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^平成維新ではなく平成無血革命という日本の政治路線
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投稿者 カクジツ先生 日時 2010 年 2 月 06 日 10:44:16: ruqSwQk46icfg
 

混迷に陥っている日本の政治は、鳩山首相が「無血平成維新」という間違った発言を、初心方針演説でしたためという鋭い指摘があった。それを指摘したのは「さらば暴政」の著者の藤原記者であるが、対談の相手が小沢一郎民主党幹事長の参謀役であり、全参議院議員だった平野貞夫政治評論家だから、対談が持つインパクトたるや絶大である。

<貼り付け>
『財界にっぽん』2010年二月号

『無血革命』後の日本を展望 国民の政治選択に政治家はどう応える

政治評論家 平野貞夫
vs.
国際ジャーナリスト 藤原肇


半世紀以上の長い歳月のなかで構築されてきた構造を変えることは、普通であればそれ以上の歳月を要する大事業である。だからこそ革命が必要なのであろう。“無血革命"で誕生した民主・社民・国新連立政権は、困難な大事業の推進に取り組んでいるが、その理念・意識がどのようになっているかが、大事業の完成にとって重要な位置を占める。そうした事象に精通した2人が忌揮のない言葉で語ってくれたのが、本対談だ。今号を第一回として数回にわたってお届けする予定である。


民主党大勝の選挙を海外では革命と捉えた
本誌 本誌 本日はお忙しいなかをこの対談のために時間を割いていただきありがとうございます。早速、本題に入りたいと思いますが、先の衆院選で政権交代が実現したのを機会に、日本の過去、現在を見つめながら、日本のあり方や展望を語っていただけたらと思っています。折角、政権が交代して新しい流れができるのではないかと期待したいところなのですが、メディアなどの反応には、そうした期待感がみえません。いかがなものでしょうか。
平野 私に言わせれば、そういう発想がもう古い。もっと深刻な問題がある。それで折角のご提案ですから、まず、藤原先生から政権交代についての感想を聞いてみたい。

藤原 実は、私が選挙の結果を見たのはヨーロッパに行く途中のシンガポールの空港でした。直ぐにキオスクで新聞を手にしたら、中国語の新聞は“「回天」”と書いてあった。英字新聞には「レボリューション」と書いてあり、これは革命だと、外では革命と理解していた。だから、これから革命のやり方をきちんと行えば国民が幸せになると思いました。
 ところが、日本の新聞の見出しの多くは「政権交代」でしかない。革命はレボリューションというが、交代はローテーション。日本の政権を奪った民主党が、選挙に勝って政権交代レベルでしかとらえていない。これはお粗末だなと思いました。
 実は、レボリューションは天文学用語の「公転」が語源です。それに対してローテーションは「自転」。公転の“公”はいわゆるパブリックである。このパブリックの問題が日本でダメだったのは自公政権だったからです。要するにプライベートなことばかりやっていた。民主党の人も“公”のレベルの考えに基くのでなく、“私”、つまり“自”のレベルで考えて、自分の利益で考えるなら困ったものだ、と思ったのが第一印象でした。

平野 その“公”と“私”の違いは大切な視点ですね。それと革命という考え方は貴重です。

藤原 そうみると、世界にいろいろ革命があったが、これから日本は、最後にギロチンが出てくるフランス革命にしないで、英国の名誉革命やアメリカ人がアメリカ民主革命と言っている憲法を基にした、アメリカ型民主主義の方向に行くことが重要です。平野さんは国内でご覧になっていていかがですか。

平野 まさしくそこが問題です。選挙での自民党の壊滅的敗北、そして民主党の歴史的圧勝。308 (獲得議席)は奇跡的数字と言える。私が最初に感じたのは“無血革命が実行された”という言葉だったが、その革命を成功させる、定着させることは、具体的なことを言えば政権のつくり方、そして新しい政権の政治をどう世界に示すかということであり、無血革命を成功させるのは大変なことだと思った。
 一般のマスコミ、それから敗けた自民党、なんとか勝った民主党の側も、あまりにも自民党の政治が悪かったのでお灸をすえたと論評した。学者もそう言っていた。政治家のなかでも“無血革命”と言ったのは小沢一郎だけだった。

歴史上の大事件を機にデモクラシーの完成へ

藤原 ところが鳩山首相は所信表明演説で、「無血の平成維新」などと寝ぼけたことを言っていた。 “維新”というのはファシストの言葉です。権力内でイニシアチブをどっちが奪ったかという時に使われる。英・仏語に訳すとクーデター。鳩山首相は所信表明で「無血クーデターをやった」と発言したことになり、これではナポレオン三世と同じですよ。
 だから困ったな……と。この人たちは意味論が全く分っていない。要するに、理念がしっかりしていないから、所信演説で前半に折角いいことを言ったのに、最後の所で「画龍点晴を欠いた」のであり、まとめとして実にいいかげんなことを言ってしまった。しかも、メディアも学者も誰もそれを指摘して批判できなかったのが情けない。

平野 しかし、デモクラシーをどう完成させるか、ということ、議会制民主主義をどう良いものにするかという点においては、初めて日本で民衆が選んだ政治選択でした。日本の2000年というか2600年というか(笑)はともかくとして、歴史上、かつてなかった大事件だと思う。
 私が一番気にしたのは、革命という言葉を使う限り、私個人の意見としては、国家を指導する人間の意識の変化、向上が果たしてできるのかどうか、これをやらなければ本当の革命にならないというところです。

藤原 今、民主党のマニフェストがどうかとか、予算をこうやるとか言っているが、それは処方箋や処置である。まず第一に、現在の日本が病気だと診断して、これまでの政治が、つまり自公体制がいかに暴政だったかを明確に指摘しなければいけない。しかも、それを民主党の国会議員が理解して疾患に取り組むためには、一番大事な作業が正確な診断をすることです。今まではどうだったか、今までの日本が前近代だったことをはっきりさせない限り、これからの日本の社会が近代社会として世界に通用する国としての方針も理念も出てこない。
 その理由は、今までの自公体制は宗教と政治が一体化し政教非分離であって、日本は世界から立ち遅れていた。要するに、文明の歴史は近代が政教分離で始まったことを教えており、日本は近代にしなければならない。という人が民主党の指導者として出てきて欲しかった。

平野 今のお話を私流に解釈すると、政治家だけじゃなく学者も含めて日本人は歴史認識が基本的にないのです。だから、現代という時代がどういう歴史的段階にあるのか、その中で人間を人間がどういうふうに捉えていくのか。これがないと私は、政治の議論は始まらないと思う。これがまったく欠けているのです。

藤原 その通りですね。

平野 1980年頃からそれが一切ないと私は感じている。

藤原 いや、明治からではないですか(笑)

平野 私のように政治の中にいる人間の立場で言うと、明治生れの政治家には限界はあったが、それらしきものはありました。

藤原 そうですね、「四書五経」をきちんと読んでいましたから。

平野 文明が分かっていた。

藤原 そう、日本人が西欧文明と繋がる必要があった時に、明治の人は大陸文明を識っていたから、文明社会に乗り出すことができたのです。

平野 その通りです。

官僚化した政治家にできるか官僚支配打破

藤原 ところが、今の日本人は漢文は読まないし、中国の古典を理解しない。世界の古典ももちろん読めない。教育水準もそういうレベルに達していない。だから、文明から逸脱した文化のレベルでの議論をして、文明の議論が行われていないのです。

平野 要するに、明治時代には人間の在り方とか、国や社会の在り方の根っこの部分を、平民でも指導者でも誰でもが考えなければいけないという意識があった。だから、別に学問をしなくてもいいのだし、皆が学問をやれるわけじゃないが、それなりに考えようとしました。
 ところが、私の体験から言うと、大正生れの人たちが政治をやるようになって、結局、技術論だけ。根っこというか思想の部分、方向性とか理念や目的というものを、明治生れの人たちは学歴がなくても、それなりに考えて官僚に示した。また、昭和50年代の中頃までは官僚がそれを理解して制度をつくった。
 ところが、昭和50年代の後半になると、政治家は官僚の係長クラスが知っている政策や数字などを知ることが専門的だと思い、立派な政治家だという風潮が出てくるんです。そうなると、制度の方向性とか目的、理念を政治家が考えなくなる。
 これは資本主義の大きな流れというか、日本のバブル経済の流れの中で、そういう現象が起きたのかも知れない。現状を何とか考えなければいけないということで、官僚が考えざるを得なくなるわけです。そこで官僚が政治家化し、政治家が役人化してくる。
 衆院事務局時代の私は、最も政治家化した役入の一人でしたね。仕事は毎日、自民党や共産党、各省庁も含めて国会の運営の制度あるいは前例の問い合わせでした。だから、毎日のように国家公務員法違反をしていた。それをしなければ国会が動かない。官僚側にももちろん族議員をつくったりする者もいて、民主党が敵としている官僚政治の打破は大事なことではあるが、現状、実現は大変なことだ。

藤原 官僚の中にも私利私欲で動く人もいるが、誠実な人も沢山いるから、国家は機能するのです。私の全てを相似現象ととらえる目で見ると、個々の中の役割を果たした人たちは、皆んなそれぞれ大きさも違うし、タイムスパンも異なっているが、少なくとも相似現象としてパターンの形で捉えられるのです。

平野 その相似現象が今、起きている。どういうことかと言うと、官僚が政治家化したのは官僚にも責任はあるが、政治家を選んだ国民にも責任がある。ところが、民主党はそういう思考をしない。鳩山新政権で官僚を叩くとか、予算の事業仕分けとか、いろんな形で政治主導と言われることが、相似現象として政治家が官僚化してきていたものです。

英国に間接支配されるアメリカ資本主義

藤原 フランス革命でみると、貴族と共にブルジョアがいて、農民と共に商人がいる。こういうパターンの中で、官僚の役割を貴族が演じていると思う。その上に王様がいるわけだが、あの時期は絶対王政から立憲王政に変わろうとしていた。それでは、立憲王政に変わるパターンの中で王様に相当するのは誰かということに興味があって、私は米国でじっくりと観察した。実はアメリカが王様をやっていたのであり、それが王様連合と運繋していて、神聖同盟に相当するのが国際金融資本で王様同盟だったわけです。
 その国際金融資本とかアメリカがしたい放題して今、潰れかけている。
 しかも、アメリカの資本主義は潰れて社会主義化しているが、英国を中心にした国際金融資本が、アメリカを間接支配してきた。私はアメリカに30年住んだが、アメリカは独立国の形態をとっているにしても、英国が間接支配していた。アメリカは英国の手先として戦争をやったり、金融を動かしているように見えても、実は、弁慶のようにヤリふすままであり、源義経役の英国は奥に控えている。
 この間日本に帰ってきた時に、ちょうど小沢一郎が英国に行った。ところが、ジャーナリストは理由が分からない連中ばかりで、中には心臓の治療に行ったと言ったりしていた。だが、私の眼には、英国に相談相手がいるから飛んだと見えた。英国でアメリカに対してどういう動きをすればいいかと知恵を借りて、それが鳩山のアジア共同体構想に反映したのです。いかがですか。

平野 要するに、無血革命が起きて、鳩山政権をつくってみたらどうもおかしいと小沢は痛感した。官僚政治を打破すると叫んだ人間が、逆に官僚化して、官僚のレベルでものを考え、官僚の意識で政治をしようとしている。しかも、国会を動かし権力を行使することが、行政事務のひとつだという認識があると、危機感を生んだ。
 小沢の考え方かどうか知らんが、何かやはり、これではいけないということを察して、小沢は9月の後半にイギリスに飛んだ。おっしゃるように、イギリスの統治や権力行使の根っこが、どんなものかということを探りに行き、特にアメリカの扱いについての知恵を借りたのでしょう。

訪英から帰国した小沢が目指す「国会の改革」

藤原 私が旅行する時には、40年前の昔の友達がそれぞれの国で閣僚や財界のトップだから、彼等と話をすれば、彼等のものの見方が分かる。だから、彼等から答を教えてもらわなくても、彼等の考え方を探るだけで会う価値があるし、小沢がそういうことを打診しに行ったのではないかなと、相似象で理解できる。

平野 その通りです。

藤原 世界のプロは、このように相似象で見ているのであり、小沢ならそれをやって当然です。

平野 それで彼が帰ってきて言ったのは、「国会の改革だ」と。国会を変えなくては308議席を取っても何もならん、何も変わらんというのが結論だった。

藤原 私が冒頭で、日本が非近代であると断言した。そこから脱皮するには、政教分離をきちんと行うことです。それではじめて日本は近代国家として国民の幸せのために政治は何をしなければいけないかという出発点に立てる。そして、前の政治が如何に悪かったかと、悪かった人は法治国家である以上は、きちんと裁判で明らかにし、税金を八兆円注いで救った銀行を十億円で外国に叩き売った行為が、犯罪かどうかとはっきりさせることです。
 これが革命におけるイロハで、弾圧しろとかいうことでなく、悪いことをした人たちは悪いことをしたんだという形、いわゆる法を破ったのだという形にしなければ社会正義とか法における正義の問題が抜け落ちてしまう。

平野 その部分、法に基づく支配というのが、わが国では非常に問題だ。特に、先の選挙で先生は3 50議席獲らなければいけないと言うが、308人を獲った。これは西松建設問題で小沢代表(当時) の秘書逮捕という、検察のファッショ化がなければ240という過半数を巡る戦いとなったと思う。

藤原 そうですね。

平野 アメリカの資本主義の犠牲になって、国民の生活がギリギリになり困っているところに、自民党のなかにも同じような人がいたが、小沢代表の件だけをやった。
 税金をでたらめに使った人たちを放置する限り、国民は納得しないのだから責任を追及し、その上で、日本を民主国家として再発足させることが、民主党が遂行しなければならない、民主革命のこれらかの道だということで、鳩山政権の今後の手腕を見守ることにしましょう。

 

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コメント
 
01. 2010年2月06日 11:11:48
正論だと思います。
鳩山政治の欠点(政治家の官僚化)は気が付きませんでした。
国民が何となく”違和感”を持っているのは、前政権の税金の無駄遣いを明らかにしないで、小沢さんを責める前政権(黒子はアメリカかもしれないが)の残党を野放しにしている事だ。
ただ、余り性急に鳩山政権にこれらを求めずに、しばらく冷静に見守る事が必要だと思います。

02. 2010年2月08日 04:10:12
「しばらく冷静に見守る事が必要だと思います。」そのとおりです。
でも、トカゲの尻尾は切り続けなければ世論が持ちません。
日本人の特性・村社会は独特のものがあります。
世界の中で、日本ほど宗教戦争をした国はありません、そして、違いのある宗教観を細かく分散して、宗教勢力を本当の宗教の型に作り上げたのです。国際社会の中でこのような国はありません。日本のゲマインデ(スイスの地域社会)に自信を持って革新しなければ日本の未来はないでしょう。戦後の日本は公転していたが、昭和50年を堺に反転していたのではないでしょうか?
小沢さんは、これを公転させたいと活動してきたのだと私は考えております。
               お日様西町

03. 2010年2月09日 18:05:58
この記事は小沢と鳩山が読んで参考にすべきである。そうしないとはっきりした理念のない民主党は、空中分解する危険があるという予感がする。

04. 2010年2月15日 23:04:47
検察とマスコミが平成無血革命を妨害しようと企んだが、その陰謀は崩れたようで何よりだ。門題は民主党に革命を遣り通す覚悟があるかないかであり、そのためには小沢は幹事長を辞職して、長老として一歩退くだけの勇気が必要だと思う。

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