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自衛隊のハイチ派兵に反対する PKO法を使った「対テロ」参戦と海外派兵恒久法への道を許さない! (かけはし)
http://www.asyura2.com/10/senkyo80/msg/300.html
投稿者 ダイナモ 日時 2010 年 2 月 11 日 22:28:31: mY9T/8MdR98ug
 

被災者に届く救援を、重債務帳消しを

http://www.jrcl.net/frame100215a.html

最貧国を襲った
最悪の人道危機

 一月十二日、カリブ海のハイチで起こった大地震で、人口一千万人足らずのハイチでこれまでのところ二百万人以上が被災し、すでに二十万人の死亡が確認されている。被害の全容はいまだ不明であり、今後さらに拡大するだろうと見られている。
 ハイチは住民の八〇%が一日二ドル以下で生活する世界最貧国の一つである。十八世紀末のフランス革命と連動した黒人奴隷たちの闘い(「ブラック・ジャコバン」)により一八〇四年に独立を勝ち取りながら植民地宗主国フランスへの「賠償金」支払いに起因する現在も続く債務に苦しんできたハイチ、二十世紀になってからも米軍の占領や一九五七年以来のデュバリエ父子の秘密警察(トントン・マクート)を使った長期独裁体制に苦しんできたハイチ、一九八六年のデュバリエ追放の民衆反乱と民主的選挙による「解放の神学」派の神父アリスティドの大統領選出以後も軍事クーデターが繰り返され、二〇〇八年の食糧危機では「泥のビスケット」を食べる貧しい人びとの姿が衝撃的な形で報道されたハイチをまさに最大規模の人道的危機が襲ったのである。
 地震は「自然災害」である。しかし一九九五年の阪神淡路大震災、二〇〇四年十二月のインド洋大津波、二〇〇五年八月のハリケーン・カトリーナ、二〇〇八年五月の中国四川大地震の実例が示すように、その被害は最も貧しい人びとを直撃し、決して「天災」ではない不正に満ちた政治・社会構造の矛盾を浮き彫りにする。われわれは、緊急に必要な災害被害の救援と復興支援のための国際的活動を支持し、その活動に取り組むとともに、救援・復興のあり方に貫かれる国際政治の現実、各国政府の思惑に十分な警戒を払う必要がある。
 その際、とりわけ注意すべきなのはインド洋大津波においても、今回のハイチ大地震においても明らかになっている「人道的救援活動の軍事化」の流れである。

対米関係に配慮
した政府の思惑

 一月二十五日、鳩山政権はPKO協力法に基づき「人道復興支援」目的で自衛隊をハイチに派遣する方針を決めた。一月十九日の国連安保理でハイチにPKO要員三千五百人を増派することが決議されたことを受けた決定である。国連安保理決議に先立ち、米国のオバマ政権は、二〇〇四年以後ハイチに展開されている国連ハイチ安定化派遣団(MINUSTAH)とは全く別個に一月十八日までに一万一千人の米軍をハイチに派兵する方針を決め、ただちに実施した。
 二月五日の閣議では陸上自衛隊約三百五十人を派遣する実施計画と関連政令を決定し、二月六日には第一次隊二百人のうち百六十人が政府専用機と民間機で出発した。部隊は米国のフロリダに到着後、航空自衛隊のC130輸送機でハイチ入りする。同部隊はブルドーザー、トラック、軽装甲機動車など百五十両を持ち込み、拳銃、小銃、機関銃などで武装している。
 派兵の中心を担ったのは宇都宮の陸自中央即応連隊であった。二〇〇八年に発足した中央即応連隊は、海外派兵のための先遣部隊、すなわち「殴りこみ部隊」であり、かつ首都圏での「対テロ」作戦の中枢を担う治安部隊である。中央即応連隊の隊長は、最初の戦死者が出るのはわが部隊、と隊員に「覚悟」をアピールしている。鳩山首相は二月六日の防衛省での隊旗授与式で「国連への意思表明後二週間で派遣できることになったのはまさに画期的」と自賛した。
 鳩山政権のこのハイチPKO派兵方針の迅速な決定は、国連PKO活動における自衛隊のプレゼンスの後退(現在はゴラン高原派兵部隊のみ)を取り戻し、インド洋でのアフガン戦争支援の旧作戦からの撤退、「普天間移設」問題をめぐる米国からの「不信」の増大を修復し、あらためて「日米同盟」への忠誠をオバマ政権に印象づけるためのものである。読売新聞は「この迅速な決定の背景には、何とか国緊隊(国際緊急援助隊)の出遅れを挽回し、自衛隊のインド洋での給油活動に代わる国際貢献策としてアピールしたいという思惑があった。しかもハイチは米国の『裏庭』で、対米関係上のメリットは大きい」(2月6日朝刊)と書いている。さらには民主党が持論としてきた「国連決議」を背景とした自衛隊海外派兵の拡大、「海外派兵恒久法」の制定の準備でもある。

PKO5原則
見直しの圧力

 今回のPKO派兵については「PKO五原則」(@紛争当事者の間での停戦合意が成立A受け入れ国を含む戦争当事者の同意B中立的立場の厳守C以上の条件が満たされない場合は撤収可能D武器使用は要員の生命防護など必要最小限に限る)は「例外」として適用されなかった。停戦合意と紛争当事者の受け入れ合意はなかったが、「武力紛争」は存在しないのでPKO協力法の「武力紛争が発生していない場合は、活動が行われる地域が属する国の同意がある場合」という但し書きを援用したとされている。
 しかしそれならばなぜ国際緊急援助隊ではなく海外派兵の精鋭部隊である「中央即応連隊」のPKO派兵なのか。朝日新聞は「今回は、紛争当事者の特定が難しい内戦や、治安悪化、破綻国家の国造りなどにあたっての『第4世代』と位置づけられるPKOへの、日本にとっての初の派遣」と報じている(2月7日)。すなわち「対テロ」戦争への参戦にも道を開く派兵を、PKO法に基づいて行うという「裏技」なのである。
 読売新聞二月七日付社説は「自衛隊の活動の幅を広げたい」という見出しで「ハイチでは、韓国軍も施設部隊を派遣し、陸自と同じ地域で活動する。現地情勢の情報交換はもとより、実際の作業でも役割分担するなど、日韓の連携を戦略的に強化する好機とすべきだ。……日韓両政府は、自衛隊と韓国軍の防衛交流や共同演習など安保分野の協力拡大を検討している。ハイチで具体的な連携が実現すれば、様々な波及効果を持とう」と、日韓軍事協力にむけた意図を明らかにしている。
 さらに同社説は、「自衛隊員は今、自己防衛目的でしか武器が使えない。現地の反対勢力に任務を妨害されても、警告射撃さえできない。より効果的な活動を可能にするには、PKOの国際基準に合わせて、任務遂行目的の使用も認める必要がある」「すべての紛争当事者による日本のPKO参加への同意を含む5原則は、紛争当事者の特定が難しい点など、現実との乖離が指摘されている。政府は見直し作業に前向きに取り組んでもらいたい」と結んでいる。こうして「国連決議」を金科玉条とした自衛隊の実戦的海外派兵が、「PKOの新たな役割」という水路からも推進されようとしているのだ。
 このPKOハイチ派兵に対しては、連合政権の一角を構成している社民党もまた賛成していることをわれわれは強く批判する。

これでは米国の
ハイチ軍事占領

 本紙前号に掲載したピーター・ホールワード報告にもあるように米国のハイチにおける軍事展開は、中南米・カリブ海における米国の軍事主導権を再確立する意図をもっている。国連の潘基文(ハン・ギムン)事務総長は一月十四日に「すべての勢力が国連ハイチ安定化派遣団の指揮下で協力することが望ましい」と語ったが、米国はそれを受け入れなかった。ハイチの首都ポルトープランスの空港を支配した米軍は、各国からの援助物資・人員を乗せた航空機の着陸を、自国の兵員・物資輸送のために妨害している。米国務省スポークスパースンのフィリップ・クロウリーは「ハイチを再建するため長期間滞在することになるだろう」と語り、ヒラリー・クリントン国務長官も「米軍はハイチに、今日、明日、近い将来にわたって滞在し続ける」と述べた。すなわちハイチへの長期占領計画である。
 ベネズエラのチャベス大統領が「米は援助を隠れ蓑にしてハイチを占領するつもりだ」と批判しただけではない。フランスのジョワイヤンデ協力担当相も一月十八日に行われたハイチ支援のEU協議の場で「ハイチを助けようという話であって、占領しようという話ではないはずだ」と米国を批判し、国連に調査を求めるよう訴えた(1月20日、東京新聞)。
 米国のハイチへの急速な軍事展開とポルトープランス空港の占拠・支配には、ブラジルが中心的役割を果たしている国連ハイチ安定化派遣団から、「救援活動」の主導権を奪還しようとする意図も込められている。ブラジル政府は、米軍による空港の一元的管理によってブラジル空軍機や国連ハイチ安定化派遣団の航空機の着陸も妨害していると、非難している。
 ミシェル・チョスドフスキー(『貧困の世界化』、柘植書房新社刊の著者)は、米国の「人道的活動」はペンタゴンに指揮されており、アメリカ南方軍を通して軍事作戦を展開し、米国の戦略的目的を達成するための治安維持の共同行動を進めることが役割、と述べている。そのために最大限に利用されているのが本紙前号のハイチ報告にあるような「治安の悪化、暴行・略奪の頻発」という誇大キャンペーンなのだ。
 こうした状況の中で米軍とも連携をとりながらハイチに派遣された「中央即応連隊」を中心とする自衛隊の部隊が、「復興支援活動」という名目で米軍事戦略のコマとして活用されることを、われわれは厳しく批判しなければならない。
 すでに世界のNGOや社会運動、グローバル・ジャスティス運動は貧しいハイチ民衆に重圧としてのしかかっている債務の帳消し、被災者・ハイチ民衆の利益に沿った無条件の緊急無償支援、自主的な社会再建活動への連帯を呼びかけている。われわれもまたそうした運動に協力するとともに、自衛隊のハイチPKO派兵反対、PKO法の改悪・派兵恒久法反対、「人道的援助の軍事化」反対の訴えを広げていこう。
  (2月8日、平井純一)
 

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