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「胆沢ダム工事の怪６」で頂いたコメントをもとに、私の意見を再検討してみる。
まずお詫びしなければならないのは、国が１６年時点で設計額や予定価格の公表を行っていると勘違いしたことだ。国は行っていない。
『 総行行第３８号 国総入企第３５号 平成２０年３月３１日
５．予定価格等の公表の適正化
予定価格の公表について、地方公共団体は法令上の制約がないことから、各団体にお
いて適切と判断する場合には、国と異なり、事前公表を行うことも可能であるが・・』
平成２０年時点でさえこう言っているのだから、間違いはない。すると業者は発注者の積算した価格を知りえない。ゼネコンの積算陣は優秀だから設計額にヒットさせることなど容易いことだろうが、一抹の不安は残る。できれば「解答」と突き合せしたい。
ゼネコン自身の積算額と正解が食い違っていた場合、談合で本命を選抜しても高落札率で取れない恐れがある。では誰が「解答」を知っているのか？ 実際に積算を担当した胆沢ダム工事事務所職員から「契約権者」まで、発注設計書を見ることができた人物は総て「設計額」を知っている。しかし「予定価格」は最後に判子を押した人しか知るまい。
契約権者とはＪＶと契約を交わした代表者だが、１６年度発注の第１期工事のデータが見つからないので、２０年度発注の第２期工事（随意契約）から推測する。
『 随意契約結果及び契約の内容
工 事 の 名 称 胆沢ダム堤体盛立（第２期）工事
契約担当官等の氏名並びにその所属する部局の名称及び所在地
支出負担行為担当官東北地方整備局長 岡田 光彦
宮城県仙台市青葉区二日町９－１５
随意契約結果及び契約の内容
工 事 の 名 称 胆沢ダム原石山材料採取（第２期）工事
契約担当官等の氏名並びにその所属する部局の名称及び所在地
支出負担行為担当官東北地方整備局長 岡田 光彦
宮城県仙台市青葉区二日町９－１５ 』
なるほど「東北地方整備局長」だと思われる。さてゼネコンはいったい誰に聞いて、高落札率を叩き出したのか？
次に、下の表を見ていただきたい。「入札参加資格」に「特定ＪＶ(3社)」とある。これは３社がグループを組まないと受け付けないよ、ということだ。私は業者が勝手にスクラムを組むのかと思っていたが違ったようだ。これでは人付き合いの悪い孤高の業者は、入札に参加できない。
『Ⅱ－13 平成１６年度一般競争入札方式の結果一覧
(地方整備局(港湾空港関係を除く),国土技術政策総合研究所)
部局 工事名 工事種別 入札参加資格 入札日 応札者数 落札業者名 落札金額（単位：千円(税抜)）
東北2 胆沢ダム堤体盛立（第１期）工事 一 般 土 木 特定ＪＶ(3社) H16.10.7 5 鹿島・清水・大本特定ＪＶ 19,380,000
東北12 胆沢ダム原石山材料採取（第１期）工事 一 般 土 木 特定ＪＶ(3社) H17.3.10 4 大成・熊谷・間特定ＪＶ 15,150,000 』
話は飛ぶが、元請け同士で納得ずくの談合なら入札前にチクったりするだろうか、という考えもあって前回は話を進めたのだが、「天の声」あるいは「横槍」が入ったとしたら。せっかく円満に代表を選んだのに、強引に代えさせられたら。あるいは「不満分子」が現れるかもしれない。しかしそれならば、入札で本命より安い札を入れてやればいいだけのことではないか。それができなかったのはなぜか？ 「談合破り」が結局ためにならないとしたら、どのような報復手段が待っているのだろう？ ＪＶの仲間はずれか？
さて水谷建設は仕事を取りたいのだが、では誰の所に頼みに行けばよいのか？ 次の三つから選べ。
①小沢事務所
②本命の元請け
③元請けに対して職務権限のある者、しかも受注者を予め知りうる者
②はまず不可能に近い。コメントでも指摘されたが、談合の協議結果は「秘中の秘」で外部に洩れることはない。
では①はどうだ。しかし小沢事務所は設計額を知りえる立場にはない。ゼネコンに役所へ聞きに行かせても教えてはくれまい。小沢事務所は談合の「喉首」を握ってはいない。こんな頼りない所へ頼んで大丈夫なのか？ 小沢事務所が何らかの圧力手段を確実に持っていたのなら、とっくに特捜部に御用になっているはずだ。
とすると、消去法でいけば③が残るのだが・・。
ところでこんな記事を見つけた。
（毎日新聞 2006年7月12日）・・・注：平成１８年
『法人税法違反（脱税）容疑で逮捕された大手土木工事会社「水谷建設」元会長、水谷功容疑者（６１）は、 ゼネコンや政界など幅広い人脈を持ち、その人脈を駆使して業績を拡大させた「政商」とも評された。
逮捕前、捜査の狙いを「特捜だから政治家だろ」と話した水谷元会長。同社をめぐる不透明な資金の流れが注目されている。
◇「勤務先は議員会館」
「勤務先は議員会館」。そう評されるほど元会長と政界の関係は深く、特に自民党の派閥会長や３役を経験した政治家らとの親密ぶりは知られる。元会長が政治家の信頼を得た理由を、地元関係者は「やり取りすべてを記憶にとどめて（事件の証拠になるような）メモ類を残さず、口も堅いから」と説明。
別の業界関係者は「政治家をバックに大手ゼネコンや発注者に『下請けに使え』と圧力をかけ、業績を拡大した」と指摘する。 』
この記事が本当だとしたら、「彼」は小沢氏の力など必要としただろうか。「自民党の派閥会長」とは、「３役を経験した政治家ら」とは誰のことだろう。さすがにこの時期には、新聞も「小沢」などとは一言も書いていない。
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