わたくし池田香代子さんのファンです。なにやら、やっと崩壊し始めた「日本の土着思想」（加藤周一）と、胸ワクなのです、わたくし。祟りとか、村八分とか、集団いじめとかから開放されるかもしれないと、勝手に期待しているのです。

で、貼り付けます彼女のブログから。
http://blog.livedoor.jp/ikedakayoko/
（貼付け始め）
半可通で発言するものではありません。17日の記事、本筋では外れていないと思いますが、ちょっと気恥かしい思いをしています。國母選手の「腰パン」を、かれ個人の趣味と思い込んでいたからです。

國母選手のことを取り上げたので、なんだかかれを見届ける責任が生じたような気になって、スノーボード競技を録画してざざっと見ました。そうしたらなんと、飛び出す選手飛び出す選手、みんな「腰パン」風のぶかぶかパンツではありませんか。

国別のユニフォームはあまり目立ちません。アメリカはユニフォームでしたが、ジーンズ風のボトムはぶかパンでした。ほかの国の選手はそれぞれに個性的な、でも揃ってぶかパン。これはスノーボードというスポーツの文化の一部なのだと知りました。そして、スノーボードがスケートボードというストリート系スポーツから派生した以上、ヒップホップやストリートダンスと共通のファッションがここにも入ってきているのは、ごく自然なことなのだと納得しました。また、技の独創性を競う競技なのだということもわかりました。選手が個性的なウエアに凝るのももっともです。だったら、あのゼッケンはかっこ悪い、せっかくストリート・カルチャーの文脈ですてきなウエアを選んでいる選手がかわいそう、と思ったのは、私だけでしょうか。

國母選手は、きっといつもストリート系ファッションなのでしょう。おそらく多くのスノーボード選手も。國母選手は、お仕着せのスーツのボトムをウエストで穿くのは慣れないことだし、気持ち悪かったのではないでしょうか。それで、選手団のユニフォームを高校生が制服を腰パン履きするように履いて、ぶかパン風にしたのでしょう。そして、高校生が生活指導の教師に叱られるように、寄ってたかって叱られてしまった。あの「腰パン」は、スノボーチームのなかでかれ１人、いつもどおりの自分を通した、ということではないしょうか。

スノーボード競技がオリンピック種目になったのはそんなに過去のことではなく、長野大会からなのですね。ストリート系スポーツがオリンピックに登場するのは、興味深いことです。なぜなら、近代オリンピックの草創期、選手には現役の軍人が多く、夏期の近代五種競技などはナポレオン戦争の故事をふまえています。冬期の種目ではスキーと射撃のバイアスロンが、狩猟から編み出されたとは言え、まるでいにしえの冬の行軍のようです。その選手の多くは、日本のばあい自衛隊員です。

つまり、平和の祭典オリンピックは、戦争と深く関わっているのです。国の威信を賭けて、というノリになりやすいのもうなずけます。そこへ、「お国のため？　カンケーネー」みたいなストリート文化が生んだ競技が入ってきた、興味深いと言ったのはそういう意味です。そして、新しいスポーツが遠く「軍隊あがり」の血を引くスポーツ界と文化的衝突を起こしたとしても、おかしくはないと思いました。

懲りずにしろうと談義で恐縮ですが、國母選手はダブルコークという大技に挑戦しなければ、メダルは確実だったのではないでしょうか。あの批判の嵐の中で、自分の滑りを追求し、大技に挑戦して順位を落とした。すばらしいではありませんか。それにしても、あんなに高いところから氷壁めがけてくるくると舞い降りる、スノーボードとは恐ろしい競技です。

きのう、息子がスノーボードをしに出かけました。「あなたも滑る時はぶかパンなの？」と訊ねたら、「そうだよ」と当たり前のように答えるではありませんか。うちにも「ぶかパン野郎」がいたのです。知らなかった。
（貼付け終り） 　

コメント
01. 2010年2月20日 03:14:11 ここは政治板・・！！
02. 2010年2月20日 04:31:21 私はこの記事がここにあって問題ないと思いますよ。 政治的文化的な問題を孕んでいるし、同様のテーマのきっこのプログの貼り付けもこの版にありますから。 まあ、マスコミ板にもふさわしいネタではありますが・・・。
03. 2010年2月20日 06:37:07 これが政治だとわからない人がいることが日本の政治をダメにしているんです。
04. 2010年2月20日 10:11:04 いいブログです。知りませんでした。 ブックマークしました。
05. 2010年2月20日 10:25:36 政治板でいいよ。オリンピックは政治問題でもあるから。そこにストリート系のスノーボードが入り込んでオリンピックに風穴があいた、という文脈の中に国母が存在するという指摘はいいと思う。 国母を叩けば立派な国士様になれる今の保守派の貧困ぶりを笑いましょう。
06. 2010年2月20日 12:54:45 池田香代子さんの反省文ですね。
07. 2010年2月20日 23:21:31 ＞０４ ０２です。同じくブックマークしました。 時事問題に対する目の付け所がいいと思います。
08. 2010年2月20日 23:43:43 なんか、全然関係ないと思いますが。フィギュアスケートだって、モーグルだって、軍隊に関係ないし、大半のスポーツは別にスーツ着る文化に関係ないでしょ。 問題はただひとつ。支給されたユニフォームを公の場できちんと着なかったというだけです。スノーボードの文化なんか関係ない。 誰も、スノーボードやる時や私的な時間の服装なんか問題にしていない。 もし、スノーボーダーとして、連盟の指定した服装を着たくないのなら、そのルール（もしあるのなら）をおかしい、として変える努力を先にすべきではないのでしょうか。まあ、そこまでするエネルギーがあるならね。 そこまでしないでしょうね。だって　、そこまでする理由なんてないだろうし、他の人を説得できないでしょうから。せいぜい甘い（人権理解してますよ的な一部の日本人好みの”個性”という理由になっていない理由くらいしかないでしょう。 なぜないか？それはストリート文化が人種差別への反発、怒りからきているからです。アフリカ系アメリカ人を中心とした　差別され、お金のない人々が作り上げてきた文化だからです。日本人にはわからないけれど、シャツをズボンの中に入れるのは、白人のブルジョア文化なんです。だから、アフリカ系や有色系の貧しい人々はそれとは反対の服装をして、自分達の存在を主張するのです。ヒップホップやブレイクダンスもそうだけど、根本には人種差別の問題があるんです。日本人はその反体勢も理解せず、うわべだけまねしているだけ。 だから、主張がまったくないんです。
09. 2010年2月20日 23:56:33 今回の問題なんか釈然としない思いがありましたが、理屈がうまく説明できなかったのがこれを読んで、そういうことなんだとはっきりしました。なんかオリンピックが開催のたびに嫌いになってきています。（スポーツや日本選手の活躍は好きですが）オリンピックは非常に政治的なものです。政治そのものだ。スポーツを国威発揚の重大要素として、あれこれ画策している某国もあるくらいですから。代表でこういう人が登場してきたのは始めてのことですね。彼に対する評価でその人の考え方がわかるような気がします。腰パンは個人的には好きじゃないけど、奴は痛快だね。一番魅力がある。批判されて、叩かれるほど魅力が増す。
10. 2010年2月21日 00:18:52 主張がないとは言っても、模倣してアレンジングするのが日本人のＤＮＡです。 きちんと着るのは組織の一員としての自覚を促し、組織全体の規律を守るという 目的がありますが、国母はオリンピックの代表の前に一人のプロスノーボーダー であります。スノーボーダーであればあの服装は正しいわけです。 だから許されるのかと言えば疑問ですが、恐らく騒いでいなければ 誰も指摘しなかっただろう程度のものなのは間違いないわけで、その程度のもの ならわざわざマスコミが国民を煽って叩かせるのはどう考えても釣り合うわけ ないだろうと思いますよ。

11. 2010年2月21日 00:26:39 有意義な投稿、有難うございます。 この問題については、ＪＯＣの方に反省していただきたい。 まず、腰パンのルーツですが、私の記憶によりますと、アフリカ難民の少年にあると思います。 詳しく言えば、ガーナが受け入れたアフリカ難民の少年が、ダボダボのシャツにダボダボのズボンをはいていました。これは、救援物資のなかに自分のサイズに合った服がなかった為であります。 この姿を、海外のジャーナリストが写真に撮り、雑誌等に掲載したわけであります。 それを見たアメリカのヒップホップ系の若者たちが、共感し流行したものと解釈しております。 そのような背景を踏まえますと、オリンピックの「五大陸の平和」という理念と、ぴたりと合致するのであります。 現在、日本でも選択的夫婦別姓が語られるようになりました。こうした時代背景を考えれば、おそろいの制服を着て行進することに、どれほどの意義があるのでしょうか。選手個人が選択的服装に身をまとうことがあってもいいのではないでしょうか。 昔、ビートルズが出現したとき、世の大人たちは「不良の音楽」と言って嫌いました。 今、そんなことを言う大人はおりません。むしろ、クラッシックのようになってしまっています。 時代は常に変化しています。ＪＯＣも時代の変化についていけなければ、自民党のようになってしまいますよ。 それにしても、「人は、見かけで判断してはいけない。」と、小学生の時に習った記憶があるのにな。
12. 2010年2月21日 07:11:13 なるほどね、私の知らない世界の事でしたので、興味深く読ませて頂きました。スノボー選手はどの国も皆さん個性派ぞろいです。アメリカの選手をご覧になった方はおわかりですよね。規則の事はよくわかりませんが、あまり問題になるような事ではないと思いますよ。アメリカの友人に話したら、驚いていました。日本的な問題？というか、もうそろそろこの手で若者を痛めつけるのはやめたいですよね。 相変わらずのマスコミとそれに振り回される国民の図式かなぁ　−　　 野球少年は坊主頭でなきゃ！！みたいなのと底にあるのは同じ？ですか？
13. 2010年2月21日 08:46:47 私の娘（１７）にこの件についてのオピニオンを求めました。 なかなか普段から会話のある娘です。別にギャルではありません。最近覚えた（というか、昨日初めて一緒に買いに行ったメイク1万円相当で自慢げに見せてくれたメイクは・・・。きわめて、ナチュラルメイクとしかいいようがない、つまり素顔をすこしばかり元気に見せる系でしかないというほど（つまり親ばか的に言って、素顔が美人で、正直な性格な娘）が醸し出す完璧好感メイクでした。ちなみに私は元オスカープロモーション出身のモデルです。 で、その娘（ちなみに今売り出し上々のダンスクラブ、アカフダフレッシュのマネージャー兼ダンサー、ちなみに上21歳の娘は売り出し中の声優兼歌手兼ダンサー兼役者です）に聞いたところによれば、、 腰パン最近のダンサーやパフォーマーの中では常識、娘やその世代の友人も（ちなみに1年前まで、下の娘はコウダクミよろしく見せパン見せブラファッション、最近は腰パン見せるとしてもガールズブリーフ〈でないと時代遅れ〉、（ちょっとHIPHOP調） だそうで。 というか、彼女によれば「その国母さんて人、（日本の）五輪に新しい最近の文化もちこんだってことでしょ？でも、世界的に見たら、ここ十年ぐらいは当たり前って言いたいわけ？だったら、歴史の中で最も最近に起こった文化は常に迫害に遭うって話は教わったけど、つまり、超最近五輪にストリート文化が始まりのスポーツが参入したっておかんはいいたいわけっしょ。だったら、今どうなんか知らんし、あたしには関係ないけど、歴史によく起こった変化みたいに、結局は今は新しくても、何年後か何十年後かには、普通に「伝統」になってんじゃね？」 彼女の「伝統」の定義を聞いて、何も反論できませんでした。 確かに、たとえば何百年前に秀吉が築いた文化は当時ひそひそ揶揄されていた程奇抜だったが、いまや「伝統」文化ですよね。シャチホコだって、裏千家だって、金の茶室だって（今だから本気で揶揄できる「トヨタ」だって）。 でも、その数百年後の子孫に何が言える？ 多少おかしなことがあったとて、伝統は伝統、その継承者はその継承者なんです。 己のセンスをよっぽど研ぎ澄まさない限り、我々は「伝統」を天秤にかけたり、批判する権利はないとしかいいようはない。 娘の持ち出した「伝統」の一言に完敗です。

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