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「説明責任」:言葉は使いようで社会を殺す
http://www.asyura2.com/10/senkyo78/msg/274.html
投稿者 Ozeki 日時 2010 年 1 月 21 日 17:01:27: iUNYh/7cfiDSU
 

INTELOGUEより

http://www.intelogue.com/2010/01/20/words-that-kill-society/

ネットの世界では「マスコミ」をゴミ扱いする傾向が強い。人気業界だと思っていた関係者も心中穏やかではないだろう。ネットの言論は、相手を叩こうとするあまり、呵責ないまでに攻撃的で、つまりは議論にならないことが多い。「論」を議すのではなく、手っ取り早く「人」を貶めることに熱心だ。しかし「マスコミ」とて同じではないか。議論のスタイルはマスコミが普及させてきた。多くの議論は「なぜ、なに、だれ…」というコンテクストを共有するための努力を怠っており、直線的に自分の主張を通そうとするが、それは思春期の特徴でもある。マニュアル化された新聞の「社説」や『朝ナマ』の出演者に知性の輝きを見出すことは難しい。
誰が、誰に対して、何を「説明」すべきなのか

いまわれわれは連日「説明責任」という言葉を浴びせられている。だがこの言葉を適切に使ってはいない。Wikipediaの日本語での説明も、英語 Aaccountability)の説明とはあまりにかけ離れている。簡単に言って、この言葉は責任・権限を有する者(いわゆるエラい人)が「社会」(国民・株主・従業員など)に対して果たすことが要求されているものだ。「お上に申し開きをする」責任ではない。だから「国会議員の逮捕・勾留」という、有権者の権利を侵害する憲政上重大な事案に関して、「捜査権」という暴力を伴う権力の行使を限定的に認められている検事総長は、第一義的に「説明責任」を負い、その妥当性(緊急性、代替手段の欠如等)を説明できなければ職務上の資質が問われる。米国などでは、こんな恐ろしい権力は官僚にも政治家にも任せておけないので、選挙で選ぶことになっている。

素性を明らかにしない「団体」が刑事告発したことを受けた今回の捜査について、検察とそれを指揮・監督する政府は全面的に説明責任を負う。小沢氏側も有権者に対して「説明責任」を負うが、その説明を認めるかどうかは選挙民であって検察ではない。現行法で「ゼネコン」は反社会的団体でもないし、政治献金は必要なものと認められている。ましてや職務権限のない一野党政治家に対する献金を「不快」に思うかどうかの判断は有権者に委ねられている。「規制法」の趣旨は正確な報告であって、所轄官庁は総務省だ。

ところが、新聞は小沢氏側に対しては「おぅ説明してくれよぉ」とか「わっかんねぇな」と絡む一方で、公権力の主体である検察側には「リーク」だけを求めているようだ。彼らは「推定無罪」とかいう法治国家の基本原理はどこかに飛ばして平然としている。「リーク」について追及されると「情報源の秘匿」でかわす。報道機関がこの価値観を主張するには、それが公権力や反社会的な圧迫から「真実」を証言した者を保護するためのものであるという「説明責任」が課される。つまり情報の真実性と保護の必要性だ。権力の情報操作に協力したり、職業上知った人の言うことだから信じたり、寒いから取材の手間を惜しんだためでありません、と納得してもらう必要があるのだ。刑事事件で容疑を持ち操作の対象となったら、被疑者には「説明責任」ではなく「黙秘権」が与えられる。挙証責任が当局側にあることはいうまでもない。

「情報源の秘匿」と「情報操作」の関係について、イラク戦争の時に、NY Times紙の記者が逮捕された事件があった。記者に同情が集まったが、実際には国民を欺いてでも戦争政策を推進したい当局者の「情報操作」に協力しながら、意図的に「情報漏洩」という犯罪を行った当局者を「秘匿」したことが明らかになり、メディアの信頼に泥を塗る結果となった情けない事件だった。(元新聞記者の方がここで良識を語っています)。いかなる価値も、正しいコンテクストを離れれば反社会的なものとなる。

話のできない状態に相手を置きながら、一貫性のない短い言葉で攻撃し続けるリンチ的スタイルは、ネットの「お祭り」と同じだ。まことにマスコミはネットの、ネットはマスコミの鏡なのである。違いは、片方は社会が認知することになっている「権力」の一部だということでしかない。ジェファーソンなら「もしネットのないマスコミか、マスコミのないネットかと問われれば、後者を選ぶ」と言うかもしれない。
近世(世間)と近代(社会)が混在する言語環境

日本では、社会が依拠べきとされる価値観や原理などの概念は、漢語あるいは四字熟語で表わされる。多くは1945年以降、アメリカ軍によって制度化された。が不幸なことに、これらは外国の「市民社会」に由来するもので、その使用(つまり解釈)の権限は、行政・司法・立法・教育・報道という、公権力を支える機関によって独占(一部は分割所有)されている(日本で報道の役割が権力の監視として機能することは例外的にしかなく、また重要な公権力である「国防」も言葉を持たされていない)。

概念は、解釈と方法とがセットになって初めて意味を持つから、上述した機関に関係する者は「マニュアル化」された概念を扱い。残余の者は「四字熟語」の執行を謹んでお受けせよ、というシステムだ。「官から民へ」と言えば、それが国有財産の払下げなのか、競争原理の導入なのかの議論をしない。「憲法」や「消費税」の議論をしようという大臣は、けっして自分から議論のフレームを提起しているわけではなく「どうよ」というだけだ。

これが民主主義とは無縁の、権威主義体制(最も近いところでは中国・北朝鮮の「指導された民主主義」)であることは言うまでもない。いやこれらの隣国の民衆は、自分自身の言葉(思考=概念と解釈)で体制を批判する伝統があるから、「社会」などという概念が発明される数千年も以前から、「天」や「道」という単純にして深遠な一文字の哲理で「理」を唱えることができた。「言論の自由」などなくても言論があり、弾圧すべき対象は常に存在するから検閲は権力にとって重要だった。皮肉にも検索エンジンの力でフィルタリングは容易になり、当局者は通信量の爆発的増加にも対処できているかもしれない。

それはともかく、日本人は公教育でも四字熟語について「聞く」機会はあっても解釈と実践方法について学ぶことはないから、これらをタテマエとして受け取っておくことになる。上述した公権力とは無関係の在野の市民が、独自の解釈を述べても、概念を使えば外国語を話すようになるので「言論の自由」(何とでもホザけ) と無視できるし、「マニュアル」派のサラリーマンは「粛々と」前例を踏襲していくだけだ。こうして水戸黄門や遠山の金さんのような近世的ヒーロー(権威=権力=正義の三位一体)がいまだにもてはやされるわけだ。

先の中納言光圀公も左衛門尉景元氏も、2種類の言葉を完全に使い分ける。権力に関わる時には「言葉を改める」わけだ。改めた後のロジックは庶民に分からなくても、ともかく悪人は特定され罪状も「明らか」なので、あとは「不届至極」「言語道断」と四字熟語でやっつけてくれればいいというわけだ。これらは庶民が使えないことになっている。

「言論の自由」がなくても言論、輿論が水のように権力を動かす北東アジアの大陸文化、概念とその運用が恒常的に社会システムを動かす欧米市民文化に対して、日本が形成が遅れているのは社会を公正に動かすために必要な「言語環境」だ。これは 100年かかっても作っていかねばならない。多少とも世界につながっているネットが、純然たる地元権力である「マスコミ」の反面世界となって二極化することで、そうしたものが生まれることを期待したい。 (01/20/2010)  

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コメント
 
01. 2010年1月21日 17:43:25
まったく論理的で筋が通っています。その通りです。マスコミがマスゴミである
理由がよくわかりました。「説明責任」「説明責任」と繰り返すのは、ある種の拷問です。何を言っても「説明責任を果たしていない」で終わり。日本語の「言語環境」をなんとかしないと、世界から孤立したままだ。

02. 2010年1月21日 17:59:14
派遣の品格、女性の品格、同和特権、在日特権。
決して「官僚の品格」「経済人の品格」「議員特権」「マスコミ特権」では無い。
品性を問われ、揶揄されるのは飽く迄も、常に弱者のみ。
強者の品性は問われず、揶揄も「それこそ品格を書く」として忌まれる。
何とまあ、後進的な!
陸山疑獄自体、帝人疑獄を許した当時と、大して既得権益側の抵抗勢力が進化していない事を示す。

03. 2010年1月21日 18:04:17
これ書いた人は相当頭がいいですね、すごく勉強になりました。

04. 2010年1月21日 18:27:29
説明責任は検察の方だろ

05. 2010年1月21日 18:37:53

>。ヨ説明責任」:言葉は使いようで社会を殺す。
ハイチではこれからどんな「説明責任」がされるのでしょう。
政治が未熟欠陥錯乱状態になれば、死ぬのは国民、あなたの子供。
2年前に既に予知 ハイチ大地震を警告していた
http://www.epochtimes.jp/jp/2010/01/html/d88744.html

06. 2010年1月21日 21:25:20
この記事をどなたか民主党、社民党、国民新党のできるだけ多くの先生方へFAXしていただけないものでしょうか?

この問題は「そもそも論」から出発すべきと思います。


07. 2010年1月21日 22:16:32
おっしゃる通りで、マスコミの言う説明責任は間違っています。彼らの言うのは、検察からわけのわからぬことをリークされて、勝手に想像して書くのに嫌気がさして、疑われる方が説明してくれるとありがたい、ということだけです。
彼らは人を悪玉に仕立てる魂胆に貫かれており、いくら説明しても、納得するはずはなく、次々と論点をずらして疑いを放棄することはありません。疑惑を求める血に飢えたオオカミなのです。楽に手に入る商売ネタを求めているのです。
説明責任とは、公的機関や株式会社などの責任者は、自己の決定や行動について、その理由や背景や考え方を、すべての関係者に説明する責任を自覚し、自らフリーの記者もいる適切な場で、説明しなければならない、ということです。
なぜ、国会議員を開会直前に逮捕したか、それほど重い容疑なのか、告発した「世論を正す会」は実在するか、リークへの対処など、検察こそ説明しなければならないのです。

08. 2010年1月22日 13:04:10
すごいですね。私も頭では分っていることですが、それをここまで理路整然と説明できる能力は素晴らしいものがあります。この説明ならば、B層と呼ばれる人達も必ず納得してくれるでしょう。なるべく多くの人に読んでもらいたいですね。

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