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いま人気の田母神氏の新著と見解についてのブログ意見の二つ。彼は時代変化に考えを変えて行けるらしい。
http://www.asyura2.com/10/senkyo101/msg/139.html
投稿者 新世紀人 日時 2010 年 12 月 02 日 15:09:09: uj2zhYZWUUp16
 

http://blog.livedoor.jp/tkydng/archives/51709612.html

トコヤダンギの耳学問
ニュースとかを読んだときの感想

「田母神国軍」という本のようなものを見かけた田母神国軍 たったこれだけで日本は普通の国になる
著者:田母神俊雄
産経新聞出版(2010-10-23)
販売元:Amazon.co.jp
クチコミを見る
たまたま本屋で見かけたのだが、あまりの内容の酷さにめまいがしたので日記にしてみようと思います。
過日、ウェブ上で産経の宣伝を見かけたので、どのようなものが書かれているか、ご存じない方はまず、リンク先をご参照あれ。

【年1兆5500億円の負担増で「独自防衛」可能 自衛隊OB試算】

以下、本書の内容に絡む記述をするので、ご注意を。

まず、本書の構成はこんな感じ。
まず最初に先月起きた尖閣諸島における中国漁船の拿捕から釈放に至るまでについて軽く触れています。これは私の推測ですが、おそらく作者か出版社が時事ネタとして売れるだろうと考え、締め切りを繰り上げて出版したのではないでしょうか。真相はどうだろう。
実際、記事の見出しにもある「年1兆55百億」という試算についての記述は、後半の4分の1に触れられているだけであり、それ以外の部分では、中国の脅威とアメリカへの不信についてが延々と述べられているだけです。新たな情報は何もない。
本書を買おうという人は、この点に留意しないと、厚みの割りに情報量で損をした気になると思います。

個別の内容については、飛ばし読みした中で気になったものをいくつか挙げておきます。

まず、中国の脅威とアメリカへの不信についてだが、これはひとえに「アメリカは日本が侵略されても、日米安保条約を履行しない」という懸念に基づいていてびっくりです。そんな弱腰なアメリカなど歴史上見たことないし、そんなに信じられない相手と日米安保条約を結んでどうするのという気もします。

ちなみに、日本政府に対しても不信の目は向けられていて、防衛出動命令を発動しっぱなしにしろと書いてあります。中国が退役軍艦を改造した漁業監視船を繰り出して海上保安庁では対処しきれなくなるから自衛隊が毅然と追っ払うのだと。でも、それってつまり、自衛隊にフリーハンドを持たせるってことだし、外交的には中国と交戦状態に入っていることを示すから、実質軍部に日本を支配させろってことですよね。無理無理。少なくとも自衛隊の幕僚がこんな知能レベルなら絶対いや。
そもそも、北朝鮮とかの不審船相手には海上警備行動が発令されていて、それは大臣が命じればすぐに機能するから、それで十分じゃないのと思うのだけどどうでしょう。仮にも自衛隊の制服組の頂点付近にいた人が、法体系を無視した政策を提案するというのは、幾らなんでもあんまりじゃないでしょうか。

さて、そんなこんなで中国や北朝鮮は攻めてくるのにアメリカは信用できないらしいので、日本は軍拡する以外にないらしいのだけど、その装備というのが笑わされてしまいます。

原子力空母
まず10万トン級の原子力空母を3隻そろえます。
そして、これを津軽海峡と対馬と南沙諸島に配備します。
・・・ってなんで三沢とか岩国あたりが涙目にならないといけないような配置場所なんだろう?
空母って近くに基地がないところで航空基地の役目を担うための装備なのに、日本沿岸に配備するとか意味が分からない。太平洋に出せってなら分かるけど。逆に「南沙諸島に出せ」っていうのはつまるところ「アジアの覇権をアメリカに変わって握れ」ってことでしょうか。
載せてる航空機も、F/A-18E/Fが40機にEA-18Gが10機と若干のヘリだそうですが、アメリカ軍の現在の装備そのまんまです。これからF-35とかを加えていこうとか言ってる米軍より劣った装備で向こう20年かけて装備するとか、何を言ってるのか分かりません。
ちなみに、空母の原子炉とカタパルトに必要な技術はアメリカが快く提供してくれます。どうでもいいですが、著者の脳内アメリカは、中国が攻めてくると日本を見捨てて尻尾巻いて逃げ出すくらいチキンという設定です。

原子力潜水艦
次に、戦略原潜とそれを護衛する攻撃型原潜を4セット、合計8隻用意します。
そして、これに核弾頭を積んだ弾道ミサイルを載せて中国を狙います。
ちなみに、トライデントミサイルは一発40億らしいのですが、これって核弾頭込みの値段なんでしょうか?
日本国内で核兵器を開発するなら一から研究施設と実験場、工場に保管場所を取得しないといけないので、それを思えば安すぎます。
ということは、アメリカが今もっている弾頭をそのまま売ってくれるという前提で著者は見積もっているのでしょうか?
原潜に必要な技術と核つきの弾道ミサイルについて、アメリカが快く提供してくれるのでなければこの値段では収まりません。くどいようですが、著者の脳内アメリカは、中国が攻めてくると日本を見捨てて尻尾巻いて逃げ出すくらいチキンという設定です。

戦略爆撃機
さらに、戦略爆撃機10機を硫黄島に配備します。
常時巡航ミサイルを積んだ状態で飛ばして、中国ににらみを利かせるのです。
戦略爆撃機のベースとなるのは、日本が開発した対潜哨戒機P-1や、戦術輸送機C-2だそうです。ちょっと小さすぎませんか。
そりゃ、アメリカ軍みたいに完全に航空優勢を確保した状態で上空のB-52から山のように爆弾を落としていくという作戦を取れない以上、巡航ミサイル発射母機としての機能以上のものを求められないから、その程度の装備で十分なのかもしれませんが、それにしたって巡航ミサイルを8発くらいしか積めない戦略爆撃機なんて要りません。それだったらF-2を増やしたほうがまだ使い出があると思います。
なんとびっくり、この戦略爆撃機にはアメリカの技術が使われていないそうです。っていうかさすがに、原子力空母と原子力潜水艦に加えて戦略爆撃機についての技術までアメリカが快く提供してくれると考えるのはご都合主義が過ぎると気がついて、著者が自主開発できそうなレベルにダウンスケールしたと私は思うのですが、どうでしょうか。

核搭載巡航ミサイル
ついでなので護衛艦にも核搭載の巡航ミサイルを積んで、それを運用しちゃうのだそうです。
空母を護衛する護衛艦や関連施設といった後方支援の方が必要だと思うのですが、そんなものよりもあくまで敵をぶっ叩きたいみたいです。田母神氏は。
で、核搭載のトマホークが驚きの値段で一発1億3千万。これを100発くらい護衛艦に積もうぜみたいなことが書いてあります。ていうか、なんでそんなに核弾頭を積みたいんだ、著者は。中国と北朝鮮を核爆弾で更地にしたいのか?したいんでしょうね。


著者の脳内はよく分かりませんが、これら全部を込み込みで20年かけてそろえるとすると、一年につき1兆5,6千億で済む、という試算でした。金額として妥当かというよりも、見積もりのリストそのものが欠陥だらけで、私としてはゴミ以外の何物でもないと思うのです。
なにしろ、有事には日米安保を反故にするけどそれまでは気前よく機密を市価で提供してくれるアメリカ、という設定が前提ですし。兵器とそれを運用する人員や維持費については見積もりがありますが、基地や設備の整備についてはスルーですし。
そもそも核武装すべきだと主張しつつも核開発の予算がゼロという根本的な問題点について、元航空幕僚長と幹部OBが誰一人として気付かなかったのは、どういうわけなんでしょう。さらに、担当の編集者とか、提灯記事とはいえ書評を書いた人とかが産経にはいたはずなんですが。
まーなんにせよ、間違って買っちゃった人はご愁傷様としか言いようがないですし、こんなのをありがたがって「子供手当てを軍備に回せ」とか本の中身を鵜呑みにするノータリンは救いようがありません。
しかし、この本を読んで何よりも恐ろしいと感じたのは、この程度の知能の人々が日本を守っていた(いる)という現実です。

2010年10月23日22:42


http://blog.zaq.ne.jp/blueocean/article/699/

2010年11月03日(水)
嘘と妄想の「田母神国軍」その1・「領海侵犯は国際法上撃沈してもいい」
以前、産経新聞のwebサイトに掲載された記事が実は、自社から出される本の宣伝広告だった、ということがあった。

「子ども手当の3分の2で独自防衛可能」 田母神氏ら自衛隊OB試算
 試算の論文は23日に発売される著書「田母神国軍 たったこれだけで日本は普通の国になる」(産経新聞出版)で発表される。
紙の新聞記事であれば<広告>とでも入れておけば一目で分かるが、何せネット上の記事なので、次のページの最後の行まで見なければ分からない。その宣伝手法については、別にどうでもいいとして、ここでは田母神氏の主張について検証してみたい。

といっても独自防衛について、ではない。これについては既に軍板やブログなどでいくつかの突っ込みや感想が出ている。

自主防衛予算見積もり、あまりに両極端な田母神案と小川和久案
タモさんの,「田母神国軍 たったこれだけで日本は普通の国になる」が,もうじき発売されますね.
「田母神国軍」という本のようなものを見かけた

正直、そこには興味がない。軍板に時々現れる流れを無視した妄想私案のようなものだ。

一方、田母神氏は今回の「漁船衝突事件」についてある主張を繰り返していた。

週刊アサヒ芸能 10/7号 田母神緊急提言!!領海侵犯な中国漁船を銃撃せよ!!

尖閣諸島における中国漁船の体当たり|田母神俊雄オフィシャルブログ
我が国の問題は、このような事態に国際法に基づいた対応が出来ないことである。国際法によれば、軍の指示に従わず領海侵犯を繰り返すような船は、銃撃され沈められても止むを得ないのである。我が国が国際法に基づいた対応をする国であれば、中国はあのような挑発行動には出ないと思う。
「国際法に基づけば領海侵犯船は銃撃して沈めるべきだ」と。しかし、その国際法の具体的な条約名や条文が示してはいない。以下の動画では、「漁船衝突事件」について自分の分析も述べている。内容としては過去のエントリで突っ込んだ「説」と同様なので、合わせて読んでいただきたい。


第29代航空幕僚長 田母神俊雄の私の国家論「中国に弄ばれる日本 国際法に基づき毅然と対応せよ」

Youtube:
【1/2尖閣領海侵犯】銃撃、撃沈は国際法上正当、田母上俊雄氏指摘
【2/2尖閣領海侵犯】銃撃、撃沈は国際法上正当、田母上俊雄氏指摘
「私は中国政府の意を受けて漁船がやってきているし、この乗組員もいわゆる本当の漁民じゃなくて、いわゆる工作員なり中国の海軍とかで訓練を受けた人たちが入ってきていると思いますね。」
過去のエントリ「相手の土俵で踊らされ続ける日本」で「船長工作員説」については、否定した。もし、中国政府からの意を受けた工作員だとすればあまりにもお粗末だ。
「中国人ってのは、元来臆病だから海上自衛隊の巡視船に自らの意思で体当たりしてくることなんかありませんよ。あれはおそらく、中国政府から直接ではないにしても、どこかから『お前行って来い』と『船長行って来い』と、そして『日本に行ったらお前捕まるかもしれない』と。『だけれども我々が交渉して短期間で釈放されるはずだから、心配しないでちゃんと行ってがんばって来い。帰ってきたらボーナス弾むから』とか言われてきているはずですよ。そうでなければ、元来臆病な中国人が自らの意思であんな行動をとるわけが無い、という風に私は思いますね。」
「海上自衛隊の巡視船」と言っているが、これは単に「海上保安庁」の言い間違いだろう。この程度もきちんと言えてないのはどうかと思うが・・・。
「違法漁船がみずからぶつかってくるなんてありえない」という主張については過去のエントリ「『普通の漁船は自ら巡視船に衝突しない』という思い込み」で否定した。海保に発見されるという危険を冒して密漁を行う漁船は、必死に逃げる。その際には、巡視船艇・取締船の追跡を妨害し、衝突させることすらありうるのだ。
「こういった事態に対して、結局、日本政府・今回の菅政権が、いわゆる国際法に基づいた毅然とした対応をとれないというのが、この日本の国の問題なんですよね。国際法に基づけば、例えば海上保安庁が『入ってくるな』と言いますね。『入ってくるな』というものに対して、それを無視して入ってくるものは、銃撃され沈められてもやむを得ないんです。これは正当なんです。だから中国は、もし日本がそれをやったとしても、文句は言えないわけですよね。だけれども日本はそれをやりませんよね。結局、海上保安庁の対応も武器の使用は正当防衛と緊急避難に限定されるとかいう対応になってますから、命をとられるという危険は無いわけですよね。何をやっても心配ないわけですよ。中国で生活しているよりも日本で逮捕されたほうが、ずっといい生活が出来るかもしれません。これでは結局、日本の国が舐められるということで、舐められっぱなしですね。国際法に基づいて、日本の国がきちんと対応するということであれば、ああいう事態ってのは起きないんですよ。一回、きちんと国際法に基づいて対応すれば、多分二度と来ないんですね。だけど、そういった対応をしないから、結局舐められて今後とも繰り返しああいう事態が起きるんですね。」

「だから結局これに対しては国際法というのがあるんだから、ちゃんと国際法に基づいてきちんと対応すればいいわけですよね。国際法に基づいて対応して戦争になるか。なるわけがないですよ。世界中で、それぞれの国が自分の国を守るために、国際法に基づいて行動しているわけです。よその国であれば銃撃され沈められますよ。それでも戦争にはならないんですよ。国際法上正当だから。」

これだけ「国際法」「国際法」と唱えているのに、具体的な条約名も条文も一切出てこない。ちなみに2001年の海上保安庁法改正によって「正当防衛」「緊急避難」以外でも領海内であれば一定の条件下で武器の使用が可能となった(ただし、2001年九州南西海域工作船事件の武器使用はこの規定を適用していない)。

海上保安庁法の一部を改正する法律

治安を守るために(2)海上保安庁法の改正 海上保安レポート2002
 平成11年3月の「能登半島沖不審船事案」の教訓・反省を踏まえ、平成13年11月、海上保安庁法の一部を改正し、海上保安官等が武器を使用する場合の要件を改正しました。これは、不審船に対し、適確な立入検査を実施する目的で停船を繰り返し命じても、乗組員等がこれに応じず抵抗し、逃亡しようとする場合において、海上保安庁長官が一定の要件に該当する事態であると認めた時には、海上保安官等が停船させる目的で行う射撃について、人に危害を与えたとしても違法性が阻却されるよう、明定したものです。
この動画と同じ内容の文章が今回の「田母神国軍 たったこれだけで日本は普通の国になる」に収録されている。引用してみよう。


 我が国の問題は、このような事態に国際法に基づいた対応が出来ないことです。国際法によれば軍の指示に従わず、他国の領海を不法に行動するような船は銃撃され、沈められても止むを得ないのです。我が国が国際法に基づいた対応をする国であれば、中国はあのような挑発行動には出ないと思います。

 世界中のあらゆる国が、自分の国を守るために国際法に基づいて行動しています。国際法に基づいて行動して、それが戦争に発展することはあり得ません。
 韓国は2003年から2007年の5年間で、韓国領海内で不法操業などをする中国の漁船を2000隻以上拿捕し、2万4000人以上を逮捕しています。そして二百数十億ウォンの賠償金を取っています。またロシアは、不法操業する中国漁船を銃撃し数十人を射殺しています。それでも戦争になっていないではありませんか。国家の指導者が戦争を恐れていては、国益を守ることはできません。
「中国の軍艦がやってくる」田母神俊雄(「田母神国軍 たったこれだけで日本は普通の国になる」産経新聞出版)

ここでも具体的な条約名条文はない。

では海の「憲法」とまで言われる国連海洋法条約には何と書いてあるか見てみよう。

第2部 領海及び接続水域
 第3節 領海における無害通航 
  A すべての船舶に適用される規則

第25条  沿岸国の保護権

 1   沿岸国は、無害でない通航を防止するため、自国の領海内において必要な措置をとることができる。
 2   沿岸国は、また、船舶が内水に向かって航行している場合又は内水の外にある港湾施設に立ち寄る場合には、その船舶が内水に入るため又は内水の外にある港湾施設に立ち寄るために従うべき条件に違反することを防止するため、必要な措置をとる権利を有する。
 3   沿岸国は、自国の安全の保護(兵器を用いる訓練を含む。)のため不可欠である場合には、その領海内の特定の水域において、外国船舶の間に法律上又は事実上の差別を設けることなく、外国船舶の無害通航を一時的に停止することができる。このような停止は、適当な方法で公表された後においてのみ、効力を有する。
国連海洋法条約の「領海の保護」に関してはこのような記述しかない。あくまで「必要な措置」としてあるだけで「撃沈してもよい」などと明示されてはいないのだ。

そして、たとえ何らかの「国際法」に「撃沈してもよい」などと書いてあってもそのままでは効力は持たない。
国際法じたいは、国際法上の義務がどんな方法・手段によってでも誠実に各国内で実現され、その不履行・違反があればその国家責任を追及することに関与するだけであり、国際法規がどのような方法により国内法により適用されるかについては関知しないからである。いいかえれば、国際法上の義務の圏内実施についてはその「方法」は、なお各国の憲法体制のもとで処理されるべき「国内問題」(国内管轄事項)とされており、国際法が関与するのは、一般には、実施された国内措置の「結果」についてだけだからである。
「海上執行をめぐる国際法と国内法の相互関係」山本草二(「海上保安法制」三省堂)


国際慣習法として定着している「海賊行為」に関しても、近年では必ずしも国内法に直接適用される「自動執行性」があるわけではないとされてきている。「領海侵犯船の撃沈は正当」というのが、国際慣習法となっているかは別として、国際法は(一部を除き)そのままでは直接国内には適用できないと考えたほうがいいだろう。
国際慣習法が自動的執行性をもつものであれば、理論上はその国内実施のために国内立法措置を要しない。ただ実際上は、国内法制全体としての統一性の維持と安定性の確保のため、その国際慣習法の内容を改めて立法化したりこれと抵触する内容の法令について改廃が行われる。この種の国内措置は、いわば立法政策の1つとして行われるものである。他方、国際慣習法の内容が自動的執行性をもたないものと認定されれば、国内裁判所のレベルでこれを援用するためには、国内実施法(implementing legislation) の制定が必要である。

「結果の義務」を定めた条約では、所期の結果を達成するために「必要な国内措置」について、その具体的な方法の選択は大幅に各締約国の裁量に委ねられてきた。その後、この方法の実質的な内容・手続は、従来どおり各旗国の国内法令の定めに委ねるとしながらも、条約で定める最低基準をとりこむことにより国際的な対抗力(他国が容認しその正当性と緊急必要性を争わない内容を具えたもの) を保持するよう求めるとする方向が強まった。
同上
あくまで、国内法制への「変容」や「転化」が必要なのだ。

田母神氏は「国際法に基づいて自国を守っている」例として韓国とロシアを挙げた。しかし、この二ヶ国とて必ずしも「国際法に基づいた」行動だから、というわけではないのだ。

韓国の場合、中国との間で問題となっている「離於島」周辺海域まで含めた「韓中(中韓)漁業協定」があり、担保金(賠償金ではない)制度も整備されているので、海洋警察も中国漁船を国内法の「排他的経済水域法違反」で堂々と取り締まることができる。領有権問題の存在そのものでもめている尖閣諸島と比べても意味がないだろう。

ロシアの場合は、むしろ「国際法」ではない。田母神氏の主張するような「領海侵犯船の撃沈」は「国際法」的には否定されている。しかし相手国に文句を言われないのはなぜか。
世界標準(海洋法の常識)では,平時に,非武装の,したがって武器による反撃など皆無であるのに,船内の人を殺すに至る実力行使は比例原則違反とされる。ただし,それがある国の領海内であれば,それはそのある国の国内問題であり国内法の問題であるから,「ひどすぎやしませんか」と言えても,国際裁判にはならない筋合いのものである。
「海上保安事件の研究 第48回」廣瀬肇(「捜査研究 No.703」東京法令出版)

領海侵犯であれば領海内の話であるので「国際法」ではなく「国内法」の問題なのだ。そもそも領海内に進入しただけの事実を持って犯罪行為とするのは難しい。というのも、航空管制や防空識別圏で厳しく管理される「領空」と違って「無害通航」や「緊急入域」が認められる「領海」には、「領空侵犯」のような概念はない。そもそも「領海侵犯」そのものが「犯罪」としては立件できないのだ。そのため取り締まるには「不法操業」「検査忌避」などの法令違反や「徘徊」などの「無害でない通航」という別の行為が必要となる。

そしてこれらに対して「武器の使用」すなわち「射撃」が「国内法」で認められていたとしても、自国領海外まで「継続追跡」すれば大きな問題が出てくることも多い。次は、それらの漁船等容疑船への「武器使用」に関した国際判例を見て行きたいと思う。

(当分、田母神ネタが続くかもしれません。ご了承ください)

2010年11月3日 04時47分


(新世紀人コメント)
アメリカは日本を守らんでしょうな。支配占領地域としての日本という認識が本当でしょう。それは守るとは言わない。支配すると言うのです。支配を侵されない為に軍を置くと言う事に東西対立が終わってからはそれだけになってしまった訳です。

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