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思い上がるな、しっかりしろよ、テレビ局! (街の弁護士日記SINCE1992)
http://www.asyura2.com/10/hihyo11/msg/824.html
投稿者 はぐれ 日時 2011 年 5 月 29 日 09:17:48: qZxcSasncalG.
 

思い上がるな、しっかりしろよ、テレビ局!(体験的メディア論4)
http://moriyama-law.cocolog-nifty.com/machiben/2011/05/post-14a5.html

新聞報道によれば、名張毒ぶどう酒事件の奥西勝死刑囚の再審裁判で、弁護団が、事件当時のテレビニュースの映像を証拠として提出した事に対して、フジテレビが猛烈に抗議し、取り下げるように求めているという(朝日新聞5月25日)。

奥西死刑囚が死刑判決を受けた物証の1つが、葡萄酒の王冠に残った歯形が奥西死刑囚の歯形と一致するとする鑑定にあった。

今では、鑑定は不正確なもので、王冠の歯形と奥西死刑囚との間には結びつきはないとされているが、今回、弁護団がニュース映像を提出したのは、検察側は提出した9個の王冠が全てだと主張しているが、映像によれば、少なくとも18個の王冠が存在したことが明らかであり、検察は、未だに全ての証拠を出そうとしていないことを証明するためであるとのことである。

人一人の命のかかった事件であり、検察の証拠隠匿の可能性があることを示すのは極めて重要な意味を持つ。

にも拘わらず、フジテレビは抗議しただけでなく、取下まで求めた。
単純に人権感覚が疑われる。

新聞で伝えられる理由も薄弱である。

「放送を目的として独自に取材・放送した映像を無断で証拠として提出したことは到底容認できない」

というのである。

著作権法は、著作権者の了解を得ないで、著作物を利用できる例外として裁判における利用を明確に認めている。

(裁判手続等における複製)
第四十二条  著作物は、裁判手続のために必要と認められる場合(略)、その必要と認められる限度において、複製することができる。

複製が認められているのは、裁判所に証拠として提出することは当然のこととして認められているからだ。

フジテレビの抗議、まして取下要求は、著作権法に違反するだけでなく、裁判を受ける権利を保障する憲法の精神に著しく反している。


実は、フジテレビだけが特殊な訳ではない。
現在では、どこのテレビ局も映像を裁判所に出そうとすると必ずクレームを付けてくる。

かつてはテレビ映像の証拠提出はごく普通に行われていた。
クレームなど、聞いたことがなかった。

僕が初めて、テレビ局が文句を言うという話を聞いたのは、10年ほど前になるだろうか。
これも弁護団を組んで組織的に取り組んでいた事件だった。
そのときは、テレビ局は、著作権法も知らないのか、という議論が支配的になって、そのまま提出したような覚えがある。

ところが、その後も、何度も同じようなことが繰り返されてきた。

今では、弁護士にとって、テレビ映像の提出はタブーに近い。
何も疾しいことはないのに、面倒くさいことにならないよう極力知られぬようにこっそり出す。


よもやテレビ局も、著作権法を知らぬ訳でもあるまい。
違法だと考えれば、訴訟で差止なり賠償なりを求めればいい。

どうしようもないことがわかっているから、やたらきつい言葉で抗議し、事実上、証拠提出を断念させようとしているのだろう。

これは、弁護士に対する一種の圧力である。
今後、我が局は、奥西死刑囚の再審事件については、取り上げてやらない、それでもいいのかという暗黙の圧力が見える。

別件のときも、僕は、そんな不利益を忍ばなければならなくなるのかと感じた記憶である。
社会的な問題を扱う事件は、テレビが世論を喚起してくれるかどうかが、極めて重要である。
したがって、テレビが取り上げないかもしれないと思わせるのは、十分な取引材料になるのである。

弁護士が感じるテレビ局の圧力は、そうである。

では、なぜテレビ局は、以前は、自由だった映像を、それほどまでして、裁判では使わせないようにしようとするのか。

やはり圧力の問題に行き着かざるを得ないだろうと僕は考える。

刑事事件であれば、被告人に有利な映像を裁判所へ提出させたテレビ局に対しては、警察や検察は取材上の差別をしようとするのだろう。少なくともテレビ局が、そう受け止める事情があるのだろう。

民事事件であれば、被告企業は、テレビ局の大事なスポンサーなので、原告に有利な映像の提出を阻止しなかったテレビ局は、被告企業からの広告収入を失うという圧力があるのだろう。

正々堂々と著作権違反で争えないし、本音は自らの保身にあるから、理屈にもならないことを居丈高に言い張って、横車を押そうとする。

見苦しい。

東電がまだスポンサーであり続けるかもしれなかった時期のテレビの、あの余りにも卑屈な報道を思えば、テレビ局が弁護士に対して見せるおごりと裏腹にスポンサーと政府まる抱えの、保身と怯えに満ちた姿が透けて見える。  

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