原発問題をこれまで注目してきたが、もう考えるのも嫌になってきた。地震発生当初から、わたしは福島第一についてここでも警告した(1)。それは、構造的に弱くメルトダウンを起こしやすい設計の原発として以前から知られていたからだ。そんなことは事実として日本国民が知っているとことだと思っていたから、特に説明はしなかった。

でも、原発事故が過酷なものになるにつれ、そんな昔からの警鐘は、聞いていないともいうような投稿が散見された。実際のところ警告されていたのに、バカみたいな政局話と痴話話ばかりして、煙たい警告の声を｢聞いて｣もいなかったのだ。東電の批判ができるか。彼等も警告されていたのに無視をした。一方で、警告に耳を貸さない国民がいた。同罪である。原発政治を容認してきた｢世代｣として、強く反省して頂きたい。

さらに、今頃になって、水素爆発前に格納容器の外で本来なら原子炉内にしかないはずの放射性物質が検出されたことが発表されたと驚いている阿修羅の住人にも辟易させられる。そんなことは、水素爆発が起きる前にメディアを通して報道されていた。たしかに政府公式発表という形式ではないにしても、私たちが知らされないままでいたわけではないのだ。ずっと私の投稿にも書いている。それに、日本人だから｢本音と建前｣というのがあることぐらい理解できるだろうと思ってきていた。だが、わたしの期待を上回って理解力がないのだということがよくわかった。数週間前に聞いた情報も覚えていない。それに従って適正な判断など、できるはずもない。喉元すぎれば、と言われるが、どこまで忘れやすいのだ。これが、日本なのか。
そして、今でも汚染が拡大しつつあるというのに、国民の関心は今だに政局話と痴話話ばかり。菅がやめると言っただの、どうだの、そんなことは、どうでもいい。ここ阿修羅でも、その傾向は如実に現れている。これまでずっとそうしてきたのだから、所詮、そういうことに関心を向けるしか能がないのだろうか。

原発について言えば、今となっては、国が戦争に巻き込まれたり、国家破綻したほうがマシだった、と思う。

私は、広島人だ。私の祖父も、祖母も、ガンで亡くしている。当時広島にいなかった彼等の姉や兄たちより数十年も早く、死んでいる。そういう例を知っているから、放射能汚染がこれから及ぼす被害の恐ろしさは、身に染みてよくわかっている。その広島の、何百倍、いや何千、何万倍の放射性物質が、日本上空を飛んでいる。

これから、何がおきるのか、考えたくもない。数年後、かわいい子供達がバタバタと病気で倒れるのをみるくらいなら、今、山が私に崩れかかって私を覆い隠してくれたらいいのに、と思う。十年後、ガンに苦しむ人を、いつかは自分もこうなると感じながら介護する若い婦人たちのことを思うと、胸が張り裂けそうになる。そして、今、この時にも、その汚染は深刻になりつつある。正直なところ、もう手はないだろう。

願わくば、70年は復興しないと言われた広島が、すぐに立ち直ったように、自然の驚異的な治癒力が発揮されることを。

春望　　杜甫

国破れて山河在り
城春にして草木深し
時に感じて花は涙を濺そぎ
別れを恨んで鳥は心を驚かす
烽火は三月に連なり
家書は万金に抵たる
白頭の掻きて更に短く
渾べて簪に勝えざらんと欲す

(1)被災した方に配慮した投稿を
http://www.asyura2.com/09/jisin16/msg/412.html
JI 412 2011/3/11 22:08:01
投稿者: metola

コメント
01. 乃依 2011年6月05日 00:18:16: YTmYN2QYOSlOI : 1WUfIuYhMa 敗戦以後、主権を回復することなくうわべだけの経済成長に明け暮れたのが、戦後日本だった。 そもそも、明治維新の時期に、日本人の主権は喪失していたのかもしれない。 metolaさんの嘆きも分かるが、 日本人は、維新、敗戦によって、すでに、主体性を失ってしまっている。 東北災害によっても、日本人は目覚めそうにない。 敗北主義者といわれようと、日本人の主体性の喪失は、動かしがたい事実で、それを回復するというだけでも難しいというしかない。 （アメリカからの独立を、ともっともなことを訴える人もいるが、現実の日本人の水準はそれ以前の段階にある。） 主体性（魂）を持っている（数少ない）人々に、ゆだねるほかない。
02. パルタ 2011年6月05日 01:48:29: BeExvDE2jO5d2 : fhqMEypoT6 最大の敵はいまや人間よりもっと巨大なものになっている。 その事実を見たくないから人間を叩いているのではないかと疑ったりしてしまう。 政局に埋没してないと現実を直視してしまうことになる。 東日本に住めなくなる恐怖から目を逸らすために政局が問題だと思うようにする 自己欺瞞を感じる。
03. metola 2011年6月06日 00:48:03: XbEFO1BzdtcZo : ttbQoLvrrM 乃依さん、全面的に同意はできませんが、一部の輩からみれば日本は既にゾンビなんでしょうな。だから、日本が滅びたっていい。死にかけのゾンビなら、死ねばいい。そういう発想が世界の奥深くにあるのだろうとは、思います。 一昔前、｢ユダヤ人｣が虐げられていたのと同じです。
04. 2011年6月06日 12:17:21: JgyS3UTymo でもその前に原発事故の後始末だけは我々の代でカタをつけておかなくては。 日本が滅ぶにしろ。
05. 2011年6月06日 16:14:38: 3YdSLgc41h 現役責任者の責任が一番重いのだから、我々は現役の首を挿げ替えるなり、現役にやらせるなりして現役に働きかけなければならない。我々は集中先の解決ベクトルを散らし過ぎるのだ。
06. 2011年6月06日 21:47:01: Ccx42z10dQ ルカによる福音書から ＞『不妊の女と子を産まなかった胎と、ふくませなかった乳房とは、さいわいだ』と言う日が、いまに来る。 そのとき、人々は山にむかって、われわれにおおいかぶされと言い出すであろう。 今まで何かを信じて、それが支えてくれたのならば、これからも、その何かを信じることしかないか？ 何時の世もこんなものか？再びルカによる福音書からの引用。 ＞ノアが箱船にはいる日まで、人々は食い、飲み、めとり、とつぎなどしていたが、そこへ洪水が襲ってきて、彼らをことごとく滅ぼした。 ロトの時にも同じようなことが起こった。人々は食い、飲み、買い、売り、植え、建てなどしていたが、ロトがソドムから出て行った日に、天から火と硫黄とが降ってきて、彼らをことごとく滅ぼした。 人々の振る舞いには「惑わされないように」して「きく耳のある者は聞くがよい」で進んで行くしかないか？ルカによる福音書引用。 ＞あなたがたが放縦や、泥酔や、世の煩いのために心が鈍っているうちに、思いがけないとき、その日がわなのようにあなたがたを捕らえることがないように、よく注意していなさい。その日は全面に住む全ての人に臨むからである。 ３．１２以降は、地球的事変である。生物史上最大の大量絶滅時代である現代は 福島原発事故で止めを刺された。人類だけでなく、他の生物も巻き込まれる。花にわび、鳥に許しを請う。 終末と言う盲亀浮木の巡り会わせ、たった１回のチャンスを、どのように生きるべきか？災いの中にも、幸せと感謝が仄かに見える？立ち返れば、変化したのは何か？変化しないものは何か？ 生意気な文章を謝す。
07. 小人 2011年6月09日 18:08:17: RTRStLKdXoeQI : xPArl0ot52 めむめむ氏が暴れていた時からのコメントになります。 ＞これから、何がおきるのか、考えたくもない。数年後、かわいい子供達がバタバタと病気で倒れるのをみるくらいなら、今、山が私に崩れかかって私を覆い隠してくれたらいいのに、と思う。十年後、ガンに苦しむ人を、いつかは自分もこうなると感じながら介護する若い婦人たちのことを思うと、胸が張り裂けそうになる。そして、今、この時にも、その汚染は深刻になりつつある。正直なところ、もう手はないだろう。 ...との考えたくもない見解を書いておられますが、口には出さなくともその時を想像してる人はそれなりの数で存在してると思います。 後はもし、万が一、その時が来た時の自身の行動を決めてる人がどれだけ居るかなんだと思います。こんなコメントをするくらいですから私は決めてます、しかし決めてる内容を文字にして書き込みにくいのが日本。

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