★阿修羅♪ > 昼休み35 > 447.html
 ★阿修羅♪  
▲コメTop ▼コメBtm 次へ 前へ
イラク戦争検証―日本も国家の責務として  【朝日新聞 社説】 イラク侵略戦争の総括が始まる
http://www.asyura2.com/10/lunchbreak35/msg/447.html
投稿者 愚民党 日時 2010 年 2 月 22 日 19:35:02: ogcGl0q1DMbpk
 

朝日新聞 社説

イラク戦争検証―日本も国家の責務として 

 戦争にかかわったなら、後でその政策決定に至る過程をきちんと分析し、是非を判断する。それは国家としての責務ではないか。ましてや、間違った戦争となればなおさらである。

 イラク戦争の開戦から来月で7年になる。当時の米ブッシュ政権は、フセイン政権が大量破壊兵器(WMD)を開発・保有していると主張し、国連安保理決議を盾に軍事侵攻した。ところが結局、WMDは見つからず、2001年の「9・11」テロを実行したアルカイダとのつながりもなかった。

 開戦以来の犠牲者は、米軍と多国籍軍の将兵が約4千人、イラク側は市民も含めて少なくとも10万人に達する。オバマ政権は米軍撤退を進めているが、国づくりは多難だ。フセイン独裁政権は倒れたが、そのために失われたものは、あまりに大きかった。

 何が間違っていたのか。米国の情報活動に問題があった。開戦直前、安保理で戦争の「大義」を主張した当時のパウエル国務長官はその後、自らの「人生の汚点」と振り返った。

 あの戦争を支持した日本はどうだろう。国際法上の根拠を欠き、中東情勢を混乱させ、世界を分断させたイラク戦争。日本のかかわりについて検証をしないままでは、国家として無責任とのそしりを免れまい。

■英首相決断の危うさ

 米国とともに参戦し、200人近い将兵を失った英国では、ブラウン首相の指示による検証が昨年始まった。元官僚や歴史家ら5人の委員からなる独立調査委員会はブレア前首相ら約80人を喚問し、当時財務相だったブラウン氏自身からも近く証言を得る。内容はすべてネット上で公開されている。

 改めて明らかになったのは、世論や政府内の慎重論を黙殺し、正当性の乏しい戦争に突き進んだブレア氏の決断の危うさだ。証言したブレア氏は「サダム・フセインを倒したことに悔いはない」と強気で弁明した。

 一国の政治を預かる権力者が時に孤独な決断を迫られることはあろう。だが、当時の閣僚たちの証言からあぶり出されたのは、閣議で戦争遂行の是非をめぐる論議がほとんどなされなかったことだ。外務省の国際法専門家の間には反対論が強く、参戦に抗議して辞職した人がいたことや、政府内にフセイン政権打倒後の復興支援構想がなかったことも明らかになった。

 ブッシュ政権との関係に英国がいかに苦悩していたかも見えてくる。米国の単独行動を抑えるため、国際合意の取りつけに奔走した当時のストロー外相は、米政権内の戦争推進派との難しい交渉を振り返り、「使う言葉は同じだが、やり方はまったく異なる国だ」と証言のなかで語った。

■オランダでは「違法」

 復興支援に部隊を派遣したオランダでも昨年、バルケネンデ首相の指示で元最高裁判所長官ら7人の有識者からなる独立調査委員会がつくられた。焦点は、イラク戦争の開戦をめぐる国際法上の根拠だった。

 イラクのWMD疑惑について国連安保理は02年11月、国連査察団を受け入れ、WMDを破棄しなければ重大な結果が生じかねないとの警告を盛り込んだ決議1441を採択。オランダはこれを主な根拠に戦争は合法とした。

 調査委の結論は異なった。決議は個々の国々に軍事力行使を認めてはおらず、イラク戦争は国際法に違反している、と断じたのだ。

 01年の就任後、ブッシュ政権との関係強化を政権基盤の柱としてきた小泉純一郎首相はイラク戦争をいち早く支持した。違憲性への疑念を「自衛隊が活動する地域は非戦闘地域だ」という強引な論理で押し切り、人道復興支援として自衛隊派遣に踏み切った。

 その全体像が検証されなければならない。英国は開戦時と同じ労働党政権、オランダでは同じ首相の下で調査委員会が設けられた。鳩山政権はもちろん、自民党も党利党略のための作業でないことを認識してもらいたい。

■小泉政権の判断問う

 小泉首相や閣僚は当時、どんな国際認識を抱いていたのか。政府の法律専門家の間でどんな議論が交わされ、首相にどんな助言がなされたのか。

 米国支持の背景には、北朝鮮の脅威に対して日米の協調を損なってはならないとの配慮もあったのだろう。だが結果的に、北朝鮮は核実験を繰り返し、「核保有」を宣言した。

 また、同盟国の独仏やカナダが戦争反対の姿勢を貫いたことを日本はどう受け止めていたのか。

 検証作業に抵抗もあるだろう。しかし、貴重な先例がある。

 第2次大戦後の1951年、吉田茂首相は外務省にある調査を命じた。なぜ日本が軍部の暴走を許して戦争に突き進み、敗戦に至ったのか、関係者から聞き取り、考察せよというのだ。

 まとめられた調書「日本外交の過誤」が公開されたのは半世紀後だったが、そこでは戦争回避を進める理念と勇気の欠如がもたらした敗戦という結果から考える姿勢が貫かれている。

 イラク戦争は日本に直接、深刻な打撃を与えたわけではない。だが現代の戦争に部外者はない。まして、日本はそれに関与したのだ。

 現代史の真実を厳正に探求し、政策決定のゆがみがあれば、勇気を持って正す。将来、再び難しい外交選択を迫られた時、それがきっと役立つ。


http://www.asahi.com/paper/editorial.html  

  拍手はせず、拍手一覧を見る

この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます(表示まで20秒程度時間がかかります。)
★登録無しでコメント可能。今すぐ反映 通常 |動画・ツイッター等 |htmltag可(熟練者向)
タグCheck |タグに'だけを使っている場合のcheck |checkしない)(各説明

←ペンネーム新規登録ならチェック)
↓ペンネーム(2023/11/26から必須)

↓パスワード(ペンネームに必須)

(ペンネームとパスワードは初回使用で記録、次回以降にチェック。パスワードはメモすべし。)
↓画像認証
( 上画像文字を入力)
ルール確認&失敗対策
画像の URL (任意):
フォローアップ:

 

 次へ  前へ

▲このページのTOPへ      ★阿修羅♪ > 昼休み35掲示板

★阿修羅♪ http://www.asyura2.com/ since 1995
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。

     ▲このページのTOPへ      ★阿修羅♪ > 昼休み35掲示板

 
▲上へ       
★阿修羅♪  
この板投稿一覧