ご意見には基本的に賛成です。

　Ｅ　≡　Ｐ　　
は恒等式で因果関係を含みませんが、これを方程式に すると、
　Ｅ　＝　ｐ（Ｐ）　と
　Ｐ　＝　ｅ（Ｅ）
の２通りの立場があります。前者は古典派と新古典派で、これを端的に言った
のが「セーの法則」です。リカードも明確な生産力要因説です。
後者がケインジアンの立場で、ここから「有効需要」と言う概念が出てくる。
どちらが正しいかは、一般論としては言えなくて、国と時代によって違う。
私見では、どちらが正しいかを決めるのは、その時点で「資本蓄積が不足か？
過剰か？」で決まります。セーやリカードの時代には、資本蓄積が「過剰な国」
など、存在しなかった。
この観点から見ると、現在の日本は典型的な「資本蓄積が過剰な国」です。
個人金融資産のうちの預貯金がＧＤＰの２倍近く積み上がって居るのに、他方
で何十兆円のデフレギャップ「需要不足」があるはを見ると明らかです。

従って現在の日本にとって正しい経済政策は、財政支出による需要創出とデフレ
脱却です。ここまでは貴方と同じですが、財政支出の向け先については同意出来
ません。向け先は公共事業であっても構わない。避けるべきは、支出が預金に
直行する傾向が強く、その分、乗数効果が下がる用地費の比重が高い公共工事
です。
一般に「設備投資が伸びないと景気がよくならない」と言われますが、正確に
言えば、「生産財の需要が増えないと、景気がよくならない」です。日本の
ような先進工業国では「生産財産業」と分類される部門の比重が高いからです。

ところが設備投資によって生産財産業が刺激されると、結果として供給力が増し、
さらなる需給ギャップを生み出すと言う宿命があり、これを表面化ささない為
には一層の輸出の拡大しかない、言うのが日本の宿命と思われて居ます。

この宿命を超えるには「生産力の増強に繋がらない、生産財の需要・消費を増
やす」ことです。見方を変えると「無駄な投資を増やせ」です。「生産力の増
強に繋がらない、大規模な生産財の消費」の典型は戦争です。
アメリカが１９３０年代の大不況を解消した最大の要因は、太平洋戦争という
壮大な生産財の無駄遣いでした。そして参戦国の中で唯一戦災による生産力へ
の被害を受けなかった国であり、結果としてダントツの経済力を持つ国になっ
た。戦後のアメリカが世界を牛耳った力の源泉です。

まさか戦争をするわけに行かないし、今の時代「戦災を受けない戦争」はあり
得ないから、これに代わる支出先が必要です。それは、学校の耐震化や保育園
と老人養護施設の大増設もよいし、先端産業の活性化には「成果が定かでない
先端技術の開発」に向けた財政支出を、大幅に増やすのが良い。もしその研究
が期待した成果を上げなかったとしても、その過程で資金が流れる先は「先端
技術を支える、大中小様々な、特殊で高度な技術を持つ企業群」であり、これ
が将来の日本の成長する力に直結する。この見方からすると、人気のある
「事業仕分け」でスパコンやロケットの開発を削ったのは大きな誤りです。

財源は当然、赤字国債ですが、此の件は別項に譲ります。一言だけ言うと、
「日本のように資本蓄積が過剰な国は、ハイパーインフレとは無縁」です。

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