ 国内大手企業60社「お偉いさんの懐事情」 ・赤字なのになぜ外国人経営者は破格の高額報酬を受け取れるのか ・「貧乏人が金持ちを連れてくる」仕組みに自画自賛した社長
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デマ、誹謗中傷を原動力とした藤田田の成功哲学 日本マクドナルドの創設者のDNA


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