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五日間の審理、三日間の評議は十分だったのか=裁判員は(評議期間について)「ちょうどいいぐらいだった」と話した。
http://www.asyura2.com/10/senkyo100/msg/762.html
投稿者 一隅より 日時 2010 年 11 月 30 日 12:13:56: PnbUj1IYwR18o
 

新しいニュースではありませんが、ここから考えてみたいと思います。
 ↓

「筆洗」(東京新聞朝刊一面コラム 2010年11月28日)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2010112802000033.html
 (前略)
 ▼裁判員裁判で二度目の死刑判決が下った。被告は三人を殺傷した犯行時十八歳七カ月の少年だ。仙台地裁で判決後、記者会見に応じた二人の裁判員は「涙をこぼし悩み抜いた」などと、重圧で押しつぶされそうだった苦悩をにじませた▼少年に極刑を下すのに、五日間の審理、三日間の評議は十分だったのか。成育歴の議論は尽くされたのか。守秘義務のある裁判員の肉声や、判決理由からは伝わってこなかった▼凶悪事件を起こした少年は、恵まれない家庭環境で育った者が多い。裁判員が、痛ましい事件からくみ取った教訓を、社会で共有する仕組みを考えたい


期間の問題についてより詳しくは
 ↓

石巻の3人殺傷:死刑判決 少年、身をこわばらせ /宮城
http://mainichi.jp/area/miyagi/archive/news/2010/11/26/20101126ddlk04040201000c.html
 (前略)
 ◇評議実質2日半 「時間不足」疑問の声も
 少年の裁判員裁判は15日から5日間、公開の審理をし19日に結審したが、週末や祝日を挟んだため、判決まで非公開の評議は実質2日半だった。言い渡し当日も話し合いを重ねたとはいえ、裁判員裁判初の死刑となった横浜地裁判決(16日)の3日間より短い。専門家からは「時間不足では」などと疑問の声が上がった。
 今回の評議は祝日の23日は開かれず、22、24日と25日午前だった。仙台地裁は評議に要した時間を公表していないが、当初2日間は夕方まで話し合ったとすれば計20時間弱。最高裁がまとめた全国平均7・5時間は超す。
 ただ今回の評議で問われたのは「少年と死刑」という難題だ。元家裁調査官で京都ノートルダム女子大の藤川洋子教授(犯罪心理学)は「少年事件は成人の事件より考慮すべき要素が多いのに、評議が数日とは」と首をかしげる。調査官時代は3週間かけて成育歴などの調査をまとめ、その過程で新事実が分かることもあった。短時間の結論に関し「裁判員も後々『これでよかったのか』と悩むのではないか」と指摘した。
 一方、会見に応じた裁判員は評議期間について「(自分の)精神状態を加味しての感想としては十分だった」と述べ、別の男性裁判員は「ちょうどいいぐらいだった」と話した。

 ◇厳しい表情で「大変ショック」 「年齢重視すべきなのに」−−弁護団会見
 少年の弁護団は少年と接見後、仙台市内で会見した。主任弁護人の藤田祐子弁護士は「死刑を回避できず、大変ショックで残念」と述べ、少年事件の裁判員裁判で初の死刑判決に「少年の変化が集中審理の中で本当に分かっていただけるのか、限界を感じた」と厳しい表情を見せた。
 判決が「年齢が死刑を回避すべき決定的事情とまでは言えない」とした点については「年齢も重視すべきもので、(判決が)どの程度考慮したのか疑問」と指摘。少年の反省した様子が裁判員に伝わらず、更生可能性や成育歴もあまり重視されなかった点を挙げ「今後の少年の重大事件で、本人の内省の深まりを分かってもらえずに判決を出されることも懸念される」と述べた。
 また稲葉幸嗣弁護士は評議期間が実質2日半だったことについて「裁判の日程に限界があった。事実認定に争いがあったことを考えると評議時間が十分だったか」と疑問を呈した。
 (引用おわり)

--------------------

 むずかしい問題を数多く含んでいます。死刑制度の是非、裁判員制度への賛否、厳罰化、とくに少年犯罪にたいする厳罰化、(18才以上の)年長少年への死刑の適用・・・

 ただ、「年長少年に、死刑が適用されうるような事件を、裁判員裁判の対象とすること」については、特有の、とくに重大な問題があると考えますので、まとめてみました。


 上に挙げた2つのほかにも、審理、評議の期間ついては問題視する報道が比較的多かったように思います。

 阿修羅投稿でも、すでに審理中から指摘されていました。
  ↓

少年の社会記録調べ、わずか30分・重要証拠がないがしろにされる懸念が現実に[11/17](裁判員制度の本質か?)
http://www.asyura2.com/10/senkyo99/msg/790.html
投稿者 戦争とはこういう物 日時 2010 年 11 月 19 日 13:53:54

 少年事件に対する配慮が死刑判決を難しくする。大阪光市の事件でも弁護士がテレビを活用して無理を通したのは記憶に新しい。
 裁判員による死刑裁判でも、従来出来なかった画期的な死刑判決を出させる事が、制度導入の目的ではないか。

(ここから、戦争とはこういう物さんによる引用)
 ↓

宮城のニュース「少年の社会記録調べ、わずか30分 石巻3人殺傷・裁判員裁判」
http://www.kahoku.co.jp/news/2010/11/20101118t13015.htm
 宮城・石巻3人殺傷事件で殺人などの罪に問われた元解体工少年(19)の裁判員裁判で17日、検察側、弁護側双方が証拠申請した少年調査票(通称・社会記録)の一部が取り調べられた。少年の更生可能性などを探り、処遇を判断するために家裁が作成する少年事件特有の証拠だが、公判で調べに費やした時間は約30分にすぎず、物足りなさを感じた。
 検察側は、すべての社会調査の結果を基に家裁調査官が作った調査官意見書を取り上げた。弁護側は、少年鑑別所が少年の資質などを調べた鑑別結果報告書の総合所見を読み上げた。
 A4判、緑色ファイルにとじられた社会記録は検察側、弁護側とも謄写が許されないため、双方が交代で原本を読んだ。傍聴席から、ファイルは厚さ5センチぐらいに見えたが、検察側が読んだ部分はペーパー3枚、弁護側は4枚だった。
 調査官意見書は、少年を「社会性を学ぶ児童期に家庭が崩壊した。甘えが満たされない飢餓感で、思いやりの気持ちが育っていない」などと分析し、刑事処分が相当と結論づけた。
 鑑別結果報告書は、暴力を身近に見てきた成育環境から、暴力に肯定的な価値観が芽生えたことなどを挙げつつ、「年齢が若く、可塑性がある。矯正には相当の時間がかかる」と締めくくっている。
 調査官意見書も鑑別結果報告書も、少年の立ち直りを支えるプロたちが作っただけに説得力はある。ただ、その根拠になるさまざまな調査資料は提示されなかった。
 刑事訴訟規則は少年事件の審理に関し、「事案の真相を明らかにするため、家裁の取り調べた証拠は、努めてこれを取り調べるようにしなければならない」と規定する。
 裁判員らが元解体工少年の処遇を決める際、少年の可塑性、更生可能性は重大な要素になりうる。裁判員裁判で、少年の人権を左右する重要証拠がないがしろにされる懸念が、現実となったように思えた。(2010年11月18日木曜日)
 (この項、引用おわり)

--------------------

 他にも、たいへん気がかりなことが3つあります。

1.
 ひとつは、判決要旨が、「少年は・・・犯罪性向は根深い。・・・その異常性やゆがんだ人間性は顕著だ。・・・反省には深みがない。・・・実母による指導、監督は期待できない。」としていること。

 だからこそ社会による保護、矯正、教育が必要なのではないでしょうか。
 それを判決は、「少年の更生可能性は著しく低いと評価せざるを得ない。」と結論づけている。上にあげた、裁判員裁判では時間が足りないのではないかという評価とあわせて考えてゆきたい。

 このことについて、長年少年事件に取り組んでいる元判事、弁護士の井垣さんは−−
  ↓

「『残虐な』人格に育て上げたことに対する理解がまるでなく、極度にゆがめられた『人格』も少年院での数年の育て直しで更正可能なことも分かっていない」、「心底がっかりした」

と述べています。
(毎日新聞 2010年11月26日 地方版 http://mainichi.jp/area/miyagi/archive/news/2010/11/26/20101126ddlk04040209000c.html

 既出なので短く引用しましたが、これについては、ブログ「来栖宥子・午後のアダージォ」http://blog.goo.ne.jp/kanayame_47/e/5b831cf8941a581de3b04fa3e4caafe9 もぜひご参照ください。


 最初にあげた、東京新聞「筆洗」の前半部分も、こう書かれていました。
  ↓

 <僕のような罪を犯さないために、僕の経験を反面教師として役立ててもらえば、この世に生まれてきたことに、少しでも意味があったと言えるかもしれません>。 千葉県市川市で一家四人を殺害し、最高裁で死刑が確定した被告から、九年前の判決直前に届いた手紙はこんな内容だった▼犯行当時十九歳一カ月。少年時代の罪で死刑が確定したのは、連続射殺事件の永山則夫元死刑囚以来だった。接見を重ねる中、残虐極まりない犯罪と礼儀正しい青年の姿が重ならず戸惑いを覚えた▼罪を犯した少年も教育や環境で大きく変わる可能性を秘めている。それが少年法の理念だろう。将来立ち直ることができるかどうか。その見極めはプロの裁判官でも難しい(このあと上掲引用部分に続く)


2.
 2つには、被害者参加制度のもたらすもの。
 裁判員制度より早く導入されていますが、その目指すところに疑問が呈されています。
  ↓

「先月、刑事裁判に被害者が参加する制度が創設されました。国家と被告人の対立というこれまでの刑事裁判の仕組みの中に、被害者と加害者の対立が持ち込まれ、刑事裁判が一層わかりにくくなってしまいました。このような状態で裁判員制度を導入することは極めて危険です。もちろん、無罪の推定など捨て去って、被害者が検察官と一緒になって加害者を懲らしめ、復讐心を満足させる場が刑事裁判だと割り切ってしまえば話は簡単です。ですが、それは憲法が許しません。あくまでも無罪の推定は憲法の要請です。
 加害者を処罰してほしいという被害者の気持ちは真犯人に向けられているはずです。真犯人かどうかわからない法廷の被告人に対してその怒りをぶつけてもそれは筋違いです。一般市民である裁判員はこの被害者の思いを感情ではなく、理性と知性によってうまく自分の中で整理しなければなりません。その力量をもっていないと、国家による最大の人権侵害の加害者になる危険があります。犯罪被害者の救済と刑事裁判の役割を区別できる国が真の民主主義国家であることをしっかりと理解しておいてください。」
(法学館憲法研究所「中高生のための憲法教室」第41回<被害者参加制度> より。伊藤真弁護士のされている活動です)
http://www.jicl.jp/chuukou/backnumber/41.html


3.
 さらに、きわめて懸念されることがあります。
 被告人本人の真に罪を償いたいという気持ちは重いものであり、傍からいうべきことではないかも知れません。
 しかし、つぎのような成り行きに、これが裁判員の下した判決であるということが影響しているとしたら・・・
 裁判員の下した判断はそのまま受け入れるべきであるという考えかたは、いささかでもあってはならないと思うのです。
  ↓

死刑判決 池田被告、控訴の意向なし 横浜の裁判員裁判(毎日新聞 11月25日 20時9分)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20101125-00000031-maip-soci

 裁判員裁判で初の死刑判決を16日に横浜地裁で言い渡された住所不定の無職、池田容之(ひろゆき)被告(32)の弁護団は25日、池田被告が控訴しない意向を示していることを明らかにした。
 弁護団によると、22日に接見した際、池田被告は「事件と向き合って考えを深めているので、(極刑を望む)被害者遺族の意向を無視できず、控訴することは、それを傷つけることにもつながる恐れがある」などと語ったという。控訴期限は30日で、主任弁護人の青木孝弁護士は「今後も(控訴に向けて)説得を続ける」と語った。
 判決では朝山芳史裁判長が「重大な判断になったので控訴を勧めたい」と異例の説諭をしていた。
  (引用おわり)

 今日は、控訴期限の11月30日です。


 そして、石巻事件の判決後にも−−

「本人は判決を受け入れたいと言っているが、控訴を検討するよう伝えた。私たちは控訴したい。」(藤田主任弁護人の話)

(毎日新聞 2010年11月26日 http://mainichi.jp/select/jiken/archive/news/2010/11/26/20101126ddm041040190000c.html

--------------------
(追記: 横浜の事件は控訴になりました。正当な判断と思います。)
  ↓

裁判員裁判:死刑判決の池田被告弁護団が控訴(毎日新聞 2010年11月30日 10時45分)
http://mainichi.jp/select/jiken/news/20101130k0000e040013000c.html
 裁判員裁判で初の死刑判決を受けた住所不定の無職、池田容之(ひろゆき)被告(32)の弁護団は29日、横浜地裁判決(16日)を不服として東京高裁に控訴した。朝山芳史裁判長が死刑言い渡し後に「重大な判断になったので控訴を勧めたい」と異例の説諭をし、被告側の対応が注目されていた。

 池田被告は最終意見陳述で「どのような判決にも誰一人恨むことなく刑に服したい」と語っていた。だが、判決後の会見で主任弁護人の青木孝弁護士は「彼の意思だけに拘束されるつもりはない」と述べており、弁護人が職権で控訴した。
 

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コメント
 
01. 一隅より 2010年11月30日 13:18:20: PnbUj1IYwR18o : EDdl3oR2Vp
補足

文中、井垣弁護士の、>「・・理解がまるでなく、・・分かっていない」、「心底がっかりした」のは、判決にたいして、です。

(投稿者)


02. 戦争とはこういう物 2010年11月30日 20:29:24: N0qgFY7SzZrIQ : 3XZU0EWFiU
 フォロー記事を投稿致しました。

 来栖宥子さんのブログも拝見。文中の「一生苦しむ、は裁判員の甘え」に同感。
死刑判決を下すがわにも、同情心を知らず知らず抱く。
 この制度が死刑事件を含む意味をもっと議論すべき。


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