「『グシャ』というアルミ缶を潰したような音を最後に記憶がなくなりました。呼吸が出来ず、足が何かに挟まれている激痛で数分後に気が付きました」。
　……車内で「『亡くなっている人がいる…』という現実に、急に恐ろしくなりました。周りを見ると、後方部のドアの横で座っている女性が見えました。
　身体全体がうな垂れ、微動だにしない…。体中粉塵を被っていて、年齢すら見当がつかない。彼女も亡くなってしまっているのだろうか。声すら掛けることが出来ませんでした」（『ＪＲ福知山線脱線事故―２００５年４月２５日の記憶』）。
　「『グシャ』とアルミ缶を潰したような音」が、脱線事故でするものだろうか？
　脱線事故で、果たして「体中に粉塵を被る」ものだろうか？ 　

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