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帝人事件、1934年(昭和9年)
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投稿者 新世紀人 日時 2010 年 2 月 03 日 15:02:43: uj2zhYZWUUp16
 

http://www010.upp.so-net.ne.jp/ya-fuian/29_framepage.html

【◎】 番町会事件(帝人事件、1934年)
【参考】『角川 日本史辞典』(1966.12)

一九三四年、番町会の会員が検挙された事件。一九三三年ごろから、郷誠之助の番町私邸に集まった財界若手実業家水野護、長崎英造、河合良成、小林中、正力松太郎らのグループを番町会という。一九三三年、帝国人絹株高騰で番町会メンバーが台湾銀行から鈴木商店担保株を買い受け、これをスキャンダルとして武藤山治が「時事新報」で暴露。平沼騏一郎、政友会久原房之助派らはこれを政民連携運動の破壊に利用。一九三四年、帝人事件として番町会メンバー、中島知久平商相らは検挙されたが、一九三七年、全員無罪となる。
【参考】大内力著『ファシズムへの道』(中公文庫・日本の歴史 )

この本では、この事件に4ページ近く費やされている。大事件であったらしい。
齋藤内閣打倒の動き=@昭和九年に入ると、そろそろ齋藤内閣も人々にあきられ、いろいろな方面から政局の転換を促す動きが現れはじめた。
 たとえば軍部は、さらに強力な内閣を出現させて、自分たちの政策をもっとおしすすめようという意図を露骨に持ち始めていた。高橋(是清)蔵相の財布のひもが案外かたく、軍備拡張がおもうにまかせないこともその一つの理由であった。とくに海軍は一九三五〜六年の危機をさかんに唱え、軍縮条約の破棄を主張していたが、財政上の理由もあって、齋藤はそれを抑えるほうにまわっていた。陸軍は華北への進出をあせっていたが、昭和八年九月、広田弘毅が外務大臣になってからは、多少ともブレーキがかけられた。イギリスとの話し合いによって中国問題の打開をはかろうというのが、広田の基本方針だったからである。(中略)
 このころ政党の内部にも、また官僚の一部にも軍部の横暴にたいする反発があったが、そういうことも軍部を刺激する要素となった。(中略)。政党も軍部の進出を抑えるべく財界とも共同して戦線統一をはかりはじめていた。河合良成、郷誠之助、永野護など若手財界人の結成する番町会が肝煎りになって、政民両党(立憲政友会、立憲民政党)の連合運動をすすめ、議会政治擁護の気勢をあげたのは昭和八年(1933)末から九年一月にかけてであった。第六十五議会では、珍しく政民両党から軍部にたいする攻撃がさかんにおこなわれた。
 とくに、陸軍省調査部長の東条英機の主張でだされたといわれる、軍民分離を促す言動にたいする警告という陸海軍の共同声明(1933年12月9日)は、議会の攻撃のまととなり、それは軍部の狼狽を現すものだとか、軍人の政治介入であるとかといった批判やら非難が軍部大臣に集中した。(中略)
 しかし政党のほうは、軍と対立することで統一されていたわけではむろんない。軍と提携して勢力を伸ばそうとするもの、もう一度政党に政権をとり戻そうと考えるものなど、さまざまの動きが渦をまいていた。またこの軍部に対する攻撃にしたところで、むしろそれによって政治を窮地に追い込むことが目的だったのであって、かならずしもファシズムから日本を守ろうとするほどの意識の高いものではなかった。
したがって同じ第六十五議会では、中島商相にたいする「足利尊氏問題」とか、鳩山文相にたいする樺太工業問題とかの追及がおこなわれた。(中略)。こうした一連の事件は、とくに政友会の久原房之助の画策にでたものだが、この 各個撃破によって齋藤内閣は大いによろめいた。
 もう一つ、この内閣の大きな敵役になったのは枢密院の平沼だった。これより先、昭和九年(1934)五月に枢府議長の蔵富勇三郎が辞任したが順調に行けば副議長の平沼が昇格するところだった。ところが西園寺(公望)が平沼を嫌っていたこともあって、齋藤は一木喜徳郎(前宮相)を議長にすえた。このことから平沼は大いに齋藤にふくみ、久原と結んで倒閣運動にのりだすのである。中島や鳩山の問題も平沼の差し金だというし、やがておこる帝人事件は、検察のボス平沼のうった大芝居であった。

帝人事件=@帝人事件の発展は、当時、鐘紡をやめた武藤山治が社長をしていた『時事新報』が、一月十六日から「番町会を暴く」という記事をのせはじめたことにある〔これを書いたのが和田日出吉氏〕。これは、

 政党と政商の結託暗躍はあらゆる社会悪の源となり、つひに五・一五事件の洗礼を受けた非常時内閣下において政党政商等はしばらくその爪牙をかくして世の指弾を避くるに汲々たる折柄、ここにわれらは、わが政界財界のかげに奇怪な存在をきく。
 曰く『番町会』の登場がそれである。すなはち彼等はいまや、その伏魔殿にたてこもり、かつて政党政商がなせるが如き行為、紐育(ニューヨーク)『タマニー』者流にも比すべき吸血となしつつ政界財界を毒しつつあるといふ。しかもこの『番町会』のメムバーとして伝えられるものに、某財界の巨頭(郷誠之助)を首脳としこれを囲繞するものに現内閣の某大臣(中島久万吉)あり、新聞社員(正力松太郎)あり、政権を笠に金権と筆権を擁して財界と政界の裏面に暗躍する異常は眼にあまるものあり・・

という書き出しのように、一種の暴露ものであった。武藤がなぜこういう記事をのせはじめたのかは、かならずしもはっきりしないが、長く少数党(実業同志会)を率いて政界にあり、しかも番町会の外にあった武藤には、筆誅をくわえたいという意図も動いていたことはたしかだろう。それに新聞の販売政策がからんでいたのである。
 この記事は、番町会の罪悪をたくさん並べたてて暴露していたが、その一部として帝人問題がとりあげられた。
 帝人=帝国人絹というのは鈴木商店系の人絹会社であるが、このころの人絹ブームにのって、営業成績は向上をつづけていた。ところが金融恐慌以来、この会社の株二十二万株あまりが台銀の担保に入っていた。この株価の上昇が見込まれていたので、金子直吉(鈴木商店)らは、このさい台銀からそれを買い戻そうということになり、その斡旋を番町の面々に依頼した。とくに水野護がその中心になり、正力が永野の依頼で活躍したといわれているが、かれは、そこで鳩山一郎・黒田英雄大蔵次官らに働きかけ、島田茂台銀頭取を動かして、ついに十一万株の払い下げを実現させた。
 そのさい、株価の問題で金子らと折り合いがつかなかったので、永野らは別に買受団をつくり、一株百二十五円でこれを買い取った。だが、それと同時に帝人が増資を決めたので、この株はたちまち百四十ー五十円にあがり、永野らは大儲けをした。・・これが、暴露されたことのおおよその内容であった。
 この記事がでたあと、検事局が動き出し、四月十八日には台銀の島田頭取、帝人の高木復亨社長および永野、河合良成、長崎英造など番町会メンバーが召喚された。そして五月に入ると大蔵次官黒田英雄、銀行局長大久保偵次らが収賄容疑で拘引され、やがて起訴された。また中島も召喚されたが、そのとき参考人としてよばれた三土忠造は、検事の主張する事実を否認したので偽証罪に問われた。
こうして、帝人事件は空前の大疑獄となったが、齋藤内閣は黒田次官の起訴確定後、七月三日、ついに責任を取って辞職した。倒閣がここに成功をみたわけである。
 ところで、この帝人事件の裁判は昭和十年(1935)六月からはじまり、十二年十月までかかったが、結果は全員無罪であった。(中略)。この事件は、一方では明らかに倒閣を目的とした政治疑獄であり、それとしては十分目的を達していた。その張本人が平沼であった。かれは、その主催していた右翼団体国本社の一員であった検察の大物塩野季彦(第一次近衛内閣の法相)を使って、この事件をデッチあげさせたといわれている。事実、このときの検事の取調べは猛烈で、中島以下にも拷問に近いことまでし、虚偽の自白を強要した。検察ファッショという言葉が生まれたのもこのときからである。平沼の背後にはむろん右翼や軍部があったし、平沼は、今度こそ政権は自分のところに転がりこむと読んでいた。それをまたかついでいたのが久原の一派であった。(中略)
 なお、この事件の最中の昭和九年(1934)三月九日には、武藤山治が北鎌倉の自宅から駅に向う途中、福島某なる青年にピストルで撃たれて死ぬという事件がおこった。これは一時は背後に番町会があるのではないかとして騒がれたものだったが、実は武藤の恐喝に失敗した肺患の青年がやった単なる偶発事件にすぎなかった。
◎関連人物と『長篇 人絹』の登場人物(【・・・】は作中変名)。以下のリストは仮テキストで調べ切れていません。

武藤山治(「時事新報」)【武藤山治。実名で登場】/報知新聞記者(和田日出吉)【輪田、大森山人】/報知の森田久
金子直吉【兼子】/郷誠之助【谷請之介男爵】/水野護【長井】/長崎英造 /河合良成【相川】/正力松太郎【羽戸】 
島田茂台銀頭取【田島頭取】/高木復亨帝人社長【木谷帝人社長】
平沼騏一郎(枢密院、検察のボス)/中島知久平商相/中島久万吉商工相【嶋中九萬吉商工大臣、政民連携運動】/鳩山一郎/久方日銀総裁/黒田英雄大蔵次官【目黒次官】/久原房之助(政友会)/検察の大物塩野季彦/銀行局長大久保偵次【久保銀行局長】/三土忠造鉄道大臣【三浦鉄相】
福島某【福馬進市】


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