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ジリ貧日本の処方箋 −「橋下・維新八策」への対案−
http://www.asyura2.com/10/nametoroku6/msg/2557.html
投稿者 佐藤鴻全 日時 2012 年 4 月 15 日 09:00:51: ubCRqOmrnpU0Y
 

橋下大阪市長率いる大阪維新の会が国政進出を見据えて、「維新八策(船中八策)」の具体化を進めている。
筆者は、予てから政界の風雲児橋下氏について、その手法と、政策の整合性に危うさを感じつつも、既得権複合体の破壊と個々人の主体性の強調という方向性には共感してきた。

ここに来て、野田民主党政権が進める消費税増税法案提出に伴い、政局が流動化し解散総選挙の可能性が出てきたため、「維新八策」対案として取り急ぎ筆者の考えを下記に纏めた。
なお、橋下氏も言うように、先ず政策の方向性の是非が問題であるので、実施時期と数字は敢えて殆ど入れていない。

◆新船中八策(「維新八策」対案)◆
内外の宿痾によりジリ貧に陥ると共に、周辺国からの脅威に晒されている今日の日本が掲げるべき指針は、内政に於いては「ナショナル・ミニマムを伴う自立社会の建設」、外交・防衛に於いては「国際的大義を伴う長期的国益の追求」である。
以下、具体的な区分に展開する。

【経済・税制】 名目GDP4%成長の持続的実現を第一とすべき事。
 ・日銀法改正、2%のインフレターゲット導入
 ・「新重商主義」の下、「官民折半・自己責任」の国家プロジェクト立上げ
 ・新成長戦略を、特区を含めた規制緩和、税制等で実行
 ・歳入庁の設置、納税者番号制度の導入、予算編成権の官邸への移行
 ・貿易自由化:「基礎的食糧」以外の関税自由化、「非関税障壁」緩和は個別交渉
 ・プライマリーバランスの10年以内の実現(4%成長下で不足分の諸税増税検討)

【雇用制度】 エリートから解雇規制を廃止し、労働流動性を高めるべき事。
 ・幹部コース公務員、幹部コース民間社員の順に段階的に解雇規制を廃止
 ・一般民間社員、一般公務員の解雇規制は維持
 ・非正規雇用と正規雇用の同一労働同一賃金の実現
 ・ワークシェアリングの税制での後押し

【社会保障・生活保護】 年金、生活保護は、自助努力の補完に限定すべき事。
 ・年金の積立方式への移行、富裕者への支給制限
 ・最低保障年金の早期導入(保険料未納者は資格対象外)
 ・生活保護:就労可能者への支給切下げ・就労収入分支給減額の緩和で就労を促す

【少子化対策・教育】 出生率2.0を目指すと共に、有為の人材を育成すべき事。
 ・目的を出生率向上に明確化し、育児給付増額、第二子以降加算、育児施設整備
 ・エリート育成を目的とし、公費奨学金拡大
 ・教育委員会の廃止(自治体の任意)
 ・外国人労働者の受け入れは、高度人材か日本人の雇用を奪わないものに限定

【地方分権・行政改革・統治】 地方の主体性を高め、国と地方の重複を省く一方、危機対応の統合性を高めるべき事。
 ・基礎自治体への補助金・国庫支出金の一括交付金化(当面)
 ・基礎的自治体への外交・防衛・危機管理・基礎的社会保障以外の権限委譲
 ・調整機能に限定した道州制の導入+県の廃止 or 県の存続の選択制
 ・自治体首長の参議院議員・閣僚兼任
 ・「国家・自治体調整会議」の別途常設
 ・現行の地方消費税は、「地方共有税」に改編し配分(地域間調整機能を一部付与)
 ・「地方共有税」の税率は、「国家・自治体調整会議」で決定(但し全国で同一税率)
 ・別途、自治体毎に自由に税率を決める米国型の単純売上税等を創設(自治体の任意)
 ・地方も含めた公務員人件費総額の3割カット、労働三権のうちスト権を除き付与

【外交・防衛】 日米同盟を基軸にすると共に、自主防衛を整備し、他国との同盟等構築も進めるべき事。
 ・憲法九条の改正、国軍保有、集団的自衛権、侵略戦争放棄の明記
 ・空母の保有、核ミサイルの短期配備可能体制
 ・インド、ロシア、韓国、ASEAN諸国、オーストラリアとの同盟等の模索
 ・中国との相互不可侵条約の締結

【エネルギー政策】 エネルギー安保、安全性、経済性のベストミックスを図るべき事。
 ・発送電分離、直流高圧送電方式導入、東西周波数の統一等
 ・新エネルギー促進
 ・原発の分離国営化、自衛隊傘下への組み入れ等も検討
 ・「原子力規制庁」の三条委員会方式での設置、事故時の刑事責任明確化
 ・原発の段階的廃止もしくは高度新方式原発への置き換え

【食糧安全保障】 少なくとも、有事に5年間篭城可能な食糧安保体制を構築すべき事。
 ・概ねカロリーベースで「基礎的食糧」を定義し、国際法での食糧自給権の確立
 ・食糧自給を目的とした戸別補償制度の大規模農地へのシフト
 ・農地法の改正による農業への株式会社参入規制緩和
 ・農地相続税優遇策の兼業農家に対する縮小での農地集約化
 ・宅地・商業地転用時の譲渡所得税の課税強化での農地集約化
 ・食糧・石油等禁輸時の有事体制整備:備蓄、農地転用、農業持続性対策
 ・「基礎的食糧」以外については、輸入規制の段階的撤廃

◆背景と補足◆
【経済・税制】について、先ず、経済成長の基盤が確立しなければ、それ以外の事は砂上の楼閣だろう。
なお、民主党政権(実質は経済産業省)が作った新成長戦略は、実行手段が書かれていないが成長分野のインデックスとしてはそれほど悪くないものである。
半分放置プレーに晒されているが、これに手足を付け死に物狂いで推進して行くべきだ。
また、TPPについては、所謂「非関税障壁」はその国の社会構造そのものである場合もあり、これを一方的に提訴・決着させる仕組みであるので乱暴過ぎ現時点では加盟すべきではない。(「基礎的食糧」については、【食糧安全保障】で後述)

【雇用制度】について、終身雇用制による村社会の弊害は、日本経済の停滞ばかりで無い。
例えば東電を含む原子力村の無責任体制も、終身雇用制による保身、事なかれ主義から出てくるものだ。
エリート社員(総合職)の解雇規制廃止は小沢一郎氏等が唱えていたものだが、実行に当たっては先ず官庁から開始すべきである。
とは言え、水稲農業社会のDNAが宿る日本人には、アメリカ型の雇用システムは合わない。
「エリート」と「一般」をどこで区分するかによるが、「一般」に対する解雇規制は少なくとも当面は残すべきだろう。

【社会保障・生活保護】について、最低保障年金は、保険料未納者は資格対象外(但し後納は可)として力技でやれば導入に何十年も掛かる話ではない。
また、大阪維新の会が検討しているベーシックインカム導入は、事務コスト削減メリットはあるものの、やはり働けるのに働かない者を増やしてしまう事がネックになる。
生活保護を現行の就労を抑制する仕組みから、就労を促す仕組みへ変更する事でも大きな効果があるだろう。

【少子化対策・教育】について、民主党の「こども手当」も、左翼への配慮からか出生率向上を正面から謳わなかったり、「こどもは社会が育てる」とかプラトンの「国家」かナチスのような事を言っているから、自民党の「バラマキ4K」攻撃に負けてしまった。
育児給付は、所得制限を残し、出生率2.0を目指し拡充すべきだ。
また、外国人労働者の受け入れは、一方で競争を促進し付加価値を生み出すというメリットがあるが、一方では日本人の雇用を食って失業者を増やしたり、賃金を下げるデメリットがあるので、精緻に設計する必要がある。
概ね、ハイレベル分野に外国人を入れるならばメリットの方が大きいだろうが、ミドルレベル分野以下に入れるとデメリットの方が大きいだろう。

【地方分権・行政改革・統治】について、道州制は県を廃止しても現行の三階建て構造と同じく屋上屋を重ねる要素があるのと、国と地方の対立構造が強すぎると特に有事の時に弊害が大きいため、基礎自治体間の調整機能と国との便宜的窓口に限定すべきだろう。
なお、大阪維新の会が検討している消費税の地方税に伴う各道州別税率化は安定財源の確保と各自治体の主体性という面では望ましいかもしれない。
しかし、課税手続き上の問題になるが、アメリカの単純売上税と違い、消費税は仕入税額控除があり恐らくはEU諸国間の貿易手続きのような事が必要となり事務手コスト上無理だろう。
代わりに、現行の地方消費税分を「地方共有税」に改編し、「国家・自治体調整会議」で全国同一の税率を決定・配分し、地方税源の柱の一つとする。
それと共に、アメリカ型の単純売上税等の税制フォーマットを別途創設し(ただし、申告書は現行消費税・地方消費税とワンピースでもよい)、基礎自治体(もしくは道州単位)毎に0%を含め任意に課税するのと、固定資産税等の他の既存地方税の税率を任意に決めるのが現実的である。

【外交・防衛】について、アメリカが財政的理由でアジア太平洋から引きつつあるので、核ミサイル短期配備可能体制も必要である。
日本もNPT(核不拡散条約)に加盟しており核開発が禁止されているので現時点で実際の開発・保有・配備は不可能だが、核技術とロケット技術を研鑽し、決断後1年以内の短期に核ミサイル配備が可能な体制を、IAEAを説得しつつとる必要がある
また、周辺諸国と相手によっては、同盟は無理としても、それに準ずる信頼関係の構築が必要だ。

【エネルギー政策】について、先ず、既得権で固められた電力業界とグダグダの原子力村を外科手術しなければ始まらない。
電力会社は、原発事故に対して当事者能力がないのだから、原発を保有運営する事は無理である。
なお、原発の段階的廃止を図るも、地下式原発やトリウム型原発のような新技術が安全面で十分信頼が置けるようなら、新エネルギーと並べて導入を検討する余地がある。

【食糧安全保障】について、農業には治水機能のような便益もあるが、第一に目的とすべきは食糧の安定生産である。
そのため、もし食糧安保が保てるのであれば、農業について言えばTPP加盟も構わない。(ただし、農業以外での所謂「非関税障壁」は別の検討が必要)
本当は自給率100%が望ましいが、少なくとも有事に備蓄を含めて5年間篭城出来る位の体制がないと平時の経済・外交のバーゲニングパワーとしても機能しない。

以上、「橋下・維新八策」との比較も含め、拙文が読者の政策判断の参考になれば幸甚である。
http://blog.livedoor.jp/ksato123/archives/53582825.html  

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コメント
 
01. 管理人さん 2012年4月15日 18:00:50 : Master
投稿可能状態にあります。

本番投稿をお願いします。


02. 佐藤鴻全 2012年4月16日 17:09:41 : ubCRqOmrnpU0Y : 404uJ0FDmo
ありがとうございます。

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