http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20101124-00000001-pseven-pol

日本の政治は与野党が党勢拡大のために宗教団体の支持獲得を争い、ねじれ国会のキャスティングボートは創価学会を支持母体とする公明党が握っている。この国の権力を左右する宗教と政治のパワーバランスは、政権交代と激動する社会情勢によって、いま大きく変わろうとしている―。

時として創価学会以上の宗教パワーを発揮し、政治を動かすのが新宗連（財団法人・新日本宗教団体連合会）という団体だ。

新宗連は、その名が示すとおり教団の連合体である。第２次大戦中に当局の宗教弾圧を受けた経験を持つ教団などが「信教の自由」と「政教分離」を掲げて1953年に設立した連絡組織で、立正佼成会（約409万人）、PL教団（約98万人）、崇教真光（約80万人）、円応教（約46万人）をはじめ70教団が加盟し、現在の信者総数は公称1200万人にのぼる。

創価学会が公明党を結成して政界で勢力を伸ばした1960年代から政教一致問題を厳しく批判し、以後、半世紀近くにわたって「反創価学会の宗教団体の砦」として学会側と対立してきた。設立当初に加盟していた世界救世教、生長の家、真如苑などはその後、教団の分派問題などで脱会したが、信者の規模からいっても創価学会（公称827万世帯）に匹敵する組織といえる。

創価学会と新宗連との宗教戦争の天王山が昨年の総選挙だった。

新宗連はそれまで自公連立を批判しつつも、加盟教団は歴史的に自民党議員とのパイプが太く、選挙では自民、民主に“二股”をかけてきた。しかし、10年間に及んだ自公連立で創価学会の政権への影響力が強まっていくことに危機感を募らせ、総選挙では一挙に政権交代へと動いたのである。新宗連幹部が振り返る。

「新宗連としては総選挙でどの党の候補にも正式な推薦は出していない。だが、立正佼成会はじめ加盟教団の多くは政権交代の機運に乗って、『公明党を落とせ』と手弁当で民主候補の支援に動き、学会組織が強いといわれた太田昭宏・公明党前代表の東京12区、北側一雄・前幹事長の大阪16区など、小選挙区の公明党候補を全員落選させた。かつてない熱気でした」

政権交代が実現すると、新宗連は民主党一党支持を一層鮮明にする。今年7月の参院選は比例代表で藤末健三氏、白真勲氏、喜納昌吉氏という民主党の3人だけを推薦。選挙区でも、立正佼成会が大阪の尾立源幸氏と東京の蓮舫氏の支援に力を入れ、崇教真光は大阪で岡部まり氏を応援した。

しかし、参院選で民主党は大敗し、喜納氏や岡部氏は落選する。

新宗連幹部が語る。

「選挙活動といっても、新宗連は創価学会のような組織的なやりかたはしない。公明党を野党にするという目的は達成できたし、菅首相の消費税増税発言に対する批判ムードも強かった。だから参院選への取り組みは冷めていた」

創価学会が信者組織を固めるための手段として選挙活動を重視しているのに比べ、教義も教主も異なる教団の連絡組織である新宗連には、参院選にそこまで深入りする理由がなかった。1200万もの宗教票が“眠った”のは、「政教分離」の原則からいえば健全だったかもしれない。

だが、そのパワーが再び発揮されたのが、9月の民主党代表選だった。菅首相―仙谷官房長官コンビが新宗連を「自民党との戦い」ではなく、党内抗争にフルに利用したのである。

※週刊ポスト2010年11月26日・12月3日号

コメント
01. 2010年11月24日 15:58:36: WRbIVHQh9o なるほど。非常に興味深い。 私の親しい友人がこの新宗連のある宗教の信者なもので、 ちょいちょい政治話になる。 彼は新宗連とは言ってなかったが、 どうも神道系の宗教団体が自民党離れを徐々にし始めたのが 小泉政権あたりからだったと言っていた。 露骨な反自民とかではなく、それまでは自民議員しか会合や 大規模イベントに参加しなかったのが、 民主党議員もちょいちょい増える様になったらしい。 自民党を支持していた理由というのが どうやら信教の自由を担保してくれる政党であるか というのが一番大きなポイントになってるらしいと 言っていたが、この記事とちょっとネットサーフィンしてみて 腑に落ちる感じを受けた。 それともう一つどうやら神道系宗教団体は全体的に創価学会を 余り快く思っていない節がある様なのだが、 新宗連の政教分離の原則の考えが反創価的方向性に繋がっていたのかと勉強になった。 新宗連がそういう理念の連合なのなら、 加盟宗教団体が全体的に民主に静かにシフトしてきたりしたのも頷ける。 友人の宗教では露骨な民主応援に切り替わったと言う事は無かった様だが、 印象としては「あ、きっと組織の上の方では民主支持に方針転換したんだろうな」 と数年前に感じ始めたと言っていた。 それでも自民党議員は今まで通り会合やイベントにも顔を出すし、 特定政党を極端に応援しない事と、宗教団体としては余り強く 政治運動を推進しない方針の様だ。 そういう事が結局、学会程のパワーを発揮しない理由なのだろう。 とはいえ、緩い結束と緩い方向性の示唆が新宗連加盟宗教団体で なされているのなら、これからしばらく 何百万票かは自民・民主間で行ったり来たりするんじゃないかと 思われる。少なくともあの歴史的政権交代の衆院選では この新宗連の組織票（と言っていいかわからないが）が力を発揮したのは確かなのだろう。
02. 2010年11月24日 20:22:08: Y27muEQU32 宗教が政治に関与するのは大嫌いなので、 創価対策としての、新宗連（反創価宗教連合？）の行動には賛成です。 創価＝公明党であるならば、公明党と結びつく党以外に 投票行動を行ってくれれば、なんとか政教分離のバランスは取れる気がします。 非課税のくせにそれで儲けたお金でもって、 土地をバンバン買い捲り、政治に口を思いっきり出している 似非政治団体には、辟易とします。 Ｐ献金とか、マスコミもっと報道しろよ。 なんで、公明党や自民党の疑惑は全く報道しないのかｗ あと、自分の機密費の問題も。
03. 2010年11月25日 14:38:39: z90EoDP2kQ 宗教も色々便利って言う事？　庶民の信仰心が利用されるって事？　庶民其々が賢くなって冷静な判断をすることですかね。
04. 2010年11月25日 20:25:52: 7q8Q57iU5E ＞9月の民主党代表選だった。菅首相―仙谷官房長官コンビが新宗連を「自民党との戦い」ではなく、党内抗争にフルに利用したのである。 これは、菅、仙谷がだまし討ちやったんでしょ。 小沢さんが公明党と組むとうそ情報を流して、新宗連は菅仙谷についたとだまして議員票を奪い取ったんでしょ。 ところで、菅仙谷の代表選不正投票事件は、その後も知らん顔ですか？ 菅仙谷はあくどいね。 名古屋の河村市長の署名運動も、予想通りつぶされたらしいね。
05. 2010年11月26日 08:08:09: OYYwNzL7mo 第二次世界大戦敗北で、国家神道が解体され、さらに、占領改革で今までの価値観が崩れ去った時、日本人の心にアノミーが生じたのは確かである。そういった中で、創価学会や、生長の家や、立正佼成会や、PL教団、といった新興宗教が台頭し、米国の社会学者マックファーランドは「神々のラッシュアワー」と呼んだものだ。ただ、戦後の新興宗教ブームは裏があるだろう。こういった教団の広がりの、テクニックや、カネや、コネクションはどこから来ているのか。まさしく、これらの教団は、アメリカ（ロックフェラー、CIA）が、反共の防波堤のために育て、利用したものだ。それが証拠に、これらの教団は自民党支持であり、宗教右翼となっていったではないか。創価学会の戸田城聖でさえ、岸信介の熱烈な支持者だった。自民党が、CIAエージェント・岸信介とCIAのカネで結党されたのとよく似ている。岸信介と笹川良一は、統一協会を朝鮮半島から日本に引き入れ、右翼の母体として大いに悪用したやつらでもある。だから、こういった新興宗教・宗教右翼の連中は、アメリカ帝国とロックフェラーが覇権を失う時点で、お役ごめんとなり、衰退する運命にある。

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